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転生して35年、その日暮らしのD級冒険者やってます。  作者: さとう
第一章

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第13話

 俺からの卒業、もとい昇級試験から数日が経過。

 俺は、町の入口でアルテミウス、エリオ、ユウナと向かい合っていた。


「……もう行くんだなあ」

「はい。私たち、王都に行ってもっと経験を積んで、立派な冒険者を目指します!!」


 三人は、王都を目指して旅立つ。

 まあそうだよな……俺の住むこの町、ロープレで言えば『最初の町』みたいなモンだしな。まあ商業都市だし人の出入りは多いし発展はしているけど、この国の王都と比べたら、冒険者ギルドの規模、依頼の多さも桁違いだ。

 ここで冒険者を目指した新人は自信と経験を積み、王都へ旅立つ。俺みたいに町にしがみついて生きるのはあんまりいない。

 俺はこそっと言う。


「なあ、くれぐれも……」

「わかってますって。師匠がすっごく強いのは、私たち弟子だけの秘密です。ね」

「はい。へへ、クソ強い師匠がいるってこと、自慢しまくるけどな!!」

「師匠、エリオが余計なこと言わないよう、しっかり見張ってますから」


 まあ、この三人なら大丈夫だろう。

 冒険者チームは五名まで登録可能だし、残り二名は王都で探すとも言ってるからな。

 

「あの師匠、ところで……同行させたい人がいるとか」

「ああ、もうすぐ……お、来た」


 やって来たのは、旅の装いをしたシャナだった。

 アルテミウスたちに紹介したかったんだが、タイミングが合わずになかなか紹介できなかった。三人が王都に行くって話を聞いて、シャナにも「王都に行かないか?」と提案……アルテミウスたちもシャナの同行を快く了承し、シャナも一緒に行ってもいいと言ってくれた。

 まさか、出発当日に顔合わせになるとは思わなかったけど……ま、大丈夫だろ。


「……この三人?」

「ああ。アルテミウス、エリオ、ユウナだ。みんなお前と同じ新人冒険者で、これから王都で大活躍する予定だ。もちろん、お前も」

「……アタシも?」

「そうだ。ここで冒険者やるのもいいけど……お前は若いからな、一度、王都を経験してこい。俺はここにいるし、たまに来るなら酒でも奢ってやるよ」


 シャナはクスっと微笑み、アルテミウスたちに向き直る。


「シャナ。エルフ族で、パーティーの役職は『斥候』よ。役立てると思う……よろしくね」

「あ、アルテミウスです!! 前衛担当です!!」

「え、エリオです!! 援護の、弓士です!!」

「ユウナです。魔法師で、支援担当です」

「ん、よろしくね」


 シャナは手を差しだし、全員と握手……おいおいエリオくんよ、デレデレするとユウナが嫉妬しちゃうぞ。若いっていいねえ。

 さて、自己紹介も終わったし……俺は全員に言う。


「じゃあ、気を付けて行け。それと最後にアドバイスだ。いいか、生きろ。死んだらそこで終わりだ。どんなにカッコ悪くても、死にそうになったら逃げろ。逃げるのは恥じゃない。本当の恥ってのは、仲間を侮辱することだ」

「「「「…………」」」」

「生きて、またこの町に来ることがあれば……俺の奢りで、メシでも食おう」

「「「……はい!!」」」

「ええ、わかってる」


 三人はぺこりと頭を下げ、シャナは頷いた。

 そして、アルテミウスが言う。


「師匠、私の願い……叶いました。冒険者になって、素敵な仲間を見つけて冒険をする。まだまだ始まったばかりですけど、叶いました」

「……そうか」

「師匠、おれ、もっと強くなる。スキルのレベル上げて、新しいスキルを覚えて、最強の『弓士』になるから!!」

「わたしも、立派な『魔法師』になります!!」

「アタシも……アンタに、感謝してる」

「ああ、さあ……行ってこい!!」

「「「はい!! ありがとうございました!!」」」

「行ってくるわ」


 四人は力強く言い、王都に向けて旅立った。

 俺は、その背中が見えなくなるまで見送るのだった。


「さぁぁ~て……新人研修も終わったし、いろいろ入り用で金欠になっちまった。しばらくは真面目に稼ぐとしますかね」


 こうして、俺の新人研修は終わり……いつもと変わらない日常が戻って来た。

 あの四人の新人が、王都でどんな活躍をするのか、今からとても楽しみである。

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