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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第二章 二番島《工環ペリカンテ》

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第26話「契約炉の残滓と、新たな影」

恐怖巨神が崩れ落ちた後の中心炉は、

嘘のように静かだった。


砕け散った契約札が床に散らばり、

炉心の奥では、微かな赤い光だけが“生き残り”のように揺れている。


ミナは胸に手を当て、震える息を整えた。


「……先生……すごかったです……

本当に……勝てるなんて……」


「いや、勝たせてもらったんだよ。

お前の声がなかったら詰んでた」


ミナの頬が赤くなる。


「えへへ……先生、言いすぎです……」


(言いすぎじゃねぇ。

お前の導きは……本当に命綱だった)


そう言いかけた時——


炉心の赤光がふっと揺らいだ。

まるで“呼吸するように”。


「先生……また、何かいます……」


ミナがリオの袖を掴む。


(まだ……残ってるのか)


炉心の縁がゆっくりと割れ、

そこから“白銀の光”がこぼれ落ちた。


「……嫌な光だな」


リオは眉をひそめる。


(これは……アーサー王の光……

式典で見た“作り物の聖性”……

でも今のは……もっと冷たくて、乾いてる)


ミナが顔をしかめた。


「先生……この光……

誰も救う気がない……

ただ……なにもかも“無くしたがってる”……そんな感じ……」


(ミナ……そこまで感じ取れるのか……

王の光の本質を……ここまで正確に……)


白銀の光は炉心の中で球状に固まり、

心臓の欠片のように、静かに脈動していた。


「これ……持っていけませんか?」


「危険すぎる。

これは王の光の残り滓だ。

触れたらどうなるか分からん」


「……でも、置いていったら……

また誰かが使われちゃう」


(……そうだ。

この島を歪ませた“元凶の一つ”。

契約炉を壊しただけじゃ終わらない)


リオはしばらく考え——

拳を作った。


「ミナ。後ろ向け」


「……はい」


リオは炉心へ手を伸ばし——

白銀の球に触れようとした。


その瞬間。


ズッ……!


黒い“靄”が、足元からせり上がった。


「っ……!」


「せ、先生!?

黒いのが……また……!」


黒いオーラは白銀球に反応し、

まるで“喰らう”ように伸びかける。


(やめろ……!!

そんな風に出てくるな……!

俺は……そんな力がほしいわけじゃ……!)


「先生!!

ダメ!! その黒いの……“違う方向”に行こうとしてる!!」


ミナがリオの手を掴む。


黒いオーラが——止まった。


白銀球だけが、ぽつんと取り残される。


(ミナ……

本当に……お前がいないと俺は……)


「先生。

その光……“消す”わけじゃないんですか?」


「完全に消したら、この島に残ってる恐怖が暴走しかねない。

これは……『封じる』のが正解だ」


「封じる……

先生が……抱えていくってことですね」


「ああ。

でもミナは絶対に触るな」


「はい!」


リオは布で白銀球を包む。

球は弱まり、まるで眠るように小さくなった。


(まるで……“魂”だな。

これが王の光の残滓……)


工場の深部から戻ると——

ベルモンドや裏ギルドの者たちが待っていた。


「リオ! ミナちゃん!!

本当に……本当に生きてたか!!」


「当たり前だろ、心配かけたな」


ミナはベルモンドに抱きしめられ、

くすぐったそうに笑った。


少年も走ってくる。


「あの……本当に……ありがとうございました……!」


「お前もよく頑張ったな。

契約に苦しめられた子が……もう出ないようにしよう」


「……はい!」


裏ギルドの女が言う。


「中心炉が沈静化したおかげで、

島の“契約の流れ”も戻り始めたわ。

あなたたちの功績よ」


工場の空気は、戦いの前よりも少しだけ“軽く”なっていた。


(よかった……

この島は……救えたんだな)


「先生……」


ミナが袖を引く。


「ん?」


「遠くから……白い光が……こっちを見てます……

小さな点みたいだけど……すごく冷たい……」


(……王国か)


リオは空を見上げた。


ミナほど敏感ではないが、確かに——

海の向こうから、王国の気配が迫っていた。


(もう動いてる……

王国は間違いなく“次の島”にも手を伸ばしてる)


「ミナ、行くぞ」


「はい!」


「ベルモンド。また会おう」


「おうよ! 次来たときは工場の飯でも食わせてやるぜ!」


少年が手を振る。


「また来てください! 先生! ミナさん!」


リオは軽く手を振った。


港へ出ると、

朝日が海を黄金に照らしていた。


ミナが静かに言う。


「先生……

“塔の呼び声”が、また強くなってます」


「ああ。

王の光も動き始めた。

次の島は……きっと今以上に危険だ」


「でも、行くんですよね?」


「もちろんだ。

守るものがある限り、俺は進む」


ミナの瞳が、嬉しそうに震えた。


「……えへへ。

次も、ちゃんと導きますからね!」


「頼りにしてる」


リオとミナは船に乗り、

次の島——第三島《豊穣デメトリア》へ向かって旅立った。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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