第81話:聖奈の秘密。彼女が「聖母」であり続けるための代償
いつもご愛読ありがとうございます。
今回は聖奈先生が隠し続けてきた「聖母の代償」を描きます。
他者の痛みに蝕まれる彼女を救えるのは、阿久津君の強欲な情動だけ。
二人の共依存が加速する、保健室の密室劇をご覧ください。
夜の保健室。志乃との観覧車を経て戻った俺を待っていたのは、白衣をはだけさせ、シーツの上に力なく横たわる聖奈先生だった。
その肌は不自然に青白く、浮き出た血管が禍々しい紫色の魔力を帯びて明滅している。
「……阿久津君。もう、限界なの。吸い取りすぎた子供たちの『痛み』が、私を内側から食い破ろうとしているわ」
彼女のギフト『吸魔』は、他者の苦痛を肩代わりする。だが、その代償として彼女の精神は、数千人分の絶望と憎悪に汚染され続けていた。
聖奈先生は俺の手を掴むと、自身の喉元――皮膚が薄く、脈打つ場所へと押し当てた。
「お願い、阿久津君……。あなたの暴力的なまでの『独占欲』で、このドロドロしたものを全部焼き尽くして。……あなたが私を『女』として支配してくれる時だけ、私はこの地獄から解放されるのよ……っ!」
俺が彼女の身体を引き寄せ、その熱い肌に触れた瞬間。
俺の内に芽生えた、この壊れかけの聖母を自分だけの所有物として「浄化」し、支配したいという猛烈な情動。その熱波が、共鳴パスを介して聖奈先生の深部へ直接流し込まれた。
「っ、ぁあああ……っ!! あ、つ……全身が、あなたの熱で……っ! 消えていくわ……、汚い感情が、全部……っ!」
激しい悶絶。聖奈先生の指が俺の背中に食い込み、その瞳は恍惚と絶望が入り混じった色で濁っていく。
彼女にとって、阿久津の情動は「治療薬」であり、同時に逃れられない「毒」でもあった。
「あ、ああ……最高よ……。もっと、もっと乱暴に流し込んで……。私が『聖母』でいられるのは、あなたの腕の中で『雌』にされている間だけなんだから……っ!」
聖奈先生は俺に縋り付き、その首筋に深く顔を埋めた。
阿久津がいなければ、彼女は痛みの海に沈んで死ぬ。
その絶対的な弱みを握り、彼女の魂を浄化し続ける背徳。
聖母としての仮面を捨て、一人の少年に魂を繋ぎ止めた女の姿は、この夜、誰よりも醜く、そして美しく崩壊していた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「阿久津君がいなければ死んでしまう」。
聖奈先生にとって、彼はもはや単なる教え子ではなく、文字通りの「生命線」となりました。
四人のヒロインそれぞれが、異なる理由で阿久津君を「絶対」とする展開、いよいよ物語はさらなる波乱へと向かいます!




