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BULLETS(ブレッツ)  作者: 砂川 武
38/63

34発目 仕事熱心なのは結構、でも周りの人との関係も大事だ。





 はいどうも~、前回と同じ時間軸の渋谷だよ~。


 ってちょっと!今回あたし主役なんだからギラは黙ってて!!


 ・・・・・主役だとか、ここで言っちゃって良いの?






 仕切り直して、はいどうもこんちわ~。黒崎好華で~す。

 ただいまギラと一緒に神南一丁目をぶらんぶらん南下しながら現代国語のテスト中。

 もちろん、お互い正体がバレないようスーツを着ている。ギラはトルーパーアーマーにヘルメット、あたしはナノテクスーツにマスクを。

「『進んでいいか退いていいか』は、具体的にどういうことを指しているか?」

「お嬢さんに対する気持ちを持ち続けるか!そして諦めをつけるかである!」

「正解!」

 とまあこんな風に私は自分の弦を建物のあっちに引っかけてはスイングし、こっちに引っかけてはまたスイングするの連続をしながらギラが飛行中に出題してくれる現国の問題を、口で的確に答えていく。別に音楽をかけてるわけじゃないけど、こうしてるとなんかどこかからか聞こえてくるんだ。最近赤くて隣人な蜘蛛人間ヒーロー主役の映画から青く光ってめちゃんこ速いハリネズミの主役の映画に移っちゃったBOPな曲が。

 そして、時々見つける小さいトラブルも解決する。

 例えば、

 たった今過ぎた井ノ頭通り入口の道路で赤信号で止まるはずの車が突然急スピードになり、横断歩道を渡りかけ始めた子供たちにぶつかりそうになっている。おそらくブレーキとアクセルを踏み間違えたのだろう。よくあることだ。私はすぐさま戻って子供たちを拾い上げ、暴走しかけの車体を周りにある標識やら木で私の弦を使って引っ張り地面から浮き上がらせた。

 子供たちを通りに戻し、

「君たち、いくら青信号だからって左右確認で車を警戒しないとダメだよ?」

「「ありがとう、BULLETSのお姉さん」」

「あなたも、ペダル踏み間違えないよう気を付けてね」

「あ、ありがとう・・・」

「それじゃっ」

 そしてその場からジャンプしつつも、車体をゆっくり下ろしつつ弦を巻き取った。

 また時にはひったくられたバッグを取り返したり、薬の取り締まり(ブラッキーとジェイクも暇だったから参加)で逃げ延びそうになったヤクザに弦伸ばしガントレットを一発、電車には特に必要もないので無賃乗車はしないってこのネタわかる? で、出題問題に集中しすぎてスイングに失敗、壁に激突!

「『日ごろここにものし給ふとも見ぬ人々の』、この“ぬ”と同じ働きをする助動詞を上げてみよ」

「“見れる”・・・・・ばぶっ!!」

 それはそれは見事な大文字ができていた、あたしの体で。

「ダイジョブでちゅか~?ばぶちゃ~ん。それともレオタードちゃ~ん?」

 少々からかい気味なギラ。

「・・・・大丈夫」




 渋谷109の屋上にて一休み。

「仮テストは合格。現代文・古文はとにかく余裕だろな。後は漢字関係だな」

「漢字はね~。少し前まで海外で大暴れしてばっかだったからあんまし自信がないね~」

「覚え直しとけよ~。昨今じゃ大人でも日本人ならわかる漢字を忘れたり、“音符”という漢字を音楽関係者が書けなかったり、逆に外国人の方が漢字をより知っていてクイズ番組で日本人が負けちゃうなんてこともあるんだからな」

「あーはいはい。ところで西日本の妖怪の件、本当なの?」

 ここのところニュースでも話題になっている西日本での野生動物大出没が、妖怪による仕業であるとギラと大天狗は推測しているのだと言う。

「ああ、ボニータに偵察ドローンで調べさせたところ、夕べの出没時に取った写真の中にいたぞ?コイツが」

 そう言いながらギラは創造した写真を私に渡してきた。

 写真の内容はこうだ。

 とある村でいのししが走っている。数は4、5頭ほど。一見ただ山から下りてきてしまっただけに見えるが。よく目を凝らしてみると別の生き物がそこには写っていたのだ。

 かわうそだ。

「・・・・ちなみにこの写真はどこ?」

「山口県だ」

「・・・・たしかに怪しいね」

「きな臭ぇだろ?」

 わからないかもしれないが、あたしたちが言うかわうそはあの二ホンカワウソとは違う。妖怪としてのかわうそを言っているのだ。この妖怪はあのきつねたぬきのように人を化かすのだが化け術はあまり良くなく人語もそれほど達者じゃないのだ。

 本来四国の愛媛県にいるはずの二ホンカワウソが中国地方の山口県にいるということは、この獺は妖怪であり野生の猪たちを誘導しているということだ。

「でも何の理由があってそんなことする必要があるのかな?」

「そこよ。妖怪は基本人間を脅かす、または襲うのが普通だ。なのにこの妖怪は超自然的なことを意図して起こさせているだけ。人間に恐怖を与えるのなら直接化かすのが手っ取り早いのにそれをやらないのは何故か?」

「別の妖怪が何かを企んで動物を出没させてるってことか?」

「近いな。それにその別な妖怪はかなり知能が高いと見る」

 ・・・・・・・・本当のところはこんな仕事の話ばっかせず、この状況をもっと楽しみたいという私の乙女な主張が心の奥深くで大声を上げている。だってせっかくの久々な二人っきりというシチュエーション、いくら一人前のくノ一だからって中身は女の子、

「楽しまなきゃ損♪損♪」

「ってこら!あたしの心読まないでよ!」

「俺がこういう状況での乙女心を理解してないと思うか?それくらいお見通しだ。でも仕事中に私情を持っちゃ駄目だ、良いな?」

「う~~~~~っ」

 それは分かってる。分かってるけども~~~~。

「そうむくれるなよ。今俺たちがイチャイチャすれば世のBULLETSファンはもちろん、今俺たちに気づいてる渋谷の仕事早帰りのサラリーマンにOL女、車の運転手たち、主婦さん、JK共、読者たちがリア充なうコールをネット上で連発するんだぞ?」

「何でアダルチック表現混ぜてんの?てか現役JKが目の前にいるんだけど。あと読者は含めんな」

「まあそれら全部を投げれば、俺も楽しみたいのは一緒だ。だから試験終わってから・・・・ん?」

「どうしたの?」

 突然感知能力で何か違和感を感じ取ったらしいギラは、ヘルメットの先を山手線前の銀行に向けていた。

「仕事発生?」と聞くあたし。

「どうやらそのようだ」




 銀行の中では今こんな感じ。



 部下を引き連れながら、銀行内にいる一般人に警告目的でサイレンサー付きのS&Wモデル910ピストルを天井へ向けて発砲する。

「今すぐありったけの金をこのバッグに詰め込んでいけ!!今すぐだ!!!」

 そして銀行員に部下たちがカウンターに置いていくたくさんのバッグを指さしながら指示した。

「「は、はいぃぃぃっ!!!」」

 ついにこの日が来た!!俺たち武利むり越太えった兄弟団が世界へとはばたく時が!!

 三蛇の兄貴が失敗して捕まった日にゃ、夢潰えたとばかり考えてしまった。だがアレらが手に入ったからには百人力よ!おかげで賛同してくれる部下が増えたんで今回の計画を実行することができた。ここでの強盗は計画のほんの一部だ。本命はアレの弟たちがトレーラーで同時に強盗している日本銀行だ。サツは二件も突然しかも一方は物理的ド派手さに驚いて慌てて対応しようとしている頃だろう。



「白昼じゃないけどこんな都市のど真ん中で堂々と銀行強盗とは大したもんだね~」


「「「「!!?」」」」

 部下4名が驚いて入口の方に振り向く。俺も振り向いた。

 入口には、あのイギリスのテレビ中継に出てたトルーパーとくノ一がいた。

 うっかり撃とうとする部下を制する。よく見ると外はすっかり人が遠ざけられていた。サツじゃない、多分この二人がやったのだろう。

 だが、おかげで手間が省けたようだ。

「これはこれは、BULLETSの方が早速ご登場ですか?随分とお早いお着きで。ヒーローは遅れてやってくるのが常套句なのに、あなた方の場合早すぎじゃありませんか?」

「無駄口叩いてないで、諦めて銃を捨てて投降を・・・・・!」

「?」

 フォース・トルーパーが何かを見るように入口の外にヘルメットを回した。くノ一:フィートは分からないようだ。

 何故だか知らないが、彼だけは気づいたようだ。

 ここに現れないはずのオスプレイに!!

「おいおい、一体どこであんなモン手に入れやがった?」

「お前に教える義理はないな」

 そして、だんだん近づき、轟音へと変わるローター音。

 部下が背負っていた防弾盾で防御態勢に入るのを確認して、

「パイロット、入口にいる二人を狙って撃て!!」

 オスプレイには電子・赤外線センサーを使って機内の液晶ディスプレイで角度的に見えない建物の中でも相手を確認することができる。

 パイロットは俺と部下4名、そして指示された二人のターゲットをディスプレイで確認し、狙いを付けた。




「フィート!!回避行動を!!」

「Yes sir!!」



 オスプレイに搭載されているM134ミニガンの銃口から7.62x51mmNATO弾の雨が降り注ぐ。



 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!




 防弾盾のウィンドウを覗いてみると、予想通りあの二人は平気だ。くノ一なんかは全身を紐状にして避けているし、トルーパーはブラスターで弾丸を弾きまくるばかりか後ろにいる俺たちや銀行員、その他の客に万一当たらない様、全弾を見極めて全身を動かし、アーマーを使ってわざと当てて落としている。さすがは“フォース”、忌々しい・・・。だがそれで良い。この弾幕はこいつらを足止めする為だけのものに過ぎない。俺は部下に合図し、詰め終わったバッグを手に固まって移動を開始した。この特注の防弾盾ならミニガンでも多少の無理はできる。鉛の雨でも移動は一瞬なら行ける。

「あ、お前ら逃げんな!!」

 フォースが呼びかけなど無視し、一気に外へ出る。

「収容ができ次第、すぐにここから離脱しろ!!」

 回収用のロープがオスプレイから下ろされ、それを伝いオスプレイに乗り込む。パイロットが全員の搭乗を確認すると、ミニガンの発砲をやめ、機体を右90度に方向転換し、上昇した。

「さあ、弟と示し合わせてから勝鬨橋に向かうぞ!!」





「皆さ~ん!もうじき警察が来ますから、それまでここを動かないで下さいね~!あとそこのアフロ銀行員く~ん。君の行き先は刑務所だ」

 ガチャリ。

「な、何すんだお前・・・・!」

「はいは~い、こういうことするならこんな拳銃モン持ち歩くなよ~」

 コイツ、あの強盗犯リーダーと相槌打っていやがった。おそらく客が一番少ない時期を教えてたんだろうな。んで、あとで分けチクりを貰う。万が一うまくいかなかった場合は自分も貰ったトカレフで人質を取り正体を現して一緒にトンズラってところか?

「つーわけで警察が来たらそのまま受け取るよう伝えとくから大人しくしとけよ~」

 もっとも、コイツのせいで本店ウチが襲われたのかと思いで他の無関係な銀行員たちがアフロを睨んでどこにも逃がさないように見張ってくれるのでこっちはもう大丈夫そうだ。

 よし、あのデカブツを相手にするにはこの国じゃ人手が必要だ。

「こちらフォース。至急応援が欲しい。スターリン、クレア、来てくれ」

『あいよ~、そろそろ連絡が来る頃だと思ってたぞ。ザザッ』

『こっちも上空を飛んでいったオスプレイが気になったものでね。ザザッ』

「・・・・・どっちも雑音が入ってるってことは、飛行中か?」

『『Exactly!』』

 気の回りの早い奴らだこと。都合が良くていいけど・・・・・。

『ところで、どの自衛隊機についていけば良いんだ?』

「は?何言ってんだ?俺が言ってるオスプレイは何にもない黒塗り仕様のものだが・・・」

『何?空自の演習の話じゃないのか?今目黒基地でオスプレイの演習をやってるんだが?』

「何その紛らわしいタイミング!!」

 いや、これもあの強盗団が狙ったタイミングかもしれない。一般人がオスプレイを見ても目黒基地での演習内容を知っている人間がネット上で呟けば警戒もあまりされないからな。

『んで、その何にもない黒塗り仕様のオスプレイを追えば良いのか?』

「そうだ。あと弦が垂れてるのが目印だから」

『『弦が?・・・・ああ、好華がね』』




『欽の兄貴!こっちは脱出はできたんだが、途中うるさいハエがたかってて邪魔なんだ。だから振り払うのにちょっと時間がかかりそうなんだ』

「うまくやれよ。こっちもついさっきハエを振り払ったばかりなんだ」

 あっちではあの八咫烏:ウィングと名前は決まっていない緑色の巫女が現れたようだ。いくらゲリラ連合3000人を相手に戦った奴らだからって、一般人が行き交っているこの国では好き勝手に動けないだろう。

「リーダー!機体のセンサーが反応しています。何かを引きずっているみたいです。窓を見てちょっと様子を見て下さい!」

 何かを?

 俺は言われるがままに窓から機体の下を見てみる。一見何も無いように思えたが、凝らしてよく見ると一本の光る何かが機体から地上へとびよよ~んと垂れていた。

 それがなんなのかを理解をするにはあまり時間を擁さなかった。

「ちっ!あのくノ一か!!」






「で?どんな気分だ?」

「能力向上で昔ほどコントロールは難しくはなくなったけど、やっぱりあたしこの感覚は好きじゃないね・・・」

 ただいま私は、能力で顔と両手を倍にしている。

 一方の顔と両手はギラがジェットパックで飛んで運んでくれている通常の体に、もう一方の顔と両手はオスプレイにしがみついているのだ。で、そこから能力の弦一本で対象の機体に向かって空を移動中だ。

「二つのカメラを同時に起動して監視してるって感じ」

「ほほう、じゃあこんなことされたら、感度も二倍だったりして?」

「んにょおぉぉぉっ!!?」

 この男!あたしの喉元をコショコショしてきやがった!そこ弱いのに!

「ここか?ここが弱点か~?子猫ちゃ~ん」

 あ、ダメだこりゃ。

 今のギラは猫と戯れるお爺さんモードに入ってる。こうなると相手が誰であろうと猫のように扱ってよしよししちゃうのだ。

「や~め~て~~~~~~~~~!」



『『何やってんの?二人とも』』


「っは!!」

 クレアとスターリンがちょうど来てさすがに我に返ったギラ、大慌て。

 イジるのをやめた。助かった~。

「あ、いや!これはっ!!その・・・・・・主従プレイだ!!」

「絞りだした言い訳がそれぇ!?しかもそんなワードをその恰好でよく言い切っちゃったなぁ!!?」






「早くしろ阿㑍《あれ》!!何モタモタしてるんだ!!?」

『奴ら厄介なことしてるんだよ!トレーラーのタイヤをパンクさせて止める気なんだ!っち!黒部の旦那ぁっ!!あいつら叩き落としてやってください!!』

 ブツッ。

「おい、阿㑍!応答しろ!おい!」

 あいつ、無線切りやがった!

 ガガッ!ギギギーッ。

 耳が痛くなるようなその金属が軋む音が鳴ったということは、

 奴らのお出ましだ。

 オスプレイの後部ハッチを無理矢理こじ開け、あの二人が入ってくるなりこう言った。

「「お客さ~ん、搭乗する機体をお間違えではないでしょうか?」」

 と。

 頭にきた俺は奴らにこう言い返す。

「これは俺のオスプレイだ、だからお前らが出ていけ!!」

 そして、H&KモデルHK416を装備した部下4名と共に銃撃を開始する。


 だが、やはりフォースとフィート。

 飛んでいて安定感が悪い機体の中で、どちらもアーマーを着ているとは思わせないほど華麗に弾丸を避けながら距離を縮めてくる。

 すると、部下の一人が全弾を撃ち終わって弾倉を取り換えようとしたその隙を狙って、あの能力者らしいくノ一が“あのゲームキャラ”のように腕を伸ばしてガントレット攻撃をきめてきた。

 部下が一人ノックダウン、そして今の攻撃で他の三人に俺までもがよろめいてしまい、さらに付け入る隙を与えてしまった。

 フォースはその瞬間を逃さず、ブラスターで部下2名を撃ち倒す。俺と最後の部下はなんとか傍にあった防弾盾を拾い上げて攻撃を防ぐことができた。最早躊躇っていられない。何とか弟だけでもこの機体で逃がさなければ!

 俺は防弾盾を構えて二人に向かって突撃した。

「うおぉォォォォォ!!」

 ドガッ。

 フォースに体当たり!・・・・したはずなのにビクともしない。逆に俺が顔を盾にぶつけてしまった。とてつもなくデカい岩を相手にしている気分だ。格の違いを思い知らされた!だがどうでも良い。この零距離を狙っていたのだから!

 俺は隠し持っていた手榴弾 Mk.3の安全ピンをついさっき抜いている。

 そしてそれを前にかざし、レバーを抑えている指を、

 開いた!!



 ・・・・・・・・・・・・・・・。


 え?

 何も起きない?

「玉砕をも厭わないその覚悟、お見事。でもお兄さん、こんなんで命を投げ出すほど、世の中は厳しくはないよ?」

 後ろでは、最後の部下とパイロットたちを能力の紐で縛ったフィートが立っていた。

 かざした手にある手榴弾を確認すると、何かが巻き付いていた。

 弦だ!フィートが出していたのは弦だったんだ!

 奴が俺の指の代わりに弦を巻き付けることで手榴弾のレバーを抑えていたのだ。

 無理だ。いくら何でも鉄の強度を持つ弦を外すなどできやしない。

 そして、手榴弾は俺の手元を離れ、フィートが弦を操って後部ハッチからオスプレイに被害が及ばない距離まで運び、そこでレバーを外して爆発させた。弦は掃除機のように巻き取って自身に戻した。

「あんたのその覚悟、兄弟たちと一緒にもっと世の為になる時に使うことだね」

 グギギギギィィィィィィィィィッ、ボボンッ。

 何だ?この音は!?

「何をした?まさかローターを壊したんじゃないだろうな!?」

「お察しの通りですが、何か?」

 何だこの娘、あっけらかんと抜かしやがって!!

 ガクンッ。

 機体が揺れた!

 落ちるっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?


「“アーマー・トリオ”、あざーっす」


『何の何の~』

『『俺(私)たちを運び役にしたぁ!?』』


 いつの間にか飛び出していたフォースは分かるが、無線越しで喋っているあとの二人は誰だ?

 BULLETSでアーマーと言えば、最近ネット上で名前が決まったアーマー・ナイトにアーマー・ドワーフだ。奴らもたしか飛べていた。おそらく奴らがローター代わりに機体を支えているのだろう。



 一方、壊れたローター部分では。

 エンジンが潰された影響で煙が出ていた。

「「・・・・煙い・・・」」

 それだけで、この二人の仕事に支障はないが。



「二人ともー。あたしの弦、ちゃんと持った~?」

『『ばっちり持った~』』

 よし。あとは二人がオスプレイの尾部と繋げた弦を引っ張りながら警視庁へ運べば一件落着っと。

 強盗団リーダーを縛りあげ、話を聞いてみるとリーダーである彼の名は“きん”で、彼らは武利越太兄弟団と名乗るまだ駆け出したばかりの犯罪グループであり、今回の強盗を経て一旗揚げて世界中で大暴れするつもりだったのだと言う。あれだけの覚悟を見せられるのならもっと他にもできるんじゃないかと思うのだが・・・・。

「にしてもこいつらの装備。駆け出しにしてはエラく金がかかってやがる。こいつはなんか提供者がいそうだな」

「ええ。そこのところはブラッキーに探りを頼まないとね。こっちはもう良いから、フォース。トレーラーの方に行って上げて。ヒナと実央ちゃんが頑張ってそうだし」

「俺が行かなくても良さげだと思うけどなー。もうしばらくお前といるのも悪くないが?」

「いいから行って、トルーパー」

「はっはっは。あいよ、八咫烏!」

 そう言ってギラはハッチからジェットパックで飛び出して行った。

 そんな彼の後ろ姿を見送りながら、

「そうやって早撃ちみたいに女子に気を遣うところに原因があるんだから・・・・」

 と、あたしは呟く。


 すると、欽がふと話しかけてきた。

「お前たちは一体どういう関係なんだ?何やら仕事仲間以上の繋がりがありそうに見えるんだが・・・・」

「別にあんたが知る必要はないよ。」

 知れば普通にリア充死ねを連呼するに決まっている。


「ところでよ、八咫烏ってのは“3人で1チーム”なんだろ?最近お前とウィングの存在しか耳にしないんだが。クロウはどうしたん・・・・ムグッ!?」



「おっとっと、それ以上の追及は禁則事項ってね」

 と、欽の口を弦で塞ぎながら、人差し指を自分の口に当てて言った。





『今日午後夕方頃、中央区の日本銀行・渋谷区の銀行がそれぞれ同時にトレーラー・オスプレイでの強盗被害を受けるという前代未聞の事件が起きました。しかし、駆けつけたBULLETSのメンバー、フォース・フィート・ウィング・名前が決まっていない緑巫女らの活躍により、全員が確保され・・・・』

 と、そんなテレビ放送を見ながら、ニヤリと笑う影が、



「ふふふ、こいつらを利用しない手はないか・・・・」



 そう呟き、左手に持っていた何かをバチバチとちょっとばかり光らせていた。






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