第68話:感情の覚醒。無機質な瞳に灯る、独占の炎
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志乃の口から語られる、衝撃の「直接供給(口移し)」の告白。
積み上げてきた凛華と結衣のプライドを、新参者の志乃が容赦なく踏みにじっていく瞬間をご覧ください。
「……黙って。出力だけのピアノに、汗臭い筋肉」
志乃がポツリと呟いた言葉は、保健室の温度を数度引き下げた。
凛華の氷が、結衣の熱気が、志乃一人の放つ不気味な魔力の波形に押し返される。彼女はヘッドフォンを指で弾き、阿久津から「摂取」したばかりの魔力を、その華奢な身体から黄金のオーラとして噴出させた。
「あなたたちの共鳴は、皮ふ越しの間接接触。……効率が悪すぎる。私と阿久津君は、さっき――唇を重ねて、魂の最深部まで書き換え合った」
その言葉に、凛華の頬が屈辱で痙攣し、結衣の瞳が驚愕に大きく見開かれる。
粘膜接触による直接供給。それは、二人がまだ辿り着いていない、より背徳的で深い依存の領域。
「っ、何を……何を言っているのよ、この小娘が……っ!」
「阿久津君! 私の脚に触れたあの手で、こんな子の……っ!」
二人の独占欲が怒りとなって爆発し、阿久津の魔力パスに凄絶な過負荷をかける。
だが、志乃はその混沌すらも利用するように、阿久津の手を自身の心臓の位置へと強く引き寄せた。
「阿久津君……二人の『拒絶』を感じて。不快なノイズを、私への『独占』という純粋なコードで塗りつぶして……っ!」
志乃の無機質だった瞳に、ドロリとした独占の炎が灯る。
阿久津が彼女たちの板挟みになり、焦燥と興奮を覚えるたび、その情動を志乃がすべて演算の燃料として吸い取っていく。
「あ、ああ……最高。女王様たちの嫉妬が、私を加速させる。……阿久津君の中は、もう、私の『愛』というバグで手遅れなの……っ」
感情を覚醒させた人形は、もはや制御不能だった。
二人の先駆者に対し、自身の「深度」を見せつけるための、冷徹かつ狂気的なマウント合戦。
阿久津を巡る四つ巴の戦いは、互いのプライドと肉体を削り合う、終わりなき泥沼へと引きずり込まれていく。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「粘膜接触」という圧倒的な優位性を突きつけ、二人を挑発する志乃。
彼女にとっての感情とは、阿久津君を独占し、他者を排除するための、鋭利な刃物となっていました。
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