5日目その10 神々の選択
カンニングとユメの直接対決が始まろうとする一方で神の世界では会議が行われようとしていた
円形の机を囲むように、ひつじと一人の人間と五人の神が座っていた。
先に手を上げたのは、その一人の人間だった。
「あのー、なんで私が呼ばれたのですか」
その人間の名は、つるき。悪魔のボスの唯一の人間の仲間であり、カンニングの先生である。
ひつじが答える。
「君にはめいわくをかけた。ただ、君に下界の許可が出たことを伝えたかったのだ」
「・・・ということは」
「帰ってくれ」
つるきの足元に大きな穴が空き、彼は人間が生きる世界に落ちていった。
つるきを見届けたひつじは、話を進めた。
「君たちに集まってもらったのは他ではない。天使のボス、ユメのことだ。詳しい説明は彼がしてくれる。よろしく」
ひつじから指命されたのは ひつじの正面に座る破壊神だった。
「ユメは、鬼が支配していた右国と左国を死神たち
の力を借りて支配化にしたってカ。また、彼女は支配した
軍事力を使って、セ国をせめるつもりだってカ」
破壊神が話し終えると、ひつじの右隣に座っている
SIROのボス・KUROのボスが顔を下げた。
「我々が天使のボスの目的に気付いていれば良かったものの、本当に申し訳ございません」
「謝ってもしょうがないってカ。ひつじ、手はうってあるよねってカ」
「もちろんだ。今、現場へカンニング君が向かっている。後から、円々姫とようきが参戦してくるだろう」
破壊神の右隣に座っているドルクが手を挙げた。
「どうした、ドルク」
「カンニングに負けたワタシが言うのも悪いんだが、ワタシたちが行った方が早いのでは」
「それは違うな。私はユメに「奇跡を起こす」で
ひつじにさせられた過去がある。彼女は強敵だ」
「じゃあ、なおさらー」
「カンニングとユメには深い因縁がある。
彼しか彼女を止めることができない」
次に、ひつじの左隣に座っていた死神の女の子が手を挙げた。
「どうした」
「ひつじが前に言っていたのだが、カンニングはユメになぜ因縁をつけられたのか忘れているんだろ。それで、彼がユメと戦うか?」
「それは大丈夫だ。だよな、破壊神」
ひつじがまた破壊神に視線を送った。破壊神は
こくりとうなずく。
「わしの数の制し方は、「壊す」と「奇跡を起こす」があるってカ。わしに触れられた者は重要な過去を思い出すってカ。」
「でも、カンニングが天使のボスに勝てると思う?」
どの神も絶対とは言えなかった。だが、疑問を口にした神はいた。
「カンニングの能力って、何だってカ」
そう発言したのは破壊神だった。
カンニンがの制し方は「壊す」。
それはもっともな答えだ。
しかし、ここに集まっているのは「その彼と対戦した神たち。彼は戦うときに百金する。
それは神にとって前例のないことで、彼の能力は他の神と違うと神々は薄々と気付いていたのだった。
だから、カンニングのことをよく知っているひつじに視線が集まるのも不思議なことではなかった。
「分かったよ。カンニングの能力について教えるよ」
ひつじは、改まった雰囲気を作り、皆の視線を一貫した。
「カンニングの能力、それは百金だ」
納得の結果だった。カンニングは変身する時に毎回、百金と言っているからだ。しかし、その言葉を聞いて破壊神は誰よりも驚いた顔をした。
「それは数の制し方の伝説の5番目である、「変化」と深い関わりのあるやつだよねってカ」
「そうだ、カンニングの能力は自分も相手も変化させる能力だ」
さっきまで反応を見せなかった神々が納得の表情を見せる。
なぜなら、ここに集まっている大半はカンニングによって心を入れ替えた者たちだったからだ。
「でも、おかしいってカ。彼は半神半人。
なぜ、伝説である「変化」を使用できるってカ。」
「円々姫がその制し方を彼にさずけたからだ」
「もともとは円々姫のものだったのかってカ」
「彼女の故郷が、百金の発祥地だからな」
「では、なぜなおさら」
円々姫はカンニングと戦争を止める礼として、
彼をカリスマ的存在にさせるという契約を結んだからだ」
真実を知った神々は口を閉じた。神々の想像
以上のものがこの戦争に賭けられていると知っ
たからだ。
「それでも、私は心配なんだ」
そう言葉をもらしたのはひつじだった
「この「変化」がユメの「無くす」に勝ったとしても、円々姫も知らない百金の恐しさがある気がするんだ」
ここに来て神々は理解した。
ひつじは誰よりもこの戦争の先を読み、
誰よりもカンニングたちを心配していることを。
だから、神々は声をかけられずにはいられなかった。
「何一人で悩んでいるんだよ。わしらがいるだろってカ」
「ワタシも今何ができるか考えるぞ!」
「我もだ、なあKURO」
「やってやるよ、なあSIRO」
「我も頑張ろうかな」
これらの言葉を受けて、ひつじの正気が戻ってきた。
「よし、みんな、考えよう!」
神々は本気になって考えた。
たくさんの案も出た。
しかし、どれが正しいのか神でも判断が難しかった。
結局、神々は何も決心できないまま時の流れに身を任せるのであった。




