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BULLETS(ブレッツ)  作者: 砂川 武
32/63

28発目 ただの人間でもバケモノと戦えるはずだ、あの腕利き殺し屋カップルだってそうじゃん、だから強くなろ?




 学校の授業も一旦終わり、土日の休みが来た!まずすることといえば?

 

 森だ!銃だ!訓練だぁぁ!!


「普通はどっかお出かけだろ?」

「はいそこ~、無駄なツッコミは控えるように~」

「控えねえからな?何故なら目の前にツッコミしがいがあるボケが少なくとも二つあるからなぁっ!!!」

 怒り混じりにツッコむ剛。

 今日は早速みんなを広子の敷地に集めて、3年後の異世界遠征に備えた軍事教練を始めるところだ。

「まずギラ!!義四教師の体でいくつもりらしいけど軍事目的の訓練だよな?赤ジャージに金属バットって!!俺達を甲子園にでも連れて行く気か?」

「強いて言うなら、異世界という名の夢の甲子園球場に連れて行きたいと俺は考えている」

「全然うまくないし!面白くもないから!!それと広子先輩!こんなところでギラの椅子になる必要ないから!そしてその格好!!」

 そう、俺はみんなに動きやすく汚れてもいい服装で来るようにと伝えたのだが、広子はボンテージスーツでしかも際どいデザインのものを着用しているのだ。屋外で。

「勘違いしちゃダメよ。これも自主練の一環なんだから。こうやって好きな男性に乗られても重さを感じずに平然としていられるようにね。そして時々大事なところをぉっ!いじられてもお"ぉぉっ♥耐えられる訓練をぉぉぉぉっ!!」

「ってこらぁ!!先輩をおもちゃにしてんじゃねえよギラ!!」

 いやー、広子が椅子に慣れてきたって言うから、試しにバットでつついてみただけなんだけどな~。

 ま、序盤のお遊びはここまでにして。

「えー、ではぁ。まず手始めとして、掛け声の練習からやんぞ。あのアシュボーンの戦いの前にやったあの円陣組むやつな」

 みんなは、ああ、あれなといった反応を見せる。

「あの時は即興で生きて帰るぞ!って言っちゃったけど、正直毎回そんな重い言葉で気合いを入れるのはどうかと思ったので、『ブレッツー、夕日に背を向けてー、愛を取り戻せ―――――――』に変えることにした」

「先生ー、私たち別に異世界を拳だけで生きていくつもりじゃないんで。てゆーかそんなギャグで気合いなんて入りません」と冷ややかな否定をしてくるヒナ。

「じゃー、聞くけどよ、何かあるのか?」

「先生、こういうのはどうですか?」と唯。

「言ってみろ」

「ブレッツー、異世界をー、何とか乗り切れー!って言うのです!」

「投げやりじゃねえか。それ掛け声の意味なくなるっつーの。他ねーか?」

「先生、これはいけますよ」と今度は剣だ。

「言ってみろ」

「アベンジャーズ、ア」

「他ねーか、他。なかったら俺のにすんぞー」

「先生、あたしのならいけます!」と自信満々に名乗るのは奈々だ。

「もしつまんなかったら、その下のサラシ抜きで今日の訓練受けてもらうからな」

「あ、いや、その、やっぱやめるんでそれは勘弁して下さい・・・・」

 どうやら本当につまらない要素があったらしく胸を隠しながらあたふたする奈々。

「本当にないのか?だったら俺が最初に出した『ブレッツー、ふるえるぞハートぉ!、燃え尽きる程ヒートぉ!』にすんぞ」

「さっきと明らかに変わってるじゃねえか! つーかお前、俺達に円陣組ませないで別のポーズ決めさせる気だろそれ!!」

「あの~先生、私のはどうですか・・・・・?」

 少し遠慮がちに挙手したのは実央だった。

「あるのか?言ってみろ」

 彼女は少しためらったが、息を吸い込み、開眼して声を出した。


「ブレッツー! 弾丸の如くー!! ぶっ飛ばして行くぞぉー!!! オオ――――――!!!!」


 彼女の迫力に全員が黙るほど気圧されて、間ができてしまった。すごいな、だって“!”が徐々に増えているんだもの。

「・・・・・ダメだった?」

「いや全然良い!!これにしよう!!みんな!円陣を組もう!!」

 俺も実央を全力で抱きつくほど興奮を抑えられない。今やんないと満足できない。みんなが揃って円になったところで肩を組み、そして叫んだ。


「ブレッツー! 弾丸の如くー!! ぶっ飛ばして行くぞぉー!!!」


「「「「オオ――――――!!!!」」」」



 大満足だった。すっきりした顔で俺は言った。

「もう思い残すことは無い。今日はこれでお開きでいんじゃね?」

「おい!訓練は!?」

 ですよねー。




 さあてみんな!午前の訓練の時間だよ!全員集合!!

「よし、いいかみんな。ボニータが取ってきてくれたデータを分析した結果、エスペランサの住人たちが元々住んでいた大陸は、空間魔法でこっちとの繋がりを保っている場所を中心にすると、都市があった場所は今では遺跡と化している。その遺跡を囲むように周りは深い森になっている。だから3年後、俺達が向こうに着いたら、真っ先にそこを制圧するために森林での戦闘を主に訓練しなければいけない。これがその大陸の地図だ。ボニータ、頼む」

『はいギラ様』

 俺の隣にいたボニータが頭に搭載されているプロジェクターで異世界の地図を映しだしてくれた。

「・・・・ひょうたん?」

 唯がそんな感想をこぼすのも無理はない、映し出された大陸が先の部分だけ別の大陸と繋がっていて明らかにひょうたんを連想させる形になっているのだ。

「この・・・・ひょうたん島がアンナさんたちがいた都市なのか?」

「待て奈々、ひょうたん大陸に言い直せ。ここにはドン・ガバチョ大統領どころか人も住んでいないんだからな?いるのは魔物とオーク共だ」

ボニータの操作で、荒廃した都市を焦点に拡大した画像が出てきた。

「都市は遺跡にはなっているものの、魔物が住み着いている。その存在のおかげでオークたちはここに近づくことはない。代わりに都市と森との間にある地域が利用され、オークたちはここを使って武器製作に取り組んでいる」

「武器?何で武器なんか。異種族公表で説明してたよね?向こうの世界では邪悪な存在が全てを呑み込んだって・・・・・」

実央が当然の反応を見せて質問をしてくる。

「たしかに、エスペランサの住人たちも初めはそう考えていた。だが地球の科学を知っていくにつれ、自分たちの間違った認識に気づき始めたんだ。自分たちが知っている世界は、もっと大きかったのではないのかってな」

「そこで、私たちはボニータに任務を帯びさせて異世界に送り込んだの。その結果、予想は的中、あっちの世界もこっちと同じように一つの惑星だったの。まだまだ未知の大陸もあるけどオークたちを操っている邪悪な存在もたくさん、だけど同時にエスペランサにいる種族たちも生存していて、栄えていることもわかったの。だからオークたちはそれに対抗して武器をここで製作し、戦場に送っているの」

エリも捕捉説明をしてくれて、ボニータも撮って来た写真を説明に合わせて映してくれている。

「こんな世界が俺たちの世界とまだ繋がっているだなんて公表すれば、どうなると思う?」

「そ、それは・・・・」

「・・・・国を挙げて、または世界を挙げての侵略」

奈々よりも先に巴が答えた。

「その通り。エスペランサだけの公表でもあの騒ぎにして、戦いにも発展する始末だ。俺たち生物は欲深い。それのおかげで発展した歴史があるのと同時に滅びた歴史も存在する。だから住人たちと協力して異世界との繋がりを隠すことにした。バベルの塔的展開を、防ぐためにな」

「じゃあ、残ってる人類たちはどんな文明になってるの?」

とヒナ。

「まだ全てじゃないから判断しかねるんだ。ボニータでも惑星まるごとデータを収集できたわけじゃない。だから生活全てが中世時代よりなのかどうかはわからない。それでも収穫はあった。それがこれだ」

ボニータが俺の相づちに合わせて目当ての写真をいくつか提示してくれた。

その中にはチームを組んで巨大な生物と戦っている集団やその集団と同じような服装をした人々が行き交っている建物などが写っている。

「冒険者及び冒険者ギルドの存在があることを確認できた」

「「「「ああ・・・・やっぱあるんだ・・・・」」」」

まあ、誰でも想像するよな。クエストやるぞー!的なアレを。

「まあこういった話は今後さらに調査を進めた上で話し合いをやっていくつもりだ。向こうで拠点を作ったら彼らとの交流も深めることも視野に入れる。その前に!課題になるのが"ひょうたん大陸の制圧"だ」

『向こうに着いたらすぐに敵地です。皆さんの強さは確認させてもらいましたがすでに超人並みです。しかし、戦闘員としては未熟です。もし今の実力のまま異世界に行けば、間違いなく死ぬでしょう』

ボニータによるまっすぐな死亡宣告に、全員が息を呑んだ。

「即試合終了ってな。だからこその訓練だ。今後3年間、全員がひょうたん大陸制圧完了の際にお疲れ〜乾杯!ができるよう鍛える。ほらフィリップス大佐も言ってたろ?"戦争は兵器で戦うが、勝利に導くのは人である"って。従って今の俺たちは勝つとはまだ言い切れない。全員が持ち前の戦闘力で強いってワケじゃないから、な!」

最後あたりで俺は、唯を指差した。

「・・・・・はい・・・」

本人も否定せざるを得ない様子で何よりだ。

「一人一人の"人間としての戦闘力"を上げていくことが課題だ。能力を使用せずに、どこの戦場でも臨機応変に戦えるように今後進化させていく。みんなの中には場数を重ねて強くなっている者もいるが、能力に恵まれて強い者もいる。基本である身体能力、サバイバル能力、ナイフ術、射撃、格闘術など、これら全てが一人前以上にならないといけない。その為の顧問は呼んである」

「準備運動が終わったらみんなには森に入ってもらう。そしたらトラが蘭丸に命令してみんなを一定時間に一発ずつだがペンキ弾を撃っていく。みんなはそのペンキ弾を全力で避け続けろ。制限時間30分の間、能力と道具の使用は一切禁止だ。使えば、即退場だ。何発撃たれたかは終了後にトラと蘭丸が教えてくれる。この訓練の結果次第で個人のメニューを決めるつもりだ」

と、スターリンもドワーフには似合わない迷彩服を着て説明する。

「午前の内容はこれでいく。午後のメニューは昼休みの後に伝えていく。みんな了解したか?」

「「「「Sir,Yes sir!!」」」」

みんな良い返事だ。そして、

「あ、それとスターリン。偉ぶっているところ悪いが、お前とエリも訓練対象だからな?」

「マジ!!?」

マジでーす。





で!!!





昼の12時を過ぎる頃。

 さっそく結果報告だ。

「結果は?」


「20」と唯。

「15」と剛。

「0」と奈々。

「0」と巴。

「15」と実央。

「30」と剣。

「40」と五十嵐。

「20」と広子。

「3」とエリ。

「60」とスターリン。

「0」とヒナ。

「0」と好華。

「30」とクレア。


うん、意外なやつもいるが大体は予想通りだ。

しかし、

「おおスターリン、60回も死んでしまうとは情けない!」

「あーいやだいやだ聞きたくない聞きたくない!!」

 やれやれ、好戦的なやつがこんな結果を残すとは。

「戦闘経験豊富なのにその様はなんだ?我が戦友ながら恥ずかしいぞ。クレアもそうだが二人とも鎧に頼りすぎだ。これは一から鍛え直す必要があるな」

「わかりました、先生」

クレアは了解したようだが、

「でもよー、俺たち完璧な鎧を使ってるんだから今さらやらなくたって・・・・」

スターリンは文句たらたらのようだ。

「ダメだスターリン。いくら頑固なお前でもやってもらう。このままだとお前は鎧無しじゃ何もできなくなる。ある人の言葉を借りるとしたら、"鎧無しでダメなら、鎧を着る資格はない"、わかるだろ?」

「・・・・わかったよ・・」

さすがは映画ファンの同志。最後はわかってくれた。

「唯と剛はもう少しかな。能力を使っていても、体を常に動かして戦っていたおかげの結果だ、まだまだ上げれる余地はある。意外だったのは実央と広子だな。二人は経験が浅いはずなのによく避けている。実央は姉譲りかもな。広子は体を動かす運動をしてたから?(小声:腰使いはまだ未経験なはずなのに・・・・) エリはデスクワークで感覚が少し鈍ったかな?まあブランクを直すのにこれならそう時間はかからないだろ。 奈々、巴、ヒナ、好華はさすがだ。剣と五十嵐はこれからだな。正直、もっとやられてるかと思っていたが、マシな方だ。 人間の感覚は回を重ねることで上達していく、だから0だったやつ以外のみんなは、これからその感覚を研ぎ澄ませていけば良い。要はエイリアン相手でも戦えるブラック・ウィドウ並になれってことだ」

「なんでそこで例え任せにするかなぁ」と剛。

「ほっとけ。では一旦解散だ。昼飯にしよう!」





「ギラって私たちが訓練してる間、何してたんだろ?」

 屋敷の広間で広子先輩の専属シェフが用意してくれた昼食をみんなで食べている間、私は気になっていたことを口にした。そして、当人は少し寝てくると言って隣の広子先輩の部屋のベッドを借りている。先輩は後で顔を埋めよう!と興奮していたが、これはいつものことだから触れないでおこう・・・。

「そういえば準備運動の時から消えてたよな~」

「何してたんだあいつ」

「どっかでダラーッと日向ぼっこを楽しんでたとか?」

「だったら今寝るのはおかしいだろ」

 みんなも色んな意見を出すが一向にまとまらない。しかし、その答えを出してくれたのは意外にもあの天然パーマ使用人:池田さんだった。


「彼は・・・・我々に人間狩りをさせていたんですよ・・・・いや、あれは人間じゃない、獣だ・・・獣狩りだ・・・・」

 広間の扉に寄りかかってやっと立っていられる程ボロボロ状態で。

「うえぇっ!!?池田さん!?ど、どうしたんですか?それに人間狩りって・・・ん?」

 ボロボロな池田さんにあわてて駆け寄る私たちだが、廊下から漂う妙な雰囲気に気づき、外を覗くと、


「「「「うぎゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!」」」」

 思わず声を出して驚いてしまった。

 そこは死屍累々と倒れていた先輩の使用人たちの屍であった。いや、死んではいないと思うけど。よく見ると全員迷彩服でボロボロだ。

「実は・・・・ギラ殿の頼みで彼の自主練に付き合っていたのです。皆さんと同じペンキ弾を使って自分を撃ってこいと。つまり丸腰の彼一人 VSバーサス我々使用人全員のデスマッチをやって欲しいと・・・・・」

 疲れ気味でもしっかりと説明してくれる池田さん、ありがとう。

「それで、結果は?」

 奈々は聞くが、私たちはもうなんか予想はできた。

「もう全っ然勝てません!! こっちが即全滅でしたよ!! あの人、森の土を何の躊躇もなく自分に塗りたくって潜んでたりしますもの!! いくら探しても背後を突かれて首を掴まれて『はい死亡』って耳元でささやかれますし!! 見つけて撃っても避けるし!! しかも時々獣みたいに雄叫び上げたりするし!! すぐ終わったからもう一度って言うから仕方なしに夏樹たちを代わりに出したけど、予想通り全員骨抜きにされたし!!」

 男性の使用人がいるのと反対を見てみると、夏樹さんをはじめとした女性使用人たちがミリタリー服を着たままあは~ん♥と幸せそうに倒れている。一体何をした? あの助平め・・・・。

「もうあの人はアクションヒーローですよ!!ジョン・ランボーですよ!!!」

 それ、言っちゃって良いの?

「要するに、ギラも相変わらずってことね・・・」とエリ。

「ますます超人の板にはまってきたよな~」とトラさん。

 一旦落ち着きを取り戻したみんなは、席に戻っていった。

「ギラって昔からああなのか?」

 剛君がエリたちに聞いてみた。

「あたしたちが出会った頃にはもうあれくらいの強さはあったけど・・・ねえ?」と好華。

「うん。その前は巴のはずだけど・・・」とヒナ。

「私の頃もすでにできあがってた。生まれつきじゃないの?」と巴ちゃん。

「いや、昔はそうでもなかったんだ。あいつの場合、戦場で力を発揮するタイプだったもんなぁ」とトラさん。

「私を助けてくれた頃も、能力と頭脳をフル回転させて戦っていたからね。戦闘員としての強さはもう少し経ってから、おやっさんに頼んでグリーンベレーの軍事教練を受けてからだと思うよ。つまり、あれはギラ本人が努力して手に入れた強さってことよ。みんなもギラに追い付けるように訓練を頑張っていこう!!」

 エリの考察に納得し、みんなも改めて奮起した。

「「「「オオ――――――!!!!」」」」

 ギラは一人でも戦っている。そんな彼の背中に惹かれて私たちみんなも強くなろうとしているんだ。

 でも、夏樹さんたちにイタズラしたことは許さないよ? 私たち全員。









 さあてみんな!午後の訓練の時間だよってもういっか・・・。

 午前の訓練の結果を見て、大体のグループ分けができた。

 {唯、剛、エリ、実央、広子}

 {剣、五十嵐、クレア、スターリン}

 {奈々、巴、ヒナ、好華}


 しばらくの訓練はこのグループでやっていこう。



 {唯、剛、エリ、実央、広子}の場合。

「つーわけで、回避失敗カウント訓練をそう長く続けることは無いと考えられるお前らは、次のステップである武術ラウンドに入ってもらう。ただし、唯と剛はもう格闘術を教えてるからナイフ術に限る。実央と広子はエリから格闘術を教えて貰えば良い」

「ナイフ術は誰から学ぶんだ?それもギラがやってくれるのか?」と剛。

「いや、俺は奈々のグループの訓練に付き合うつもりだ。二人にはこちらの格闘モードのボニータ君が相手してくれる」

『どうも剛様、唯様。よろしくお願いします』

 ちゃんとアバターロボットも小型から人間と同じ高さ調整した大きさに変えている。

「ここのグループは武術ラウンドを終えた後は個人個人の戦闘スタイルを強化することに専念してもらう」



 {剣、五十嵐、クレア、スターリン}の場合。

「お前たちには! ひたすらトラによる銃撃回避の向上に努めてもらうぞぉ! クソ虫どもぉ!! 一介の戦闘員になりたきゃ! まず避け続けることだぁ!!」

「・・・・・なんでキャラ変えてんのお前?アイパッチまで付けて・・・・」と剣。

「口答えはするな!クソ虫1号!」

「クソ虫1号!?」

「回避失敗が20程度になったその時こそ! やっと立派なモブ兵士になって、ヒーローにやられる役になれるのだぁ!!」

「「「「そんな未来嫌だ!!!」」」」

「やられ役は嫌か? ヒーローになりたいか? ならば、回避失敗が0になるまでとことん訓練を積め!クソ虫1号(剣)! クソ虫2号 (クレア)! クソ虫3号(五十嵐)! クソ虫0号 (スターリン)!」

「「「何このノリ!!?」」」

「つーか俺が0号かよ!!」



 {奈々、巴、ヒナ、好華}の場合。

「奈々以外はもう武術の心得はあるよな?その3人には能力、または自分の戦闘力を上げることに専念してくれ。好華は特にだ。行き先の森林ではぶらぶらはできない、得意のボクシングを上げていくのが良いと思う、例えばイトイトの銃乱射ガトリング!っとか」

「待って、それじゃ誤解を招くからやめて?第一あたしの能力は“糸”じゃなくて“弦”だし・・・・」

「心配ないって。そもそも外国人ファンの誰かだって言ってるさ。“ねえ、ミンゴってあの隣人ヒーローと能力似てね? グラサンの形もマスクの目と似てるしー”ってな。そして頭の中じゃミンゴをニューヨークのビル街でぶらんぶらんさせてるよ絶対」

「そうだね、少なくとも私たちの目の前で想像してるやつがいるよね」

 冷ややかなツッコミありがと、ヒナ。

「で?あたしはどうすりゃ良いんだ? まさか今更ナイフ術を学ぶとかか? 力さえあればそんなモン、必要ないだろ?」

「まあまあ奈々。知らないに超したことはないだろ? 向こうでもしかしたら鬼を弱体化させる秘術があったりするかもしれないぞ? しっかり学んでおきなさい」

「お前それ、絶対フラグだぞ?」

 フラグかどうかは異世界次第だ。




 てなわけ・で!!!






 夕方5時を過ぎる頃。

「で、みんな訓練を受けた感想は?」


「「ナイフ術、意外と面倒くさい・・・・」」

「「格闘術、疲れた・・・」」

「「まだまだ回避率が不十分・・・・」」

「「「「ギラとの訓練・・・・・最高だった♥」」」」

「最初はつまらなくて感情移入できない、最近になってやっとマシになってきた」

「おーい誰だー?この小説の感想を言ったやつー」

 まあ、奈々はともかく、ヒナたちとあんな真剣に相手をするのは久しぶりだったからな~。

 何をしたかというと、森林の中で能力使用禁止という条件付きの真剣ガチバトルを巴、ヒナ、好華で一人ずつ相手したのである。

 俺は良い運動になったのだが、こいつらは俺の顔を見つめながら戦っていてのぼせたんだと。・・・・・何も言わないぞ?

 そして、何も反応がない剣と五十嵐だが、


 ・・・・・・・・・・・・。


 体じゅうあらゆる色のペンキ弾だらけでとんでもない色になってしまっていて、二人ともうつ伏せになって完全に力尽きていた。

『返事がない。ただの屍のようですね』

「だな」

「「・・・・ボニータ君って、AIなのに冗談がうまいよね・・・・」」

 二人が反応をみせ、ようやく起き上がったのを確認すると、俺はみんなを集合させた。

「いいかみんな。今日訓練したことをしっかり頭に入れておけよ。今後この訓練を休みの日に入れていくつもりだ。次回からは射撃訓練も入れていく」

「「「「うう・・・・貴重な休みが・・・」」」」

「ぼやくな。 俺は優しい方だぞー? 仕切ってるのがターニャ少佐だったら間違いなく全員が狂人化している。では解散だ。全員屋敷のシャワーを借りて帰れよ~」

「もう角川にシバかれろ!!」

 剛のツッコミを気にもしないで、俺はあのリア充二人をからかってみた。

「そうだ。剣と五十嵐もよく体を洗っとけよ~。なんならシャワーを浴びた後、二人で空いた個室にでも入ってご休憩でもして帰っても良いぞ~?」

 この時はマジでからかうだけだったのだが、


「「ハァ~、必要ないって。それにもう・・・・っは!!」」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・んんー?



 こいつら、自爆しやがった・・・・。


 その場で屋敷に向かいかけていた全員が、二人の発言に反応し、頭をフクロウみたいに180度回して剣たちを見つめた。

 一人を除いて。

「“それにもう”って?ああ、お前らも経験したのか~。セ・・・・・」

「「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!」」

 トラが言い終える前に、二人が大声でシャウトして遮り、恥ずかしさで顔を隠しながら地面にゴロゴロし始めた。

 「その話、もっと詳しく!」と、女子たちはすごい興味津々で五十嵐に聞きたがっている。

 だが俺にはもう一つ気になることが。

「あの~トラ君。さっき君、“お前らも”って言ってたよね? “も”って。それはお前の前世での経験を踏まえての発言だよな? だよな?」

「いや?ちゃんと今生きてるこの世を踏まえての発言だ。 いや~にしても濃は相変わらずきれいだったが千恵も一際美しかったな~、ベッドの上で」

 なるほど、なるほど。つまりあれだな、要するにあれだな、ウン、いつかやるとは思っていたけど、ウン。

 オルレアンの乙女が、“乙女”じゃなくなってた・・・・!

 しかも、3P暴露しちゃったよこの天下人っ!!


「ギラ~、周りはこんなに関係が進んでるのに、あなたはまだ保留する気?」

「うちの屋敷、でっかいベッド用意できるけど、今夜こそ一発イく?」

 俺の背後に立ち、耳元でささやいてくるエリと広子。

 やべ、矛先俺に向いてきた。

 


「お、俺は家でシャワー浴びてくるからそれじゃー!!」


 まだ、今の関係がこじれることを危惧する俺は、プクリと頬を膨らませて不満そうな唯たちを置いて、ジェットパックで逃げるのであった。



「あーばよーーーー!!!」








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