40発目 これさえ言えれば万事解決!とはならかったよ・・・・。
東京湾に位置し神奈川の海岸辺りにあるホテル。
一行が海水浴を済ませて、荷物をまとめた後に宴会場にて食卓テーブルに座っていた。
「え~・・・まあ、海の公園で何やら騒ぎがあったかもしれないですが、とりあえずみんな別に何事もなかったようで何よりです。それでは!一斉に~・・・」
「「「「いっただっきま~すっ!!!」」」」
臨海学校一日目の終わり、夕食は定番と言えば定番、バイキング形式だ。俺も大概だが3組の奈々は予想通り自分の皿にたくさん積んで豪快に食い散らかしている。
「んがががががががががががっ!」
「もごごごごごごごごごごごっ!」
気分的にノって俺もご一緒した。
1、2、3組それぞれに属する“B”のメンバーたち全員が食事を楽しんでいる。だが、そんな俺、彼ら彼女らの楽しみは食事にあらず。その後の行事であった!
夕食時間が終わった後、宴会場に全員そのまま残り、
「ではみなさんやってまいりました!クラス混合!カラオケ大会~!!」
「「「「「YAHHHHH!・・・・・・あり?」」」」」
せっかく待ってました感を剥きだしに興奮して盛り上げの反応をしたのに、途中で止まったのは俺やメンバーたち以外の1年共がず~んと沈んだ表情になっていたのだ。ヤダこれ、俺達だけ盛り上がってて恥ずかしい!!いやん!!
「おいちょっと!せっかくのカラオケ大会だぞ!?ここで盛り上がらないのは失礼でしょうが!!」
宮田先生の意見ももっともだ。だがしかし、俺達以外の1年生諸君の反応はというと。
「カラオケ?歌いたくね」
「正直この臨海学校で一番やりたくなかった行事だわ~」
「んなもんプロに任せればいいし」
「どうせ歌下手でした~なんての嫌だし」
「早く部屋に入ってイイ人とお喋りしたいし~」
「私吹奏楽部に入ってるけど歌うのは邪道だよね~」
う~む、ドライ過ぎる。これだから新世代の子供ってのは・・・・。
あと最後の奴、音楽関係者だからって遠慮するなとまでは言いたくないが“そのセリフ”だけは良くないぞ。
そういや音楽の選択授業でもいつもこいつらの一部がやる気も全くないしな。
新世代のガキ共のせいでこの場は昼間の海水浴の盛り上がりから一転、底なしの盛り下がり状態だ。
・・・・・・・・・・・・気に入らん。
「あ~、・・・・・・・で参加したい方はいませんか~?なんて・・・・っうお!?」
「冷めてる。冷めすぎなんだよ!てめーらぁっ!!!」
担任が持っていたマイクをバシッと無理矢理奪って、俺は16歳の小僧共に一喝してやった。
「歌が下手なのが嫌?プロ任せ?やりたくなかった行事?歌は邪道?い~やっ!俺に言わせれば、お前らのその冷めた態度を夏場で取る方が邪道だっつーのっ!!」
〈・・・・・あれ?俺達同学年の奴に、怒られてる?〉と一年生たち。
「昼間の海水浴の時なんかもう獣剥きだしでナンパしまくっていたくせに!特に1組男女ぉっ!!」
名指しされたクラス全員がドキンヌ!
「お前らこの行事の重要性に気づかないとは笑止!歌だってな、彼氏彼女を手に入れられるチャンスの場でもあるんだぞぉっ!!」
〈・・・・いや、初めて聞くけど?〉
「元々歌に興味がなかった男女が恐る恐る歌うハメになっても、歌っていくうちにお互いの魅力に気づき!惹かれ合い!晒しモノの場が出会いの場へと変換できるんだぞぉっ!!そして!海水浴で見事恋人関係を結んだ我が2組男女たちぃっ!!」
今度は俺のクラス全員の祝リア充共がドキンヌ!
「この結ばれたリア充たちに祝福を!だがしかし!諸官らの中に、寝床のみがお互いのスキンシップを上げられるチャンスと考えている者もいるだろうが、それでもまだまだ浅知恵である!このカラオケとて、スキンシップならぬ、勝手ながら言わせてもらおう!“ソングシップ”を上げることで!お互いの心!絆!体!これらの距離を縮められるのだぁっ!!」
〈あれ?・・・いつから俺達、士官になったんだ?〉
誰もがそう思ったが、口にしたらもっと面倒になりそうだったため誰も言わなかった。
「まあそんなお前らへの“餌”に関しての話は置いといて」
〈“餌”って!!?〉
「“歌”をもっと楽しめ!!こんの若造共ぉっ!!!」
「「「「「「お前も若造じゃん!!」」」」」」
これだけは流石にツッコんできた一年生たち。
だが俺は“本当のこと”を知らない連中の指摘に意に介さず、マイクをマイクスタンドに付けてカラオケのディスプレイを操作して予約した。
「「「「「「聞けよ!!」」」」」」
無視されて叫ぶ一年生ズ。
最初の曲はもうこの場で決めた!
まず盛り上げるには派手で前向きな曲でなきゃ意味がない!
最初を引っ張るには俺一人がまずやらなければ!
だが普通のカラオケから出る伴奏じゃ物足りない、楽器が必要!
用意も実行も俺自身でできる!
俺は必要な楽器をさっそく創造して用意した。
「「「「エ、エレクトーン!!?」」」」
そう!歌いながら自らエレクトーンで弾く!これぞ曲にノる俺の醍醐味よぉっ!!
「歌いたい奴は絶対にノれよ!この曲に!!」
『げんきOK!』
まず指鳴らしで四拍子!カラオケ機からの音楽も始まり、そして俺によるエレクトーン伴奏!
♪ミ~ラ~レ~ソ~ファっファっ♪
[♪俺による1番歌唱中♪]
一年生ズのまずまずの反応。
「こんな曲あったか?」
「さあ聞いたことねーけど」
「あ、私知ってる。ひいおじいちゃんが昔音楽教室で歌ったことあるって言ってた・・・」
「え?ってことは21世紀初頭辺りの曲ってことか!?」
「しっかしあいつ伴奏もできて歌も歌えるってどんだけ!?」
音楽は伴奏もあってこそ!その伴奏がしっかりできなきゃ損だからな。“本当の幼少期”では俺はそういうことも気づかず音楽教室に通ってたもんな~。
そして伴奏しながら歌を歌っている俺を見た一年生たちは、次第に俺の狙い通りに先頭に出た“俺の切り込み歌”が個々の心に響いていった!!
〈あいつ、すっげぇ楽しんでる・・・・〉
「あ、誰かが前に出てたぞ!?」
俺が演奏しながら歌ってる舞台に上がってきたのは、今俺が歌っている曲を前に一度歌った経験があるエリだった。
「私も!」
「OK!!」
彼女が入ってくるのは予想してたんで1番歌詞が終わったタイミングで、俺が先に創造してたもう一本のマイクを彼女に渡し、デュエットを始めた!
[♪俺とエリによる2番歌唱中・途中からエリのソロ♪]
「おお~!お、俺なんか、勇気出てきた!!」
「俺も!歌いたい!歌詞見せてくれ!!」
ちょうど今は伴奏タイム!俺はだんだんノってきた1年生たちにも歌えるよう笑顔で大きいホログラムディスプレイが出るプロジェクターを創造して置いた。
[♪俺・エリ・1年生数人の3番大合唱♪]
曲が終わり、宴会場の雰囲気はすっかりライブ感に包まれていた。
「「「「「「うおおおおおおおーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」
「やる気も出てきたー!!」
「小・中学の音楽の授業が懐かしいな~・・・」
「よっしゃー!俺『打上花火』を予約して歌う!!」
「なら私は『ライオン』を!みんな歌おうよ!」
よっしゃあ!流れができた!
ただ、今二人が言い出した曲をそれぞれ予約した後さらに一曲入れているエリの姿が。
「お前、何予約した?」
「にひっ、『個室カーテン』出してくれる?」
さて、予約した。
まだ夏は終わらないのに夏が続いてほしいと願うとある2組のカップル男女二人によるデュエット。初めて彼氏彼女の関係になった二人の初々しさが入って、甘酸っぱい雰囲気がまた良かった!ナイス!末永く爆発しろ!
次に、生き残り続けたい3組女子二人によるデュエット。しかし、彼女たちの声一つ一つがそれぞれの意中の人に向けているような感じがしてより曲の感度が素晴らしい物になっていて素晴らしかった!おそらくまだ想いは成就していないのだろう。届くと良いな、今の歌に乗せた愛が。
二つが終わると今度の曲は、
『Supercalifragilisticexpialidocious』
だった。
〈え、誰?これ入れたの・・・〉
舞台に現れし挑戦者は真っ白なドレスを着て白の帽子を被りヘッドセットマイクを付け日傘を持ったヒナだった。よく見ると、さらにバックには五十嵐・剣・剛・奈々・唯の5人が身なりをあのシーンに合わせ、それぞれタンバリンや太鼓にバイオリンなどの“あの楽器”を準備していた。
〈あれ?ヘッドセットマイクなんてあったっけ?〉
もちろん用意したのはオ・レ・だ☆
これを一計したのは他でもない、エリだ。
『私だけじゃなんか悪いし、ヒナたちとも歌ってあげてよ』
さすなうエリ・・・いや、さすなう陛下。
[♪ヒナのソロと剛たちの中継ぎ♪]
俺もヘッドセットマイクを付けカンカン帽を被り水色蝶ネクタイに白カッターシャツ、ワインカラー・赤橙・オレンジ色の縦縞のスーツ、白手袋、白ズボン、水色靴下、白革ブーツに身を包んで杖を持って登場だ♪
[♪俺のソロからヒナとでダンスをしながらデュエット、んでまた剛たちの中継ぎ♪]
そして途中、ヒナが歌おうとしたところで、彼女と同じ格好をした好華が割り込み歌い始めた。
彼女も負けじまいとの思いがあっての行動なのだろう。
彼女の割り込み参加にちょっと口を尖がらせるヒナもかわいいもんだが。
[♪好華・俺の順でソロ、そしてヒナも加えて三人でダンスをしながらトリオ♪]
そして、ヒナの背中を枹で「For example,(例えばね、)」とつつく剣。
「I said it to me girl,(ある女の子にそう言ったら、) now that child is my girlfriend.(今じゃその子は俺の彼女だ。)Well, I'm lying about the circumstances.(まぁ経緯に関しては嘘だけど。)」
あのシーンのオマージュか、それとも剣が口にした最後の一言が本当にイラっときたのか、使っていたタンバリンで彼の頭を叩く五十嵐。
「But it's still the greatest joy.(でもやっぱり最上の喜びであることは変わりないさ。)」
それで、叩かれてもなおありのままの答えを返して彼女をデレさせる剣。ヒューヒュー!!アツいぜこんちきしょー!!!
[♪溜めからのリズムアップ歌唱!♪]
そして締めくくりの~、
♪ラドシラドソソミソソ♯ラシドードッ♪
観客からの口笛や拍手が鳴り響く!!
最高に盛り上がっていったカラオケ大会は、その後もこのノリで続き、終わりを迎えた。
一部ではこの間にカップルの成立もあったようだ。はははっ、おめでとう!爆発しろ!!
各部屋に分かれていった一年生ズは、手早く風呂を済ませ、俺が思った通りにそれぞれお目当ての別の部屋に入ったりで大騒ぎ!
今日の流れでチャンスを失って出会いを求める者、一緒になれてさらにスキンシップを上げようとするカップル、あわよくば“その先”へと考えるカップル、様々な思惑が錯綜する中、俺はのんびりとその様子を眺めながら浴衣で『僕でありたい』を鼻歌で歌いながら廊下を飄々と歩く。
そんな中、一番動きそうな女性たちはというと。
2組では、エリ・クレア・ヒナ・好華の部屋割りになっており、別の部屋だった唯も加わって一つの部屋で話し合いをしていた。
「諸君。一応確認したいけど、ギラへの夜這いを考えてる子は挙手をお願い」
ばばばばっ。
そして言い出しっぺのエリもばっと挙手。
「うん。LUMEでも確認したように奈々・実央・巴も『YES』って言ってるから、とりあえず全員ね」
「やっぱそうだよね~。でも消灯時間までまだ時間あるし、色々と考えてみる?」
「う~んギラってこういう時に限って一人の時間を過ごしたいって言いそう」
「さすが童貞119年の鏡って感じだな」
「だけど女子でこの時間を楽しむのもいいんじゃないかな?トランプもジェンガも持ってきましたよ?」
ヴヴヴッ。
「あ、巴からメッセージ・・・」
『緊急!緊急!我々は出し抜かれたし!』
ネグリジェ姿のラスティとロザリアに腕を絡められているギラの後ろ姿画像が添付された。
・・・・・・・・・・。
〈しまった!伏兵がいたか!!〉
ギラサイド。
「お前ら、どうやってここを割り出した?ストーキングをしていなかったのは確認済みだぞ?」
「へっへーん、今日ここらで学校団体が泊まってないかを検索してみたのよ」
「そしたらピンポイントであんたの学生の誰かがブログやってて、ホテル名を書いて更新してた奴がいてね。ブロガー名は“シコツ”だってさ」
あ、それヒナが最近始めたブロガー名じゃん。
つまりあいつは意図せず競争者に手を貸していたことに?なんて間抜けな。
そんな墓穴を掘ったことを知らない本人はというと。
「マズい。あの二人は初夜を迎えてない分、今夜の独占欲はより強いものになっているはず!一体誰がこの場所をバラしたっていうの!?」
「そんなこと言っても始まらないわ!まずあの二人が独占することだけは阻止しなくっちゃ!」
唯たちと一緒に現場へ急行していた。
「本日の杉田義羅はそんなサービスしないのでご了承下さい」
「「レンカレ対応!?」」
んなホイホイと大人の階段をさらに踏んでたまるかって話だよ、全く。
「いいじゃんか~。彼女たちとは“もう”済ませてるんだろ?あたいたちだって添い寝する覚悟はできてんだぞ!?」
うっ、そう言われると困るな。第一あいつらは・・・・。
「今私たちの部屋に来ればもれなくダイナマイトなお姉さんとピチピチの同年代たちとのハーレムな一夜を過ごせるよ~♥」
くそっ、めんどくせー新世代のガキはここにもいたか・・・!
「女に飢えてるのは自分でも理解してる。だからといってそんな簡単に相手に初夜を迎えさせるワケにもいかねぇって。たしかに“済ませた”ことは事実だけどよ?まずあいつらの誰とも“彼氏彼女の関係をはっきりさせて”ないんだぞ、俺は」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「「え?つまりあんたら付き合うとかそういうのをすっ飛ばして体だけの関係を築いちゃったわけ!?」」
・・・・・今自分で言っててなんだが、・・・・恥ずかしい。
そして、そんなやり取りを後ろの物陰で聞いてた巴も、〈そうだった・・・・〉と恥ずかしがる。
しばらくした後、
「巴ちゃん!ギラは?」
エリたちがたどり着いたころにはその場は巴一人だった。
「みんな、今日はそれぞれの部屋に戻った方が得策かも・・・」
「「「「「何があったの!?」」」」」
「なるほどな。今の関係の負の面を気にしてお前は逃げてるってことなのか?」
「・・・・う~ん、逃げてるって言われるとなんだか複雑な気持ちがするな・・・」
俺はラスティとロザリアを一旦部屋へ追い返して、剛がいた元々割り当てられてた部屋に戻っていた。
「ところで浴衣を着てるのは旅行気分を味わいたいからか?」
「いや、普通に俺の中で和服が普段着として定着してるからだ」
就寝時間は各自普段着ということになっている。なのでこの行事浴衣なのは俺くらいだろう。
「でもお前、傍から見たら絶対その気で着てると思われるのは間違いないぞ?」
「たしかにそれは必然だ。だけどな剛、他人の評価をいちいち気にしてちゃ、人生÷2で楽しめなくなるぞ?」
「まあそれもそうだな。・・・・いや待て。お前俺の二つ名変わっちゃうのを気にしてネットに自分で書き込んでただろ。他人の評価気にしまくりじゃねえか」
「ちぇっ、忘れてなかったか」
まあとりあえず、俺は海水浴やカラオケでも平気な態度だったことと偉そうにカップルについて熱く語っていたことを振り返っていた。
〈ちゃんと誠実にと言いながら、いつの間にか俺の中では大人の一線を越えたことが一歩先に行ったと優越感を覚えていたんだな・・・・〉
そのことに気づいた俺はさらにショック。
所詮、俺も男の性には耐えきれないってことか・・・・?
全員集合したギラ杉ガールズサイドは。
「・・・・・それにしてもそっか~、ギラがそんなことを・・・」
「たしかに、私たち共有するとか言って今の関係をはっきりしてなかったね・・・」
「体だけの関係・・・、所詮あたしたちはビッチだったってことか・・・」
「この際改めてギラに詰め寄らないと周りの評価も見えてこないわね・・・」
「ああ~、思い返してみると私たち体関係だけで安心してたと思うと・・・・」
「「「「「「「「すっごい恥ずかしい!!」」」」」」」」
「どうしよう、こんなのエスペランサにいる同僚に知られたらどんな辱めを受けるか・・・!」
「うん!クレアちゃんの為にも、誰がギラの公式的な彼女か決めないと!正妻選挙みたいに!!」
「「「「「「うん!賛成!」」」」」」
「え、待って。この流れだと私が公式彼女じゃないことが必定じゃ・・・」
「じゃあ公式的にギラの彼女になりたい人は~?」
「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」
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「・・・・・それにしてもそっか~、ギラがそんなことを・・・」
「たしかに、私たち共有するとか言って今の関係をはっきりしてなかったね・・・」
「体だけの関係・・・、所詮あたしたちはビッチだったってことか・・・」
「この際改めてギラに詰め寄らないと周りの評価も見えてこないわね・・・」
「ああ~、思い返してみると私たち体関係だけで安心してたと思うと・・・・」
「「「「「「「「すっごい恥ずかしい!!」」」」」」」」
「どうしよう、こんなのエスペランサにいる同僚に知られたらどんな辱めを受けるか・・・!」
「うん!クレアちゃんの為にも、誰がギラの公式的な彼女か決めないと!正妻選挙みたいに!!」
「「「「「「うん!賛成!」」」」」」
「え、待って。この流れだと私が公式彼女じゃないことが必定じゃ・・・」
「じゃあ公式的にギラの彼女になりたい人は~?」
「「「「「「「「はい!!!」」」」」」」」
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「・・・・・それにしてもそっか~、ギラがそんなことを・・・」
「たしかに、私たち共有するとか言って今の関係を」
「ってちょっと待って!!?さっきから無限ループしてない!!?口だけで全然前に進んでないんだけど!!?」
とツッコミで無限ループを断ち切る唯。
「仕方ないよ。みんな想いは一緒だし、今更その座を争うって気にもなれないし」とヒナ。
「そしてあれよあれよといつの間にか消灯時間迫ってるし」と投げやりに言う巴。
「うっ、このまま何もしないままは嫌だな。じゃあ非公式の学校行事らしく枕投げで買った奴が公式彼女でどうだ?」
とりあえずな解決策を出す好華。
「そんな安直な方法で決めて良いのかな・・・?」と実央。
「ちょ~っと待ったぁっ!!もっと大人っぽく、女のプライドをかけるに相応しい方法でやろうぜ!!」
突然叫ぶ奈々。
「?それって何?」
ヒナの質問にビシッと答えた奈々の目は純真だった。
「野球拳だ!!!」
口にしたことは破廉恥だったが。
「「「「「「「破廉恥な!!!」」」」」」」
そんな大人っぽさいらない!たしかに女のプライドはかけることになるかもしんないけど!!
「けどよ、みんな経験あるだろ?25発目で」
「いや、あれはいつの間にか飲んじゃってた酒の勢いでだし・・・・」とヒナ。
「野球拳といえばギラってジャンケン強かったよな~」と好華。
「その線で考えればこの方法もありかもね」
「だったら早くやっちゃおうぜ!どうせみんな夜這いの為に上着の下はもう“勝負下着”しかないんだろ?」
〈ぐっ、その線では奈々と同じ思考っていうのもなんか複雑だ・・・・・〉
言われた側全員がそう思ったため何も言い返せずにそのままの流れになった。
「「「「「「「「そいじゃあ!アウトぉ!セーフぅ!よよいのぉ!!」」」」」」」」
この時、“ジャンケンが強い奴を決めるだけなら脱ぐ必要はないだろ”的なツッコミは、その線での思考が奈々並みになっていたことと大人の階段を一歩でも上がってしまった経験が相まって、誰の頭にもよぎりさえしなかった。
消灯時間ちょうどの頃。
「こらー!もう消灯時間ですよー!みんな自分の部屋に戻ってー!」
3組担任の蜜森先生が見回りを始めていた。
まったく、最近の学生って本当に夜更かしを平気でやっちゃおうとするんだから。それにさっき男女同士がキャッキャウフフしてたけど・・・、“その線”はないわよね?私の高校じゃこういう行事の時わざわざそんなことがあって“ああ~なんて破廉恥な!”なんてことがあったけど、共学じゃそうそうないに決まってるわ。
ちなみに蜜森先生は、お嬢様学校育ちである。
ぎゃーぎゃー。
ん?ここの2組の部屋、ちょっと騒ぎ過ぎね。注意しなきゃ!
ガチャ!
「こらー!いつまで騒いで・・・」
「「「「アウトぉ!セーフぅ!よよいのぉ!!」」」」
元々この部屋にいるブーリンさんに別の部屋なはずの原賀さん、4組の渡辺さん、3組の北野さんがベッドの上ですでに下着姿で野球拳をしていた・・・ですと?
よく見るとベッドの影に隠れる4人が。脱落者のようだ。
うちの生徒が、イケない大人の遊びをやっている!!?
「はっ・・・・ビッチですわ!!!」
蜜森先生が予想をはるかに超えていた状況にツッコミを入れたことにより、野球拳王決定戦は無効となった。
少し前に戻って、ギラは。
「うっひょっひょー!あいつらまさかこんなところまで来て野球拳を自律的にやり出すとは。いよいよ変態の烙印が広子だけじゃなくなってきそうだな~」
感知能力の悪用でガールズたちの様子を見て堪能中。
「いちいち声に出すなよ。嫌でもこっちだって気になるじゃねえか・・・」
「ごめんごめんて。今度感知能力使ってアンリのヌードイラスト創造してやっからよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・断る」
今の間は見逃さねえぜウブロコモよ。
「あ、そういえば剣はどうしてる?」
「五十嵐と狭い風呂場でせっせっせーのよいよいよい」
「あ、そう・・・・・なぬっ!!!?」
「「鈴村うるせー」」
先に寝ていた同じ部屋割りのクラスメイトに文句言われた。
「まさかあの二人がそこまでとは・・・」
「だろ?あいつら俺以上にリア充してやがるんだぜ」
「いや、それでも二桁いってるお前に比べれば・・・・・・・まだまだだね☆」
「唐突にカッコつけんな。お前のビジュアル的には絶対あの世界には入れないからな。『だね☆』なんて二度と使うんじゃねーぞ」
「それ言ったらお前だってカッコつけてるだろ」
「へ?」
突然の指摘に思わず間の抜けた返事をしてしまった俺。
「だってお前、エリが提案したハーレム計画に最近軟化してる手前、ここで誰かを公式彼女にしたらそれこそ他の想ってくれている女の心を傷つけるって考えてるから逃げてきたんだろ?しばらくは誰とも付き合わないって春の学校で公言しまくってたのに付き合うとかすっ飛ばして大人の階段を上っちゃって、自分は女に飢えてる狼だとか言っておきながらハーレム計画に対して抵抗してます~みたいな感じでカッコつけてるしよ」
「・・・・・お馬鹿なお前が、そこまで思考を巡らせていただとぅ?」
「一言余計だなオイ!!」
だが、剛の言う通りだ。
俺はそこんところに関しては正論を言ってるつもりで結局は逃げてるだけだ。
本来俺があいつらの誰かから選んで付き合うのだろうが、エリの提案で口で良くないとか言っておきながらうまく逃げ続けているなんて甘い考えをしている自分がいるのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「っはは、やっぱ恋愛は難しいわ」
「今更かてめー」
そして、夜中0時を過ぎた頃。
2組の唯がいる部屋。
ガチャっと入るのは抜き打ちチェックの宮田先生の姿。
生徒はみんなベッドで寝ている。
その中から唯一人を抱き上げて、ベッドには持ってきた代わりのそっくり人形を置いていく先生。
そしてそのまま唯を担いで部屋を出ていった。
3組の奈々がいる部屋。
ガチャっと入るのは抜き打ちチェックの宮田先生の姿。
生徒はみんなベッドで寝ている。
その中から奈々一人を抱き上げて、ベッドには持ってきた代わりのそっくり人形を置いていく先生。
そしてそのまま奈々を担いで部屋を出ていった。
4組の実央がいる部屋。
ガチャっと入るのは抜き打ちチェックの宮田先生の姿。
一応ベッドには入っていたが生徒たちはまだ眠りについていない。ある3人の女子生徒がこっそり毛布から覗いてみると、実央一人を抱き上げて、ベッドに持っていた代わりのそっくり人形を置いていく先生の姿を目撃した。
〈え?どういうこと!?ええっ!?えええええええええええええええええええええええええええええ!!!?〉
声に出さずに驚く三人。
〈へ?な、何で宮田先生が、私を!?え?担いで・・・・えええええええええええええええええええええええええええええ!!!?〉
そしてその教師はそのまま奈々を担いで部屋を出ていった。
1組の巴がいる部屋。
ガチャっと入るのは抜き打ちチェックの宮田先生の姿。
灯りはついており、女子たちはジェンガで夜更かししていた。
「こらー!消灯時間はとっくに過ぎてるぞー!」
「「「「は、はーい!」」」」
慌ててベッドに潜り込む生徒たちの中から、巴だけを毛布でくるめて、持っていた代わりのそっくり人形を置いていく先生。
「え?いやちょっと何・・・・・を・・・?」
何かを言いかけた巴だったが、先生が見せた弾丸に反応して納得したようで抵抗もせず、されるがままに担がれていった。
「え?あの、細川さん?先生!?」
呼び止める他の女子生徒を無視し、部屋を後にする二人。
そして2組のエリたちがいる部屋にて。
唯・奈々・実央・巴を担いできた宮田先生がのそっと入ってきた。
「え?あの・・・・先生?」
クレアは突然やってきた担任に聞くが彼は無視する。
ベッドに寝かせたことで唯と奈々はようやく目を覚ました。そして宮田は、体に電流を走らせてあっという間に本当の姿:杉田義羅に戻った。
「びっくりした~、あなただったのね。てっきりうちの担任が非行に走ったのかと思ったよ」
「まあ、思うところあってな。あ、あとさっきの野球拳、堪能させていただきました~」
女子たち揃って顔を赤らめ口をとんがらせていたが文句までは言わなかった。
「ところで、何で唯たちを連れてきたの?」
ヒナの質問に答えながら俺は窓側にある椅子に座った。
「ちょっと相談するために集めた。勝手で悪いがみんなには今日はここで寝てもらう。眠かったら聞き流して寝て良いが・・・・俺は今」
「そ、じゃ」
バフッ。
奈々だけは遠慮なく寝てしまった。疲れてもう眠かったんだろうけど、ちょっと酷ぇな。
「みんなとの関係を気にしている」
「うん、巴ちゃんから聞いた。でも大丈夫だよ。ギラが誰かと正式に付き合うことになっても今更他の誰も傷つかないって!」
そんな唯のフォローも効かず、俺はまだ思い詰めていた。
そして、あることを聞いた。
「・・・・誰かを愛するって、何だと思う?」
「「「「「「「え?」」」」」」」
「俺はそもそも、真里さんとの約束もあって唯たちに押し切られるカタチで“あの夜”を通過した。だがな、俺は本気の“愛すること”を1年半前に泉を失くしたことで何だか分からなくなってたんだ。今はただ受け入れてるまでに至っている」
「「「「「「「『“あの夜”を通過』=“全員を愛する”って意味じゃなかったの?」」」」」」」
「・・・ねえ君たち、それを言っちゃあおしまいよ!?」
ってこら!!それもう既成事実起こしたことで愛情表現って言い張ってる異常者のようなもんじゃん!!全くなんてけしからん受け止め方してるんだか!!
「つまりギラは自分からはちゃんとした愛情表現をしていないから納得できてないってことだろ?」
突然話の核をついたのはベッドで寝ていたはずの奈々だった。
「お前、起きてたのか?」
「だったらさー、明日の時間を使ってあたしたち全員一人ずつとデートしてみようぜ。あたしエリから聞いてるぜ~?昨日の六本木でヒナたちが割り込む前までは二人で良い雰囲気になってたって。デートすりゃきっとギラにとってのみんなへの愛の振りまき方が見つかるって。んでついでに、一番心がときめいた相手を正式な彼女に認定するってのは?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・つまりお前は、俺に過去の恋愛ゲームを見てもありえない計画的なとんでもデート大作戦をしろと?」
「別にバッドエンドを迎えるわけじゃないんだからいーじゃん」
普通そんな女心を無視したクズな考え方、男子サイドである俺が考えるんじゃね?大体みんなだって一日中くらい自分だけ独占したいって思うだろ。
「・・・・良いかもしれないね」とゴクリンコなエリ。
ウンウンするガールズた・・・・・ち?
「はい?」
あ、この流れはあかん。
「「「「「「「その話、のったぁ!!!」」」」」」」
「お前らマジで!!?」
「あ、ロザリアとラスティのデートも追加ね」と巴。
「OK・・・って!ファミレス感覚でデート数増やすなぁっ!!」
こうして杉田義羅は、一日に10人の女性一人ずつとのデートをすることになったのだった。
翌日の早朝。
窓辺にはスズメが部屋の中を覗いてチュンチュン鳴いている。
あいや、ただ寝ただけだよ?
ガールズたちに囲まれながら寝ちゃったけど、せっせっせーのよいよいよいなんて濃厚なことはしてないからね?
とりあえず、俺は自分の部屋に戻らないと。
他のガールズたちは置いてきた人形でごまかせるけど俺は人形を置いてこなかったから誤魔化せない。宮田教師にまた化けて廊下を通過するとするか・・・・・。
その時、変装を済ませて部屋を出た瞬間、早朝チェックをしようとした蜜森先生が立っていた。
「「あ」」
・・・・・・・・・・・・・・しまった。
俺はやってしまった感を漂わせ、
「Supercalifragilisticexpialidocious!!」
と言い残して、逃げ出すしかなかった。
そう、“宮田与太郎”の声と姿で!!
朝食の時間にて。
内容は昨日の夕食と同じバイキング形式だが、宮田先生が回っていると女子たちがヒソヒソと彼を蔑むような目で見ていた。本人は何がなんだかわからず、とりあえず食べ物を取って自分の席に戻ると、今度は蜜森先生が目を逸らしまくっていた。
〈え、何で?俺なんかした?・・・・・・ん?〉
気づくと自分の席の椅子に、誰かからのメッセージが書かれた紙が一枚あった。
〈差出人は・・・・杉田!!?えーっと、何なに?〉
内容は、何故女子たちにヒソヒソされ、蜜森先生が目を逸らしている理由だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
追記はこうだった。
『もしよろしければ、フロントに[杉田への“カミナリプレゼント”]セットを預けてるので、どうかお使い下さい。Supercalifragilisticexpialidocious!!なあ~んちゃって☆』
差出人本人はというと、さっきまでバクバクと食事していたのに、数枚の食べ終わりの皿を残してもういなかった。
杉田・鈴村がいる部屋。
ドアを、
バンッ!!
そして、
ドカドカッ!!
黒ズボンに左腕だけメタルっぽい赤い星のマーク付きの袖がついた黒ベストを着こみロシア軍用ブーツを履きフェイスガードで口元を隠し防弾仕様ゴーグルを装着し、怒り狂ってM203A1グレネード・ランチャー付きM4アサルト・カービンの銃口を向けまくる宮田与太郎のご登場じゃ~。
「杉田の大モテ野郎はどこにいる!?」
ジャカッ!!
「出てこい!!!」
「「うわぁっ!ウィンター・・・・・って宮田先生!!?」」
銃を向けられて慌てる二人のルームメイト。
鈴村は、
「ギラなら元マフィアの女ボスとデートだってさっき出て行きました」
冷静だった。




