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葉隠れの蕾  作者: ぽんこつ


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36/49

考えたら、分からなくなる

「はぁーあ」

仰向けになって。

頭の後ろで。

手を組んで。

ベッドの上に寝転んでいる。

ぼんやりと見つめた天井に。

映っているのは。

ショートパンツ姿の葉月。

あんな格好見たことなくて。

正直驚いた。


ショートカットにしたのもそうだけど。

なんか変わったというか。

かわいいんだけど。

さっきの服装が。

俺の知らない葉月に想えて。

部屋の明かりのせいかもしれないけど。

なんか。

眩しく見えたというか。

別人じゃないけど。

髪を切ったのも。

ダンスのためとか言ってたけど……

恋したり。

失恋したら。

女の子は髪切るらしいし。

なんか。

遠く感じたんだ。

あの姿を見た時。


あいつ。

もしかして……

好きな奴でもいるのか?

ふと。

葉月が誰かと笑い合う場面が浮かんできて。

ハッとして。

体を起こした。

何やってんだ俺……


ため息を吐いて。

ベッドから降りて。

机の椅子に腰かけた。

当たり前のように。

視線は写真立てに釘付けになる。

長い髪の葉月。

俺の知っている。

ずっと。

そばにいて。

笑い合った笑顔。

「はぁ……」

なんか。

あの姿の葉月を見てから。

余計なことばかり考えてる。


そうだ。

東園に聞いてみよう。

机の上のスマホを手に取った。

ん?

中臣さん?

『三並くん。今日は付き合ってくれてありがとう』

『サッカーのことも教えてくれて。マネージャー頑張れる。それから、リレーもね』

『あと、今週末の部活の練習試合のあと、私の家でサッカー見ない?』

『その週にあるチャンピオンズカップの準決勝の2試合録画しとくから。三並くんに解説して欲しいなって想ったの』

『ごめんね。連投になっちゃった……』

中臣さんも。

頑張ってるよな……


ふと。

中臣さんの

雨に濡れた髪や。

翻ったスカート。

そして――

バスの中で寄りかかって来た時の

胸元が――

ごくり。

と。

唾を飲み込んだ。

「はぁ……」

とりあえず。

返信。

返信。

えーと。

チャンピオンズカップか……

見たいな、

準決勝の2試合共。

好カードなんだよな……

絶対。

参考にも勉強にもなるし――


「こんばんは。連投とか全然気にしないでいいよ」

「俺でよければ、遠慮なく。これからはマネージャーとして、中臣さんには助けてもらうこともあると思うし」

「体育祭のリレーも頑張ろう、中臣さんが走ってくれたら、うちらのクラス。強いと思う」

「じゃあ、折角だから、チャンピオンズカップの試合見せてもらおうかな」

よし。

あっ。

そうか。

葉月の家に行く時みたいに。

お菓子とか持ってた方がいいのか。

『やった! 三並くんとサッカー見れるの嬉しい! たくさん教えてもらうんだ!!』

そんなに喜んでくれると嬉しいけど。

「俺で分かることなら教えるよ。お菓子とかさ、なんか好きなのある? 持ってこうと思うんだけど」 

『そうしたら、一緒に部活終わりに買おうよ。アイス食べたいから』

なるほどね。

「分かった。じゃあそうしよう」

『楽しみだなぁ、部活の試合も三並くんがプレーするの見れるし。楽しみがいっぱい』

「中臣さん? 今、笑ってる?」

『え? どうして分かったの??』

「なんか、文面が楽しそうだったから。でも、本当に笑ってたんだ」

『うん。笑ってたよ。本当に楽しみなんだ』

「そっか。俺も楽しみにしとく」

『メッセージありがとう。三並くん。じゃあ、おやすみなさい』

「こちらこそ。おやすみ中臣さん」

ハハ。

中臣さんは正直なんだな。

一生懸命だし。


あっ。

そうだ。

東園にメッセージ送ろうとしてたんだ。

「あのさ、女子が喜ぶとこってどういうとこ?」

ピコン。

早っ。

『それは誰のために聞いてるんですか?』

ん?

どういうことだ?

「なんで?」

『質問に質問で返すなんて。男らしくないですよ』

は?

東園のやつ。

なんだよ……

わしゃわしゃと髪をかきむしる。

ったく……


「体育祭の振替休日に、葉月とどこか遊びに行こうかなって考えてる」

『そうなら、そうって言って下さい』

『三並くんは、はーちゃんのこと好きですよね?』

ん……?

なんで?

葉月のこと好きなの知ってるんだ?

俺……

喋ったっけ?

いやいや。

話してないし。

ピコン。

『余計なお世話ですけど。はーちゃんのこと悲しませないで下さいね』

ん?

どういう意味だ?

「悪い。意味よくわかんないし」

「好きとかじゃなくて、たまにはどっか行こうかなって思っただけ」

『ふーん。そうなんですか? 私はてっきりはーちゃんのこと好きなんだと想ってましたけど』

『まあ、はーちゃん、もてますからね』

あ?

どういう意味だ?

外村のことか?

『はーちゃん。三並くんとなら、どこでも喜ぶと想いますよ』

『しいて言うなら。土庄のエンジェルロードとか、坂手の約束の木とか』

ていうか。

めっちゃ早いんだけど返信。

「葉月がもてるって、どういうこと?」

「場所教えてくれてありがとう。考えてみる」

『どういたしまして』

『はーちゃんがもてるというのは、そのままの意味ですよ』

『じゃあ、そろそろ寝ますから』

「東園、ありがとう」

……

葉月が髪切ったのって……?

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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