第82話
翌日。
覚悟の決まった二人を連れ、俺たちは冒険者ギルドへ。
ギルド内は、大討伐に参加する冒険者が多くいた。俺は二人を連れて空いてるカウンターへ向かう。空いていたのは……おっさん受付だ。
俺は冒険者ライセンスをカウンターへ置いて言う。
「大討伐に参加する。俺はD級、後ろの二人はF級だ」
「……参加はいいけど、強制参加じゃない場合の固定報酬は低いぞ?」
「構わない。討伐数が多ければ、ドラゴン討伐に参加できるんだよな?」
「ああ。だが……D級とF級だろう?」
「問題ない。ちなみに、確定で参加する冒険者は?」
話を聞くと、S級冒険者が十五名、騎士団の部隊長が十二名、大討伐後に追加で参加できる冒険者は三名……合計三十名でのエンシェントドラゴン討伐になるそうだ。
「タクニキ王国郊外は、とにかく魔獣で溢れている。レートの高い魔獣を大量に狩れば、ドラゴン討伐には参加しやすくなるだろうさ」
「確かにな。うし……じゃあ、行くわ」
「おう。気をつけてな」
アキト、ティンファもライセンスを確認してもらい、ギルドを出た。
俺は二人に確認する。
「よし。最低限の食材を持って、狩りに出るぞ」
「「はい!!」」
「ドラゴン討伐に参加したい!! って冒険者は少ないだろうけどいる。そいつらに負けないよう、とにかく魔獣と戦って戦って戦いまくる。いいか、自分の命を最優先にだ。アキトとティンファ、お前たち二人で協力すれば、レートBくらいの魔獣なら問題ないはずだ」
「よーし!! アキト、やろうね!!」
「ああ、先生の教えを忘れないように戦おう」
アキトは冷静に、ティンファは熱く。
この二人、やっぱりいい組み合わせだ。
「今回、俺も戦うが……お前たちの後ろじゃなく、近くで狩る」
「え、近く?」
「まあそうだ。お前とアキトはずっと二人で戦っていたしな、俺が入るとなると呼吸が乱れる」
あと、俺が戦ってるところあんま見せたくないってのもあるけどね。
町を出る前、買い物をし、装備を確認して出た。
正門前で、俺は二人に言う。
「いいか、郊外にはとにかく魔獣がいる。俺もある程度サポートするが、メインはお前たち二人だ。これまでの教えを忘れずに戦うように」
「「はい!!」」
「じゃあ……行くぞ!!」
「「はい!!」」
さて、大討伐……魔獣狩りの始まりだ。
◇◇◇◇◇
「よ、っと……はいおしまい」
アキト、ティンファから二百メートルくらい離れた平地で、俺は討伐レートBのダークラビットを瞬殺した。
ダークラビット。虎みたいなサイズの黒いうさぎで、その見た目とは裏腹に肉食、自分よりデカい魔獣に平気で喰らい付くどう猛さ……まあ別にいいか。を、討伐した。
俺は手早く、討伐の証である牙、ツノを回収。
こいつの肉は臭くて食えないので放置。大討伐で魔獣も多いので、放っておけば骨になる……まあ骨を食う魔獣もいるか。
さて、あいつらどうなったかな。
「……げ、マジか」
アキト、ティンファが戦っていたのは、ティラノサウルスみたいな魔獣……ファングダイナソーだ。
討伐レートはA……こんなやつですら、ガガムド山脈を追われてこんな町の近くまで来るのか。
「ティンファ」
「わかってる。目だね」
「うん。足は任せて。タイミングは」
「大丈夫」
最低限の会話だ。
アキトは双剣を逆手に構え、体勢を低くする。
ティンファは槍をクルクル回転させビシッと構える。
すごいな、恐れも驕りもない。勝てると信じてる……いや、確信している。
「行くぞ!!」
スキル『ダッシュ』でアキトが接近。狙いは……足。
『ゴアアアアアアアア!!』
ティラノサウルスみたいなデカくれヤバイ魔獣に突っ込むなんて、今のA級冒険者でもそうそうできることじゃない。
しかもアキト、スキルを細かく発動させること、さらに速度を調整することで緩急をつけている。
それでも、ファングダイナソーはアキトを丸呑みできるほど大きな口がある。
素早く動くアキトに狙いを定め、口を開けて狙いを定め……一気に喰らい付く。
「ッ!!」
「おっ……マジか」
アキトは剣を振り、喰らい付かれる瞬間にファングダイナソーの舌を斬った。そしてギリギリ離脱……地面を転がる。
ファングダイナソーは、アキトがいた地面に喰らい付く。だが、次の瞬間。
「スキル、『紫電突き』!!」
ティンファの槍が、ファングダイナソーの目に突き刺さる。そしてそのまま捻るように回し、眼球から脳に入った槍が脳を破壊……ファングダイナソーは白目をむいて倒れた。
「はぁ、はぁ……あ、危なかった」
「アキト!! 大丈夫!?」
「あ、ああ……もう少しタイミングがずれていたら、足を食われていたよ」
「もう……無茶しすぎ。もうちょい早く離脱してもよかったのに」
「いや、ボクを食べたって本当に錯覚させたかったからね。それくらいギリギリまで引きつければ、ティンファの槍に意識が向かないと思ったんだ」
「……それでも、無茶しすぎ」
「……ごめん」
いや、魔獣を倒したのはいいんだが……なんかいい雰囲気じゃね? ここで俺が声をかけるの無粋なような、馬に蹴られるような気がした。
だが……それはそれとして思う。
「……やっぱもう、俺はいらないな」
戦術、チームワーク、戦闘力……もう心配はない。
この調子で、魔獣を狩り続けるとしましょうかね。




