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転生して35年、その日暮らしのD級冒険者やってます。  作者: さとう
第一章

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第5話

 さて、アルテミウスの指導から一か月が経過。

 指導方針、初級スキルの習得も決まり、俺は二十年の冒険者生活で得た伝手を使って、アルテミウスの初級スキル習得に必要なジョブを持つ人を呼び、初級スキルを習得させた。

 ちなみに、スキルの習得法は『習得したいスキルを視認し、指導を受ける』だ。

金かかるかなーと思ったけど、アルテミウスが『連装士』とわかると憐れむような視線を向け、スキルを習得させてくれた。

 アルテミウスを見たが……アルテミウスは目を輝かせていた。


「師匠!! 初級スキル、ゲットできました!! さあさあ、新しい戦法を試したいです!!」

「……お前ってやつは」


 もう、憐れみを受けてメソメソするアルテミウスじゃない。

 俺はアルテミウスの頭を撫でて言う。


「その前に、まずは武器だ。ちゃんと、お前の戦法に対応した武器じゃないとな」

「あ、はい。武器……買うんですか?」

「うんにゃ。オーダーメイドしてある。行くぞ」


 向かったのはシモンの店。

 頼めば何でも作ってくれるシモンは笑顔で迎えてくれた。


「おっす。例のモン、できてるか?」

「おう。ったく、苦労したけどできたぜ。お……そっちのお嬢さんかい?」

「そうだ。こいつ専用の、俺が考えた最強の武器を装備して戦う、未来のS級冒険者だ」

「え、え? あの、師匠?」


 困惑するアルテミウス。

 まあ、説明はあとでいい。シモンに頼むと、さっそく木箱をカウンターに置く。

 箱を開けると、そこには『装備一式』が入っていた。


「わあ……」

「こいつが、お前専用の武器だ。デザインとアイデアは俺な」

「し、師匠……でも、お金」

「気にすんな。俺のアイデアで初級スキルを覚えたんだし、俺が専用の武器を用意するのも当然だろ」

「し、師匠……あ、ありがとうございますぅぅぅぅ~!!」

「うおおおお!?」


 なんと、アルテミウスが抱きついてきた。

 びっくりした。こいつ、ガキなのにいい匂い……じゃなくて。


「うわ、アルノーさん……」

「げっ、ミア。いつのまに……じゃなくて、こっち見んな。あっち行け!!」


 いつの間にか、冒険者後輩のミアがジト目で見ていた。

 俺はアルテミウスを引き剥がし、頭をポンポン撫でる。


「そ、装備。装備しろ。んで、さっそく試しに行くぞ!! まだ初級スキル覚えたばかりで、実戦経験はないんだからな」

「は、はいぃぃ!! よおおおおおっし!!」


 アルテミウスは、さっそく武具を装備。

 俺はややドキドキしながら、汗を拭うのだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 さて、向かったのは近くの森。俺がゴブリン退治をした森だった。

 ゴブリンはいつの間にか湧いて出る。周囲からいくつもゴブリンの気配がする。


「さて、アルテミウス。お前が習得した初級スキルは三つ。いいか、一つを使うんじゃなくて、三つ全てを使って、一つの戦い方になる。つまり……お前は、その戦い方を極める冒険者になるんだ」

「はい!!」

「大丈夫。お前はセンスもあるし、眼もいいし、器用さもある。俺の教え通りにやればきっといけ……」


 俺は言葉を切り、バッと振り向いた。

 近くの藪がガサガサ動き、怪我をした少年、少女が転がるように……いや、転がって来た。


「たた、たすけ」

「うわあああああん!!」


 若い。アルテミウスよりも年下だ。

 すると、近くの藪からゴブリンが飛び出してきた。俺は飛び出してきたゴブリンを蹴り飛ばし、子供二人の襟を掴んで後退する。

 アルテミウスは驚いていたが、すぐに冒険者の顔となった……この一か月、基礎トレーニングがメイン、俺と体術の訓練をしていたおかげなのか、度胸も付いてる。

 俺は目の前にいるゴブリンを見た。


「……アルテミウス。実戦だ」

「はい!!」


 アルテミウスは前に出た。

 俺は子供を降ろすと、少年が言う。


「え、え、ひ、一人で? おっさん、まだ奥にデカいのが」

「た、助けを呼ばないと」


 女の子も心配する。

 だが、俺は二人の頭をポンと撫でて言う。


「まあ見ておけ。この戦い、俺の弟子、『連装士』のデビュー戦なんだ」

「れ、『連装士』って……不遇ジョブじゃん!!」


 少年が言う。子供でもそう思っているんだろう。

 少女は、不安そうに見ていた。まあ……いざとなれば俺もやる。


「いきます、見ててください師匠!!」


 アルテミウスは、口から下を覆うマスクを着け、マントをなびかせる。

 そして、両手両足に装備した『籠手』と『レガース』を見せつけるように構え、ゴブリンに向かって行く。


「え、剣士? 闘士?」

「ま、魔法師とか?」

「違う違う」

「でも、連装士って、初級スキルを三つしか覚えないんじゃ……剣士とか、斧士とか、強いスキルを覚えるのはフツーだろ、あの人」


 そう……そこが落とし穴というか、ミソなんだよ。

 三つの初級スキルしか覚えないから、強いジョブの初級スキルを三つ覚える。それが当たり前になっている。だから俺はその考え方を捨てた。

 あ、ちなみにマスクは俺の趣味で意味はない。


『ギイイイイイッ!!』


 藪からゴブリンが数匹飛び出してきた。

 数は三体……もともといた一体を合わせて、合計四体。

 だが、アルテミウスは焦らない。

 多対一は、俺が想定していた。だからそのための訓練もした。


「スキル──『ダンシングステップ』」

「「えっ!?」」


 驚く少年少女。

 なんとアルテミウスは踊り出した。正確にはステップを踏んだ。

 ひとつめのスキルは、『ダンサー』の初級スキルである『ダンシングステップ』だ。効果は見ての通り、踊るようなステップを踏める。

 これを戦闘に応用すると、細かいリズムを刻める。つまり……?


『『ギギャアアア!!』』

『『ギャウギャウ!!』』


 ゴブリン四体の棍棒による乱撃を、アルテミウスは近距離で、細かいステップを踏みながら完全に回避していた。

 少年少女が唖然とする。


「す、っげえ……」

「綺麗……」


 そして、アルテミウスは両手、両足のスイッチを起動させると……籠手、グリーブから『刃』が飛び出した。

 そのまま、踊るように手足を振り、ゴブリンたちの喉を正確に切り裂く。

 ゴブリンたちは出血し、そのまま倒れた。

 同時に……藪から別のゴブリンが二対、飛び出してきた。


「ホブゴブリンか。アルテミウス、できるな?」

「はい……っ」


 やや疲労がある……そりゃそうか。初めて初級スキルを使用しての戦いだしな。いちおう、ダンスしながら戦うことを想定していたから、体術なんかも叩きこんだけど。


『ゴオオオオオ!!』

「ッ!!」


 ホブゴブリンの棍棒だ。丸太みたいなサイズの棍棒を躱し──アルテミウスは動く。


「スキル発動、『エンチャント・エア』」


 二つ目の初級スキル……それは、『魔法師』から得た風属性だ。『エンチャント・エア』はその名の通り、武器に『風属性』を付与する。

 剣士や斧士の武器や、弓士の矢なんかに風を付与するのが本来の使い方だが、アルテミウスの武器は四肢。両手両足に風を付与し、推進力に……。


「あわわわわっ!?」


 やっぱいきなりはムリか。

 両手両足に風を纏わせたはいいが、操作が難しいのか空中でバタバタしている。器用だし、風のコントロールもできる……と思ったけど、ぶっつけ本番はムリだったようだ。


「アルテミウス、三つ目!!」

「は、はいぃぃぃっ!!」


 風を解除、アルテミウスは着地。

 ホブゴブリンの棍棒が振り下ろされ、アルテミウスは横っ飛びで回避。

 そして、アルテミウスは目をカッと見開いた。


「スキル発動、『エンチャント・サンダー』!!」


 紫電が爆ぜた。

 帯電し自らが『雷』となり、急接近しての一撃。

 アルテミウスの斬撃は、ホブゴブリンの首を両断した。


「あぶげっ!?」


 だが、速度を調整できず、木に激突……そのまま目を回した。

 ホブゴブリンは残り一体。アルテミウスは目を回している。


「まあ、上出来だ」


 俺は剣を抜き、残り一体のホブゴブリンを討伐するのだった。

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― 新着の感想 ―
> 異なる三つのジョブの初級スキルを三つ習得することができる。(4話) > 二つ目の初級スキル……それは、『魔法師』から得た風属性だ。 > 「スキル発動、『エンチャント・サンダー』!!」 『エンチャン…
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