第83話:分断された絆。阿久津なしで戦う少女たちの惨劇
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阿久津君を奪われた四人のヒロインたち。
彼女たちを襲うのは、肉体的な痛み以上に、魂が削られるような圧倒的な欠乏感でした。
一ノ瀬の命により、特殊な魔力遮断牢へと隔離された四人。
そこは阿久津の波長が一切届かない、絶望的なほどに「冷えた」空間だった。
「っ、はぁ……っ、あ、ああ……っ!」
凛華はピアノの椅子に座らされることもなく、冷たい床に這いつくばっていた。
阿久津の情動という燃料を失った彼女の指先は、今や一音を奏でる力すら残っていない。回路を駆け巡るのは、乾ききった砂が擦れるような激痛だけだ。
隣の房からは、壁を激しく叩く音が聞こえる。結衣だ。
だがその音は力なく、鈍い。阿久津に『調整』されなければ一歩も加速できない身体。彼女の爆速を支えていた強靭な筋肉は、今や過剰な魔力消費に耐えきれず、自身の肉を内側から焼き尽くす枷へと変わっていた。
「阿久津君……どこ……。お願い、私を……繋いで……っ」
志乃の呟きは、もはや意味をなさない。
阿久津の熱を「摂取」することで色彩を得ていた彼女の世界は、再び無機質な0と1の地獄へと突き落とされた。演算を行うたびに、脳が阿久津という「バグ」を求めて狂いそうになる。
そして聖奈。彼女は自身の肌を掻きむしり、他者の痛みという毒に毒され、かつてないほどに醜くのたうち回っていた。
「あ、ああああ……っ! 浄化して……、阿久津君のあの乱暴な『独占』で……私を救ってぇ……っ!」
四人が同時に抱える、凄絶なまでの**渇望**。
彼女たちを最強にしていたのは、それぞれの才能などではなかった。阿久津という一人の少年に魂を繋ぎ止め、その情動を啜ることで得られる「依存」という名の力だった。
一ノ瀬は、その惨状をモニター越しに冷笑しながら眺めていた。
阿久津なしでは呼吸すらままならない、誇り高き少女たちの残骸。
分断された絆。それは、彼女たちに「自分が何者であるか」を、最も残酷な形で突きつける地獄の儀式だった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
四人の**渇望**が極限に達したとき、物語はどのような結末を迎えるのか。
阿久津君不在のまま続く悲劇、その先に待つ反撃の狼煙にご注目ください。
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