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悠久の流水  作者: 中山


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26話

フローラステークス当日

前日に栗東から輸送されたカナヅルコトヒメはレースに備えていた。

「ジンライフウレツもカナヅルコトヒメも輸送に強いのはありがたいな」

「馬運車の中でも暴れないし、こうして遠征先でも警戒はしますけど全く動揺しないですからね。その点に関しては本当に助かりますよ」

普段の調教では苦労させられているがそれ以外では文句なしの馬なので厩舎にいる時よりも遠征先の馬房にいる時の方が楽にできるほどだ。

「それじゃあそろそろ時間だから行こうか」

北上厩務員はコトヒメをと供にパドックに向かった




パドックで周回を続けていると止まれの合図が出され、騎手達がそれぞれの馬に騎乗しコースへと向かう。

「コトヒメ、頑張って2着に入ろうね」

今日のレースで2着以内に入ってオークスに出たいと思いながら地下馬道を歩く。

地下馬道を抜けると歓声が聞こえる。

その歓声にコトヒメも気合いが入ったのか前に走り出そうとした。

コトヒメを曳いていた北上厩務員が大人しくさせようとしたが、もうこのまま行った方がいいと引き綱を外してもらうとそのままコースへ走り出した。




パドックの周回を終えて本馬場入場するコトヒメの姿を見つめながら浅葱オーナーは今日は無事にレースに出れそうだとほっとした。

弥生賞を出走回避した時は子供達もがっかりしていたが、病気の心配が先に立ってすんなりと納得してくれた。


フローラステークスは無事にレース当日を迎えて東京競馬場の応援に来れたので喜んでパドックを周回するコトヒメの姿を見ていた。

ジンライフウレツが出走した皐月賞も家族全員で応援行ったが3着で勝利することはできなかった。

惜しくはあったがホープフルステークスでコトヒメが勝てなったり、弥生賞の出走回避を経験してレースに出るまでも大変で、勝つことはさらに難しい事は娘達も理解してそこまで残念がってはいなかった。

優勝してくれるのが1番だが2着以内に入って優先出走権が手に入れば次のG 1のオークスに出るということで娘達も喜ぶだろう。

まだ抽選での出走の可能性はあるが、出来れば今日娘達の前で出走を確定したい。

そう思いながらパドックを見ていると合図と共に 騎手が走って行きコトヒメに騎乗するのを見届けるとレースを見る為に馬主席に向かった。




ゲート前に集まり順番にゲートに入っていく。

奇数番のため先にゲートに入り他の馬が入るのを待っているが前走よりも大人しく待ってくれている。ホープフルステークスの様にスタートで焦ることもなくゲートが開くとスムーズにゲートを出てレースはスタートした。


スタートも問題なく決めて、そのまま加速すると外から1頭が前に行くので控えて4番手でレースを進めていくことになった。

向正面で後方から仕掛けて来た馬にも焦ることなく レースは進み第4コーナーを回り最後の直線に向かう。

前を2頭が塞ぎ前に出るのは難しいと思ったが400mを切ったところで2頭の間に隙間が空き鞭を入れると一気に加速して前に出ることができた。

そのまま加速して前に出て先頭に立つと脚色も衰えずこのまま1着でゴール出来ると思った。

しかし外から1頭が駆け上がってきて一気に並ばれた。

並ばれると思いちらっと横を見ると一瞬で追い抜かれてこれは1着は無理だと感じた。

なんとか2着にとそれだけを思いながら必死にコトヒメの首の上げ下げを手伝いながら走らせた。

そして先頭の馬がゴールした後3馬身遅れてゴールした。

ゴールした瞬間、横に並ぶ馬がいないことを確認し 2着に入ったと確信した瞬間小さく手を握って喜びを噛み締めた。

「ありがとうコトヒメ、これでオークスに出られるよ」

大和騎手はコトヒメの首を撫でながらオークスの優先出走権を手に入れた事を喜んだ。




「2着に入ってくれたか、これならオークスに出られるな」

浅葱オーナーは2着に入ってくれてことでオークスへの優先出走権を得ることができたことでほっとした。

重賞の2着なので収得賞金も加算出来た、これで秋からのレースの選択肢も広げられる。

コトヒメの今後のことを考えて笑みを浮かべながら喜んだ。

しかし、一緒に見ていた娘達には何で負けてしまったのに喜んでているのかとには責められてしまい、説明をしなければならなかった。




赤城調教師は走り終えたコトヒメを見て怪我もなく 問題なさそうだと安心した。

弥生賞に出れなかったために間が空いてしまったために気が抜けてレースで走ってくれないのではないかと心配していたが杞憂に終わり目標としていたオークスの優先出走権を確保してくれた。

「飛鳥も上手く乗っていましたし、これなら自信を持ってオークスは飛鳥でいけますね」 

ホープフルステークスではスタートからヒヤヒヤしながらのレースで自信を持って次のオークスに乗せられる内容では無かった。しかし、今日のフローラステークスはスタートから上手く乗り、次に期待できるレースが出来ていた。

3歳になりレースで競う馬のレベルも上がっているがその中で重賞の2着に入れたのは大きい。

桜花賞や他の路線からオークスを目指す馬よりローテーションは短いが、距離が長くなるのはコトヒメにとってはプラスになる。

「これからはオークスとダービーに備えないとな。

厩舎も忙しくなるぞ」

これでオークスと日本ダービーの2つのレースに厩舎から有力馬を出すことができる。

オークスから日本ダービーと2週連続で所属馬を出すことができることに赤城調教師も胸を踊らせながらコトヒメを労った。




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