飛んできた
午前中は。
掃除に洗濯を手伝って。
時間が過ぎた。
お母さんは。
午後からのパートに行っちゃったし。
ノンちゃんと二人だけ。
なんにも予定がない。
机に座って。
勉強しようと奮闘中。
やる気を上げるために。
『Says』をかけてみたけど。
気分が乗らない。
シャーペンを口と鼻の間に挟む。
洋ちゃんが小学校の頃。
こうしてると頭が冴えるって。
よくやってたから。
でも。
全然冴えないし。
ころん。
油断してたら。
シャーペンが落ちて転がった。
開いたノートは真っ白なまま。
開けっ放しの窓から。
さーっと。
流れ込んできた柔らかな風が。
ぱらぱら……
ノートをめくる。
宿題はお預けかな。
ノンちゃんは。
私のベッドで。
すやすやとお昼寝中。
私も腕枕をして突っ伏した。
洋ちゃん。
もう着いたのかな。
早く夜にならないかな。
ピコン。
むくっと。
起き上がる。
スマホに呼ばれて。
さっと。
立ち上がって。
枕元のスマホを手に取った。
『はーちゃん。なにしてますか?』
メッセージは瑞葉ちゃんからだった。
口を尖らせて。
窓の桟に腰かけた。
「なーんにもしてない。みーちゃんは? なにしてるの?」
『はーちゃんとメッセージしてますよ』
ハハハ。
確かに。
ピコン。
『ということは一人ですか?』
「そうだよ、あっ、ノンちゃんと一緒だけど」
『あのわんちゃんですね。私に甘噛みばかりしてくる』
『ところで、明日は何か予定あるのかな?』
「ううん。何にもなーい。ノンちゃんはみーちゃんのこと、好きだからね」
『だったら。今日、はーちゃんの家に泊まりに行ってもいいですかね?』
「え!? 多分大丈夫だと思う」
『じゃあ、お母さんからおばさんに話してもらっておきます』
「うん。久しぶりだね。お泊まり」
『ふふふ。そうですね。6年生の夏休み以来ですよ』
「楽しみだな。何時頃来るの? バス停まで迎えに行こうか?」
『ありがとう。お母さんに送ってもらうから大丈夫。たぶん3時頃になると思う』
「分かった。待ってるね」
『美味しいクッキーを持っていきます。たぶん、はーちゃんも気に入りますよ』
「うわ! 嬉しい! じゃあ、私もアイス買ってくる」
『お菓子パーティーですね。楽しみ』
「うんうん。パーティーしよ!」
『じゃあ、家を出る時に、また連絡します』
「はーい」
今日の夜は楽しみが増えちゃった。
背中に当たる。
ぽかぽかの日差し。
ほんわか眠くなりそう。
うーん。
両手を大きく広げる。
洋ちゃんとも。
昔はお互いの家にお泊まりしてたのにな。
へへ。
今度誘ってみようかな。
両手でスマホを。
胸の前で挟んだ。
「葉月ちゃん!」
外から元気な声が飛んできた。
「わっ」
びくっとして。
あっ。
スマホが。
滑って。
あわあわしながら。
空中で何度かお手玉して。
間一髪のところで抱きしめた。
お読み下さりありがとうございます。
感謝しております。




