第44話
町に到着。ギルドの馬車ということですんなり入れた。
俺はレグナフィリアに言う。
「さて、俺はここでいいよ。町を歩きつつ、グレースの別荘に行くからさ」
「場所、わかるの? 送っていくわよ?」
「地図もあるしな。それに、ずっと馬車だったし歩きたいんだ」
「そう……じゃあ、わかったわ」
馬車が止まる。
俺は荷物を手に馬車から降りた。
「じゃあ。近いうちにな」
「師匠、遊びに行きますね!!」
「また会おうぜ!!」
窓を開け、アルテミウスと昼寝から起きたエリオが身を乗り出した。
俺は軽く手を振る。するとエルレインが別の窓を開けて言う。
「じゃあアルノー、またね。あたしたちとの時間、ちゃんと取ってよね」
「はいはい。いい酒場見つけたら一緒に行こうぜ」
「うん!!」
馬車は走り去った。
俺は軽く伸びをして、周囲を見渡す。
「えーと、ここは南区だっけ。グレースの別荘は西区……街はけっこうデカそうだし、町並みを見つつ行きますか」
周囲にある建物はレンガ積みが多く、コケが生えてたり蔦で覆われている建物もある。それに横長の家もあれば、塔みたいな建物もあり見てて飽きない。
木造りの古めかしい家もあるし、驚いたのは町中に川が流れており、渡し船みたいなのがたくさん流れていた。
「そういや、ここは陸路より水路のが発達してるんだっけ……って、おおお」
橋の下を見ると、なんと居酒屋みたいなのが並んでいた。さらに屋形船みたいなのがゆっくり動いており、そのまま船の上が居酒屋っぽくなっているのも見えた。
しかも、香ばしい匂い……これ、焼き魚だ。
「うおお、一杯やってから行こうかな……これは腹にくる」
ていうか、今の時間はお昼を少し回ったところ。まだ昼飯を食ってない。
飯を食いつつ、軽く飲んでから別荘へ向かおうか本気で悩んで。
「いやでも、荷物邪魔だしな……酔っ払って潰れるつもりはないけど、油断して荷物盗まれる可能性もないこともないし……うし、我慢我慢。荷物置いて、身軽にしてから散策するぞ」
荷物盗まれるとかテンション下がるしな。
俺は、近くにあった観光案内所に入り、町のマップを手に入れた。
地図を見ると、実にわかりやすい。
「なるほど、でかい十字路がメインになってるのか」
看板もいくつか設置されているし、迷うことはないだろう。
細かい道もあるけど……まあこの歳で迷子もない。
「よし、さっさと荷物置きに行くか」
俺は地図を片手に、居酒屋の誘惑に耐えながらグレースの別荘へ向かうのだった。
◇◇◇◇◇
西区へ、そして地図に従ってグレースの別荘に到着した。
「おいおい……これかよ」
驚いた。
普通に豪邸だ。二階建て、庭付きの一軒家。正門を開け、正面玄関のドアを鍵で開ける。
「ほわぁ……」
塵一つない、綺麗な玄関だった。
広いし、何故かいい匂い……そういや管理されてるんだっけ。
土足でいいみたいなのでそのまま家の中へ。
「すっげえ……」
リビング、キッチン、トイレに風呂……二階は客間。ベッドメイクもされているし、クローゼットには替えのシーツや毛布なんかも入っている。
キッチンには何もない。鍋や包丁などの調理器具はあるが、食材はゼロ……調味料すらない。まあ買いに行けばいい。
嬉しいのは、でかい風呂があったこと。
「魔道具でお湯を出すのか。こりゃ本当にすごいな」
ちなみにこの世界、下水や配管などの設備はしっかりしている。浄水場みたいなのもあるので、マルセリア王国の王族はもしかしたら地球からの転生者で、汚水処理しないと疫病が流行するって考えた……いや、考えすぎか。
家の中を見て回り、俺は両手を合わせた。
「グレース、感謝するぜ。いやー、持つべきものは美女の同期だぜ!!」
バカンスの拠点は最高だ。グレース、本当にありがとう!!
荷物を起き、装備を全て外し、ラフなシャツとズボンを履いてサンダルを履く。財布をポケットに突っ込み、完全な休日モードで俺は別荘を出た。
「さーて、メシ食って、ついでに軽くいっぱい引っかけますかね」
こうして、俺のバカンスは始まった。
いっぱい観光して、美味いメシと酒、楽しいアクティビティを満喫するぜ!!




