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ギルド受付で働いてますが、攻略して欲しいのは自分ではなくクエストです  作者: 柚鼓ユズ


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何やらお話があるようです

「……なるほど!書物でのあの場面で詳しく書かれていなかったところでクランの皆さんの間でそんな葛藤があったなんて驚きなのだわ!また一つ勉強になったのだわ!えぇと……ではアーク先生、次はこの『黄金龍と白銀龍の同時討伐に向かう前夜』のところについて詳しくお聞きしたいのだわ!」


 あれから無事に巨大鳥の解体を済ませ、一度キャンプに戻り休息を取ってからギルドへと戻る道の最中、エタニアの口は止まる事なく自分に質問を浴びせ続けた。


「……お嬢様。もうその辺りで。先程から話しっぱなしでアークさんも流石にお疲れになっていることでしょうし、そろそろ質問を控えた方が良いかと」


 たまらずイアトラさんがそう口を挟むものの、エタニアの勢いは止まらない。


「で……でも!ギルドに戻ればまたアーク先生は仕事に戻ってしまうのだわ!なら、今のうちに一つでも多く色々な事をお聞きしたいのだわ!」


 その様子があまりに必死だったため、思わず笑ってしまう。


「構いませんよ。ギルドに戻るまでの間くらいならお付き合いします。戻れば自分も色々と業務があるのでお互いに忙しいと思いますしね」


 自分の言葉にイアトラさんが恐縮した様子で小さく頭を下げる。


「……お気遣い申し訳ありません。お嬢様、戻ったらすぐに手続きに取り掛かりますからね。……まぁ正直、私もアークさんの話に興味があるというのが本音でしたが」


 こうして、三人で会話を続けながら無事にギルドへと到着した。真っ直ぐ受付へと向かうと、ジフィンさんたちが待っていた。


「うん、無事に戻ったようですね。成果は……聞くまでもないようですね。その表情を見れば分かりますよ」


 優しく笑みを浮かべジフィンさんが言う。その言葉にエタニアがすぐに返事をする。


「はい!無事にクエスト達成なのだわお父様!……とはいえ、私一人での達成ではありません。イアトラが私を庇い、アーク先生が私に喝を入れてくれなかったらきっと無理だったと思います……」


 正直にそう話すエタニア。念のために助け舟ではないが口を挟ませてもらう事にする。


「いえ、私は対象に傷一つ付けておりません。討伐対象である岩石獣と巨大鳥を仕留めたのはまぎれもなくエタ…お嬢様です」


 ついジフィンさんの前でもエタニアと呼びそうになったため、慌てて言い直す。そんな自分を見てジフィンさんが柔和な笑みを浮かべて言う。


「あぁ、構いませんよアークさん。娘も名前で呼ばれる方が嬉しいようですから。イアトラもご苦労でしたね。戻ってきて早々に悪いのですがエタニアにクエスト達成後の手続きの流れ、それから入手した素材の使い道を一通り教えてやって貰えますか?私はまだ用事があるのでね」


 ジフィンさんの言葉にイアトラさんが頷く。それに伴いエタニアを受付へ促そうとしたところでエタニアが口を開く。


「え?すぐに向かわないと駄目なのかしらお父様?わ、私はもう少しゆっくりアーク先生に色々とお話をお聞きしたいのだわ……」


 振り返って自分を見ながらそう言うエタニアに、ジフィンさんが諭すように声をかける。


「……我儘はいけませんよ、エタニア。あなたが本当にハンターを志すというなら一連の流れを最初のうちにこそしっかり学ぶことが大切です。一つ一つのクエストの積み重ねがハンターにとっては大事なのですよ」


 口調こそ穏やかではあるが有無を言わせぬ雰囲気でそうジフィンさんに言われ、肩を落としてしょんぼりとするエタニア。やれやれと思いながら肩にぽんと手を置きエタニアに声をかける。


「だな。ジフィンさんの言う通りだ。最初でその辺りの流れをおざなりにすると後々苦労するぞ?メモを取るくらいの気持ちで覚えておいた方がいいぞ?まだ街には滞在するんだろう?少しくらいなら時間を取って話くらいなら聞いてやるからさ。あ、でもクエストに同行はもう勘弁な。今回はあくまで特例だ。そもそも、お前なら油断しなければ他の初級クエストも大丈夫だろうからな」


 そう告げた自分の言葉に一変、エタニアの表情がぱあっと明るくなる。


「り、了解なのだわアーク先生っ!しっかり今後のために学んでくるのだわ!さ!そうと決まれば早く行くのだわイアトラ!」


 そう言ってぐいぐいとイアトラさんの手を引っ張り受付へと向かうエタニア。自分たちの方へ一礼しながらそれにイアトラさんが付いていく。程なくして二人になったと同時にジフィンさんが口を開く。


「ふふっ。あの様子ですとすっかり娘に懐かれてしまったようですねアークさん。さて……ようやく二人きりになれましたね。戻ってきたばかりで申し訳ないですが、少しお時間を頂けますか?」


 自分の方を見てそうジフィンさんが言う。頷くと同時に気付けばお付きの面々も周囲から離れ、周囲には自分とジフィンさんだけの二人になっていた。


「ありがとうございます。……さて、では申し訳ないですが少しだけ私のお話に付き合ってください。率直にお尋ねします。アークさん、今すぐとは言いませんがハンターへの復帰、もしくはここではなくもっと国の都心部で働く気はありませんか?」


 突然のジフィンさんの発言に、咄嗟に言葉を返せずに思わず固まってしまった。


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