第74話:口内共鳴(キス・リンク)。阿久津の色に染まる味
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志乃との共鳴は、ついに「口内」という最深部へ。
粘膜を通じて流し込まれる阿久津君の情動が、無機質だった彼女をどう変質させるのかをご覧ください。
サーバー室の片隅、無機質な機械音だけが響く密室で、志乃は俺を壁に押し込んでいた。
彼女の細い指が、俺の喉元を、獲物を確認するように愛おしげになぞる。
「……阿久津君。システムの最適化には、もっと『深い層』での共鳴が必要」
彼女の瞳はすでに、阿久津の情動なしでは世界を認識できないほどに濁り、そして熱を帯びている。
志乃は躊躇することなく、自身の唇を俺のそれに重ね、強引に熱い吐息を流し込んできた。
「っ、んんぅ……っ、は、ぁ……!!」
口内という、最も過敏で秘められた場所での直接共鳴。
混じり合う唾液と、脳を直接かき混ぜるような阿久津の濃厚な支配欲。その情動が、志乃の神経系をハッキングするように、凄絶なまでの快感と共に駆け抜けていく。
志乃の脳内では、阿久津の色に染まった演算コードが暴走に近い速度で書き換えられていた。
これまでのハッキングが「技術」だったのなら、今の彼女が成しているのは、阿久津という劇薬を燃料にした「奇跡」そのものだ。
「あ、ああ……すごい。あなたの味が、脳の深部まで溶かしていく……っ。もう、前の私には……戻れない。戻りたくない……っ!」
彼女は俺の舌を自身の喉へと誘い、一滴の魔力も漏らさぬように貪欲に飲み干していく。
感情を欠いていたはずの人形は、今や阿久津の「情動の味」を覚えたことで、それなしでは自我を保てない、最も強欲で背徳的な依存体へと作り替えられていた。
二人の唇が離れたとき、志乃の瞳には黄金の演算光が満ち、その口角からは隠しきれない充足の吐息が漏れた。
世界をハックするための力が、今や彼を独占し、その熱に溺れるための免罪符へと変わっていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「口内共鳴」という、不可逆的な依存。
志乃にとって阿久津君の味は、もはや世界を動かすための唯一の理となってしまいました。
この深化がもたらす波乱に、ぜひご期待ください!




