「災い」
相変わらず綺麗な空。
夕焼け色が空を染めて、私の全てをどろどろに溶かしてくれる。
誰もいない田んぼ道。
「災い」は都会ではなく田舎によく現れる。それも人間の通らない場所にひっそりと生まれて、獲物を探し始めるのだ。
「災い」を少し詳しく説明するけど、「災い」は人間にとりつく。
そして取り憑いたらもう最後で、次の日の朝方の4時から8時までの間に突然死やら事故死やらで死んでしまうのだ。
私は、それから人間を守りたい。
普段人間は私たちの姿は見えないけど、この時間の境目がわからなくなった時、人間は私たちの姿が見える。
所詮「災い」と似ている分類だ。
けれど「災い」はいつになっても人間の目には映らないし、人を死に追いやる。
そんなの許せない。
「……分かるよ。
死ぬのって怖いよね。」
ぼそっと呟いた時、目の前にそれは現れた。
真っ黒な、ただの人影のようなものが立体とかして田んぼ道のど真ん中に立っている。
これこそ、「災い」。
この人影は小さな子供のようだ。
「災い」は真っ黒でいろんな姿を持つ人影のようなものが存在する。
「見つけたよ。
カルカンじゃなくて良かったね。」
でもこのナイフはカルカンのだよ。
ふふっと微笑んで使い慣れてないナイフを構えるけど、きっと大丈夫。
そして私の胸元から赤色のハートが現れた。
これは「災い」を倒すのに絶対的に必要で、私たちが生きるのに命よりも大切なもの。
これがあれば、いくら体を、内臓をぐちゃぐちゃにされても死ぬことは無い。
グロテスクな見た目も時間はかかるが再生するのだ。
命よりも大切な、知られない神様になるための私の心臓。
「ちっちゃいからって、手加減しないからね。」
ナイフを構えながらカルカンにも褒められた自慢の速さでさっと「災い」に飛びかかる。
「災い」はさっと後ろに避け、大きな爪で私に襲いかかるの。
でも焦ってはいけないの。
私はその爪で体が傷つけられないように片手でその手を掴んで抑える。
「おいたをする子にはお仕置きね。」
そのまま手を掴んだまま逃げられないように押し倒した。ナイフを振りかぶり「災い」の胸に刺すと、甲高い悲鳴をあげる。
胸に刺し続けると、「災い」の胸からどろどろと溶けたハートが浮かび上がってくる。
真っ黒な返り血を浴びる私はそれを抉り掴んだ。そう、「災い」も私達に似たこのハートを持っている。けれどそれはドロドロとしていて、冷たい。
「……っ。」
私は自分のハートを移動させて、その「災い」の胸の中に突っ込んだ。
すると、「災い」はさらに悲鳴をあげるとどろどろに溶けていった。
これで、「処理」は完了した。
「……はぁ。」
まだ次もある。
この時間帯が終わるまで、私の仕事は終わらないの。
「かるかん、いけるでしょ?」
私は私にそう問いかけて、頷いた。
やっぱり慣れないの。
いくら「災い」といえども、何かを殺す吹っ切れた行動にまだ躊躇っているの。
しっかりしなきゃ。
私はナイフを握りしめて、息を吐いた。




