第24話:阿久津を奪還せよ。氷の剣が怒りに燃える
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恥辱に沈んでいた凛華が、ついに「牙」を剥きます。
大切なものを奪われた少女の、怒りと執着による再起をご覧ください。
静まり返った講堂。観客の冷ややかな視線と、九条エリカの嘲笑。
鍵盤に突っ伏していた凛華の中で、何かが音を立てて断ち切れた。
(……ああ、そうか。私は、勘違いをしていたわ)
絶望ではない。それは、自身の内側から湧き上がる猛烈な『怒り』だった。
自分をこんな無様な姿に貶めた一ノ瀬たちへの怒りではない。阿久津君を奪われ、ただ泣きじゃくることしかできなかった自分自身の弱さへの怒りだ。
「……私の阿久津君を、汚らわしい手で連れ去った報い……その身に刻んであげるわ」
凛華がゆっくりと顔を上げる。
その瞳には、先ほどまでの怯えなど微塵もない。代わりに宿っているのは、極低温の氷を思わせる、静かで、狂気的なまでの決意。
阿久津がいないなら、共鳴を強制的に繋ぎ直すまで。
彼女は自身の深淵に眠る魔力回路を無理やり抉り開き、遠く離れた場所にいるはずの阿久津の残滓を探り当てた。
「っ、ぁ……! 見つけた……っ!!」
血を吐くような思いで伸ばした意識の先。わずかながら、阿久津の『不安』が指先に触れる。
「阿久津君、応えて……っ! 私を見て、私を想って……っ!!」
凛華はドレスの裾を翻し、ステージを降りた。
驚愕する関係者やガードマンを、溢れ出した氷の魔力が吹き飛ばす。
もはやピアノのコンクールなどどうでもいい。
彼女の脳内を支配しているのは、ただ一つ。自分の魂の供給源であり、唯一の居場所である阿久津を、この手に取り戻すという独占欲。
「邪魔をするなら、誰であっても許さない……。一ノ瀬、覚悟しなさい。私の『力』を奪ったつもりでしょうけれど、奪われたのはあなたの命の方よ」
氷の女王が、真に覚醒した。
それは阿久津を取り戻すための、凄絶な略奪行の始まりだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
どん底からの逆襲。凛華の愛欲は、今や学園の秩序すら焼き尽くす炎(氷)となりました。
阿久津君との再会に向けて加速する物語に、ぜひご注目ください。
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