私の授業
半袖の体育服。
陽射しはあるけど。
お尻から伝わる地面は冷たくて。
風は少し肌寒い。
私たちも体育祭の二人三脚の練習をするみたい。
クラスの席でペアが決まる。
私の相手は……
外村くんだ。
「はい、じゃあみんなペアになって、たすきを取りに来て」
先生の声を受けて立ち上がる。
パンパンとお尻をはたく。
「よろしく、北見さん」
「うん。私、足遅いけど」
「そんなの気にしなくていいじゃん」
私は外村くんの後をついて。
先生から、赤いたすきをもらう。
「貸して、俺が結ぶ。あっ、どっち側がいい?」
「ああ、どっちだろ?」
洋ちゃんと歩くときは。
私は左側。
「じゃあ、こっちがいい」
外村くんの左側に並ぶ。
「オーケー。じゃあ……」
外村くんはしゃがんで。
私の右足と外村くんの左足を結ぶ。
「きつくない?」
「あ、うん。大丈夫」
外村くんの温かい手や指が肌に触れて。
どうしてだろ。
ぞくぞくしてる。
「よし……」
外村くんは私を見上げて微笑む。
「楽しもうね」
「うん」
白い歯を見せて。
ゆっくりと立ち上がる外村くん。
「よーし、準備が出来たら、二組ずつ走るから、このラインに整列して」
先生が声を張り上げた。
順番に駆けていくクラスメイト。
手をつないだり。
腰の辺りを支えあったり。
次は私たちの番。
なんだろ。
緊張してるのかな。
心臓がどくどくしてる。
「北見さん、その、手つないでもいいかな?」
「あ、え、うん」
そっと伸ばした私の右手を。
ぎゅっと。
外村くんの手が包む。
なんでだろ。
洋ちゃんとつないでも。
こんな風にそわそわすることなかったのに。
「じゃあ、結んだ足から、いちにで声合わせよう」
「う、うん」
「次、よーい! スタート!」
「せーの。いち、に……」
外村くんの声に。
私も声を重ねて。
足を運ぶ。
じんわり汗をかいて。
足音も。
掛け声も。
編んだ髪も。
つながった。
手と足も。
風を浴びて跳ねている。
あっという間に。
ゴール地点についた。
「はぁ、はぁ……」
胸に手を当てて息を整える。
「いい感じだったね、北見さんと走りやすかったよ」
運動神経がいい外村くんは。
息一つ乱れてない。
「え? そう、でも、走ったのに、全然平気なんだね外村くん」
「まあ、このくらいなら」
爽やかな風が吹く。
あっ。
握ったままの手。
汗ばんでいるのが。
ちょっぴり恥ずかしい。
「今度は折り返しだね」
「う、うん」
「歩くよ」
「うん」
私を気遣ってるのか。
歩幅を合わせてくれて。
なんか。
不思議な感覚。
「優しいね」
私の声に。
首の後ろを手でさすりながら。
にっこり笑うその顔に。
つられて私も笑っていた。
風が冷たかったはずなのに。
ぽかぽかしてる体のせいなのか。
つながれたままの手の違和感もそのままに。
お読み下さりありがとうございます。
感謝しております。




