第14話 シュタイン家での朝食
ライルはシュタイン宅でたっぷりとした睡眠を取って、目覚める。
疲弊していた体力、精神、魔力が充分に回復した。
そして用を足すために部屋を出た。
廊下に出てしばらく歩いていると一人の人物に遭遇する。
「おはよう、ライル。昨晩は君のお陰で燃えれたよ。アオラの方もなかなか乱れてくれてね……」
ドラクルは幸せそうな表情で朝っぱらから、かつて妻と愛人関係にあった男に夜の夫婦生活をのたまう。
挑発とも受けられる行為だが、悪意はなさそうで、ただ単にドラクルの異常な性癖なのであろう。
ライルはそんなドラクルを適当にあしらい、手洗いへと急いだ。
その後、しばらくしてからライルはシュタイン一家と一緒に食堂で朝食を頂く。
「ライル、それはね、こういう風に食べた方が美味しいよ」
「うん、本当だね。エリーの言う通りだ」
昨晩仲良くなった子供たちが色々話しかけてきてくれた。
当然、アオラもその場にいて穏やかな表情で夫に尽くし、子供の世話をし、良妻賢母ぶりを発揮している。
ライルはその彼女を先程のドラクルの会話を想像し、そういった目で盗み見て、悶々とする。
さすがにアオラはそう言った目で見られていると思ってはいないだろうが、盗み見てくるライルに汚いものを見るような視線と表情を返す。
魅力的で以前は強い好意を示してきてくれたアオラからその様に見られるのはなかなか心が折れた。
それを誤魔化すように、ライルは子供たちとさも楽しそうにやり取りをする。
「しかしライルはエリーだけじゃなくてクラウドとも仲良くなったのか」
ドラクルがさも威厳のある父親然として語りかけてくる。
「ええ、仲良くさせて頂いてます」
「父上、ライルさんは凄いですね。私も年の割にはしっかりとか言われますが、ライルさんに比べると全然そんなことは無いですね。知識も豊富だし、少し大袈裟からもしれませんが学院の先生方すら子供に見えてしまうような。彼も父上たちと同じように魔術で歳を取らないようにしているのですか?」
そのクラウドの言葉を聞いてライルは少しやらかしてしまったか、思った。
「いや、ライルは私達の様に魔術で歳を取りにくくしているわけでは無い。しかしライルが並の男で無い事をこの短時間で見抜くとはさすが私の息子だ。彼から色々で学ばして貰うといい」
「はい、父上!」
クラウドは力強く返事をする。
「うむ、しかしこれだけ子供達とも打ち解けているなら、ライルには本当の家族になって貰いたいくらいだ。私の養子にするのも手ではあるが、エリーの将来の夫になってもらうのが一番いいかな。エリーはとても大切な娘だからこそ、そこらにいる並の男には嫁には出すわけのはいかん。それにライルは妻となった女をとても大事にしそうだ」
シュタナートがフィーネをとても大事にしてたことはドラクルもよく知っていたことだ。
「わーい、私ライルのお嫁さんになる」
「私もエリーが変な男とは結婚してもらいたくないですね。その点、ライルさんなら安心です。でも、そうなると私の方が義兄になってしまうのか。ライルさん、そうなっても私の方を弟のように扱ってください」
「いや、それは……」
「あなた、ライルさんが困ってじゃありませんか。それに一体、何年後の話しているのですか」
アオラはさすがに冷静にたしなめる。
「まあ、結婚するならエリーが今のライルくらいの歳になってからだから、10年近く先か。ライル、それまでは他の女としっかり遊んで構わんぞ。まあ避妊する魔術を使うなりして妊娠だけはさせんでくれな」
「あなた!」
子供達の前でする話では無いので、アオラが一喝する。
「すまん」
ドラクルがシュンとした顔で一言、謝る。
そして静かな食事の時間となった。
「ライル、他の女とはあんまり遊んじゃだめだよ」
エリザベスが小声で釘を刺してきた。




