第13話 初めての対面
教会の鐘が正午を告げたところで、ユリアンは大聖堂の門をくぐった。
リゼットが漏らした「教会の内側を見て」という一言を頼りに、ユリアンは教会関係者への聞き込みを進めていた。だが、事件について語りたがる者は少なく、大半が言葉を濁して逃げるように去っていく。
参考人として枢機卿モーリスへの聴取を申し出たのは、捜査に協力的な教会関係者が少なく、その数少ない一人がモーリスだったからだ。
「よく来てくれた、捜査官殿」
案内された執務室で、モーリスは穏やかな笑みを浮かべて立ち上がった。白髪交じりの髪と、落ち着いた声。噂に聞いていた通り、威圧感のない人物だった。
「聖女様の件で、いくつか伺いたいことがあります」
「もちろんだ。私に答えられることなら、何でも」
ユリアンは腰を下ろし、手元の書類を開いた。
「亡くなる直前、聖女様の様子に変わったところはありませんでしたか。体調や、言動など」
モーリスは少し考えるように視線を落とした。
「……そういえば、ここ最近は少しお疲れのようだった。加護の力というのは、想像以上に本人の心身を削るものらしくてね」
淡々と語られる言葉に、不自然なところは見当たらない。ユリアンは相槌を打ちながら、手元にメモを取っていく。
――ようやく、まともに話ができる相手に会えた。
内心、そう安堵していた。他の聖職者たちのどこか及び腰な態度とは違い、モーリスは聞かれたことに淀みなく、丁寧に答えてくれていた。
「他にも、思い出したことがあれば教えてください」
「ああ。……そうだ、記録庫にまだ目を通していない書類がある。次に来てもらえれば、一緒に確認しよう」
「助かります」
ユリアンは深く頭を下げた。
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それでは、また別の作品でお会いできますように。




