29発目 ガンアクションは何がお好き?ジョン・ウィック?エクスペンタブルズ?
どうも、ペトラ・ロマーノです。
私は現在、東京のとあるアパートでルームメイトの細川巴と一緒に生活をしています。彼女との付き合いはギラが正体を隠して賞金稼ぎトルーパーとして活動していた時期からだ。
暮らしはまあ、当初予想していた1LDK暮らしよりも快適になっている。3LDKですからね!3LDK! 正直日本のアパートといえば1LDKが普通のイメージだと思っていたが、最近では安いアパートでも広々と使えるものなんだなと実感した。 おかげで野宿暮らしだった私もすっかりこの暮らしに溶け込んでいる。そう、ダラーッと。
「ペティー、そろそろ学校に行く時間でしょ? へそ出して寝転がってないでさっさと支度して」
「ほ~い」
私は今、日本の学校に留学生として通っている。大道のおやっさんのコネで。おかげで問題なく入れたのだが、その学校自体が問題を抱えていた。
山茶花高校。去年から共学化したばかりで、元々仲が悪かった男子と女子がお互いに殺意を向けていた。教師陣もこれはどうしたものかと困っていた。
留学したての頃に私も先輩女子陣から男子陣を懲らしめることに誘われたこともあった。でも、私の男女のいがみ合いを見た感想はこうだ。
くっだらない!!!
当然誘いは断った。それどころか男子たちに仲良く接した。初めは男子たちにも警戒されがちだったが徐々に信頼を得るようになり、先輩女子たちからもイジメが少しの間あっても、私は物怖じせずに女子たちとも仲良く接した。今でも文句たらたらな先輩女子はいるが、私の噂が校内中に広まって影響を受ける者が増えたおかげで、男女の喧嘩は減り、校風も殺伐感がなくなって穏やかになった。
「「ペトラ~、おはよう~!」」
「おはよう!」
バイクで通学する私を、学校の校門の前で呼びかけてくれるこの二人はクラスメイトの愛沙と流留である。私が留学して学校の男女喧噪に呑まれずにいた新入生の一部だった女子だ。
ちなみに私もギラと同じで日本国からの特別許可をもらって車・バイクの運転ができるのだ。
さて、上履きを履いて教室に、
バラバラバラバラバラーッ。
・・・・・・・。
「・・・・ねえ二人とも、これは一種のイジメの内に入るかな?」
「「サア、二ホンノコトヨクワカリマセン・・・・」」
「おい、日本人こっち向けや」
この大量のラブレターからわかる通り、私は最近、日本男子及び女子にモテ始めました。
「良いことじゃん!ラブレターを貰えるなんて、男子たちの憧れの的ってことでしょ?」
「しかも同級生の女子にも、銀髪女子はモテるね~」
「こっちは断りの手紙を返すのに必死なのに・・・・、それに私には意中の人がいるってちゃんと書いてるのに、そろそろ噂になってもおかしくないはずなんだけどね・・・」
「「意中の人って、昔惚れていた女が忘れられなくてたくさんの女子のアプローチを受けても断るイケメン男子のこと~?」」
・・・・・私、そこまで詳しく話したことってあったっけ? いや、あったのかな?
教室に着くと、私はさっそく今日来たラブレターの返事を全員分書き始めた。これマジ面倒臭い。でもギラも貰って返事をちゃんと書いているそうだから、私も無下にはできない。まあ全部断るけど。
この二人の中でのギラのイメージは、私をいつでも女の子扱いしてくれる高飛車なアンニュイ系イケメン王子様だそうだ。そんな人間いるのか?という話だが、まあいなくもない・・・・、実際この学校に存在するし。
でも、ギラは違う王子様でもなければ高飛車でもない。それにただ女の子扱いしてくれるというのなら誰だってできる。ギラが他の人と違うのはもっと別にあるし。
「今度その人を紹介してよ、ずっと気になってたし」
「私も~」
「・・・・悪いことは言わないから絶対に会わないほうが良いと思う」
「え~?何々?彼氏を取られたくない嫉妬心?」
「そうじゃなくて、骨抜きにされるから。あのDTに」
「「え?」」
絶対面倒なことになりかねない。
「マドモアゼ・・・ぶぼっ!!」
キラキラした雰囲気を感じ取り、私はその元凶の顔面に飛び膝蹴りをヒットさせた。元凶は教室の壁にビターンッとぶつかるが、すぐ起き、
「ありがとう!ペトラ!いつも君の素晴らしい一撃を僕は毎日快く受け取るよぉ!!」
この調子である。
「その素晴らしい一撃がこの筒から飛び出しても?」
と、私はケースから出したショットガンの銃口を突きつける。
「あ、すいません。あのビリビリは勘弁して下さい・・・・」
そう、この男こそ山茶花高校の王子様:同級生の御影久志である。何でも有名電機会社の社長の息子だとか。だが本人は役者を志していて演劇部で活動中だ。そこまで詳しいワケでもないのだが一応演技を拝見したことはあって一生懸命に演じているのは感じた。その証拠に業界からもたびたび声をかけられてるとの噂だ。でも惜しむらくは、この普段からキラキラ王子様な人が私に惚れてウザいくらいに猛アタックしてくるところが私にとってマイナスポイントだ。少しは自重しなさいっての。
「今日も演劇部での僕の練習を見に来てくれるかな?」
「この前行ったばかりじゃない・・・・。あ、あと私、他に用事ができたから部活以外の日でも空きはないって覚えておいてね」
「っは!!それってもしかして君がこの前言っていた、昔惚れていた女が忘れられなくてたくさんの女子のアプローチを受けても断るイケメン男子と関係アリかい!!?」
「貴様か二人に余計な情報を流したのは」
犯人の頭にアイアンクローを浴びせる私。
「あだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだっ!!」
愛沙と流留も後ろでてへぺろをしている。全く・・・・。
とまあ、こんな調子で私の日常は始まっているのだ。
午前の授業が終わって、食堂で昼食を食べている最中。
「本当なの?その意中の人が他に何人も女子に言い寄られてるって」
「本当。私を入れたら日本語で言う本物の十人十色の女子から猛アプローチを受けてるよ」
「・・・・時々あんたがイタリア人ってこと忘れるんだけど・・・」
「それに、その男ってただの女たらしじゃあ~・・・・」
「それは無い」
「「即答するほど!?」」
・・・・そうでなきゃ、アイツはあんな顔はしない。
渡辺泉の件であの神社で見せたギラの横顔を、私は思い出していた。
「でも、自他共に認めるスケベだし、さらに最近ドSに覚醒したらしいし」
「イケメンなのにスケベ!? しかもドS!?」
「俺様系~?」
「う~ん、どっちかっていうと態度がでかいだけかな? 出会った時もSっ気はあったっぽいし」
「「ますます気になる~」」
「僕も気になるね☆」
出た、ウザ王子。
「君はそんな男にアプローチしているのに向こうはその気になってくれないそうじゃないか。そんなやつ諦めて、僕とロマンチックな高校生活を送ろうじゃないか☆」
「悪いけどお断り。それに彼もケジメをつけて最近は周りの女子のことを考えるって言ってたし」
「そ、それは良かったねぇ~。で、でも、もしフラれたらいつでも僕のところに来てね☆ ね?」
「はいはい。もしそんなことがあって気が向いたらね~」
「ほ、本当に!!?やったーーーー!!!」
嬉しさのあまりなのか食堂から飛び出していった御影王子。
「だ、大丈夫なの? あんなこと言っといて・・・・・」
「大丈夫と言えば、最近物騒な事件起きてるよね~」
そう言いながら流留は食堂の中心にホログラムプロジェクターで映し出されたテレビのニュースを見ていた。
『今朝方未明、神奈川県横浜市の路地裏で変死体が発見されました。被害者は衛象会の暴力団員で死因は首を絞められての窒息死とのことです。しかし凶器が何なのかは警察側もはっきりしていないそうです。ここ数日で起き続けている変死体事件。引き続き市民の皆さんにも注意を呼びかけています』
最近はこんな事件ばかりだ。
「なんか気味悪いよね~」
「でも、狙われてる人って、なんか後ろ暗い人ばっかりなんだよね。犯人って正義のつもりでやってるのかな? BULLETSみたいに・・・・」
「あんなのは正義じゃない」
と、私はそんな言葉を吐き捨てて強めにスプーンを皿にガチャンと置き、席を立ってカレーライスの皿を片付けた。
・・・・嫌なものを見てしまった。
午後の授業も終わり、私は愛沙と流留も所属しているサバゲ部の、校舎から離れた部室にいる。
「ところで本当なの? 今日の対戦相手が菫楼高校のサバゲーチームって」
「う、うんそうなんだ。最近対戦する度に強くなっているって噂のサバゲ部で、ちょうど予定が空いてたらしくて、対戦やらないかって先輩が声をかけたら二つ返事でOKしてくれたんだって。その学校が何か?」
「いや・・・、実はその学校なんだよねー。私の意中の人が通ってるのが」
「そ、それって!昔惚れていた女が忘れられなくてたくさんの女子のアプローチを受けても断るイケメン男のこと!?」
こちらの顔を赤くしている男子は秋山照雄。同じサバゲ部の同級生だ。 反応からわかる通り、この子も私に惚れている。まだ告白すら踏み切っていない可愛い男子だ。
そしてうん、今度は誰だ? 愛沙か?流留か?
「「両方でーす」」とニヤニヤして自白する犯人たち。
「ようし、表でろや」
「・・・・ホント、日本語うまいよね、ペトラさん。やっぱり、その意中の人の影響?」
「まあね。自分で言うのも何だけど、私昔はそれほど明るい性格じゃなかったからね。今思えばそれを変えてくれたのが彼だから・・・・」
「そっか・・・・」
しょぼんと落ち込む秋山君。頑張れ、きっと良い相手が見つかるって。
「ところでその人、同じサバげ部なの〜?」と流留。
「ううん。でもこの道に通ずるやつだから、もしかすると来るかも」
「そのもしかするとが起きたらどうなる?」
愛沙の問いかけに、私はニヤリと笑みを浮かべて答える。
「私の血が騒ぐ」
「「「え?」」」
すると突然バタンッと扉が開いた。
「こらー!!部室で卑猥な話とは何事か!!」
部長の大野先輩が登場だ、って・・・・?
「「「「はい?」」」」
「アレな行為をする時、ペトラのケツが騒ぐという話だろ!!」
「「「何をどう聞けばそうなるの!!?」」」
愛沙たちはシャウトするが、私は。
「そういや私、彼に“イタリアのへそケツ”って称されてるんだった。アハハハハー」
「「「へそフェチ? 尻フェチ? どっちっ!!?」」」
「いや〜遅れてすいません。うちの部員が2名ほど腹痛を起こして急に来れなくなって。だから緊急で助っ人を探すのに手間取っちゃって。私が部長の宮川隼人です。今回はお誘いの対戦をどうもありがとうございます! こちらがうちの部員二人と助っ人の二人です!」
「どうも助っ人の杉田・・・・せいっ!!」
「んな!?」
フラグ回収乙!とギラの顔に跳び膝蹴りをくらわそうとしたのだが、ギラは何もかもお見通し。私の膝をスレスレで避けてそのまま顔をわざとスカートの下に埋めて、そのまま私をがっちりとキャッチした。
やられた。
「ちょ! ギラ、やめてよ! わざとやってるでしょっ! スーハーしないで・・・・んんっ♥」
「はっはっはー、何を言っている? 膝蹴りをかましてきたのは君であろう? 私は正当防衛により偶然こうなっただけである。そう!偶然に! つーわけでむっほほおおーい!!!」
「ちょっとぉっ! こういうのはベッドでやってよ!! 人前でやらないで!! あ、やばい! 感じちゃうっ♥」
「そして私も混ぜろー!!」
「じゃなくて止めてよ助っ人第2号(巴)!!!」
ギラはともかく、巴まで来るとは厄介だこと。
こんな私たちの一部始終を見た愛沙たちの反応はというと、
「「「「へ、変態だああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」」」」
これだ。
「ええ!!? どこ!!?」
と、私を抱えながらびっくりするギラ。
「あんたでしょ!? 何でびっくりしてんの!!?」
と、さっそくツッコむ秋山君。
ただ、反応が少し違う人が一人。
「はっはっは、さすがは“種付け男”だなー」
あ、犯人ミッケ!
「あんたか、“あれ”広めたやつはあああああっ!!!」
「わー逃げろー!」
どうやらギラの異名“天上天下(以下略)”を広めた元凶が相手の部長さんだったらしい。 逃げ出した元凶を追い回し始めるギラ。 顔をまだ私のスカートの下に入れたまま。
「せめて下ろしてからにしてえええええええっ!!!」
「あれが・・・・・ペティが言ってた意中の人?」
「なんか思ってたのよりも斜め上な感じで、ある意味すごい人だね~」
「僕は・・・・・あんな男に負けてるの・・・・?」
さすがギラ。初対面の人からの評価はいつも冷たい。 でもまあ、あんな場面を見れば当然だ。 それでも本人は何事も無かったかのようにうちの先輩方と挨拶をしている。
「おたくのチームが強くなってるのってギラの入れ知恵?」
「そ。時々あの部長に頼まれて指導を・・・お、ペティの同僚か?」
「そ」
「「「ど、どうも~」」」
さっきの場面を引きずってるのだろうか、3人とも顔が引きつっている。
「どうも、初めまして。菫楼高校1年の杉田義羅です。どうぞよろしく」
「今更かしこまっても変態の汚名は消えないと思うわよ?」
巴はナイスな冷ややかツッコミを添える。
「はいはい。それで?俺のことは聞いてるんだろ? 何て聞いてる?」
「スケベ」
「ドS~」
「ルパン窃盗の常習犯」
「ほっほっほー、結構な言われようだー」
「否定しないの?」
「しない」
どこまでも“俺の道”なギラだった。
「それじゃあそろそろ誰か縄解いてくれないかな~? 対戦始めたいし・・・・」
と、縛られてボコボコにされた宮川さん。
一応の確認の為に、私は先輩に聞く。
「じゃあ先輩。今日は“殲滅戦”で良いんですよね?」
“殲滅戦”。
サバゲーの一般的なルールの一つだ。チームを組んで制限時間内で先にどちらのメンバーを倒し終わるかで勝敗が決まる。
「うむそうだ。メンバーはお互いに5名ずつでよろしいかな?」
「あの、一つお願いしたいことが」
「ん?何だペトラ。何か問題でも?」
「いえ問題じゃなく、ルールを追加して欲しいんです」
「「「「???」」」」
一同は何を?という顔だったが、ギラと巴だけは察した顔をしていた。
「ボディタッチありの形式で」
“ボディタッチ”。
仲睦まじい男女が行為の際に体に触れることでお互いの温もりを感じて気持ちよくなるという・・・・
「誰だ、今わざとエロい方向で説明文を連想させたやつはあああああああああああああああああっ!!!」
とりあえず、全員が逃げたので全員有罪。
「ボディタッチという言葉に反応した読者の君も、同じ穴のムジナだぜ!」
と補足しながら俺。
「余計な気、回さなくて良いから!!」
“ボディタッチ(サバゲー上の)”。
普段のサバゲーではトラブルの元となることを考慮し、敵プレーヤーとの接触を禁じている。 しかし創成期の頃はまだそういったルールが無くゴムナイフによるナイフアタックルールが醍醐味でもあったので、今でもコアなサバゲプレイヤーがお互いのチームで了承した上でナイフアタックも体術戦もありにして楽しんでいるそうな。大抵みんなは痛いのを嫌がってしないが。
「さらにもう一つルールを加えて、私とギラ、巴の三人同士だけでボディタッチがあり。この三人が対象以外の敵プレイヤーに触れたらヒットってことでお願いできますか?」
「それならいいが、大丈夫か?怪我とか・・・」
「「「こうでもしないとお互い勝てる可能性が低くなるんでー」」」
(こいつら・・・ガチ勢だ・・・・)
と、一同全員が同じ感想を頭に浮かべた。
「ではお互いに了承ってことで、始めますか!!」
「「「「おお――――――!!!」」」」
みんなが一人一人挨拶を済ませる中、秋山君はというと、
「絶対、負かします!!!」
勇気を振り絞ってギラに指を差して宣戦布告していた。
「ペティー、この子お前に“ホ”?」
「Essato.(その通り。)」
「・・・・参ったなそりゃ」
始めよう!っと思ったのだが、一つだけある大事なことを忘れていた。
「先輩ー、審判役は?」
こっちも5人であっちも5人。じゃあ一体誰が?
「それなら心配ない。ちゃんと頼んでるから」
「どうも、山茶花高校用務員のスタン・クーです。よろしくお願いしごはあああぁっ!!!」
「「「Vola via!!!(飛んで行きな!!!)」」」
ただのグラサンのスターリンだった。
私はギラと巴と揃って彼に跳び蹴りをかました。
「てめぇっ!!訓練やりながら日本で何してるかと思えば!こんなところにいやがったのか!!後からわかったけどお前、カーリンに許可無しに来てるそうじゃねえか!!!」
「いやー、住み込みで働かせてくれって前に使ってた戸籍を見せたらOK貰っちゃってー。この高校結構おじさん好きがいるんだなーって。ほらJKと撮った写真ー」
「「何で生活状況楽しんでんだダンカンバカヤロー!!!」」
「あ、あの~、そろそろストンピングやめてくれない? 顔が変形しちゃうから」
ともかく、スターリン・・・・じゃなく、スタン・クー審判の元、ゲームが始まるのであった。
山茶花高校のサバゲー用の敷地は菫楼高校よりも大きい!ただそれだけである!!
制限時間は1時間!!
菫楼チーム。
「先輩方、良いですか? あの銀髪女と遭遇したらすぐその場を離れて下さいよ。間違いなく先輩たちじゃ太刀打ちできません」
「・・・・そんなにあの“ペトラ”って子、強いの?」
「「いえ、先輩たちが弱すぎるだけです」」
断言できる。何故なら彼女は戦場を住処にしていたのだから。
「「「そんなはっきり言わなくても・・・・」」」
ションボリな先輩たち。頑張れ。
「とにかく、部長さんは本田先輩と一緒に狙撃ポイントにいて下さい。攻撃は俺と巴、そして浅川先輩の3人で行きます」
「あ、でも気をつけてギラ君。向こうにも凄腕のスナイパーがいるって最近噂になってるらしいよー」と、本田先輩が忠告してくれた。
「最近?ってことはあの1年坊主共の中の誰かがってことになるな・・・・?」
「あのー、俺の記憶が正しければ、君も同じ1年坊主なはずだけど・・・・」と、一言の浅川先輩。
「んー多分あの宣戦布告してきた男子君がそうじゃないかな? 意外とミリオタっぽいし」
「そうなると、先輩さんはともかく、あの1年女子二人がよく動きそうだな・・・・どっちも運動に適した体だったし」
「どこ見てたのかな~?どこを」とUZIを向けてくるジェラシー巴。
「やめちくれ~」
山茶花チーム。
「良い?みんな。あの巴って娘とギラとだけは絶対に一人で倒そうとしないでね」
「なら僕が狙撃で仕留めるよ!大丈夫!絶対当てるから!!」
「気持ちは嬉しいけど秋山君、彼には狙撃しても無駄。ちょちょいと避けちゃうから。万が一ギラが狙撃手であるあなたを狙ってこないとも限らないから、私がこうして一緒にいるんじゃない」
『秋山君的にはこのシチュエーションは嬉しいんじゃなくて?ふっふっふー』
「やめて下さい先輩!ところでそっちは守備よくいってますか?」と、顔を赤くしながらも状況確認をする秋山君。
『順調だ。今のところ相手はまだ・・・・・いや!走り出した!!杉田が一直線にこっちの狙撃ポイントへ向かい始めたぞ!』
「わかりました!ギラはこっちで対処します!他のみんなは指示通りにお願いします!」
『『『了解!!!』』』
ギラの戦闘スタイルは基本アタッカーだが、時に他の役割もこなすことだってできる。だが、最も危惧すべきなのは、どう戦ってくるかだ。
さあてギラ、どう出てくる?
双眼鏡をのぞくと、先輩が言った通りギラは真っ直ぐ走ってきていた。秋山君もシュタイヤー・モデルHS.50ロング・レンジ・スナイパー・ライフルのスコープに彼を捉えてさっそく狙撃しはじめた。
しかし、案の定避けまくるギラであった。
「あれ!!?」
秋山君も驚く。彼も決して狙いが不正確なことはない。現に彼の狙撃の腕の良さは噂される程になっている。ただ相手が悪いだけなのだ。
よーし、このまま突っ込んで相手の狙撃手を・・・・!
『メーデー!メーデー!!ギラ!あの二人女子、思ったよりも面倒なやつらだった!!!』
「面倒って何がだ?」
一応公平の為、俺は感知能力を使っていないから何もわからない。一体何があったんだろう?
『『あの二人、木を伝って移動してた!!』』
「ぶほっ!!」
思わず噴きだしてしまった。それ俺が以前使った戦法じゃん!!
『とにかく一旦戻って!!こっちの狙撃ポイントに行かれた!部長さんと本田先輩が・・・・』
『『ヒット!!!』』
あららー、やられたか・・・・。
『どうする?ギラ君・・・』
「仕方ないっすね・・・浅川先輩は前進を、巴は例のポイントで待機」
『『了解!!』』
「杉田さんが引き返していきますよ。やりましたね!ペトラさん!!」
「うん、ここまでは順調」
愛沙と流留は中学時代陸上部だった元体育系女子だ。私は二人の体力を活かして敵の懐へ瞬時に潜り込ませて混乱を招き、それに乗じて狙い撃ちをして相手を倒していく戦法を得意としている。今回はギラも二人が体育系だということは気づいてるであろうことから、木を伝って移動するよう二人に指示を出しておいた。ギラにはこれくらいトリッキーな作戦でないと勝てない。
『じゃあ私たち、今からこっちの狙撃ポイントからそっちに向かうね!』
『あの変態男さんに私たちの歓迎を送っちゃお~』
「お、おお・・・。呼び方はともかく、私と先輩の援護も必要だから合流してから攻撃してね・・・・」
『『は~い』』
「それじゃ、ここお願いね秋山君」
「はい!お任せを!!」
とりあえず私も前進だ。
『二人とも気をつけて。ギラはこういうピンチな時ほど厄介になるから』
「例えばどんな~って・・・・」
私、古賀流留はもっとよく考えれば良かったなって後で考えることになる。
木を登れるのは自分たちだけじゃないと。
『ああ~んヒットおおっ♥』
ナニがあった?
今の無線越しの声は流留だ。多分ギラの仕業だろうけど、一体ナニをしたんだ!?
「ねえ!今の流留なの!?」
『多分ギラがやったと思うから、愛沙!あなたも危険だから早くこっちに戻ってきて!!』
「わかったけど・・・・んんっ!!?」
何かが聞こえてきた。怖い存在が高笑いをして相手をビビらせる不気味な笑いがだんだん近づいてきていた。すると、私、今川愛沙と流留と同じように木を伝って追いかけてきた杉田が迫っていた。
「ふはははははははははははははははははははははははは――――――――――!!!!」
もう自分がイケメンであることを無視してとんでもない形相で笑いながらだった。
「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!」
『え?ちょっと!大丈夫!?愛沙!』
「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫!!!向こうは撃ってきてない!繰り返す!向こうは撃ってきてない!でも怖いから私逃げてるうううううううううっ!!!」
涙を流しながら逃げていた。何あれ、本当に同じ人間!? なんか別の生き物に見えてきた! 超怖い!!
『落ち着け!愛沙!!もうすぐわたしがいるポイントだ!下に降りて一緒に倒そう!!』
「は、はい!!」
確かに良い案だ。さすがに二人ならあの男も一瞬の隙を見せるに違いない。
と、ここでそう考えたのが運の尽きだったかもしれない。
指示通りに地面に降りて、先輩と合流し、私のアーセナル・モデルP-MO2ピストルと先輩のFNモデルF2000アサルトライフルで迎撃しようと構えた。
「よし!ここでバケモノを仕留めるぞ!今川!!」
「あいさー!!」
思わず返事してしまったが、相手は男子高校生だったはずじゃ・・・。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
叫び方がもう緑の大物さんのそれに近くなっていた。
いや、違いない。本当にバケモノだった?
ガサガサと茂みの中を移動する音が段々と近づいてきた。
「来るぞ!」
私も先輩も身構えた次の瞬間!
ガサッひょこっ。
「どうも」
!?。
茂みの中から顔を現したのは、細川さんだった。
たったそれだけなのだが、インパクトがあまりにも小規模だったので拍子抜けし、私たちは武器の構えを緩めてしまった。
そう。その“緩み”こそ、杉田の狙いだった!!
すると茂みの中から右手でコンバットマグナムM19を、左手でUZIを構えた細川さんの服を軽々と掴み持ち上げた杉田が出現した。当然、隙ができた私たちをその男は狙い通りっ☆な笑顔で見ていた。
「「そいやー!!!」」
蜂の巣にされちゃいました・・・・・。
「「ヒット!!」」
『えー途中経過報告ー。3-2で菫楼がリード。せいぜい頑張れー山茶花ー(笑笑笑笑)』
「黙れスタン・クー!!!」
っは!!しまった!!!
「「およ?今回のしまった、かな?」」と後ろにいた私に気づいて不気味な笑顔で振り返る二人。
ツッコミで奇襲失敗だ!・・・・仕方ない。
ドンッシャコッドンッシャコッドンッシャコッ!!!
「強行手段じゃああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
「「お前っ、相変わらずっ、イタリア人じゃなくっ、日本人かっつーのぉぉっ!!!」」
だが相手は元同業者。ツッコミをしつつ私の発射したBB弾を避け、すぐ木陰に隠れられてしまいお互い応戦状態へと突入した。
ギラは早撃ちを活かしマグナムからBB弾を私を狙って飛ばせば、弾切れとなるとスピードローダーですぐさまリロードを済ませる。
巴もいつも通り弧を描く様にUZIで範囲攻撃を繰り出して私をギラから見て狙いやすいように追い込もうとし、こっちも弾切れとなれば新しい弾倉に入れ替える。
そして極めつけは、二人ともすばしっこい!!!
木だろうがひょひょいと簡単に登って上からも撃ってくるし、
私のショットガンからのBB弾狙い撃ちを飛んだり跳ねたり回ったりで避ければ撃ち、を繰り返している。
そして私もまた、二人からのBB弾を飛んだり跳ねたり回ったりで避けて撃ち返す、を繰り返している。
弾切れとなれば、背中に背負っている筒からショットガン用のスピードローダーで装填だ。
「気分はどうよ!ペティ!!」
「昔を思い出す?」
戦闘中、ギラと巴が尋ねてきた。戦闘中に会話とは余裕だな、と少しムッとしたが、
「ええ、気分ドッキドキで最っ高!!!」
彼らの言う通り、昔を思い出して楽しんでいる。
そう、“フォース”と“ビシャ”と、同じように!!!
その昔、世界中を股にかけて数年間活動していた賞金稼ぎ一味がいた。
メンバーには、白アーマーを着たトルーパー、顔を黒の布で隠した小柄な少女、銀髪ロングヘアで電子モノクルに眼帯を付けた長身な少女が存在していた。
「でも、私たちだけじゃないってこと、忘れてない?」
「っ!! 巴!!伏せろ!!」
プツっ!!
「あ・・・・ヒット!!」
そう、山茶花の狙撃手のことを!
「ふ~、やっと当てれた・・・・。てゆーかあの二人とんでもなくすばしっこいな。あんな人間、ペトラさんだけかと思ってた・・・・・」
ようやく狙い撃ちができたことで一呼吸入れた秋山。
だが背後に近づいてきていた忘れられていた浅川の存在に気づいていなかった。
彼がうっかり小枝を踏んで音を立てるまでは。
パキッ!
(っ!・・・・くそっ!)
「っは!後ろっ!?」
浅川が狙撃態勢の秋山にヒットさせることはもう避けられない。しかし、チームを勝利に導くという強い執念から、彼は地面の上で体を回らせながらライフルの銃口を何とか相手が構えるのと同時に向け、
BB弾を撃った。
『えーただいま、両者が相打ちになって1VS1という何ともすんげー展開になってきましたー。ギラーペティー頑張れよー』
「・・・・・あいつの訓練メニュー、倍にしよ」
「そうだね。でも!これはこの展開でうれしいけどね!!」
そう言いながら笑い、シャコっとリロードを済ませる私に、
「それは、俺もだ!!!」
同じく笑いながらマグナムの撃鉄を下ろすギラ。
はい、結局また飛んだり跳ねたり回ったりで避ければ撃ち、そしてBB弾の装填の繰り返しだ。
時にはこんな煽り文句も、
「そうらどうしたギラぁ!!ブラスターとアーマー・ヘルメットが無いと心許ない!!?」
「そっちこそぉ!!如意棒に特殊弾が無けりゃ、距離を取らないのか?ま、逃がしゃしねえけどなぁっ!!!」
ちなみに、今やっているサバゲーでは撮影用ドローンでプレイREC&中継をしている。操縦者はスタン・クー。だらけた実況とは裏腹にちゃんとカメラワークはしていた。
なので、プレイ中継映像を、ヒットダウンした人たちが部室で観賞した感想は。
「「「「これ、アクション映画?」」」」
そりゃー、モノホンの戦場を暴れまわった人たちですから・・・・。
「やっぱりあの二人まだか・・・」とドアから部室に入ってきた巴。
「お、お帰りー細川ちゃん。にしてもあのペトラって子本当にすごいねー。ギラ君と組んだ君でさえ物ともせずに応戦しちゃってるし」
「もちろんです!何たってペトラさんはうちのサバゲー部のエースですから!!!」とちょうど戻ってきた秋山君。
「あの子のリーダーシップのおかげでみんなの士気が上がるからね」と大野さん。
「ペトラが使うショットガンの迫力も相手をビビらせることで有名になってるし」と愛沙。
「でもでも!!杉田君の早撃ちもなかなかだよ~♥」
と、流留。
んん?。
「・・・・・流留?どうしたの?急に」と顔を引きつらせながら聞く愛沙。
「今やってる映像の中でも超ガンマンって感じで格好いいし~♥ 狙いを定めてる時の目も真っ直ぐでドキッとしちゃうし~♥」
映像のギラはというと、なんかノリノリになっているらしく色んな体制での撃ち方を楽しんでいて・・・・いやいやそうじゃなくて!!!
「あの~、細川さん。ああいう具合なんですか? 杉田さんに関わる周りの人って・・・・・」と秋山君。
「あいつがナニかをしたら、ああなる」と答える私。
「・・・・・杉田さんはいつからペトラさんと会ってるんですか?」
続けて質問をしてくる秋山君。
「う~ん、私とほぼ同時期かな?」
「じゃあペトラさんのご家族に会ったりしてるんですか?やっぱり、なんかすごい家族だったりして!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ねえ、秋山君。一応聞くけど、ペティの前で家族の話ってしたことある?」
「? いいえ?したことはありません」
「愛沙、流留、大野先輩。3人は?」
「ふむ、そういえば聞いたことはなかったな」「うちも」「私も~」
・・・・良かった。
「じゃあ、こじれる前に教えておくね。みんな“100万人拉致事件”のことは知ってます?」
「っ!・・・・ああ・・・・」
内容をよく理解している証拠に、全員が言葉に詰まった。大野さんが代表して答え、あとの3人も続いて頷いた。
「私とペティはね・・・・・・・・・その事件の遺児なの」
私の事実発言に4人は絶句した。
このことは宮川先輩たちには“半分”話している。
「・・・・ペトラちゃんもなのかい?」
だからペティのことだけは知らなかった。
「そうです・・・・・。私は親と外国に行っている最中に親だけが襲われるという形で遺児になりました。しかし彼女は自分を含めて親と一緒に襲われてしまいました。親は目の前で殺され、幼かった彼女も雇われ傭兵に右目をつぶされるも命からがら逃げだしました。心に深い傷を負って・・・。その後、戸籍上では行方不明で、彼女自身も姓がわからないまま逃げていたため自分で作って姓を名乗るしかなかったんです。唯一ローマ人であることだけは知っていたからロマーノ、イタリア語でローマ人という意味から自らを“ペトラ・ロマーノ”と名乗ることにしたんです・・・・」
誰もが何も言えない。あんな胸糞が悪い事件の被害者だなんて知れば当然だ。
「・・・・じゃあ、ペトラさんが今あんなに元気なのは・・・・?」
ようやく沈黙を破ったのは秋山君だった。
「そうね。多分、その点では私と同じだからよ」
私はそう言いながら、今も映像の向こうでBB弾の撃ち合いを楽しんでいる二人の元賞金稼ぎに視線を送った。
ちょうどその頃。
私もギラも、激しいガンファイトに弾数が足りず、全て撃ち終わってしまった。
「弾切れか・・・・だったら、コイツ(ゴムナイフ)でやる!!」
ナイフを構えて私は右目を閉じてニヤリ。
「コイツ(ゴムナイフ)でやるプレイがお好き?」
ギラもナイフを構え、左目を閉じてニヤリ。
もう、ゴーグルもいらない。あとは、昔ながらの戦法のみだ。ナイフ(ゴムだけど)と体術で勝負だ。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」
お互いナイフを当てようとシュッシュッと突いたり振り回し、時には脚を引っかけて倒そうとするも阻止される。
激しくぶつかり合う腕と脚。そしてゴムナイフ同士もべんっべんっ当たってそのうち壊れそうだ。
だが、制限時間も近づく頃。
ギラが繰り出してきたナイフさばきに気を取られ、脚への警戒が緩んだ隙を突かれ、脚を引っかけられ、押し倒された。
そして、
「シメーだ」
ゴムナイフを私の喉元にチョンと当てた。
ビ――————————!!
終了のブザーが鳴り、終わりのコールが流れてきた。
『ゲームセット!!!杉田プレイヤーが強姦してフィニッシュー!!!』
「・・・・あいつの訓練メニュー、10倍にしよう・・・」
「私は別に今でもBenvenutoだけど?」
「・・・・・ベッドだけにしてくれ」
そう言って彼は私に手を差し伸べた。
昔のように。
シャワー浴び中。
男子サイド。
「ペトラさんはあなたにとってどういう存在なんですか?」
と、俺に聞いてくる秋山ボーイ。
巴から二人の話をしたことはもう聞いている。
「・・・・・放っておけなかった女の子の一人だ。俺は別に大したことはしてやれてない。ただ、気の合う人間がたまたま俺と“あいつ”だけだった話だ」
「“あいつ”って巴ちゃんのことか?」と部長さん。
「いえ、別の人間ですよ」
「「「別???」」」
「さあこの話はもう終わり~。上がりますよ~」
と俺は、ネックレスのチェーンをジャラジャラさせながら着衣室へと向かった。
そして女子サイド。
「ねえペトラ。あんた、前までそんなネックレス付けてたっけ? よく見ると細川ちゃんもだし」と愛沙。
「「・・・・・これは、私たちの絆を形にしてくれたギラからのプレゼントなの」」
ネックレスの弾丸を手にし、笑顔で声を揃えるペティと巴。
「・・・・にしてもあんた、何でそのボディを使って杉田君を誘惑しないの?特にその胸!男なんてイチコロでしょ?」
「そこがギラのすごいところなの!あいつ、どんな美少女相手でも欲望は丸出しなくせして一切手は出さないんだから」
「私は別の面から質問したいね・・・何で世界は私の周りにデカいのばっかいるのかをねぇっ!!!」
「あちょっと!!ここで癇癪を起さないでよ巴っ!いやんっ♥」
「お、なんだなんだ~? 女同士のスキンシップか~?私も混ぜろ~!」
裸同士できゃっきゃする女子たち。
もっとも、弾丸のネックレスはBULLETSの絆として。
彼女たち一人一人との絆を形にしたのが他にある。
黄色の電子モノクルと義眼。
そして、青いマフラー。
そして部室。
「これより、杉田義羅の法廷を開廷します」
と、裁判所っぽいセットになっている机で宣言する私。
ギラは被告人っぽく中心に立っていて、巴と愛沙は検察側に、あとのみんなは傍聴席にいる。
おい、何で部室で裁判やっているんだ?とか、そんな無粋なツッコミはナシだ。
「単刀直入に聞きます。 あなたは古賀さんにナニをしたのですか?」
と検察官らしさもなく、すでにUZIを構えて聞く巴。
「いやね、木の上にいた彼女と同様に俺も木に登り伝って背後に回ったんだよ。そして撃とうとして見たらなんと・・・・・・・・桃尻が実っていたんです!!!」
それは・・・・・清々しさを通り越して欲望丸出し全開なギラの答えだった。
「そんな尻を見れば男なら誰だってBB弾を何発も撃ち込みたくなりますよねぇ!!?」
「「「わかるか!!!」」」
少なくとも裁判長も検察官も女なので理解するはずもない。傍聴席の男子たちは揃って横を向き知らんぷり。
「杉田君の容赦ないバックからの攻撃、感じちゃった~♥」
若干一名、被害者なはずの流留が悶えていた。
コンッコンッ。
「被告人のルパン窃盗罪は確定である。よって細川検察官を臨時処刑人とし、この場で処刑を行うこととする」
「あのー、一応聞くけど俺の弁護人は?」
「もう日が暮れるのでスピード裁判にするために弁護士は廃止しました」
「まさかのバック・トゥ・ザ・フューチャー世界!!? 俺の人権消されたぁ!!!」
「さあ報いを受けなさい」
とUZIを構える巴だが、
「だが断る」
と言い残し、部室から逃げ出すギラ。
「「逃がすか~」」
「待って~、杉田く~ん♥」
武器を持って追いかける私と巴に、何故か一緒にギラを追いかける流留。
取り残された面々。
「はは・・・・、これが失恋かー・・・」
「・・・・酒じゃないけど一杯付き合うよ?」
と脱力状態の秋山君の肩をポンポンする愛沙。
同日。アシュボーンの戦いに参戦したメンバーで、“キャプテン・ベイカー”、“ヘビーロコモ”の他にも、まだ名前が確定していない者がいるが、銀髪女と緑色の布顔隠し女に名前がついた。
“ショットシルバー”と“高速時雨”。




