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BULLETS(ブレッツ)  作者: 砂川 武
31/63

27発目 ハーレーでショットガンといえばウィンチェスターだ。







 あたし、黒崎好華は、ただいま任務ミッション中である。

 暗闇の中、ある部屋に音も立てずにドアから忍び込もうと全神経をフル稼働中である。だがこのあたしにかかれば、一般住宅の部屋に入り込むなどお茶の子さいさいなのだ。

 自然能力:弦。あたしは自分の体を弦に変えることができる。そして同時に弦一本になっても蛇のように動かしてほんのちょっぴりの隙間さえあれば、どんなところでも侵入できる。これまで色んな施設に入っては情報を引き出してばっかだったな~。FBIやらCIAやらとにかくたくさんの諜報機関を探ってたものだよ。ただ、これ衣服までは弦に変えられないから忍び込む過程で途中全裸になる必要があるという超エロエロな課題を抱えている。今この説明読んで想像した君は、エロっ子ちゃんだなっ☆

 とにかく任務に集中、集中。ようやく弦が全て部屋の中に入り、一気に元の体へ戻る、服はもう無いが。しかし、任務達成のために、服のことなんか気にしていられない。標的ターゲットはベッドで寝ている。よし、ベッドに近づき


「ただの夜這いを任務と称してかっこつけてんじゃねえよ全裸対魔忍」

「あらら、バレてた?」


 何もかもお見通しな俺は、ベッドには代わりの人形を置いて自分は本棚の影に隠れていた。

「つーか、俺に先んじて第4の壁破りやってんじゃねえよ」

「もう、気づいてるならいっそのことカモンしてくれたら良いのに。前回あたしたちの全力アプローチに見合う答えを出すって言ってくれたのに・・・・」

「こういう直接的な方法はダメだっての!まあ悪くないけど・・・・。でもダメだ!このままイけばタイトル変更『アマゾネス化した女子軍団から弾丸の如く逃げ続ける俺』になってしまうわ!」

「・・・それ、いいかも・・・♥」

「良かねーよ!もしなったら間違いなく官能小説に鞍替えだわ!!いいからガレージに戻れ。俺も寝るんだから・・・うわっ!」

 だが、好華は止まらない。発育抜群なその体を使って俺に抱きつき、そのままベッドに飛び込んだ。

「良いじゃん・・・・みんな待ってるんだよ?ギラがその気になることを」と色っぽく誘う好華。

「・・・・節操は大事にしたい。それに女には独占欲があるだろ。他の女に男を取られたくないって・・・・普通は」

「もう普通じゃないから、ギラのせいでね☆ だから、このまま身を委ねたって良いでしょ?」

 そう言って好華は、服をはだけさせ俺の胸板に手を当てて、心臓の鼓動を感じ始めた。

「・・・・・これが、ギラの心臓なんだね・・・」

 ・・・・そっか、好華は俺の“ちゃんとした心臓”を聞くのは初めてだったな・・・・。

「・・・・もっと近くで聞きたい・・・・」

 彼女遠慮なく顔まで俺の胸板に当てて鼓動を感じようとしてるよ。ああ、でも悪く感じてない俺も馬鹿っ!

「・・・・今夜は抱きしめるくらいで勘弁しろよ・・・・」




 さて、何で好華が当たり前のように俺ん家で夜這いをかけてるかって?

 答えは単純。彼女とエリ、クレア、ヒナの転校生組、こいつらわざと住む場所を決めずに俺の高校に入学しやがった。そうやって理由をつけて俺ん家のガレージを利用したいって母さんに頼み込んでいたらしい。当然、俺の関係進行を願っている両親は二つ返事でOK。妹二人も久々にエリが来てくれたことに大歓迎。俺の周りには敵しかいないのかもしれん。どないしよ・・・・。



 翌日早朝。

「一線越えてないよね?ね?」

しつこく俺の貞操確認をしてくるエリ。

「・・・・ちゃんとまだDTだから・・・・」

昨夜の出来事を洗いざらい話しながら俺は、地下ガレージでプロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤーのレゴ製作に当たっていた。

「うっしゃ!大格納庫完成!」

「うん、乙女が使っている部屋で普通にレゴ作ってるギラも大概節操無いよね」

「いつも言うが、これは歴とした全世代に通ずる創造力を養う為の作業だからな!今の俺は趣味に勤しむただの爺だ。黙ってなさい」

「こっちも一応婆なんだけど・・・・・」

16世紀生まれの人間にはこの楽しみはわかるまい。

「殿下、ギラのレゴへの執着は半端ないんですから。言っても無駄なことは知ってるでしょう?」

そう言うクレアは、聖鎧『シュワーペン』の構造設計を思案している。

「まあ創造力はギラには欠かせないものだしね」

と、空間‘穴’《ホール》から武器を出して手入れをしているヒナ。

「そして!それが!高いほど!戦いに色んな手段が!あって!どんな相手でも!戦えるように脳を鍛えてる!」

ガレージ内てスウィングしまくって運動中の好華。

『それが杉田義羅という男。ミニフィグ、完成しました』

「お、ありがとうボニータ、この格納庫を頼む。新しいアバターの調子はどうだ?」

『イイ感じです。さらに細かい作業が可能になってきました』

突然、こいつは何だ?って思うだろうけど、一応昔の仲間だ。

AI:ボニータ。ある時、敵の追跡ロボット犬集団から一体を強奪した際にその中のAIを借りパクし、その後、言語インターフェースとして数年間戦争で戦っているチームが使うネットワークを支えていた。今は俺が創造した小さいアバターロボットで活動していて、エリが高校に途中入学するのと同時にロンドンでの任務を終えてから日本に来たんだ。

「ねえギラー。そろそろご飯のしたく・・・うわっ!?」

ガシャーン!!

どうやら好華がスウィングに途中失敗したらしく、勢い余ってボニータに直撃した。ボニータは平気だったが、持たせていた完成したばかりのレゴの格納庫がおかげで大破してしまった。結構あれパーツが複雑なのに!

「・・・・・・・・・・・・・」

「ありゃりゃー・・・・・・」と呆れるヒナ。

『ギラ様。この場合、彼女にお仕置きしますか?エロい方向で』

AIのくせに皮肉たっぷりだなおい。

「・・・・・エロなしのお仕置きだ」




そのお仕置きとは!


これだ。➀、➁、➂。



朝食を済ませた後、俺とエリ、ヒナ、クレアが縛られた好華が入っている檻を神輿のようにえっさほいさと担ぎながら登校した。晒し者にされた好華は校門前で教師に注意されつつも、「お構い無く〜」と笑顔で答えながら学校に入った。



まあ、補導されちゃったけど。ピピ――ッ!!




「そりゃ当たり前だわ!!」

と景気の良いツッコミを教室で一発してくれる剛。

「本当は存分にエロい方向でお仕置きしてやろうとは思ったけど遅刻するのは良くないから諦めた」

「そ、そのエロい方向のお仕置きについて詳しく!!」

「唯、お前最近アブない方向に成長してないか?」

心配する剛に一票。俺もキャプテン・ベイカーの行く末が心配だ。

「ところで、昨日の夕方の稲光の正体ってアイラちゃん?ビックリしたけどもしかしたらって・・・」

と疑問を投げ掛ける五十嵐。

「正解、アイラちゃん昨日、男たちに絡まれたそうなの」

あっけらかんと答えるエリ。

「ええ・・・、アイラちゃんに絡むなんて勇気あるねそいつら」と唯。

「とは言ってもあいつ、中学で結構人気だぞ?シオリと一緒でファンクラブもできるくらいだし」

捕捉する俺。

「さす妹なうだな・・・・ちなみにどんなやつなんだ?その絡み男」

「シオリちゃんの話だと、黒服の男たちを従えた残念イケメンだって」

剛の質問に対してエリが出した答えで、俺と唯と剛は顔を見合わせた。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・あいつらか。



2年生エリア教室。

「再実行して返り討ちにあってそのご様子かお前・・・・・」

「あーうるさいうるさい!!どうしても直らないんだよ!この頭!!」

「参加しなくて良かったわー。酷い有り様だな。芸能人一歩手前の奴がキャラ付けに動物系髪型チェンジに失敗したって感じだな。ハリネズミのキャラでイこうとして冷静になって考えるとやっぱやーめた、そんな感じだよ」

財閥っ子スリーアミーゴスの3人は、いつだったか計画していた杉田に対する挑戦にまず双子の妹を拐って、奴を自分の領域に誘うというのを昨日、神田がやろうとしたところ、逆に雷を落とされ手痛い目に遭わされ、その結果彼の頭が爆発状態になってしまった。そのため、周りの同級生にもヒソヒソしながら笑われる始末だ。

「で、どうするんだ神田?今度こそリベンジ諦めるのか?」

「いーやまだだ!まだ奴を倒す存在はいる!」

「倒すって・・・・もうこの学校にはいないだろ。唯一なびいてなかったあの乱場が調教しようとして逆に調教されてメロメロに堕ちたんだから」

「確かにそうだ。この学校にはいない。だが、他の学校にならいる!!」

 そう、この辺りで菫楼高校は東西南北4大高校の一つと称されている。北に山茶花さざんか高校、西に木槿高校、南にころ世生せお高校、そして東に菫楼だ。

 一校ずつ説明するとしよう。

 まず北の山茶花高校。緑のブレザー制服が目印のこの学校、実は元々男子校と女子校に分かれていて去年ようやく共学化したばかりなのだ。当然男女との間には弊害が、というかその前から仲は良くなかった。だから男子と女子との間では一部喧嘩が絶えない日々があった。新入生も先輩に怖じ気づいていつの間にか肯定派になっていたりと教師も頭を抱えていた。

 しかし、その問題に物怖じせず、男女同士の融和を求める人物が今年の新入生から現れたのだ。正しくは留学生女子だが。その彼女が学校を仕切るようになり、校風も男女の喧噪は段々無くなっていき、穏やかになっているという。そんな彼女を周りはこう呼ぶ。

 “はがねの貴女”。

 次に西の木槿高校。ワインカラーのブレザー制服が目印のこの学校は、有名アスリートたちを多く輩出している学校として有名である。野球、サッカー、テニス、フィギュアスケート、とにかく色々。しかしアスリートになる前は所詮ただの高校生。考えることは単純で自分勝手なことばかり。

 そんな集団を、クラス、学年、そして生徒会に誘われついには全学年をまとめたカリスマスーパー新入生3人の出現。中でもリーダー格の男が特に目立ち、周りは彼をこう呼ぶ。

 “稀代の天下人”。

 最後は比世生高校。名前からすでに尋常じゃない匂いがプンプンするこの学校は、中学時代に名を馳せた不良ばかりが集められ、荒れ果てたその外観は世紀末校舎などと揶揄されるほどである。

 そんな不良集団を入学初日で自前の剣術だけで全学年を占めたとんでもない小動物系高校生。彼のことを周りはこう呼ぶ。

 “若年屈指の剣術師匠マスター”。

「ハァ、ハァ・・・・とにかく!この3大勢力が奴をコテンパンにしてくれるはずだごほっごほっごほっ!」

「「説明乙~」」

 と、説明しっぱなしで喉が枯れた神田に水を渡す北条と高井。

「で?具体的には何をするんだ?」

「奴を見張る!!」




 さあ~楽しくない見張りのお時間ですよ~♪

 奴の日常は見ててつまらないですYO♪昼休みなんか野郎の友達なんか2人だけ♪あとはみんな女だらけ♪しかも弁当の食べ合いっこだなんてマジはしたないYO♪体育の時間なんかマラソンやってても女子からはキャーキャー言われてモテモテだ~YO♪帰りの時も女子たちに囲まれながら教室から出て行くしYO♪YO♪YO♪


「「歌ってて悔しくないのか?」」


「マジ超絶ぐやじい"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"い"ぃっ!!!」


 もう神田のHPは0だ。床に倒れ、涙ぐみ拳でダンダンダンダン叩くことしかできない。

「つか!アイツいつの間にかハーレム確立してたのか!?GWの間に一体何が!!?」

「まあ確かに。アレだと異世界に行ってなきゃおかしくないレベルだな・・・。いや、もしかしたらもう行ってたりして・・・!」

「あ~それありえそう。もう“異種族公表”のおかげで現実になってるからな~異世界」

「おいそこ、オタク話はやめ・・・ん?杉田が女共と別れたぞ」

 財閥っ子3人が後を追う中、杉田は商店街近くの『TEISHOKU』に向かっていった。

「たしかあそこは、あの“稀代の天下人”八代信司が経営してる店じゃないか」

「なんだ?他校の生徒に物騒な挨拶でもする気か?」

「お、おい!それどころじゃないぞ!ほらあれ!!」

 北条が指差したその先には、部下っぽいハゲの学ラン生徒を引き連れて木刀を背負っている背が低いと噂されている“若年屈指の剣術師匠マスター”長門菊也に、乗ってきた黒のツアラーバイクを留めてケースバッグを背負いながら降りた“はがねの貴女”ペトラ・ロマーノ、そして店の中から顔を出してきた赤いバンダナをつけた店長の八代信司。

 

 ここで東西南北のトップを決める対決が始まるのk



「「「「オイーッス!」」」」

 和やかに挨拶する4人。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「全員知り合いかよチキショオおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!」

 一人シャウトする神田。

「何だあれ?」

「ギラの知り合いですか?」

「あ~、ほっといていいから~」



 本日の見張りの成果、杉田に敵無し。


 チャンチャン♪



 4人揃ったところでいざ客席テーブルを囲む。

「しっかし“若年屈指の剣術師匠”に“鋼の貴女”、“稀代の天下人”か・・・・お前らすごい名前もらったよな~。トラ、お前結局現役の天下人になったのかよ、あっはっはっはっはっ!!」

 ウケまくっている俺に、

「いや、お前の異名の方がインパクトスンゴイからな?知らないだろうけど」

 と補足するトラ。

 スンゴイってところに引っかかった俺は、不安が混じった表情で聞いた。

「・・・・何て呼ばれてる?」

「「「“天上天下唯我独尊な種付け侍”」」」

「ズコ――――――――――ッ!!」

 と叫びながら後ろにズッコける俺。

「「「古いよ、爺!!」」」

 なんて名前つけてんだ!間違いなく菫楼高校の誰かだろ!!

「つか!DTにつける異名じゃないだろそれ!」

「ですがギラ、未来としてなら間違っていないのでは?」

「エリから聞いたぞ~、『ハーレム王に、俺はなる!』ってエリたちの前でそう宣言したってな」

「そんな宣言してないし、俺は革命家ドラゴンの息子でもなければおっぱいドラゴンでもねえよ?」

「でも愛刀の名前、雷龍でしたよね?ドラゴン要素ありですよ?」

「あ、やっべ! いやそうじゃなくて!!そうだ、菊也。連れてきたあのハゲたち、お前の舎弟か?」

「はい、そうです。入学して唯一私に喧嘩を売らず、その目で確認してから舎弟にさせてと願ってきた良い人達ですよ」

 こちらを見ながらパフェを食べているハゲ3人。目が合うとどうもっと言わんばかりな挨拶をきちんとしている。なるほど、見た目に反して礼儀正しそうだ。

「ところでギラ。私抜きで宣言したことに何か言うことはないの?」

 おっと、ジトオッドアイなペティの圧力は今日も半端ないッスわ~。彼女の背後に蛇のスタンドがいそうで怖い。たしかにそうだ。俺は彼女抜きで誠意を見せるって言っちゃった。

「いや~その~なんだ・・・仲間はずれにして悪かった。ペティだって俺にとっちゃかけがえのない存在だ。だから言わせてくれ、ペティも含めてみんなの全力アプローチに見合う答えを俺は出す。これで良いか?」

「・・・・・それじゃダメ。許さない」

「うう・・・・・じゃあ何をすれば・・・・んむっ!」

 奇襲のキスだ!しかも舌を入れてきた!なんて破廉恥な!!うっひょ~!!

 周りの人の反応のことなんかお構いなしペティは唇を離すと、きれいな笑顔でこう告げる。

「ここから先の続きを、私たちみんなにシてあげてね・・・・・」

 あまりにもきれいな笑顔に少し照れる俺だが、

 ・・・・・・・・待てよ。

「要するに、全員と行為しろと!?」

「Esattamente(その通り).いざ!既成事実!!」

 なんてことを笑顔でびしっと言いおって・・・。

「やっぱりお前も、俺と同じ天下人の素質があるじゃねえか。全員迎えちゃえよ、側室に」

「時代感覚はお前のとは違うんだから、だーってろっ!」

 経験者は語ると言うが、これはイヤイヤ。

「そろそろ本題に入りましょうギラ。何故わざわざ我々を呼んだのか」

「・・・・・そうだな、菊也。みんなもエリが同時に伝えてるかもしれないが、俺は唯たちを連れて行くと約束してしまった。したからには、あいつらを一人前以上の戦士に育てなきゃいけない。ここから3年間で確実に完成させる必要がある。敵地のことも踏まえてな」

 そう言って俺は、テーブルの中心に小型ホログラムプロジェクターを置き、映像を起動させた。

「ボニータが取ってきてくれた異世界のマップだ。空間魔法で繋がっている都市があった場所はもう誰も住んでいない。百十数年の間にそこは森林に囲まれた遺跡と化している。中には魔物も住み着いている。これがそうだ」

 ディスプレイを操作し、映し出された写真に四足歩行している雄々しい巨大な生物が写っていた。

「Woo〜、まさにThe monsterって感じだな・・・」

「ええ、ホントに。斬りがいがありそうですね・・・」

「ショットガンでも効くかな・・・・?」

「感想はまた今度な、まだ詳細な分析結果が終わっていない。俺たちが考慮しなきゃいけないのは、森林でのオーク共との戦闘だ」

 写真を閉じ、マップの表示を森林に集中させ、立体映像に切り替えさせた。

「まだある程度だけだが、森林の中は結構入りくんでいる。都市と森の間の地域は奴らの武器製作の場所になっている。ここから奴らを追い払うのは容易い。問題はその後だ。こんな森のなかで今の唯たちと行って奇襲でもかけられたら即全滅だ。そこで、広子の敷地を借りてみんなを訓練することに決めた。人間の五感を底上げするのはもち、俺もやる。だが全部を把握することはとても俺だけじゃダメだ」

「そこで我々の出番ですか?」

「ご名答!」

 俺が出すよりも先に答えを出した菊也。

「軍事顧問の依頼だ。剣術のエキスパートといえばやっぱ菊也だからな。まずは実央に剣術を叩き込んでやってくれ。その後他のみんなにも触りだけ教えていってほしい。次に射撃の腕の向上。これはペティに頼みたい。全員に射撃のなんたるかを徹底的に染み込ませてくれ。そして重要なのがサバイバル能力。これに関してはトラ、『TEISHOKU』のメンバーと一緒に敵役として訓練に参加してくれねえか?もちろんシフト制で構わない」

「なるほど、了解しました」

「射撃なら任せて」

「それは良いが大丈夫か?あの子の敷地使っちゃって・・・・」

「ああ。もう親父さんの了承は取った。あとは、訓練あるのみだ」

 そう聞くと、トラはニヤニヤしながら俺を見つめてくる。んだよ?イラッとくるな。取ろうか?そのバンダナ、取ろうか?

「親公認とは、ますます面白い男だよな〜おま・・・・」

 ガシャガシャガシャーン!!!

「何だ?暴走車みたいだが?」

 道路の脇に留めてある大量の自転車を吹き飛ばしていったワゴン車がものすごいスピードで走り去っていくのを確認したトラ。

「おそらく、これでしょうね。すぐ近くで起きた銀行強盗事件、依然犯人一味は逃走中とのことです」

 携帯でニュースの記事を見つけた菊也。

「「Colpevole.(有罪) じゃあちょっと行ってくる」」

 ペティと声を揃えながら俺はサングラスをかけて革ジャン一式に早着替えし、ケースバッグを持ち上げて電子モノクルをつけ、二人で店を出ていく。

「レザースーツ頂戴」

「あいよっ」

 要望通りのスーツを創造し、彼女に渡すと、引き続きファットボーイを出し、ヘルメットを被ってエンジンをかけた。

 ペティも倒されたNinja H2 SXツアラーバイクを足の力を使って戻し、ヘルメットを被りエンジンをかけた。

 多分彼女、自分のバイクを倒されたことにもイラッときてる。いや絶対に。



 店に取り残されたトラと菊也は、頼んだそれぞれのクリームソーダを二人してストローですすっていた。

「行っちゃいましたね、あの二人」

「あの銀行強盗たち、不運だこと。あ〜千恵!そろそろ俺もキッチン入るからメニュー表の用意、頼むわ〜」

「わかりました!」

 メイドの千恵は、たった今退治した地上げ屋男の胸ぐらを掴みながら笑顔で答えるのであった。






 とある銀行強盗を乗せたワゴン車。

「あっはっはっはー!!結構楽にいけたなぁあの銀行!」

「全くだぜ!リーダー!これで俺たちも億万長・・・・ん!!?」

 運転手の犯人がサイドミラーでパトカーが来てないか確認したところ、追ってくる2種類のバイクが来た。一人はハーレーに乗ったグラサン革ジャン野郎で、もう一人はツアラーに乗った黄色モノクル付き銀髪でエロいバイカースーツの女だった。2台のバイクはそれぞれワゴン車の両脇に並走すると、

「「犯罪がしたいなら米花町にでも行け!!!」」

 と叫ぶと後ろに下がっていった。挑発に乗ったリーダーと部下たちがこぞって銃を二人に向けるが、逆にグラサン野郎のウィンチェスターM1887ソードオフモデルとモノクル銀髪女のモスバーグM590により武器を全て撃ち落とされてしまった。続けてバイカー二人はそれぞれリロードを済ませると、息を合わせて車の左右前車輪を狙って撃った。おかげでタイヤはパンクしてコントロールを失い、何とか車を止める他なかった。

「この野郎!よくも」

 降りて近いてきた二人のバイカーに掴みかかろうにも二丁のショットガンによりドンッシャコッドンッシャコッと全員返り討ちにされてしまった俺たち。

 そして警察に引き渡され、刑務所行きになったのは言うまでもない。




「「いや〜スッキリ〜!!!」」


 俺とペティはうさを晴らして気分爽快!!だがこの後、街中で発砲したことを駆けつけたブラッキーとジェイクに注意を受けることになるのだった。





 そんな二人を路地裏の影から見つめる不気味な影が一つ。






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