潮騒公園にて
『タケヤ』でおやつを買い込んで。
内海湾に面した潮騒公園にやって来た。
遊具の奥。
海に面した一帯は芝生になっている。
小さな丘があって。
その上にはコンクリート製の東屋がある。
折からの陽気のせいか。
園内にはそれなりの人がいた。
犬の散歩。
乳母車に乗った赤ちゃん。
体操する人。
中でも三方向に別れる滑り台は。
子供たちの人気を一人占めしていた。
東屋には先客がいたから。
外村くんの提案で。
私のお腹辺りの高さの防波堤に腰かけた。
ぼちゃぽちゃ。
ゆったりとした音を立てる波。
内海湾は大きな入り江で。
田の浦半島が蓋をするように覆っている。
そのお陰で、穏やかな瀬戸内海の中でも、一際凪いでいる。
台風の時は、船が避難してくるって。
外村くんが教えてくれた。
「ここほどじゃないけど、瀬田湾にも避難してくる船もあるよ」
ぽりぽり音を弾ませて。
柿の種を食べている外村くん。
「ふーん。外村くんは物知りだね」
私はミルクチョコレートを一つぱくり。
まろやかな甘さが溶けて。
笑顔を連れてくる。
「おいしい」
「本当に北見さんって。美味しそうに食べるね。なんかいいな」
「そう? かな?」
私を見る外村くんだって。
笑ってるのに。
「それでね、台風の時の海は時化てるんだ。海もなんか暗く濁って、尖った波だらけ」
「へー。ん? 台風の時に外出たの?」
「あはは、違うよ家から海が見えるんだ」
「うふふ。そっか」
「北見さん……」
「ん? なあに?」
私はチョコを口に放り込む。
「あ、これ食べたら練習しよ。おすすめのホットドッグとホットサンドは後で食べよう」
「うん。外村くんのお陰で体育の時間、楽しかったんだ」
「ん!? げほっ、げほっ……」
急にむせ出した外村くん。
「大丈夫?」
「げほっ、だい……」
胸を叩きながら苦しそう。
顔が真っ赤っか。
「ちょっと……」
私は外村くんの背中をさする。
ビクッとして。
またむせる外村くん。
私は飲みかけのペットボトルを差し出した。
「これ飲んで。ミルクティー甘いから落ち着くよ」
洋ちゃんがむせた時にも。
同じ様にしてあげたことがある。
でも。
洋ちゃんは勝手に私の飲み物を飲んじゃうこともある。
「え!? んっ、んんっ……」
「はい、どうぞ」
「いいの?」
胸をさすりながら。
涙目の外村くん。
「うん、いいよ。でも、全部飲まないでね」
「ありがとう」
ペットボトルを手にした外村くんは。
気が引けるのか。
じーっと。
ペットボトルを見つめてから。
そっと口をつけた。
ごくり。
喉が鳴って。
外村くんは目をパチパチさせた。
「ふふ」
何かおかしくて。
笑っちゃったら。




