↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
葉隠れの蕾  作者: ぽんこつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/69

浮かんで。揺れて。

あったかくて。

大きい。

日置くんの手の感触が。

水着越しに伝わる。

「葉月さんのドキドキ。僕と一緒だよ」

少し。

真剣な顔をした日置くん。

胸に添えた手を持ち上げて。

私の両手を握る。

「じゃあ、海行こう。起こすよ」

「わっ」

ぐいっと。

引っ張りあげられる。

よろめきそうな私の腰を。

さりげなく。

支えてくれた。

また。

とろけそうな気分。

「じっとしてて」

「ん?」

日置くんは少し屈んで。

私の左脇の辺りに手を入れて。

片方の手を膝下から足を持ち上げる。

「わっ」

体が浮き上がって。

両手を胸に組む。

「葉月姫、海に案内します」

ぽっと。

頬が染まる。

日置くんの腕に。

しっかり抱き留められている。

張り裂けそうな鼓動。

呼吸も早くなる。

「うん」

目の前の。

日置くんが。

白い歯を見せて笑う。

口元を見つめてしまって。

視界が暗くなって。

ああ……

唇に重なる。

ぬくもり。

ぎゅって。

体が縮こまる。

チュッ。

チュッ。

音を残して。

そっと。

離れた。

ダメだ。

溶ける。


「わっ」

急に駆け出した日置くん。

私は。

日置くんの首に。

腕を回す。

パシャパシャパシャ……

海に入る音がして。

お尻から背中が。

水に浸かっていく。

「葉月姫、手を離して」

「うん」

私は両手を胸元に添えた。

「どうかな、力抜いてみて」

「うん」

日置くんは。

私の肩甲骨から後頭部にかけてと。

腿の辺りを。

そっと。

支えている。


ぽちゃん。

ぽちゃん。

揺らぐ波と一体になったみたいで。

空しか見えない。

「わぁ。浮いてるみたい」

「葉月さん。寂しくなったら、空を見て、僕も東京で見上げてるから」

「うん」

「雨でも、雪でも、嵐の日でも、葉月さんを想って僕は毎日見上げるから」

「分かった。私もする」

ちゃぷん。

ちゃぷん。

「空は繋がってるっていう歌詞があってね。その歌を聞くたびに、僕はずっと空を見上げて、葉月さんを想ってた」

「何て言う歌? 私も聞いてみたい」

「じゃあ、後で教えるね」

「今じゃないの?」

「お楽しみ。一緒に聞いてみたい場所があるんだ」

「え?」

驚く私に。

ニコニコしている日置くん。

水面の光の揺らぎが。

その顔を。

一層。

眩しくしてる。

「そもそも、空を見出したきっかけは、この島の星空を葉月さんが教えてくれたからだよ」

「そうなの?」

「あの日から、空を見なかった日はないから」

「起きる」

私は日置くんに手伝ってもらって。

向かい合う。

ゴツゴツした岩が。

足裏に当たる。

足は辛うじて。

底につく。

「あの、また、会えるよね? 冬休みとか、夏休みとか」

「うん。部活もあるから難しいかもだけど、夏休みは来れると想う。両親の都合もあるから絶対とは言えないんだ」

「そっか……」

きゅーって。

胸が締め付けられる。

私は。

胸元で握った拳を。

そっと。

片手で包む。


ぽちゃん。

ぽちゃん。

「出来る限り、島に来れるような方法考えてみる。僕だって会いたいから」

「うん」

スーっと。

伸びてきた。

日置くんの腕が。

私を抱き寄せる。

顔に当たる。

日置くんの胸。

やっぱり。

私と同じくらいの速さ。

でも。

さっき感じた。

肌に触れる怖さは。

なくて。

ぬくもりに。

溶かされてしまいそうだった。

日置くんは。

東京で。

私は。

夕凪島。

分かってるのに。

もう。

離れたくないって。

想ってる……

お読み下さりありがとうございます。

感謝しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。