第13話
俺からの卒業、もとい昇級試験から数日が経過。
俺は、町の入口でアルテミウス、エリオ、ユウナと向かい合っていた。
「……もう行くんだなあ」
「はい。私たち、王都に行ってもっと経験を積んで、立派な冒険者を目指します!!」
三人は、王都を目指して旅立つ。
まあそうだよな……俺の住むこの町、ロープレで言えば『最初の町』みたいなモンだしな。まあ商業都市だし人の出入りは多いし発展はしているけど、この国の王都と比べたら、冒険者ギルドの規模、依頼の多さも桁違いだ。
ここで冒険者を目指した新人は自信と経験を積み、王都へ旅立つ。俺みたいに町にしがみついて生きるのはあんまりいない。
俺はこそっと言う。
「なあ、くれぐれも……」
「わかってますって。師匠がすっごく強いのは、私たち弟子だけの秘密です。ね」
「はい。へへ、クソ強い師匠がいるってこと、自慢しまくるけどな!!」
「師匠、エリオが余計なこと言わないよう、しっかり見張ってますから」
まあ、この三人なら大丈夫だろう。
冒険者チームは五名まで登録可能だし、残り二名は王都で探すとも言ってるからな。
「あの師匠、ところで……同行させたい人がいるとか」
「ああ、もうすぐ……お、来た」
やって来たのは、旅の装いをしたシャナだった。
アルテミウスたちに紹介したかったんだが、タイミングが合わずになかなか紹介できなかった。三人が王都に行くって話を聞いて、シャナにも「王都に行かないか?」と提案……アルテミウスたちもシャナの同行を快く了承し、シャナも一緒に行ってもいいと言ってくれた。
まさか、出発当日に顔合わせになるとは思わなかったけど……ま、大丈夫だろ。
「……この三人?」
「ああ。アルテミウス、エリオ、ユウナだ。みんなお前と同じ新人冒険者で、これから王都で大活躍する予定だ。もちろん、お前も」
「……アタシも?」
「そうだ。ここで冒険者やるのもいいけど……お前は若いからな、一度、王都を経験してこい。俺はここにいるし、たまに来るなら酒でも奢ってやるよ」
シャナはクスっと微笑み、アルテミウスたちに向き直る。
「シャナ。エルフ族で、パーティーの役職は『斥候』よ。役立てると思う……よろしくね」
「あ、アルテミウスです!! 前衛担当です!!」
「え、エリオです!! 援護の、弓士です!!」
「ユウナです。魔法師で、支援担当です」
「ん、よろしくね」
シャナは手を差しだし、全員と握手……おいおいエリオくんよ、デレデレするとユウナが嫉妬しちゃうぞ。若いっていいねえ。
さて、自己紹介も終わったし……俺は全員に言う。
「じゃあ、気を付けて行け。それと最後にアドバイスだ。いいか、生きろ。死んだらそこで終わりだ。どんなにカッコ悪くても、死にそうになったら逃げろ。逃げるのは恥じゃない。本当の恥ってのは、仲間を侮辱することだ」
「「「「…………」」」」
「生きて、またこの町に来ることがあれば……俺の奢りで、メシでも食おう」
「「「……はい!!」」」
「ええ、わかってる」
三人はぺこりと頭を下げ、シャナは頷いた。
そして、アルテミウスが言う。
「師匠、私の願い……叶いました。冒険者になって、素敵な仲間を見つけて冒険をする。まだまだ始まったばかりですけど、叶いました」
「……そうか」
「師匠、おれ、もっと強くなる。スキルのレベル上げて、新しいスキルを覚えて、最強の『弓士』になるから!!」
「わたしも、立派な『魔法師』になります!!」
「アタシも……アンタに、感謝してる」
「ああ、さあ……行ってこい!!」
「「「はい!! ありがとうございました!!」」」
「行ってくるわ」
四人は力強く言い、王都に向けて旅立った。
俺は、その背中が見えなくなるまで見送るのだった。
「さぁぁ~て……新人研修も終わったし、いろいろ入り用で金欠になっちまった。しばらくは真面目に稼ぐとしますかね」
こうして、俺の新人研修は終わり……いつもと変わらない日常が戻って来た。
あの四人の新人が、王都でどんな活躍をするのか、今からとても楽しみである。




