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転生して35年、その日暮らしのD級冒険者やってます。  作者: さとう
第一章

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第7話

 飯を食った後、俺は三人に言う。


「まず、アルテミウスは前衛にしかなれない。そしてエリオは『弓士』だから中衛から後衛。ユウナは『魔法師』だから中衛から後衛、サポートもできる」

「「「なるほど」」」


 息ぴったりな返しだ。

 さらに続けて言う。


「そもそも、『弓士』も『魔法師』も、前衛がいないと戦えない。鍛えるなら、チーム戦だ。それでもいいなら、俺が鍛えてやる」

「やります!! 強くなれるなら何でもいいぜ!!」

「わ、わたしは……エリオがいいなら」

「私も!! 仲間と戦えるなんて嬉しい!! えへへ……エリオくん、ユウナちゃん、よろしくね!!」

 

 アルテミウスがニコッと微笑むと、エリオが顔を赤くして「あ、はい」と照れていた。ユウナが少しムスッとしてる気もするな……修羅場とか御免だぞ?


「よし。じゃあ今日は解散。エリオ、ユウナの宿は?」

「路地裏にある安宿です。あまりお金なくて……」

「へへ、今にバンバン稼いで、美味いもんたくさん食べて、いい宿に泊まるんだ!!」


 路地裏の安宿か……治安、あまりよくないんだよな。

 すると、アルテミウスが言う。


「あ、なら……私の宿、来る? お部屋も空き部屋あるし、一人じゃ広いから」

「「え?」」

「一緒にチームを組むんだし、共同生活もありですよね、師匠!!」

「あー、まあな」


 そういや、アルテミウスって貴族の子だから金はけっこう持ってるんだった。泊ってる宿がどこか聞いたけど、けっこういい宿だったし。

 家を出たと言っても、無一文で放り出されるわけじゃなかったみたいだしな。

 食後、三人は安宿へ荷物を取りに行き、そのままアルテミウスの宿へ。

 エリオが緊張しているようだった……が、十二歳はアルテミウスにとって弟みたいなものなのか、全く意識していないようだった。

 そして、三人と別れたあと、俺は。


「さて……金、まだあったかな」


 三人を鍛えるにあたって、必要なモンができちまったな。

 まずはシモンの店に行きますか。

 

 ◇◇◇◇◇◇


 翌日、冒険者ギルド前にて。


「おはようございます、師匠!!」

「お、おはようございます」

「おう、アルテミウスにユウナ。と……どうした、エリオ」

「…………」


 顔が赤く、なぜか俯いていた。

 ユウナを見ると、どこかムスッとして言う。


「師匠、エリオは気にしないでいいです。さっそく修行をお願いします!!」

「え、ああ……うん」


 すると、アルテミウスが言う。


「私がシャワー浴びてるところに間違えて来ちゃってから、様子がおかしくて……大丈夫なんでしょうかね、師匠」

「原因それだろうが!!」


 つまり、アルテミウスの裸を見ちまったのかい……まあ、俺からすれば子供だけど、十二歳にとって十五歳の裸は刺激強かったようだ。

 俺は咳払いをして、エリオに言う。


「エリオ、ほれ」

「え、これって……」

「ゴブリンが捨てたボロ弓なんて使えないだろ。とりあえず、十二歳の子が一般的に使う狩猟用の弓を買ってきた。矢もある。今日からこれ使え」

「おおおおおおおっ!! すっげえええええ!!」


 エリオは興奮し、矢を構える。

 そして、エリオとユウナに革製の胸当て、帽子、脛当てなどの軽装備を渡した。


「まず、装備だ。命を守る防具、これは絶対に装備すること。人間には弱点が多い。ほんの一センチの穴が胴体に空いただけで、命の危機に陥るからな。命を守る防具は絶対に大事……よく覚えておけ」

「「はい!!」」

「あの師匠、私は?」

「予算オーバーでな。お前は自分で稼いで買え」

「えぇぇ~」

「お前な、その武器いくらしたと思ってんだ」


 エリオ、ユウナは防具を装備。


「まずエリオは『弓士』の初級スキル、『鷹の目』の習得を目標にする。ユウナは『魔法師』の初級スキル、四属性魔法の習得からだ」

「師匠、詳しいっすねー」

「師匠って『剣士』でしたっけ。いろんなこと知ってるんですね」


 エリオ、アルテミウスが感心していた。

 まあ俺、『弓士』も『魔法師』も持ってるからな……とは言えないのだった。

 

 ◇◇◇◇◇◇


 三人でチームを組ませ、初めてのチーム戦となったある日。

 俺は、町の入口で三人を前に言う。


「いいか、決して魔獣を深追いしないこと、チームでの役割を認識すること、たとえゴブリン一匹だろうと命を奪い、奪われる敵だと忘れないこと」

「「「はい!!」」」


 これからしばらく、俺から離れて三人で冒険者生活を開始する。

 依頼を受け、チームで戦い、報酬を分配したり、装備を整えたり……学ぶべきことはいくらでもある。知恵は授けたので、あとは実際にやって覚えることだ。

 俺の助けはない。まあ、困ったら声かけろとは言ってある。

 アルテミウスは言う。


「師匠、これまでずっと師匠が一緒でしたけど……今日からチーム三人での冒険なんですね。なんだかワクワクします」

「そうかそうか。いいかアルテミウス、お前がリーダーなんだから、二人を頼むぞ」

「はい!! えへへ……私、初めて冒険者として歩き出したような、そんな気がします。これも師匠のおかげです!! ありがとうございます!!」

「──……おう」


 アルテミウスたちは「行ってきます!!」と言って歩き出した。

 その背中を見送りながら、俺は自分の中に芽生えた新しい『力』を確認する。


ジョブ習得──『連装士』。


「はは……手に入ってるわ」


 俺のジョブ『自由人』……ジョブを手に入れ、登録する方法。

 それは、『俺の持っていないジョブを持つ人の願いを叶える』ことだ。

 その人が持つ真の願いを叶えた時、俺の『自由人』に新たなジョブは登録される。

 俺が持てるジョブの最大数は十二個。また、新たなジョブが登録された。

 『連装士』……俺の『自由人』の下位互換、というか超劣化版みたいなジョブだ。必要ないし、使うこともないだろう。


「……まあ、まだジョブストックに空きはあるしな」


 アルテミウスを指導した証……なんて、勲章とは違うけど、しばらくはこのままでもいいかなと思い、このままにすることにした。


「さぁぁ~て、しばらくあいつらに付きっきりだったし、俺もそろそろ依頼を受けて稼がないと……ん?」


 ふと、視線を感じたような気がした。

 周りを見渡すが……うん、気のせいか。


『…………』

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