第73話:聖母の決壊。私にだけは、乱暴でいていいのよ
いつもご愛読ありがとうございます。
今回は、ついに聖奈先生の理性が決壊します。
癒やしを与える側であるはずの彼女が、阿久津君の情動に救いを求め、一人の女として堕ちていく様子をご覧ください。
深夜の静寂が満ちる保健室。志乃の気配が消えた後、そこには灯りもつけず、闇の中で俺を待っていた聖奈先生の姿があった。
「志乃ちゃんは帰ったのかしら……? あんなに激しく『摂取』されて、あなたの心はもう、ボロボロね」
彼女は俺の手を引き、診察用のベッドへと誘う。その指先は、微かに、けれど拒めないほどの力強さで震えていた。
白衣を脱ぎ捨て、月光に照らされた彼女の肩は、どこか痛々しいほどに白く、そして熱を孕んでいる。
「先生、そんなに俺の情動を吸い取ったら……先生自身が壊れてしまう」
「いいの……。他人の痛みを吸い取り続けて、泥のようになっていた私の心を、あなたの『支配欲』だけが焼き尽くしてくれる。……ねえ、阿久津君。もう、聖母のフリなんてさせて欲しくないの」
聖奈先生が俺の首筋に顔を埋め、深く、深く息を吸い込む。
彼女のギフトが、俺の中に溜まった少女たちの執着や困惑を、自身の糧として貪欲に「吸魔」し始めた。
吸い上げられるたびに、俺の心は軽くなり、代わりに彼女の瞳には、ドロリとした背徳の悦びが宿っていく。
「っ、ぁあああ……っ!! すごい……入ってくるわ……っ! 私を壊すほどの、あなたの熱い『独占欲』が……っ!」
聖奈先生は俺の手を掴み、自身の胸元を掻きむしるようにして押し当てた。
癒やしを与える側であるはずの彼女が、今や俺という毒に侵され、自分を「一人の女」として蹂躙してくれることを、魂の底から懇願している。
「いいのよ、阿久津君……。私にだけは、乱暴でいていいの。私を……あなたの色で、真っ黒に塗りつぶして……。それが私の、本当の救いなんだから……っ!」
聖母としての決壊。
俺の情動を吸い込み、恍惚とした表情で俺に縋り付く彼女の姿は、もはや導き手などではなく、救いを求めて足掻く、誰よりも哀れで強欲な「依存体」そのものだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
他人の痛みを吸い、摩耗しきっていた聖奈先生にとって、阿久津君の「支配」こそが唯一の浄化。
「私にだけは乱暴でいい」という言葉に込められた、彼女の凄絶なまでの執着を描きました。
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