発して
結局。
雷雨の影響で。
体育祭は中止になっちゃった。
お母さんの車で。
家に帰って来て。
お風呂に入ったけど。
なんか……
だるい。
一応。
風邪薬は飲んだけど。
「くしゅん……はぁ」
ベッドに潜り込んで。
丸くなっている。
ノンちゃんは。
ベッドの下で。
丸くなっている。
私が具合が悪い時は。
いつも。
そばにいてくれる。
「葉月? 熱測ってみて」
「ん?」
お母さんが。
部屋に来たのも気づかなかった。
もぞもぞと顔を出して。
体温計を受け取って。
脇の下に挟む。
その冷たさが。
気持ちいい。
「あら。顔赤いね」
そう言われると。
顔も体も熱い気がしてくる。
ピピッ、ピピッ。
脇に挟んだ体温計が鳴って。
38度ピッタリ。
黙って。
体温計を差し出す。
「あれま。風邪だね。アイスノンと冷えピタ持ってくるから」
「うん。ありがとう」
「ご飯はお粥さんにしよっか?」
「うん」
ダメだ。
数値を見たからか。
頭がぽーっとしてくる。
頭から布団を被って。
目を閉じる。
うとうとしかけたら……
「葉月。ほら顔出して」
お母さんの声がして。
言われるがまま。
布団から顔だけを出す。
おでこに。
ひんやりがやって来た。
「とりあえず、ご飯になったら起こすから。大人しく寝てるのよ」
「うん」
「ノンちゃんも、おいで」
「ワン」
ノンちゃんは。
お母さんの声に優しく吠える。
「はいはい、じゃあ、葉月をよろしくね」
「ワン」
明かりが消されて。
暗くなった部屋。
目を閉じても。
暗いまま。
ピコン。
枕元のスマホが鳴る。
手だけで。
スマホを探して。
冷たい感触が伝わってきて。
顔の前に引き寄せる。
あっ。
みーちゃんだ。
『私の借り物のはーちゃん。次のダンス動画のことなんですけど』
『マイケルさんはどうかなって。栞さんも踊ってたし、教えてもらいつつ練習動画をあげるのはどうですか?』
マイケルさんって……?
ああ……
栞お姉ちゃんが真似して踊ってる。
マイケル・ジャクソンさんか。
「いいと想う。ちょっと風邪引いたみたいで、今熱があるんだ、話し、また今度でいい?」
『大丈夫ですか? 確かに帰り際、くしゃみしてましたね』
『はーちゃんが、元気になったらまた話しましょうね』
『うん。ごめんね』
ピコン。
ん?
『北見さん。大丈夫? 風邪引いてない?』
『それと、体育祭中止になったけど、北見さんと、二人三脚出来たし楽しかった』
外村くんか。
「風邪引いちゃった。熱があるんだ。私も楽しかったよ体育祭」
『そっか。お大事に。暖かくして、水分補給しっかりね、具合悪いのにメッセージありがとう』
ふふ。
お母さんみたいだね。
「うん。心配してくれてありがとう。ちょっと寝るね」
はあ……
メッセージわ打ち込むのも。
ちょっとしんどい。
「くしゅん、くしゅん」
うう。
ダメだ。
スマホを枕元に置いて。
重いまぶたを閉じた……
ピコン。
もう……
いい感じに眠りかけたのに。
体を横向きにして。
スマホを取った。
あっ……
洋ちゃん……




