表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BULLETS(ブレッツ)  作者: 砂川 武
56/63

52発目 想像力豊かな原作者の作品を見る人はさらに想像力豊かでそこから生まれた派生作品を見る人はさらに想像力豊かでさらにそこから生まれた派生作品を見る人はさらに想像力豊かである。




 前回までのあらすじぃっ!!

 イギリスの地下都市『エスペランサブリテン』の一般公開により今や世界の注目やサマーシーズンの旅行先はイギリスに集まっていた。

 そんな中ぁっ!BULLETSの一部女性メンバーたちがギラの正式彼女になり損ねた鬱憤を晴らす為、ゼロこと実央にほんのちょっとだけ恥ずかしい思いをしてもらおうと彼女を神輿にした胡散臭い期間限定新宗教『ゼロ教』の寄付金活動を行った。問題はこの際に神輿になっていた実央が、予想もしていなかったエロハプニングに見舞われたことだった!これが切っ掛けで素性はバレなくとも、スーパーヒーロー:ゼロが“黒髪ロング美少女”だということが広く知れ渡ってしまいネット上のトレンド入りどころか、世界中のあらゆるところから“ゼロ”の名を呼ぶ声が上がっていた。




『ゼロはやっぱり日本人だ!間違いない!』

『巫女装束着てるからって日本人だっていう確証は今までなかったけど、黒髪ロング美少女ときたら日本人説は濃厚だな!』

『自分イギリスのトラファルガー広場で見たんですけど、マジで褌履いてるのが見えちゃった、イヤン!』

『マジでか!?どんな美脚でやんしたかぁ~?ゲヘへへへww』

『聞く前から美脚って決めつけててww で、どんな美尻だったでしょうか?』

『脚フェチでも尻フェチでもない!我は乳フェチである!!』

『じゃああなたは引っ込んでて下さい。露わになったのは彼女の下半身だけです』

『あの~皆さん?ゼロは日本人説云々は一体どこに?』

『ならばお前たちに教えてやろう!!この滅びの言葉でなぁっ!!彼女の体は全身何もかもがエロいのだぁぁぁぁぁっ!!(勝手な妄想でお後がよろしいようで)』


 ゲスいコメント欄を見てドン引きのメンバーたちに俺はまた義四先生スタイルで説明を続けた。

「―というわけでだ、前回のちょっとした悪ふざけでも俺達BULLETSのメンバーの名前を使っただけでこんな大事になってしまった。全員気を付けろよ~、ファンはファンでもヤんじゃってる奴も混じっていることもある。特に女性陣も、既成事実狙ってるファンもまたいる!そして最終的には最後のコメントで分かる通り、うっかり彼女自慢をしてしまう杉田義羅君もコメントタップしてしまっている始末だ」


「「「お前も参加してたんかいぃぃぃぃぃぃっ!!!」」」


 唯とエリとペティは3人揃って各ケツを同時に俺へとヒップアタックで命中させてきた。その名も!!


 “さんごくけつめい”!!!


「・・・・・まさか、俺の知らない間にてめーらヒップファイターになっていたとはな・・・・・良いヒップアタックだった・・・ぜ」

 床に倒れ、ガクッと脱力する俺。

「なってないから!あと勝手な技名付けないでよ!」

 唯は抗議するが、

「その割には尻でツッコミ入れてたよな?」

 3人のツッコミヒップが剛にツッコミを添えられていた。




 場所は変わって、ロンドン郊外のとある宿にて。

「しかし本当だろうな?兄貴。あのBULLETSがここイギリスに留まってるというのは。昨日今日で浮ついた連中が盛り上がっているあの噂が本物だという確証があるわけじゃあ・・・・・」

「たしかにあの噂を信じて、俺達『ハイラル・ブラザーズ』が行動を起こすというのはどうしても恰好はつかない。だが事実は事実!毎回モザイクで隠されていて正体までは掴めずにいたが、俺達が3か月間ずっとパソコンに向き合った結果!あの厄介なモザイクを外すことに成功し奴らの素顔を突き止めることに成功したのだ!!昨日広場でも見たが、あのフォースがいることはまず確認済みだしな」

「全員の顔を確認した時は驚いたがまさか二十歳も満たない若者だったとはな、兄貴」

「ムムム、しかしモザイクを処理した上で身元確認をしようとしたところでパソコンがオーバーロードを起こして壊れてしまうとは予想もできなかった。おかげで俺達の努力がほとんど水の泡だ」

「残ったのは辛うじて携帯端末に残しておいた“フォース・トルーパー”“キャプテン・ベイカー”の2人の画像写真だが、今はこれだけでもいい。まずは奴らのリーダーを仕留めるべきだからな、兄貴」

「その通りだ。いずれは全員を葬ってやる。世間は奴らを地球のスーパーヒーローと称賛しているが実際奴らはここイギリス政府の地下都市『エスペランサブリテン』の存在を利用しての利益を守る為だけに“アシュボーンの戦い”に臨んだ能力者集団。結局は傭兵と何ら変わらない存在に決まっている!」

「地下都市との連携がイギリス政府だけというのがそもそも許せん!サポートしている日本政府はこの際どうでもいいが、イギリスと手を組んでいるBULLETSを先に消せば俺達犯罪集団でもあの地下都市を占領できるだろうて」





 時間は少し先送りになり、ロンドン市内のとある喫茶店にて。

「ったくよ~俺は俺でやることができたっつーのに、仕事増やしてどうすんだよ」

「全部あなたの予想していたのと同じようなことが起きてるだけ。私たちから一人を選んだら“納得しない者が何人かいて鬱・病み・狂い、そして好きな男と心中しちゃって終劇~”って言ったのは紛れもないあなたでしょ。でも私たちはあなたを傷つけたりなんかしない、彼女さんに代行してもらっただけ、だからみんなが幸せになってる」

「どこがみんな?頼むから被害者を増やさないでくれ」

 そんな会話を黒髪に一部白髪な男と連れのシスターがカウンター席に座ってお茶をすすりながらしていた。そしてその男の隣に座り、ポケットに隠し持っているナイフを今にも抜こうとする男がいた。

〈間違いない、奴こそが“フォース”だ。っくくく、全く隙だらけではないか。しかも女連れとは、所詮は力を振るうだけの青二才だな、これならば〉


「ところで、私とは一体いつ●●●●するの?」


〈ぬごっ!?〉

 それまでターゲットに殺気を感知されないよう、あまり会話内容を認知していなかったがいざ行動を起こそうとした瞬間、連れの女が突然卑猥な発言してしまったものだから衝撃のあまりナイフを引っ込めてしまった暗殺者であった。

「お前、普通相手が彼女持ちと分かってて繋がりイベントを持ち掛けるってどうよ。NTR狙ってんの?あいつにNTRの趣味はないと思うぞ、多分」

「12人と寝た男が今更何言ってんのよ」

〈じゅっ、12人と寝ただと!?それ一体どんな情事!?いや、どこの世界のエロゲー主人公だぁっ!!?〉

 もはや暗殺のことは忘れてしまい、ターゲットの会話を血走った目つきで聞き始めてしまう『ハイラル・ブラザーズ』の末っ子:クラージであった。そんな彼を店内のテーブル席で見守っている兄貴二人。

〈お、おい兄貴ヤバいぞ。クラージは彼女いない歴=生まれてきて30年だ。あの手の話が出てしまって興味を持って奴らを仕留めることなんか忘れてしまっている。ここは俺が代わりに・・・〉

〈いや待て、もうしばらく会話を進ませてみよう。フォースを殺す前に奴らの内事情も知ることができれば、今後の活動にも役立つし俺やクラージも彼女を手に入れる日が近くなるかもしれん!〉

〈兄貴、半分地下都市乗っ取りに関係ない欲望丸出しじゃないか?〉

〈うっさい黙れ!彼女持ちのお前には分からんだろうが!!〉

〈あ・・・なんかすいません・・・〉

「ギラ君、今聞こえちゃったんだけど12人と寝たってホント?」

「いやいや、これマジな話ですよマスター」

〈ここのマスターと知り合いだったのか。もしかするとあのマスターも奴らの仲間か?〉

 真面目に考察している次男:サージ。だが反対に、

〈〈奴は“ギラ”と名乗っているのか。俺も今度名乗ってみようか〉〉

 普通に考えてそう名乗ればモテるって確証はないのに変な思考を働かせるクラージと長男:ピューイだった。

「前までは自分は童貞、童貞って言い張ってたのに、私が知らない内に何があったんだい?一体どんな心境の変化が起こればそんな絶倫男の所業を・・・」

「まあ人一人に歴史ありってヤツですよ。その話は2ヶ月前のことですし、最近俺やっと彼女ができたんですから。色々苦労もあったんですよホントに」

〈彼女自慢かこらぁぁぁっ!!!〉

 ターゲットの余裕な態度に腹を立てて今にも殴りかかりそうな勢いのピューイ。

〈やめろォォォっ!!兄貴ぃぃぃっ!!ここであんたが騒いだら暗殺の意味が無くなってしまう!ここはもう一人の愛に飢えている暗殺者クラージが怒りを力に変えてナイフ一刺しで終わらせてくれるから!〉

 そんな兄を目的達成の為必死に止めるサージ。しかし彼の先読みとは裏腹に、クラージは今怒りを我慢する為の力に変えてカウンター席に留まったままだった。

〈普通に聞いてればただの彼女自慢に聞こえる。が!しかし!よくよく考えるとコイツ、さっきから淡々と自分の情事を話している!俺には分かる!何故この若者がそんな平静で情事を喋っているのか!それは自分が勝ち組だとかそういう余裕を持って喋っているワケでは決してない!あれは、経験を重ねて全てをやり遂げた戦士の態度だ!!〉

「そ、そうなんだね~。相変わらず物事をビシッと言っちゃうよね、君」


「でもマスター、たしかにそいつは彼女持ちではあるけどよ。他の愛人希望している女たちにまだはっきりとした態度を示しちゃあいないんだぜ?」


 突然、会話に割り込んできたのは丁度クラージから見て右側のカウンター席に座る青年だった。見覚えがあった。たしかBULLETSのメンバーであのアシュボーンの戦いの画像の中にもいたヤツだ。今じゃ世間では奴を“橙千砲”と呼んでいる。

〈不味い、ここで敵のメンバーが増えたともなれば暗殺は難しいぞ!ここは一旦退避した方が・・・〉

「いつも言ってることだが、13人の美女たち放っとかないでもうさっさと全員ひっくるめて幸せにしてやりなよ。第四真祖ぐらいの器をさっさと開花させりゃイイんだよ、なあおっさん」

「え、俺!?」

「アホかてめー、そうやって色んな女に言い寄られてばっかりに浮かれて、最終的に理性壊してストーリーの途中でケダモノ化したキャラクターが真っ先に破滅を迎えるんだよ。“誠に死ね”だよ!お前みたいに戦国魔人兼性欲魔人やってた生来の勝ち組人間には分かんねぇんだよ、世の中はそう甘くねえんだよ、なあおっさん」

「いや、あの・・・」

〈ゲエェェェェ!!ターゲットたちが暗殺者クラージに絡んできた!?ヤバい、逃げるに逃げれない状況になってしまった!!〉

〈つーか橙千砲の口からもだがさっきからフォースの野郎、13人もの美女たちに言い寄られてるってのか!?羨まけしからん!!〉

〈いや兄貴、そこはどうでも・・・って良くないな!?何アイツ、別世界の主人公!?〉

「その思考をやめろって言ってんだよ。例え理性を失くしてもお前には美女たちをトゥンクさせる誠実さがある!!だから先人であるデビルーク第3王女の思想を受け入れるべきだ!!なあおっさん」

「いや何で俺に振るの?」

「バカヤロー“光無くして影は存在しない”と同様“理性無くして誠実さは存在しない”ということを知らないのか?人並み以上の性欲はあれど俺の中の誠実さを見出し、心を開いてくれているのが彼女たちだ。それだけは絶対に折れるわけにはいかないんだよ、GSの横島みたいに!なあおっさん」

「え?今の何の話!?」

〈おいサージ、奴らの仲間のコードネームか?今言った“GS”とやらは〉

〈兄貴メモらなくていい!GSは一世紀前の漫画作品の略称だから!!〉

〈え?そんな大昔の漫画を何でお前が知ってんの?〉

〈そこも気にしなくて良いから!!〉

「オメー馬鹿だな~、アイツが辿ったストーリーを知ってるなら尚更他の女に気を配れよ。じゃねえと2年前の二の舞だぞ、2だけに。なあおっさん」

「う、うまい!っでも結局何の話!?」

「うるせー横島とルシオラは俺の心の中で永遠に幸せだ!!そしてアナキンとパドメも永遠に幸せだ!!なあおっさん」

「あ、それは分かる!スター・ウォーズだよね~・・・って何を言わせる!!」

〈何?この空間。オタクの同好会?〉

「俺が言いたいのはな、全員とで一発ヤッた後でお前が取ってる優柔不断な態度をはっきりさせろってことだ!!阿九斗みたいに!!なあおっさん」

「え!?全員と結婚するって!?」

「違います~俺は優柔不断じゃありません~ちゃんと正式な彼女だって決めてますから~真中みたいに~なあおっさん」

「それっていずれ別れる時期もあると?」

〈あれ?クラージも会話に徐々に飲み込まれてる?〉

 さり気に弟にオタク知識があることを知ってしまい複雑な心境を感じる兄サージであった。

「多分ギラが言いたいのは彼女たちとの関係性をちゃんと考えて進ませてるって言いたいだけだと思うよ。そしていずれは私も含めた女性たちみんなも娶ってくんずほぐれつの関係を結ぶと。ちなみに私の推しは『ム●●ギョー』よ。ねえおっさん」とシスター。

〈お前もかいぃぃぃっ!!シスターの推しなんかどうでもいいんだよ!まずこの変な空間に対して言及しろってんだ!!つーか何でいちいちおっさんにお伺い立てなきゃいけないんだよお前ら!!〉

 本当は自分がしたいという思いがあるが暗殺者の仲間であることを忘れることができないことで何も言えないサージ。同じ立場であるピューイもまたそう・・・なはず。この場で言及ができる面子と言えばマスターのみ、どうかこの空気を変えてと心の中で願うサージだったが、

「ギラ君がどういう人間かは大体分かってるから別にいいんじゃないかな?ちなみに私の推しは『おま●●ひまり』かな、ねえおっさん」と眼鏡をくいっと上げるマスター。

〈お前もかいぃぃっ!!この裏切り者ぉぉぉっ!!別に元々仲間じゃないけど!!つーかお前もおっさん!!〉

 助けを求めてもそこに救いはなかった。

「では聞いた限り女友達もかなりいそうだな。この店で出会ったのも何かの縁だ、ってことで誰か一人紹介してくれないか?ちなみに俺は諸君らが上げた推し作品のヒロイン、全部俺の嫁なり!!なあおっさん」と立ち上がって話しかけるピューイ。

〈おっさんさらに追加!?兄貴てめえぇぇぇっ!!〉

「おおー全員自分の嫁と来たか。ほら見ろギラ、モブのおっさんですら全員を幸せにするという覚悟を決めてんだぞ。お前モブのおっさんに遅れを取ってていいのか?なあおっさん」

「全くだ、せっかくのチャンスを不意にし続けているとは。こうなったら今日中にでもそこのシスターも含めたその13人の女性たちとやらの相手をするべきじゃないか?乙女心を打ち抜きまくった責任を取れ!!」

〈お前も後で暗殺に失敗した責任を取れ!!〉

 とりあえずこの場は収まりがつかないと判断し、ターゲットたちと意気投合してしまった兄弟たちを置いて行こうと立ち上がり店の出入口のところまで進んだ瞬間、


「行為自体は簡単だが、それに伴う意義ってのが大変なんだよ。俺は自分の誠実さの為にも吟味した上で先延ばしを繰り返してんだよ。なあ今店から出ようとしてるおっさん」

 ターゲットにお伺いを立てられてしまったサージ。

〈お、俺もぉぉぉぉぉっ!!?〉

「いや・・・あの自分はいいですから、彼女持ちなんで・・・」

 これ以上ここにいたら自分も頭がどうにかなりそうだとやんわり断ろうとするサージ。

「まあそう遠慮しなさんなって。彼女持ちでも好みぐらい他人に打ち明けて話すのも国際交流の一つでしょ?」

〈国際交流自体は悪くないけども!今の俺にとってはタイミングが悪いんだよ!!放っておいてくれ!!〉

「きっとイジけてるんだよアイツ。今まで俺達が構ってくれなかったことに、なあおっさん」

「そうそう!ほらこっちに来て話してみなよ、あんたの推し作品をよ~」

 とすっかり心が穏やかになってしまったバカ兄弟たち。

〈お前ら後で覚えてろよ・・・〉


「に・・・『ニ●コイ』・・・・・です・・・」


「ほほう、王道も王道のやつが出てきたな。俺だったらつぐみルートかな」とターゲット。

「私は万里花ルート」とシスター。

「羽ちゃんルートで」とマスター。

「俺は全員娶るでファイナルアンサー!!」と橙千砲。

〈・・・暗殺を見届ける為に来たのに何で俺、ここで恥ずかしい思いしてんだろ・・・〉

「「俺達は全員とで子作り●●●●でファイナルアンサー!!」」

「黙れ童貞ども!!小咲ちゃんだけは指一本触れさせな・・・・・あ」

 兄弟たちの軽弾みな発言に大人気なくもキレてしまい、彼は自爆してしまった。


「なるほどあんたは小咲ちゃんルートが良いと・・・」

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 自分の好みを自分で暴露してしまい気恥ずかしさのあまり叫びながら床に伏せるサージ。

「分かった。小咲ちゃん好きな彼もおっさんたちにも、今すぐ女を紹介とはいかないがしばし素晴らしい夢を見させようか」

〈え?夢って何?〉

「マスター、ちょっと裏手借りるぞ~」

「ああ、良いけど何をするんだい?」

「この5人を昇天させる」

〈は?昇天させる?一体何を・・・〉

 流れで裏手へと同行させられていくブラザーズ。するとターゲットはどこからともなくホワイトボードを出して説明をし始めた。

「これまで出てきた意見を鑑みておっさんたちがラブラブな作品をそれなりに知ってて好きなのは分かった。ならば間違いなく“二次創作物”の存在も知っているだろう」

〈〈〈まあ・・・たしかに知ってるけども・・・〉〉〉

 二次創作物とは、原典となる創作物、つまり漫画、小説、アニメ、ゲームなどを利用して二次的に創作された派生作品のことである。原作ではある男女キャラによるカップルがストーリー上で成立して一部読者か視聴者が望んでたカップルじゃなかったと感じる例が数多くある。特に悲劇的なストーリー作品だともっとあることだ。

「今じゃ世界中の漫画家がそういった二次創作物を書いて色々と満足したり、それらの努力をバネに大作品を書き続けることになったりする時代でもある。その反面、漫画は書けど二次的にアニメーションを作るという勇者は誰もいなかったがな」

〈さすがにそれは著作権に触れるからな・・・〉

「二次的アニメを作ると言ってもせいぜいドットかCGを使ってのオリジナルゲーム位だしな~」

「うむ、それでも俺達は満足しつつそれらには随分とお世話になっていたものだからな~」

〈聞きたくねーんだよ!お前らのどうでもいい情報なんか!!〉

「だが考えても見ろ。もし腕利きのアニメーターがファンの好みの作品の二次創作物を生み出し、公式的に成立できなかったカップルが結ばれるストーリーが描かれ、挙句の果てにそのカップルのアダルトな生活を余すことなく捉えたアニメをがっつり見れるとしたら!!どうだ?」

 一同はターゲットが言いたいことを理解するや否やゴクリンコと唾を飲み込んだ。

〈いやゴクリンコじゃないだろお前ら!!まさかこの男、自分にアニメーターとしての素質があるから俺達と組んで二次創作アニメを作ろうぜって如何にもサクセスストーリー的な提案をするんじゃ・・・〉

「そこでだ。実は俺が作った『ニ●コイ』の二次創作アニメDVDがあるんだ。せっかく同志が集まったんだ、各自ここで自分の推しルートのストーリーを見てみないか?」

 そう言ってディスクが入った数枚の透明ケースをトランプのように持って掲げた。

〈あれえぇぇぇっ!?もうできてるんかい!!変な妄想までしちゃってこれまた俺恥ずかしい!!〉

「マジですか!!?じゃ、じゃあ俺達が希望した“全員とで子作り●●●●”も作られてると?」と興奮気味のピューイ。

「あるぞ~。あんたらおっさんでも満足できるアニメDVDもこの中によ~」

「だ、大丈夫なんですか?その、著作権とか色々・・・」とコソコソ言うクラージ。

「大丈夫だ。だって一時の夢みたいなもんだからな」

「「ですよねぇ~」」

〈じゃねーだろおぉぉぉっ!!〉

「で、いくら払えば見させてくれるんだ?」

 自分の財布を出して金の準備をする二人。

〈しかも金払う気満々!!〉

「ダメダメ、それを貰ったらここで提供する意味がなくなっちまうだろ?」

「え?でも・・・・・」

 何かお礼でもとオロオロする二人の肩にターゲットは手を置いた。

「だって俺達、“ムラムラし隊”だろ?」

「「・・・・・ああ!」」

 と、暗殺するはずだったターゲットと肩を組む兄弟たち。

〈最悪の戦友感だな・・・これ・・・アホらし・・・〉

 今度こそ抜け出そうと裏手の出入口に向かうサージの足は、ターゲットの次の呼びかけにより再び止まることとなった。

「もちろんあんたのお望みの小咲ちゃんルートもしっかり作ってるぞ~」

〈んのぉっ!!?そ、それはたしかに・・・・・いやでも・・・〉

 目標達成と欲望の狭間で揺れまくるサージ。

「あんたも見たいだろぉ~?小咲ちゃんルートの結末を」

 しかし敢えて言おう!人間は欲に弱い!


「・・・・・・見たい・・・です・・・!」

 サージも屈した。


 5人が用意されたネカフェみたいな個室に入った瞬間、ターゲットは究極の悪人面でニヤけながら次の一言だけを思い浮かべた。


〈計画通り〉


 この後、ハイラル・ブラザーズたちは究極の二次創作アニメを目の当たりにし、そして昇天したのだった。





「―とまあこの通り、例の戦いから3ヵ月も経ってるんだ。映像や画像のモザイクを取り外して俺達の素顔を知る者も現れ始めるのも必然だ。秘密はいつまでも保てるとは限らない、特に情報交換が容易な時代ともなればさらに限定的。流石に個人情報までは辿り着けないようボニータに映像と画像の照らし合わせをするユーザーの端末は全部自動破壊するよう頼んであるから、お前らも町中とかを歩くときは既に捕まえてる“ハイになっちゃってるブラザーズ”のようにドタマ狙ってくる刺客らを常に警戒することを忘れないように」

 と、エスペランサの評議会ドームで鼻血タラタラで牢屋の中で悶えるブラザーズたちの映像を見せながらメンバーへ向けて説明し終えた俺。

「お前、その3人を逆に捕まえる為だけにそんな芝居してたのか?」

 ロンドンの行きつけの喫茶店でやったことについて呆れた口調で指摘する剛。

「ボニータに頼んでおいた対策で早速発動した端末があったもんでな。そいつの身元を確認した上で近づいてきたとしたらこういうシチュエーションならば篭絡できると見抜けてたからな」

「篭絡っていうか、ただの同好会の集まりシチュエーションにしか感じなかったんだけど・・・・・」

 説明を受けての率直な感想を述べるペティだが俺は無視する。

「相手が経験なしの人間ともなれば容易く、経験ありでも後ろめたいことやっている人間ともなれば覚醒させるのはそう苦労はしない。そういう人間たちの性欲がどれ程のものかなど手に取るように分かる、こちとら生涯を童貞で通した猛者だからなぁっ!!フハハハハハハハハハハッ!!!」

「褒められたもんじゃないしほぼ悪役の言い回しじゃねーか!とりあえずイカ臭そうなんで黙っててくれませんか先生!!」

 そうツッコミを施した剛の後に、

「あの~先生、八代君とルキーラさんが話聞いてません。さっきからずっと居眠り・・・じゃなくって鼻血流したまま蹲ってて出血多量死寸前です」

 と、二人の隣に座って溜まっていく鼻血から身を引きながら剣が注意を促してきた。

「おいトラ、ロザリア、先生の話を聞いてるのか~?さもないと昔懐かしの“水を入れたバケツを持たせて廊下に立たせる”をさせんぞ~」

「聞けるかあぁぁぁっ!!!お前がとんでもねぇ一品を見せつけてくれたおかげで、ハァ・・・こちとらずっと興奮しまくりなんだよ!!」と激しく鼻血を出しながら激しく抗議する元戦国魔人。

「人間は年がら年中発情できる生物なんだよ、抗議する前にてめーが人間としてまた生まれ変われたことを有難く思え。あとお前の発情は今からでもいいからそこの天使と悪魔にぶち撒けてろ」

「公開●●●●しろだと!?・・・・・それはそれで、興奮するではないかあぁぁぁ!!!」

「「じゃないです、御屋形様。頭冷やして下さい」」

 興奮し過ぎて頭がおかしくなってしまい、千恵と濃さん二人に公開処刑『二段空手チョップ』に処されたトラであった。

「私からも言わせてもらうけど、これは無理!抑えられないって!!あれはヤバイ、絶対にヤバイ!だって作画が本物と大差無いんだもの!!日本のコミケで現れようものなら間違いなく伝説の一品になるわ!!あんな絡み合いをアニメで表現してしまうなんて・・・・・ああっ、またあのシーン思い出してきちゃってぐほぉあっ!!」

 鼻を抑えつつ抗議するもまた興奮して鼻血が再発して倒れてしまったロザリアだった。

「兎にも角にもこのハイラル・ブラザーズがやってのけたモザイク処理の成功は犯罪界にも大きな影響を及ぼすことになるのは目に見えてる。さらに考察を進めると、あることに気が付く。それは何か!誰か分かる奴はいるか~?」

 問題形式でメンバーに聞いてみることにした。まずは巴から。

「杉田義羅君が私たちとドッキングする前まではああゆうのを創造して色々と発散してたってことで正解ですか?」

「そこ考察してどうすんだよ」

 剛はツッコミを入れるが、

「そうです。色んな二次創作アニメを自分で創造して自分で発散してたイカ臭いケダモノですが、何か?」

 その答え合わせに対して事も無げに答えるのが俺だ。

「真面目に答えるなイカ教師!!」

 次に唯。

「兎にも角にも杉田義羅君は一度繋がった女性全員との責任を取れってことですね」

「そうだね~。でもそれも正解であって正解じゃないからね~他は~?」

 これは受け流した。次は好華。

「兎にも角にもオタクは皆ラブコメ作品を追い求めるだけの生きる屍、つまり新世紀に入っても世のオタク業界は毎日バイオハザードってことですね」

「その中にいる社会人に対して失礼なんでその表現はやめなさい。他は?」

 次は正士。

「兎にも角にもオタクは世界共通ってことですね」

「知ってるよ、今更言われなくても。他は?」

 次は奈々。

「兎にも角にもオタクは1世紀を超えて存在ってことだよな」

「知ってるよ、今更言われなくても。つーかオタクから離れてくんない?他は?」

 次はリーク。

「兎にも角にも杉田義羅君はこの後“メンバー全員に各推し作品の二次創作アニメを提供する”で決定ですね」

「勝手に決定事項にされちゃってるな、杉田義羅君。まあやるけどよ、他は?」

 次はヒナ。

「兎にも角にもその二次創作アニメはBLも百合もありなんですね?」

「さり気に質疑応答形式に変えてんじゃねーよ、自分で考察して正解を言えっての。ちなみにそれらもありだ」

「「ありなのっ!?」」と剛・剣二人の反応とその反応を見て睨む五十嵐を俺は無視して「他は?」と続けた。すると意外にも挙手したのが先日の別件での被害者:実央だった。

「兎にも角にも杉田義羅君は今夜、リビドーがドバドバ状態で興奮が止まらないロザリア・ルキーラさんを正常に戻す為に彼女と一発ドッキングするってことですね」

「お前ここでボケちゃうの?もしかして前回ツッコみまくった反動が来ちゃったとか?まあいいや、ここでストップ!お前らが思いつかないんなら俺からちゃんとした答えを出してやる」

 ボケ列車を強制停止させて話を元に戻すと、プロジェクターでハイラル・ブラザーズたちがアジトにしていた宿の画像を映し出して説明を始めた。

「奴らが3ヵ月かけてやり遂げたモザイク処理の執念には輝かしいものがある。エロアニメのモザイクを外すオタクと同じくらいに」

「先生、そんな例え方マグマに捨ててきて下さい」

 ヒナの指摘を無視しつつ俺は説明を続けた。

「だが奴ら、その作業だけに集中してて普段の生活が疎かになっていたらしい。ならば当然商売敵への警戒も連動して疎かになるのが必定」

 トラとロザリア抜きで説明を聞いてるメンバーたちは『ああ、なるほど』と頷き始めた。


「ハイラル・ブラザーズが使っていたアジト・パソコンを調べたところ、ボニータによるハッキング破壊以外に別のハッキング形跡があることが分かった。つまり他の犯罪集団にも俺達の素顔が既に知られているということだ。各自このことを脳裏に焼き付けておくように」


「脳裏に焼き付けろっつっても、俺の脳裏はあのアニメでパンパンだ・・・」と、まだ興奮してて息絶え絶えで喋るバカトラ。

「余計な一言添えてんじゃねーよバカヤロー」








 集会が終わった後、ドームのてっぺんでは座り込んだギラと実央二人のこんなやり取りがあったそうな。


「正式な彼女からのお願いってことで、今夜はホントにロザリアさんと寝てあげてよ」

「え、あれマジで言ってたの?」

「こっちはとばっちり受けた挙句にあんな事態を引き起こす切っ掛けにもなっちゃったのよ?これはもう埋め合わせが必要になってる案件よ」

「その埋め合わせの為に他の女と寝ろと懇願するなんてどんなイカれた彼女だよ。これ以上傷口を広げるようなことはできん」

「でも、“みんなの全力アプローチに見合う答えを俺は全力で出す”って約束があるでしょ。ロザリアさんのアプローチに見合う答えはそれ以外はありえない」

 実央の指摘にたじたじなギラ。

「・・・・・いや、しかしな・・・」

「“義を通さず自分から言い出した約束を自分で破る男”それが杉田義羅ってこと?」

 ダメ押しにと問いかけてくる彼女に、負けを認めるかのようにため息をついてから彼は訂正した。



「違う。“義を通し自分と大切な者たちと交わした約束は必ず守る男”、それが杉田義羅だ」

 そして彼女は優しい笑顔と一緒に彼の肩を叩いた。

「なら、ちゃんと自分を通さなきゃね」






 『BULLETS』を毎回投稿する度に読んで下さり、誠にありがとうございます!


 ここでお知らせです!


 今回の投稿後、しばらくは諸事情の関係で執筆を一旦止めることにします。なので次の投稿までにはいつも以上に時間がかかることをお伝えします。


 最新話を心待ちにしている方々には大変申し訳ございません。




 次話投稿予定時期は大体3月下旬辺りと考えております。




 これからも『BULLETS』をよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ