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BULLETS(ブレッツ)  作者: 砂川 武
46/63

42発目 “崩壊”と“抱擁”と“勝負”、そして“秘密”。







 ファーストフード店で昼食中。

「で?3人の女性と連続デートしてみての感想は?」

「・・・・普通ならここで“お腹いっぱい!!ご馳走様でした!!”と叫んでも良いくらい幸せ者だが、俺の場合ここで叫んでしまうと罰当たりモンになるな」

「まあな。それだと午後に待たせてる女子たちに対して失礼だからな~。って言っても複数の女性とデートって時点でもう死ね死ねコールされてるだろうな。仮にだがよ、このデートが奈々の発案じゃなくてお前が仕組んだデートだとしたら、お前どう思う?」

 相席で一緒に食べている剛の意見に対し俺は、一瞬で棺桶に入って無言の返答をする。

「あーはいはい、バッドエンドまっしぐらってことな」

 剛の反応にさらに俺は棺桶から、

『デート仕込む前に、そんな最低な考えをした時点で罪悪感に押しつぶされて死にます・・・』

 と書かれたプラカードをのぞかせる。

「死人に口なしってか意思表示してるんじゃ死人になりきれてないっての。いいから棺桶消して彼女たちのエスコートの続きに行けよ」

 剛に指摘された通りに俺はガタゴトと棺桶から出た。

「お前のその的確なツッコミには本当に感服するよ」

「そりゃどうも」

 剛は椅子の背もたれに寄りかかりながらジュースをすすり、店を出て行く俺を見送った。





 場所は変わってベイマーケット・センターハウス。

「おっす~、それじゃあさっそくどっかの物陰に隠れて・・・ヤっちゃう?」

「開始早々ゲスな発言すんなよ」

 ここからは好華のターンだが、こんなデートの始まり方になるとは思わなかったな。

「いやだって!ラスティはギラからの“プレゼントキス”貰っちゃうし、ロザリアにはハートとハート(ハート型ブザー器)にダブルショット決めちゃって、そして巴にはあたしが狙ってたメリーゴーラウンドで二人乗り木馬やっちゃうし!!羨まし過ぎるって!!!」

「お前らの情報共有力半端ねえな!?あとお前が王子様系シチュエーションに憧れてたなんて意外!キャラ的に狙いを見抜けなくてすいません!!」

 てっきり好華ならここで言うとクライミング的な活発的なシチュエーションが好みかと考えていたんだがな~。

「ん~、じゃあ今更だけど王子様系にします?お客さん~」

「いかにも風俗店みたいなノリはやめてって。それに今王子になってももう気乗りしないから良いよ・・・。やっぱり全てを凌駕する最終的な男女の愛情表現って濃厚な絡みが一番だって、あたしは思うんだけど?」

「お前それ、ここで認めたらこの連載小説即打ち切りだかんな?」

「もう既に一回済ませてるんだからさ~、この際官能小説的世界観に突入しちゃおうって~♥」

「●●●●すれば男はみんな喜ぶとか思ってんのか?少なくとも俺はそうは思わん。こっちに性欲はあってもただ『男魅せろや!!』なだけの女性は気に入らん。そんなに●●●●したいんなら、他の作品の子になりなさい!ちなみにそうやって調子に乗ってる女には喝を入れてやりたいくらいだ」

「・・・・・・でもそれってギラ的には、ムカつく女の尻をパンパン叩きたいだけなんじゃない?」

「それは、否定できない!」

「いや否定できろって」

 うむ、しかし彼女の言う通り濃厚の絡みが一番というのも一理あるが、それだとデートを済ませた3人に対し申し訳ないのだ。とにかく、あとのみんなにだってちゃんと正攻法でやっていくつもりだ。そのためにも男側である俺がエスコートしなければ!

「・・・・そうだ!あれに乗ろうか!!」

「?あれって?」




「ルフィたちも味わったんだから大丈夫、ルフィたちも味わったんだから大丈夫、ルフィたちも味わったんだから大丈夫、ルフィたちも味わったんだから大丈夫、ルフィたちも味わったんだから大丈夫・・・・・・」

「好華・・・お前くノ一だろ?能力的にもおかしいぞ。なんで平気じゃないんだ?」

「こ、これは自分から飛び降りるのとは、ワ、ワケが違うよ。だだだって、体の自由が利かないところがより恐怖を増すうわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 俺が選んだアトラクションは、ドロップタワーのブルーフォールだった。

 どうやら好華も巴と同じく絶叫系は苦手だったようだ。


 終了後、ライド中に撮った『無表情の俺と大絶叫の好華』のギャップ写真を見た俺は、

「だーはっはっはっはっはっは!!飯3杯いける!モガガガガガガガガッ。ゴクッ。モガガガガガガガガッ。ゴクッ。モガガガガガガガガッ。ゴクッ」

 本当に飯3杯食べた上でのバカウケだった。

「削除!それだけは削除して!お願いします~!!」

 縋りついてまで頼む彼女を見て楽しんでいる俺は、もう駄目かもしれん。

「酷いって!?あたしだって普通のデートみたくキャッキャウフフな感じに楽しみたいのに!」

「諦めろ。活発的属性美少女のお前にはそんなシチュエーション似合わないって。俺がもっとお似合いのシチュエーション用意してやるから。よし、次はアクアライドⅡに行こうか!」

 連続の絶叫系アトラクション巡りは良くないから、今度はある程度ゆったりの方が良いだろう。

 そんなことを考えながら好華を連れて行こうとする俺だが。

「・・・・・・・待ってギラ」

「ん?どうした?」

 彼女に呼び止められた。

「たしかにエスコートするのが彼氏の義務かもしれないけど、彼女の要望一つくらい聞いてくれてもいいよね?」

「何か思いついたのか?」




「いや~あるよな~、好きな相手を想ってると同じになりたいっていうのは。今まさにその考えが解決したって感じだ!」

 彼女に何を頼まれたかというと、なんと自分を杉田義羅の姿に変えて欲しいという奇天烈な頼み事をしてきたのだ。なので今の彼女は俺の声・顔・体・服がそっくりそのまま同じ状態なのだ。

「猟奇的な発想が出たもんだな。大丈夫か?お前」

「大丈夫大丈夫!最後に切り刻むとかそんなことしないって!」

「お前がくノ一という属性を持っている以上、信用できないんだが・・・・まあいっか」



 その後しばらくは杉田義羅が園内に二人いるという状況のままデートを続けることとなった。

 道中クレープなども食ったりしながら好華かれに合わせて楽しく過ごした。

 周囲の人から見れば、それはものすごく似ている双子だなと認識されていることだろう。もしくは・・・。

「俺達ホモカップルに見えるかもな~、ギラ」

「黙れギラ!!考えないようにしてたのに!!」

「こっちだってドッペルゲンガーみたいでなんだかちょっと不気味感が湧いてきてんだぞ!!」

「あんだとぉっ!この偽物!!」

 カチン。

「偽物はお前だろ!!」

「って、はあ?何言ってんだ!?そういうお前は好華だろ!?」

「いやお前が好華だろ!?」

「じゃあお前は誰だ?」

「そういうお前こそ誰だ?」

「そういう俺は俺だ!!」

「そういう俺も俺だ!!」

「じゃあお前は誰だ?」

「俺は俺だ!!」

「お前は俺だ!!」

「お前は誰だ?」


 わからなくなってきました・・・・。


「お前は俺だ!」

「俺はお前だ!」

「俺がお前だ!」

「俺もお前だ!」


 わからなくなってきました・・・・。


「お前は誰だ?」

「お前だ!!」

「俺は誰だ?」

「俺だぁ!!」


 わからなくなってきましたぁ~・・・・・。



 杉田義羅に変装させてもらった黒崎好華のちょっとした反撃によりゲシュタルト崩壊が起き、どっちが本当の杉田義羅なのかがわからなくなってしまった杉田義羅。

〈・・・・・待てよ・・・?今俺は自分が杉田義羅だって認識していたけど。実は黒崎好華で、杉田義羅になりきっていたら忘れてたんじゃないって、そう言い切れるのか・・・?・・・・一体、俺は、どっちなんだ・・・?〉

 周囲の客が二人の激しい言い争いに注目し、ほとんどが何やってんだと感じていたが、幾人かの年配者はどっかで見たことある~と懐かしんでいた。

 そして、己が己であることを疑い、思考の渦に飲み込まれてしまった男が導き出した答え、それは・・・。



「って、変装消しちゃえば済むことじゃんよ」

 パチンッ。


「あ」



 俺はこの時、闇の中で一筋の光をようやく見つけた感の思いでいっぱいだった為、好華への配慮が欠けていたのだった。

 彼女が今、変装の下が何も着ていない全裸であったことを。


 そう!全裸である!!!



「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」









「で。最後の15分は好華に追い回されてたと?」

「いや~、あんなに怒った好華は久しく見なかったな~」

「笑い事じゃないでしょ。人前で女の子を裸にするなんて。そりゃ顔を殴られてもおかしくないよ」

「いやよ?この痕はその後の『モノホンの痴女プレイだったぜ!』の発言が下でできたやつだ」

「もっと酷かった!?」

 好華とのデートタイムが終わり、次のヒナとのデートを開始して今はスプラッシュ―トをライド中だ。

「女性をエスコートって言いつつ、最終的にサディズムに走って自分が楽しんじゃってるじゃん」

「これがサディストである者の逃れられない宿命というやつかなぁ。最近色んな奴の屈辱感が漂う表情を見たいって考えるようになってるぜ。ぐふふふふっ」

「うわ~、こいつもうダメだわ~。それ聞くと昔ギラと喧嘩して負けまくったのも納得いくかもうわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 ちょうどライド終盤の急落下の辺りで会話が一度ぶっち切られた。



 ライド終了後、出口を出たところでヒナが四つん這い状態になっているところを見下ろす俺。

「なあ。お前らくノ一ってみんなこういうアトラクションが苦手なのか?二式大艇とかの荒っぽい飛行は全然平気だったのに」

「・・・・し、知らない。・・・・少なくとも、こ、好華の言う体の自由が利かないところがより恐怖を増すって言うのには、なんとなく賛同できる・・・・」

「う~ん、そんなもんか?」

「・・・・・そんなもん」



 その後しばらくヒナとは、昔一緒にやった仕事内容を思い返して話し合ったり、里で以前通っていた忍の学び舎の仲良くなった後輩くノ一たちについて聞いたりで園内をぶらぶらして過ごしていった。

「伊賀の里にはこんな伝説があってね。里のどこかに隠された屋敷に閉じ込められたすんごい忍具があるって伝えられてるの。でも一説ではその忍具は・・・・」

「待て待て。話の盛り上がり途中で悪いが、そんないかにも奥が深そうな話を軽々しく喋っちゃダメだろ?」

「あ、ごめんごめん。デート中の会話だからって変に舞い上がっちゃったからつい」

 そうだよ。普通のJKは話の内容を抜けばこうあるべきなんだ。戦いだとかそういう小難しい話とかなんかに縛られずに元気いっぱいにはしゃいでこその青春じゃよ。ああ、尊い。尊い過ぎてわし、この子を孫娘として可愛がりたいわい。

「お~よしよし、お~よしよし。わしのかわいい孫よ~」

「ちょっとギラ!老化しないで!あとこれどう見てもベタベタしてるバカップルにしか見えないから!!」

 “愛の抱擁”という名のものすんごい力で抱きしめられる拘束でヒナは周囲の目を気にして恥ずかしながらうへへへな俺から離れようとジタバタしていた。








「なあ、やっぱもう一度考えてくれないか?」

「何言ってんだ、これが俺がお前に譲歩できる唯一の条件だぞ」

「んなこと言ってもこれは・・・・・・う~~ううう あんまりだ・・・HEEEEYYYYあァァァんまりだァァアァ」

「ええ~!?マジ泣き!?嘘だろ奈々!!」と垂直に逆立てられた柱のような髪型のカツラを被りながら言う俺。

 ヒナとのデートも終わって、今度は奈々とだ。

 さっそくだが、ついさっき彼女は開始早々土下座し、

『もう一度、あたしと勝負してくれ!頼む!!』

 デート作戦中にあるまじきイベントを持ち込んできたのだ。

 恋愛ゲームで時にバトル要素があったりする作品も多い。バトルをすることでお互いの絆を深めるかなんかでキャラを堕としていくみたいな。だが、奈々の場合はそんなのほほんとしたものじゃなく規模的に『神を滅殺スレイしに行くぞ!!』並みにデカいのがオチだ。

 奈々は杉田義羅という男性キャラクターを堕とすゲームでやり方が脳筋過ぎるのだ。ここらで女の子らしくしとかないとな。というわけで俺は彼女の願いを受け入れる代わりに条件を出したのだ。

 サーフコースター リヴァイアサンに俺と一緒に乗ることを。


「い~や~だあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 アシュボーンに向かって飛ばした二式大艇でもたった一人平気じゃなかった奴だ。きっとこれもダメなんじゃないかと予想はできていたが、まさかここまでとはな・・・。

 条件を初めて出した時もそうだったが、一度は渋々条件を呑んだもののできていた列に並んで乗る順番が回ってきたところでまた今、嫌がり始めたのだった。幼稚園児みたいに地面に倒れてバタバタして。

「お前高校生にもなってジェットコースターを全力で嫌がるとかよ~、しかも鬼の血族としても恥ずかしいぞ。付け加えるとしたら番長の名だって泣くぞ?滝のように大泣きすんぞ?」

「だってぇ~・・・」

 奈々は俺に涙目でしがみつきながら我慢し、途中スタッフの人に「あの~妹さん大丈夫ですか?」と精神年齢的に俺より下に見られながら心配されつつも、ようやくコースターに乗ることができた。

「・・・安全レバー、壊すなよ?」

「そ、それはあたしの精神力次第・・・・かな・・・。ギラだってこういう、コ、コースターで殺人事件を呼ぶような死神召喚するなよ、ヨホ、ヨホホホホー!」

「それ骸骨違い!!」

 ・・・・まあ、死神召喚してはいないが、先頭の席に乗った二人がヤバそうなのだがな。だって格好が全体的に黒い服装で漆黒のサングラスをかけている長身の男に冷酷な目つきをした長髪のがっしりとした体格の男だもの!ごちゃごちゃしてるけどアレな黒い二人じゃん!!存在感パネェな!!っていうかお前らは最後尾に座れや!!

 コースターが動き出し、始めの昇りレールを進む中、隣で俺の手を握ってくる可愛い奈々にちょっと照れつつ、昇り終えたコースターが真っ逆さまに落ちると、


「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」



 こんな感じに奈々は泣き叫ぶ。

 だが、俺はそんな彼女よりも、先頭で茶色の長髪をなびかせている男の存在感に釘付けだった。

 あれ、ウザくないのか?








「おいおい!?何だありゃ!!?」

「霞が関に浮いてたあれじゃね!!?」

 突然八景島の上空に現れた物体、それは八景島にいる一般客や菫楼高校の学生たちが考える通りの浮遊大陸だ。とは言っても“疑似霞が関大陸”のあの時とは違って本質は鉄鋼で、奈々との約束を果たすために俺が創造した巨大衝撃吸収装置だ。見かけで言えば未確認飛行物体・空飛ぶ円盤のどちらかだ。この巨大な装置は島から1万mに向けて上昇している。

 創造能力を有してあらゆる武器を使いこなす現代侍と八瀬童子を先祖とし鬼の血を引いた女番長。

 二人の男女が円盤上の端と端から磁石同士が引かれ合うように自然と歩いていく。ある程度の距離を開けて二人は立ち止まった。

「・・・今更だが、コースターの余韻とかは大丈夫か?」

「心配ないっての。ハンデにもならねえし」

「・・・・そっか。始める前に言っとくが、俺は“勝負”に出るが予言する。俺は全力で戦って、お前に負ける」

 杉田義羅と北野奈々。

 仮面をつけて右手の拳をぎちりと握り、左手に軍刀を出現させて抜刀の構えをしていく

「・・・・なら、どんな小細工を使ってでも勝ちたいと思えるようにあたしが追い込むだけだ」

「・・・・言ったな」

 舞台である巨大装置が雲の中に入り、周りは白濁の景色になり、お互い何も見えなくなった。

 そんな中で。



 ズズウウウゥゥゥゥン!!!!!!ズドンズドン!ズンズズウゥゥゥンッ!!!!



 その後しばらくの間、八景島・・・・いや、三浦半島全域に物凄い衝撃音が響き渡った。










 一つ言い忘れていたが、この浮遊大陸を創造した理由の大半が周囲に被害が及ばない為ではあるが、残りは、



 “私的な”理由を含んでいたからだ。











 奈々のデートタイムが過ぎた後、デートを待っている実央、唯、エリ。そしてデートを終えた巴と奈々のグループで集まり、ガールズトーク中。

「「「「勝負!やっぱりやってたの!!?」」」」

「・・・・・・・まあな」

「?奈々にしては歯切れ悪い返事だね。負けたとか?」

 唯の軽い気持ちでの質問に対し、



「いや、勝ったぜ?」



「「「「・・・・・それだけ!?」」」」

 奈々のあっけらかんとした勝利宣言に全員が呆けてしまった。

 そしてあのギラが奈々に負けてしまうことにも驚きだった。

「勝ったし納得もしてんだけどな。けどなんて言うのかな~・・・こう・・・・」

 言い表そうと頭を捻っている奈々だが、知恵熱が出るだけで全然ピンときていない。

「・・・・・しこりが残ったような感じ?」

 とエリが言い当てる。

「そう!それなんだよ!!」

「何があったの?」と実央。

「それは言えない!!」

 巴とエリに教えなさいよ~とベタベタ詰め寄られるが奈々は頑なに答えようとしない。

「ところで、ヒナと好華知らない?」

「なんかあの二人、頼みたいことがあるってギラから連絡がきて南のエリアの方に行ったらしいよ?」















 奈々のデート終了10分前の巨大装置の上にて。

 互いに攻撃してできた傷を二人同時に治癒力を倍に促進させているギラ。

 もう半分以上も完治して、治癒による痛みも和らいできた頃、噛みしめていた濡れたタオルをとってギラはあたしに話しかけてきた。

「唯たちとの情報共有力を知った上で頼みたい。奈々、さっき見た“あれ”はまだみんなに言わないでくれ。いつかは知ることになるが、今は言わないで欲しい」

「・・・・・、」

「納得しないのも分かるが、その為にも俺はちゃんと・・・んむっ!?」


 寝たきり状態で頼み込むギラに、あたしは追い打ちのキスをして黙らせた。

 そして、唇を離し、


「納得してるからよ。秘密は守るから安心しなって、未来の旦那」


 と、微笑みかける。


 これにはさすがにギラもきゅんとしたらしく。

「・・・・・まだ決めてもいねえのに・・・!奈々のくせにやるじゃねえか・・・!」

 ちょっと悔しそうでもあり照れてもいるそんな彼をあたしは初めて可愛いと思い笑った。

「にひひっ。そういや“秘密”を知ったのってあたしが初めてか?」



「いや、お前で二人目だ」

「!?」







 そしてガールズトークの現在。


「・・・・・こんなしこり、嫌だっつーの」

 複雑な心境をお抱えの膨れっ面奈々であった。











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