第64話:経口摂取。あなたの息(魔力)を飲み干したい
いつもご愛読ありがとうございます。
ついに一線を越える、志乃との直接的な共鳴。
「粘膜接触」という背徳の儀式が、彼女の能力と執着を別次元へと押し上げます。
保健室の奥。聖奈先生の監視の目を盗むように、志乃は俺をパーテーションの死角へと引き込んだ。
先ほどまでの無機質な表情はどこへやら、彼女の頬は異様な熱を帯び、その瞳は**摂取**を求める獣のように爛々と輝いている。
「……阿久津君。指先からの供給は、ロス(損失)が多すぎる。演算精度を極限まで引き上げるには、もっと直接的なルートが必要」
彼女は俺の首に腕を回し、至近距離でその小さな唇を震わせた。
いつもヘッドフォンから流れていた電子音が、今は彼女の激しい呼吸音に取って代わられている。
「直接的なルートって……」
「……粘膜接触。あなたの熱い吐息ごと、私の肺に、脳に、流し込んで」
志乃は自身の小さな唇を俺の唇に重ね、強引にこじ開けるようにして**摂取**を開始した。
その瞬間、俺の内に芽生えた、この無機質だった少女を自分の色で染め上げたいという強烈な「支配欲」。その濃厚な情動が、口腔を通じて志乃の全身へとダイレクトに流し込まれた。
「っ、んんぅ……っ、は、ぁ……!!」
鼻に抜ける熱い吐息。混じり合う魔力と体温。
これまでの触れるだけの調整とは比較にならない、凄絶なまでの情報量(快感)が、志乃の脳内をハッキングするように蹂躙していく。
彼女の指が俺の背中に食い込み、喉を鳴らして俺の魔力を飲み干していくたび、彼女のバイオリズムは限界を突破し、黄金の演算光がその瞳から溢れ出した。
「あ、ああ……すごい。思考が、光の速さを超えていく……っ。阿久津君の……阿久津君の息、甘くて……熱くて、溶けちゃう……っ」
一度味わってしまった、最深部への直接供給。
感情を失っていたはずの人形は、今や阿久津の『毒』を喉から直接飲み干すことでしか世界を視ることのできない、完全な**摂取**の虜へと成り下がっていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
阿久津君の情動を直接飲み干し、システムの根幹まで塗り替えられた志乃。
彼女にとって、この**摂取**の瞬間こそが、唯一自分が「生きている」と実感できる時間となりました。
四つ巴の戦いが激化する次話も、ぜひご期待ください!




