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第4節 異世界の魔術が歪すぎる件 3

4節が案外早く終わったので5節が長めになりそうです。

クラスメイトたち全員のステータス表の表示が終わるとジーナがそれぞれの能力を把握するためにそれを見て回った。


やはり、異世界転移によって与えられる能力値は高いのかジーナは何度も声をあげて喜んでいた。


言わずもがな、杉山のステータスは目を見張るものがあるらしくクラスメイトたちの中でもトップクラスらしい。


そして、それに続くように取り巻きーズの赤坂 亮太・和田 惇・草宮 瑠衣・白乃 ヒカリのステータスが高かったらしくジーナが喜んでいた。


さて、問題の現世の魔術師組だがまず愛花と武政はやはり目をつけられていた。


特に武政は魔力などのステータスが低いのだが、筋力などの物理系のステータスが勇者をしのいでいたので驚かられていた。


さて、黒桐はどうやら自分でステータスの隠蔽をしたらしくステータスは低かったのだが職業がマズかった。


黒桐の職業の霊能者はこの世界では数が極端に少ないらしく、ジーナも初めて見たらしいので目を光らせていた。


問題の時矢だが、どうやら完全に能無し認定をされたようだ。


なんせ、時矢のステータス表を見たジーナが


「えっ?....まぁ平均くらいですね....。」


と死にそうな声で呟いたのだ。


ただ、別にこの展開は時矢からしたら予想通りな展開だったので別に気にしてない。問題はこの後に起こる。


「空原、やっぱりお前は異世界でも周りに迷惑をかけるんだな。」


時矢のステータスが気になったのか、いきなり杉山が来たと思ったらそう言い始めた。


「どういうことかな?」


時矢は若干キレそうになりながらも平常心を保ちつつ杉山に返した。


「そのままの意味だよ。だってそうだろ?お前のステータスはみんなの中で一番低いし、職業だって下級職業だろ。それじゃみんなの足手まとい以外の何物でもないだろ。」


杉山のトンデモ発言を聞いた時矢はもはやボー然とすること以外できないほどに呆れていたが、そんなこと知らないかのように杉山は話を続けた。


「空原、お前の力は魔王討伐の役にも立たなそうだしだったらお城の仕事でもして生活費くらい自分で稼いだらどうだ?」


と言い始め、それを聞いた取り巻きーズはそうだと言わんばかりに時矢を睨みつけていた。


(おいおいマジかこいつら?流石にキレそうなんだが。)


時矢は負のオーラを滲み出しながらそう思った。


それもそのはず、要は相手の都合で無理やり連れてこられた世界で自給自足しろと言われたものだ。筋ちがいにもほどがあるだろう。


「いえ、杉山様。流石にそのような事をさせる訳にはいきません。」


変な空気が流れ始めたタイミングでジーナはそう告げた。


「どんなにステータスが低くとも異世界の勇者様でいらっしゃることは変わらないですし、元はこちらの事情で勝手に召喚しましたので衣食住くらいは私たちが保証するのが筋だと思うのです。」


「ジーナさんが言うならいいんだけど....。空原、せめて調子に乗るなよ。」


ジーナの言葉を聞いた杉山は時矢にそう言うと自分の席に戻っていったが....


(杉山といい、周りといいやばすぎだろ....。)


時矢は、杉山の捨て台詞を聞いてそんな事を思っていたがそんな事を知らないジーナは前に戻ると再び話を始めた。


「明日からは魔法職の方と剣士職の方を分けて訓練をします。とりあえずこの後は皆さんを部屋に案内しますね。」


ジーナはそう言うと再びクラスメイトたちの誘導を始めようとしていたが、時矢はうなだれて負のオーラを滲み出していたのは言わずもがな。ちなみにその様子を見た黒桐が陰で爆笑していたのは秘密だ。



クラスメイトたちは、それぞの部屋に案内されたが時矢たちは休む訳にもいかず愛花と武政と合流すると黒桐の部屋へと向かった。



「さて、まずは何から話そうか....。」


時矢たちは黒桐の部屋で魔術師モードとなった黒桐と向かい合うと黒桐がそう呟いた。


「んー話したいことは沢山ありますがまずは帰還方法についてですかね。先生。」


黒桐の呟きに愛花はそう返すと言葉を続けた。


「私たちも話したんですが、魔王が帰還方法を持っているというのは胡散臭いですし何か隠しているようにしか見えないんですよね。」


「恐らくだが、魔王が帰還方法を持ってないのは間違いないな。」


愛花の話を聞いた黒桐はそう断言した。


「そもそも、そんな力があるならこの世界はとっくに落とされているだろうし私たちの世界に侵略してきていてもおかしくないからな。」


黒桐の言う通りだろう。恐らくだが王のあの発言は魔王討伐へ誘導するための嘘か別の目的のための布石だろうと時矢は考えていた。


「ということは、最終目標は帰還方法の獲得ってことになりますね。」


先ほどまで黙っていた武政が結論を述べた。


武政が結論を述べると何かを考え込んでいた時矢が口を開いた。


「師匠。この世界の魔術ってなんか歪じゃないですか?」


時矢の問いに黒桐は静かに口を開いた。


「歪か....。確かに私たちからしたらこの世界の魔術は無駄に複雑かと思えば雑な部分も垣間見えるからな。これは私の予測だがこの世界は現世と違い魔術が中心となった世界なんじゃないか?その証拠に生活の役に立つような魔術なんかは私たちの魔術を上回っているだろ?」


この世界の魔道具が現世のものよりハイスペックだったのを城の中で見ていたのでこの話はかなり信憑性が高かった。


「なんかそう聞くと思うものがありますね....。魔術が世界の陰に溶けた私たちの世界と魔術が世界の中心となった異世界。まるで鏡写しみたいですね。」


愛花はそう呟いた。


「なるほど....。鏡写しのように私たちの世界とは相対する世界。大方、相対世界と言ったところか。この世界を組合の爺さん共が知ったら狂喜乱舞だな。」


と黒桐は苦笑いしていた。


「確かにあの人たちは喜びますね。」


武政は思い当たる節があるのか引きつった笑顔でそう言った。



そんなこんなで話をしていると夜ごはんの時間となったので食堂へと移動する事にした。

〜物語の設定の補足コーナー〜


現世での魔術について.... 現世では魔術は一般人からは隠されていて迷信とされています。その理由は、産業革命が起きた際に魔術師たちが魔術の衰退を恐れて隠匿したのですがそれが拍車となって結局世界は魔術が必要ない世界となり、魔術は衰退しました。魔術師たちの努力もありある程度は元に戻したのですが時すでに遅し。むやみに魔術を広めても世界を混乱させる事にしかならないと考えた魔術師たちは結局そのまま世界の陰に溶けることを選び今の形に収まりました。ちなみに組合とは魔術師たちの集まりの事で世界中の魔術師たちを監視し、時には処罰を加えるなどのことをやっています。


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