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葉隠れの蕾  作者: ぽんこつ


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まぶしい

「まあ、服装もラフだったけど、日本に来てたとは驚きだね」

日置くんは。

私の手を取って歩き出す。

指と指を絡めてつないでると。

お互いの汗が混ざって。

肌が吸い付いてくる。

「日置くんは、二人のこと知ってたの?」

「従姉妹の高校生の姉さんが、二人のファンでね」

「ふーん。日置くんは何でも知ってるね」

「そうかな? たまたまだよ」

「ううん。そんなことない。物知りさんだよ」

ジャスティン・パイパーにニコラス・アッシュ……?

聞いたことないけど。

有名人だったんだ。

後で調べてみよ。

「それにしても、葉月さんの英語力には驚いたよ」

「もう。いっぱいいっぱいだったのに」

ぎゃーっと。

握った手に力を込める。

「褒めてるし、感心してるんだよ」

「本当?」

「うん。僕もね英語の勉強してるけど、発音上手」

「サンキュー」

小首を傾げて。

日置くんを見上げる。

「マイプレジャー」

同じように首を倒して。

私を覗き込んできた。

「葉月さんは、どうして英語を勉強しようと想ったの?」

「んー。夕凪島ってね、移住してくる人が多いみたいなんだ、みーちゃんもだけど」

「そうなの?」

「うん。中には外国の人もいて、お母さんの知り合いに、アメリカ人の人がいてね、小さい頃から、なんだかんだで、触れ合ってるからかな」

「ハハハ……なんだかんだね」

「うん」

オリーブに囲まれた小道を並んで歩く。

木漏れ日が。

キラキラと私たちを包んでる。


「あれ? 勇太?」

声をかけてきたのは。

ポニーテールの女の子。

白いTシャツとベージュのキュロットスカート。

日焼けした長い手足。

「穂乃花?」

そう呼ばれた女の子は。

目を輝かせて。

小刻みにうなずいている。

「久し振り、元気そう」

笑顔の日置くん。

友達?

かな。

「ゴールデンウィーク以来だね。私に会いに来たの? って訳でもないか」

女の子は。

私を見て。

眉を上げた。

なんか。

分からないけど。

つないだ手に。

力が入ってた。

「えーと。こちらは、北見葉月さん、それと……」

「武田穂乃花です。勇太とは、その……サッカー仲間、かな」

「サッカー……仲間?」

「そう。小学校の時ね、地元のフットボールクラブで一緒だったの。女子だから意外かな?」

「全然」

首を振る私。

「穂乃花は、男子顔負けのプレーヤーなんだ。将来の日本代表を背負って立つって言われてるくらいだからね」

「うわっ。すごい」

「勇太もね。そう言えば怪我は治ったの?」

「まあね。東京帰ったら、練習に明け暮れるよ」

「そっか、彼女と旅行とか羨ましいな」

「あ、北見さんは。夕凪島の子なんだ」

「え? そうなの?」

「私は、福田町に住んでる」

「私は、土庄町。春にこっちに引っ越してきたばかりなんだ」

「そうなんだ」

「そうだ、北見さん連絡先交換しない?」

日焼けした顔に。

真っ白な歯が。

まぶしい。

「あ、うん。いいよ」

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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