友達
ブルルル……
バスはエンジンを引き連れトンネルを抜けた。
畑の中を真っ直ぐ伸びる。
緩やかな坂道を下っていく。
「次は内海中学校、小学校前……」
車内にアナウンスが響いて。
洋ちゃんの手が離れていく。
ちぇっ。
住宅街に差し掛かり。
車も増えてきた。
バスがゆっくりと止まって。
立ち上がる。
小学生のみんなが運転手さんに、
「ありがとうございました」
と、元気な声を出す。
私たちもお礼を言って。
バスを降りた。
バス停から内海中学校までは歩いて5分くらい。
もう、手はつなげないの。
口を尖らせて。
洋ちゃんの隣をとぼとぼと歩く。
「おはよ! 三並に北見」
「ふわー、おはよう」
「おはよう西郷くん」
西郷くんは内海町に住んでいる。
私と洋ちゃんの大事な友達。
理由はね。
どうしてもその育った地域でグループができちゃうんだ。
内海町や瀬田町は人がたくさん住んでるから。
私たちのように小さな町の子はあぶれちゃうんだけど。
西郷くんは、小学校一年生の時。
そんな私たちに声をかけてくれて。
最初に仲良くなったんだ。
西郷くんのおかげで。
クラスのみんなとも打ち解けられた。
少し太り気味だけど、不思議な安心感がある。
私と洋ちゃん、西郷くんに、東園瑞葉ちゃんの四人でよく遊んでいる。
瑞葉ちゃんも内海町の子なんだけど。
小学校四年生の時に夕凪島に引っ越して来たの。
一人ぼっちだったから、私が声をかけたんだ。
そしたら、ゲームとか趣味があって。
私にとって親友と呼べる存在。
ちなみに。
私の十倍かわいいんだ。
「昨日、惜しかったな、ボス倒せそうだったのに」
「え? 西郷くんとゲームしてたの?」
私は洋ちゃんの制服の袖を引っ張る。
「まあな」
「なんで、誘ってくれないの?」
「だから、今度なって言ったろ」
そんな私たちのやり取りをニヤニヤしながら見ている西郷くん。
「絶対に、絶対だよ。西郷くんも教えてよ」
「え? 俺?」
自分を指差して。
あたふたする西郷くん。
とんとんとん……
軽やかな靴音が近づいて。
「皆さんおはよう」
少し鼻にかかった声の瑞葉ちゃん。
「ふわー、おはよ」
「おはよう東園」
「おはようみーちゃん」
「おはようはーちゃん」
瑞葉ちゃんは私の腕をつんつんと指でつつく。
「今日は髪型気合い入ってるけどぉ」
「へへ。そう? みーちゃんもしてみたら? 絶対かわいいから」
「私? めんどくさいからぁ、いいかな」
「私がしてあげようか?」
「いいよぉ、はーちゃんと違って見せたい人がいるわけでもないし」
はーちゃんは、耳元で囁いて。
ちらりと洋ちゃんを見た。
「三並くん。かっこいいからねぇ」
「そう?」
「ふーん。まぁ、幼馴染みって厄介なのかもねぇ」
「ん? なにが?」
「ふふふ。はーちゃんって、夢見る少女みたいだねぇ」
ん?
立ち止まって。
腕を組む。
夢見る少女ってなんだろ?
「おい、なにやってんだよ」
洋ちゃんの声に呼び戻されて。
みんなの元に駆け寄った。
校舎の裏山が陽射しを浴びて。
気持ち良さそうに揺れていた。
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