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せかい  作者: ななし
4/10

おはなし

僕はふぅ、と息を吐いた。

あの子が返してきたナイフを研いでも研いでもいっこうに切れ味が良くならない。

そろそろ使えなくなるなって思っていたがここまでとは。

「……かる、どんな使い方したの。なんか、……荒くない?」

「そんなことないもんっ。それにカルカンはナイフが無くても戦えるでしょ?」

まぁそうだけど。

でも武器があった方が心強いじゃないか。

彼女をみると、無邪気な笑顔で笑っている。

その毒気のない笑顔を見ると、まぁいいかだなんて思ってしまう僕はそうとう甘やかしている。

「……クラリックの所行ってきていい?」

「ナイフ取り替えるのー?私もいきたい!」

「駄目、お留守番してて?」

「けちー!!」

クラリックとは、簡単に言うと丑三つ時の神様で、僕達のおにいさん的存在の人。

「それじゃあ行ってくるね。」

「うううう。」

「上手にお留守番出来たら、金平糖あげる。」

「やったぁ!!頑張るっ!」

かるかんの大好物の金平糖の話を出せば簡単に言うことを聞いてくれる。

待たせるのは可哀想だが、なにせここからクラリックの部屋に行くまでにかなりの道のりになる。

ここで待ってもらおう。

僕はもう使い物にならないナイフを手にしてその場を立ち去った。



クラリックの家はお寺だ。

僕達の住んでいる神社同様、誰にも知られない森の奥の奥にあるお寺。

正直に言うと、住んでいる神社より気味が悪い建物になる。

だけどそれは外観だけで中の構造は普通に家だ。

「クラリック、いる?」

重たい扉を開けて中を覗く。

ノックもしないで入れるのは長い付き合いだからだ。

「あっ、カルカンじゃぁん♪」

なんとお出迎えしたのは金髪の青い目をした背の高い男が出てくる。

ヘラヘラとした様子に少し笑う。

「ソラナキ。……君がいるなんて。」

「いーるよーっ!」

ソラナキ。

神様ではないがある意味1種の神様だ。

空亡と呼ばれる百鬼夜行の1番最後の列に並んでいる妖の王、妖のかみさま。

天中殺など、人の運命を揺らしているのは彼だったりする。

「クラリックを探しているんだ。彼はいる?」

「もっちろん!クラ!呼んでるよー」

楽しげにソラナキが呼ぶと、はいはーい、と出てきた同じくらい背の高い男が出てきた。真っ黒な髪に青いメッシュがところどころ入っていて、頬に青のひし形の印が刻み込まれた男。

「どうしたの?珍しいね!」

優しい性格をしていていわば優男。

武器の調達を頼んでいるのはこの人で、「災い」の仕事を出しているのもこの人だったりする。

「ナイフがもう使い物にならないんだ。」

「……おっ、どれどれ?」

ナイフを渡すと、クラリックはその刃に指先を当てて頷いた。

「確かにねぇ、これじゃあもう使い物にならないなぁ。よくここまで使い込んだね。」

微笑むクラリックに、僕は苦笑した。

そのナイフにトドメを刺したのはかるなんだけどね。

「待ってて、新しいものあげるから。」

「助かるよ。ありがとう。」

クラリックはその部屋を立ち去った。

ソラナキと二人きりになって、しばらくの沈黙の後ソラナキから話を始めた。

「何だか、君も慣れちゃったね。」

「……ん、なにが?」

「色んなこと。

君が初めて神様になった時、覚えてる?」

僕は少し俯いた。

実は、僕達4人は全員人間「だった」。

クラリック1人は、少し違うのだけど。ソラナキも実は、人間であった。

「覚えてるよ。」


僕は苦し紛れに微笑んだ。

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