25発目 B
開戦6時間前の作戦伝達中。
「ゲリラたちは3000。向こうは人数も武器も揃ってる。おまけに兵器もだ。少人数の俺たちが勝つには、とにかく攻め、驚かして、受け身に回るように仕向けることが大事だ。そのためにも、戦いの火ぶたを切る瞬間が一番重要だ」
「まずどうするんだ?」
奈々は経験上、こういった作戦モノはあまり好まなさそうで、早く内容を教えて欲しさに聞いてきた。
「まずは、やつらが町に入り込んで建物を探り始めて、何も無いと分かって中心及びセント・ジョン・ストリートに集まるのを待つ。それまでみんなは各チームに分かれて町中に潜んでいてくれ。俺が剣、五十嵐、広子、実央、シオリを二式大艇につぎ込んで、ゲリラたちにでっかいのをお見舞いする。驚いたやつらは周辺の建物に散らばる。そこからがみんなの出番だ」
「ちょっと待ってくれギラ。さっきお前、"でっかいのをお見舞い”って言ってたよな。何する気なんだ?」
昔の仲間じゃない剛が分からないのも無理はない。元仲間であるペティは察しがついたらしくニヤリと笑って口を開いた。
「かますの?あれを」
俺はその質問に彼女と同じようにニヤリと笑って返した。
「ああ。“死の飛行”だ」
現地時間は午後の6時以降。
空にはもう太陽はなく夜に変わっている。その夜を利用した俺は、二式大艇を飛ばして西の方角から機体をアシュボーンの中心に向かわせた。本来、二式大艇の艇首には機銃があるのだがそれを撤去する代わりに、操縦席での操作で発砲が可能な20mmガトリング砲を艇首の左右に取り付けた。このガトリング砲を急降下しながら撃ちまくって、ゲリラたちに弾丸の雨を降らせる。
これぞ!“死の飛行=FLY AND DIE”だ!!
注:ガソリンぶっかけはやめとく。
狙い通りゲリラたちは銃撃に驚いて散り散りになり、建物の中へと隠れていった。そして敵のリーダーが呼び寄せたであろう戦闘機:ミラージュIII25機が密集してやってきた。
「Guys,we got a lot of company!(お友達がやってきたぞ!)」
「「何て!?」」
英語が不慣れな剣と五十嵐には通じなかったようだ。
ホログラムプロジェクターによる敵の位置確認をシオリに。二式大艇の上方動力銃塔には実央を、側方銃座は左右に五十嵐と剣を、そして尾部銃座は広子を座らせて各20mm機銃の射撃をこの4人に任せている。とは言っても、機銃を直接動かすのではなく、電子モニターと遠隔操作で動かすタイプになっている。こうもちょくちょく改造を重ねているものだから、改めてミリタリー、または飛行艇マニアの方に申し上げます。二式大艇を勝手に改造して、すいません・・・・。
一方、地上では銃声や爆発音、ゲリラたちの悲鳴が轟いていた。
地上のみんなが行動を開始し始めたようだ。
また6時間前に遡って作戦伝達中。
「ゲリラ連合がセント・ジョン・ストリートから離れたところを各配置で待ち伏せして襲え。そのために4つのチームに分ける、北・南・東・西にな。やつらをできるだけ大きく混乱させてやるんだ」
北エリア。
ここを任されたのは唯、エリ、ペティ、ヒナ、好華だ。
唯の格好はあまり変わってないが、彼女はあの事件以来自主トレを重ねた結果、体からの部分的な放出がさらにコントロールできるようになったため、前回の通気孔みたいなものが必要なくとも、背中から炎を斜め下に放出して飛行中の攻撃が可能になっている。通気孔の代わりに緑ジャケットに真っ赤な暁のマークを施した。
エリの装備はこう。。
金髪外ハネショートカットの上に迷彩柄のバンダナ。半袖緑デニムジャケットでその下にはイングランドの聖ジョージ旗を模した白の上に赤の十字柄(豊満な胸のせいで歪んだ十字)のTシャツ、そして黒スパッツで腰のベルトには弾薬入れにとレイピアの鞘を差している。
そして、右手にはアイラが鍛えたレイピア:ドレーク(本人のリクエストで焼き入れも入っている)。左手にはベレッタM92FS。
彼女は能力者ではないが、その戦闘力は信司(信長)のお墨付きだ。基本的には俺と同じように生まれ変わりの身体能力を以てして、相手を撃っては斬って殴って蹴るの繰り返しだが、フランスに亡命中だった時期に学んだヨーロッパのフェンシングと日本に住んでいた時期に学んだ日本の剣術の二つを組み合わせてレイピアを振るう。
続いてペティの装備。
唯と同じ具合の緑デニムジャケットでその下には白のTシャツ。明るい緑のデニム短パンに赤いブーツを履いている。白のTシャツは裾結びをしていてへそ出しルックになっている。これは昔からのファッションなので唯やエリみたいに、"イタリアのへそケツ"を俺に印象づけた。
モスバーグM590を使用。
背中には矢筒ならぬ、筒状のショットガン用スピードローダーを詰めた筒を背負っている。彼女が使用しているスラグ弾は特殊で、左目に付けている黄色いレンズの電子モノクルとリンクさせ、任意でスラグ弾の中身に仕込まれている一回り小さい弾丸を発射させることができる。これのお陰で、戦場で鍛えた身体能力を使っての近距離戦闘、中距離戦闘だけじゃなく、本来ショットガンでは不可能な20m以上先の狙撃が可能で遠距離戦闘もできる。
その昔ペティは右目を失くしていた。現在は俺が作ったデバイス入りの黄色の義眼を付けていて、これを使って敵の位置を瞬時に確認して狙撃ができる。
さらには彼女も装備の能力者で、あの如意棒を使っている。聞いた話だが、幼い頃に見た夢の中で架空の存在であるはずの孫悟空から受け取ったという。
ヒナは伊賀のくノ一であの服部正成、通称:“半蔵”の末裔だ。
装備はこう。緑の全身タイツを着ているように見えるが、実はナノテクノロジーで構成したアーマースーツだ。現代で伊賀と甲賀の里は認知されていないが、その実態は非常に高度な技術を持っている忍者の故郷だ。
ヒナは伊賀の里でもずば抜けた才能を持ったくノ一として訓練され、都市伝説である賞金稼ぎチーム"八咫烏"の一人である。
くノ一としての身体能力、全ての忍術、忍器、忍法、体術を駆使して戦うが、それだけじゃない。彼女はネイチャーの能力者で、体の一部に自分専用の空間の穴を出現させることでたくさんの道具を貯蔵することができるのだ。端から見れば腰に付けているポシェットから道具を出しているように見えるが。
つまりは"歩く武器庫"なのである。
得意なのは大量クナイ投げとナノテクスーツで足にアーマーを集中させて攻撃を繰り出す足技。
これは俺が彼女と初めて会った時に本人の口から聞いたセリフだ。
『私は自分に武器の貯蔵は十分かって聞く相手と付き合いたい!!』
当時の俺の心の中でのツッコミを言おう。
『お前はどこぞの慢心王にでもなるつもりか!!』
まあ、似たような能力を持つやつが他にもいるけど・・・。
好華もまたヒナと同じ"八咫烏"のくノ一で、甲賀の里出身にナノテクアーマースーツを装備。
彼女の場合、超人の能力のおかげで強いと言った方が良く、その能力とは、"自身の体を弦に変える"ことである。この能力のため好華は"相手に斬られて死ぬ"ということはまず無い。
基本的にはあの"クイーンズの隣人"と同じ戦い方だが、ボクシングが得意で、時には能力を使って手を増やし、ナノテクでガントレットを各手にはめて無数のパンチを繰り出す技もできる。
こんな個性豊かな4人だが、さすがは戦場での先輩たち。唯に初めての相手とチームワークができるようフォローしながら戦っている。時には唯のファイヤーレイ&“炎の弾丸”改め“ファイヤーショット”に合わせて背を低くしたり、ジャンプしたり、体を半分にしたり・・・・・・あ、最後のは好華な。
南エリア。
ここを任されたのは、奈々、菊也、ブラッキー、エン、ブレンダ、ジリアン。
奈々は内心このチーム分けで良かったのかと疑問に思っていた。ここには身一つで戦っているのが自分だけだからだ。とにかく、自分の鬼の力でチームに迷惑をかけないよう加減しながら立ち回ろうとしている。
だがもちろん、彼らも奈々の力に巻き込まれるほど、柔ではない。
長門菊也は現代に生まれた類い希なる剣術の達人であり、生まれ変わりでもないのにオーク戦争に参加できる程の実力を持った16歳の高校生だ。
彼の装備はこうだ。
緑の長ランに長ズボン、黒のブーツ。そして背中に背負っている刀:牙が唯一の武器であるが、彼の身のこなしと剣術を以てすれば、銃弾なんぞ恐るるに足らん。しかもその剣術で銃弾どころか車でもビルでもスパッスパッと斬ってしまう為、“新世紀五右衛門”なんて呼ばれている。
ただこの中でも一番背が低い為、よく初対面の相手にはナメられがちなのがたまに傷。
ブラッキーの装備はこう。
緑のレザーコートに赤ネクタイ・カッターシャツ・黒チョッキ・黒スーツパンツ・黒革靴。何故戦場にネクタイなのかって気になるだろ?本人曰く、好みだそうだ。
そしてこれも本人が自分で紹介してたと思うが、彼の武器は2丁のグロック19。弾倉はいつでも無限に手元に出現可能なのである。
今まで紹介がなかったが、彼もまた生まれ変わりだ。
ブラッキーの前世は1680年から1718年。
西インド諸島と北アメリカの東海岸周辺で活動していて、その豊かな黒い顎髭と恐ろしい外見から「黒髭」と称された海賊。
エドワード・ティーチ。
何故、法を破る犯罪者であった彼が、法の番人である刑事になっているのか。
人生長くなれば、人も変わる、とういことだ。
エンの装備はこう。
色を緑に変えただけで下に防弾チョッキを入れたただの執事服である。ブラッキーに続いて何故そんな格好なのか。本人曰くやっぱり好みだそうだ。まあそれで何年も戦争に参加していたのだから何も言うまい。
そして、彼の武器には二本の刀、本差:官兵衛と脇差:半兵衛を使っている。二本の刀を同時に使う剣術を作ったといえば、
宮本武蔵。
エン=秀吉はペティと同じように幼少の頃に夢の中で武蔵が現れて、二刀流を伝授されたそうだ。
ちなみに、彼の振るまいは二度目の人生が始まってはっちゃけていた息子を見かねた父親が紳士道を叩き込んだからだそうだ。
ブレンダの装備はこう。
緑のフード付きのマントを着て、防弾チョッキを入れた黒ワンピースに黒ブーツを履いている。
そして、彼女は装備の能力者で、身の丈以上の鎌:アラゴンを軽々と振り回して敵を切り裂いていく。
ジリアンの装備はこう。
服は防弾チョッキの上に彼女の前世での故郷であるスコットランドの民族衣装:キルト(緑柄)を着ている。
彼女もまた装備の能力者で、身の丈以上のハンマー:ジェームズを軽々と振り回して敵を粉砕していく。
このダブルメアリーがエンにメロメロなのは14発目で明白だ。理由はまた今度☆。
東エリア。
ここを任されたのは、巴、トラ、エーブ、千恵、濃さん。
巴は相変わらず、見た目ではお前の方がゲリラっぽいだろっな格好で戦場を駆けながら2丁のUZIを撃ちまくっている。
トラには二役を担って貰っている。
あいつの能力:部下31名の魂を呼び寄せる刀で、火の玉を町の中心から半径約4kmの地点に円形に配置させ、圏内から出ようとするゲリラがいたら蘭丸に撃つように頼んでいる。
あとはトラに持ち前の戦闘力を発揮しながら、チームの指揮を任せる。装備はこう。
いつもの赤いバンダナを額に付け、緑の陣羽織に防弾チョッキ、黒のカーゴパンツに軍靴。
武器はもちろん刀だが、場合によってはM16やミニガンを使うことも。ミニガンは男のロマンだルロォッ?
エーブの装備はこう。
南北戦争において最大の激戦:ゲティスバーグの戦い。この戦いだけではないが北軍として活躍していた狙撃専門部隊・US シャープシューターズが使用していた緑色のフロックコート、ズボン、そして帽子を使っている。帽子には平和の象徴であるハトのマークが縫い付けられている。
武器は16発目でトラも説明していたが、装備能力で出したスプリングフィールドM1903だ。だから弾丸を補充する必要が無く、ボルトを手動で操作さえすればいつでも撃てる。だが今回はM1905銃剣も付けて、銃剣術と槍術を併用して接近戦もやっている。長銃を振り回す様は、剣に似ている・・・いや、あいつが似ているんだ。
千恵は、十字片手剣と一つの弾丸に“B”の文字が入ったデザインで織られた旗を持ち、ボタンで留めた緑のジャケットと緑の短パンを着て、背中から翼を伸ばして空を飛んでは地上に急降下して敵を斬ったり、掴んで飛んで落としたりしている。
彼女は能力者じゃない。
彼女は、“天使”だ。
濃さんは、指先がとんがっている手骨のようなものが先に付いている棒を持ち、緑のレザースーツを着て、コウモリの羽を背中から伸ばして空を飛んではって、“千恵と同じように戦っている”でいいや。あ、でも
彼女も能力者じゃない。
彼女は、“悪魔”だ。
“天使”と“悪魔”は存在する。それを知ったのは、この二人の存在が関わっていざこざがあった時だ。まあ、また今度話すね☆。
西エリア。
ここを任されたのは、剛、リーク、デニー、スターリン、クレア。
剛は・・・・まあ、前と同じ戦闘服なんだけど。心の方は色々とごちゃごちゃしていることだろうな。今回はいきなり呼び出されて色んな事実を知っちゃった上に突然の戦いクエスト発生に参加。でも道中でエルフのアンナと知り合っちゃってウフフな気持ちも混じっちゃってるし・・・。どうしたものか・・・・。
リークは初めてだな。
リークの本名はクリフォード・レッドフィールド。
彼の装備は、黒のノースリーブTシャツに特殊な緑のパンツにブーツ。そして立派な十字が彫られた盾と十字剣。
一見、今の彼は装備の能力者だと思われがちだが、それは正解であって不正解でもある。後で分かるから☆。
リークの戦闘は勇猛でまさに、“獅子”。
それもそのはず、彼は生まれ変わりだ。
リークの前世は1157年から1199年。
中世ヨーロッパにおいて騎士の模範とたたえられ、ほとんどの人生を戦いの中で過ごし、その戦いぶりから“獅子心王”と呼ばれたイングランド王。
リチャード一世。
デニーも初めてだっけ?
デニーの本名はオスカー・パウエル。
彼の装備は、防弾用のセラミックプレートを編み込んだ迷彩柄のシャツと緑のカーゴパンツに軍靴。
そして、装備能力で出せる曲剣の一種であるシャムシール:シャジャーアと、三日月に星を刻んだデザインの丸盾:サアーダを使って戦う。もちろんこの盾はよくフリスビーにして投げ、中距離攻撃にも使っている。時には自分の剣でかっ飛ばしたり、仲間の遠距離攻撃の軌道を盾で変えてコンボをキメたりできる。
そして、彼もまた生まれ変わりだ。
デニーの前世は1137年から1193年。
エルサレムをイスラムの手に取り戻し、さらにリチャード一世率いる第3回十字軍と激戦を繰り出したイスラム世界の英雄。
サラーフ=アッディーン・ユースフ・イブン・アイユーブ・イブン・シャージー。
長いけど実名なんだよね。本人も面倒くさいって言ってるし。分かりやすく言えば、サラディン。
クレアとスターリンはいつも通りに聖鎧:シュワーベンと甲冑・・・いや、ファンタジーが混じったパワードスーツ:ドゥリンを着ている。
さらに、クレアは聖剣:バルフォアを手にして、鎧を着ているとは思えないほどの軽快な身のこなしで戦場を駆け抜けて戦っている。スターリンは特殊な両刃斧と投げ用の小さい斧二つを使っている。この3本の斧はある魔石をこしらえて鍛えた斧で、その魔石はドゥリンの手の平に仕込んだ魔石とリンクしていて、遠くに飛んだ斧に向けて手をかざすと引かれ合い、手元に戻る仕組みになっている。
一方、アイラはというと。
またまた6時間前に遡って作戦伝達中。
「アイラにはトラの蘭丸と連携して狙撃ポイントから逃れて出てきたゲリラたちを痺れさせるか、あるいはその鉄のスーツを使って戦闘不能にしてやれ。二重構造の“鳥籠”を頼む」
アイラの鉄のスーツが原子レベルまで削った無数の鉄を本人が発する電気で操っているのは知ってるよな?この鉄を色んな武器に変形させて使いこなすこともできるのだ。例えば鎚、鎌、刀、薙刀、とにかく色々。
忘れてるかもしれないから一応、言っておく。装備能力者の武器とアイラが鍛えてくれた武器は所持者が手をかざせば全て手元に戻るのが普通だ。
長々と聞いてくれてありがとう。
開戦からしばらく経った後、各エリアに分かれた唯、奈々、剛はあることについて、傍にいたそれぞれの仲間に聞いた。
またまたまた6時間前に遡って作戦伝達中。
「戦闘機は俺がメンバーと一緒に二式大艇で全部引き受ける。任せな」
これだけ。
“何でギラは地上戦を選ばず、二式大艇の操縦を選んだのか”。
その質問にペティ、ブラッキー、リークが笑って答えた。
「「「ギラはああゆうのを操縦するのが好き過ぎてHIGHになるくらいだからな」」」
はい、HIGHになっちゃってる俺だアアアアアアハハハハハハハハハハーッ!
「HA HAhhhhh!!」
テンションが高いのは、敵戦闘機をメンバーで撃ち落としまくっているだけじゃなく、機体の中でかけている“ある曲”をBGMで流しているからでもある。
『HERE THEY COME』
スター・ウォーズの中でも指折りの名曲の一つ。TIEファイターをレーザー砲で撃墜するシーンで初めて使われたBGMだ。あのシーン、音楽も含めてマジ最高。
現状と照らし合わせるのなら、ミラージュIIIがそのTIEファイター役だ。数多いけど。
こういった機体は本来、二人の操縦士が必要になるが。俺の場合、クローン・トルーパーフェイズIIヘルメットを二式大艇のコンピュータとリンクさせて、敵機の位置確認中のシオリと連携して操縦し、敵機を追い詰めて撃墜することができる。しかも改造した方向自在なエンジンがあるおかげで荒っぽい飛行も可能だからむちゃくちゃなこともできる例えば機体を少しの間だけ後ろ方向に飛ばしたり、主翼を使って敵機を叩き落としたりしている。
その間、後ろの機銃チームも頑張って敵機を撃ち落としている。中でもすごいのが広子の命中率だ。この機体の後ろを追ってくる敵機から飛ばされたミサイルを全部機銃で破壊し、尚且つその敵機を撃ち落としているのだから。そういえば彼女、かなり重いはずの一本鞭を軽々と操っていたし・・・、今度、戦闘訓練も施そうかな?
『みんな、警告!鳥籠から出ようとしたゲリラの中に、古いタイプのジェットパックで武装したゲリラも混じってた!!上からの攻撃にも注意!!』
アイラからの警告にみんなも『了解!』と答えた。
『それはちょっと厄介だな・・・』
泣き言をこぼす剛に対し、
「それくらいじゃなきゃ張り合い無くてつまんないだろ?」
俺はポジティブ発言を送った。
『確かに、っはは!』
リークが賛同して全員に笑いが伝染していく。
「敵機撃墜!多分今ので最後だ、ギラ!!」と銃座から叫ぶ剣。
「全員!敵機は全滅!繰り返す!敵機は全滅!!」
レーダーで確認したシオリが戦闘機による空の脅威は無くなったことをみんなに知らせてくれた。
「よし、それじゃあみんな!第二段階に移行だ!町の中心地に集結!!これから俺と実央もそこに向かう!!」
『『『『Sir,Yes sir!!』』』』
「シオリ、操縦を。二式大艇と広子たちを頼む」
「任せて、お兄ちゃん!」
操縦を既に教え込んでいた妹に任せた俺は、ヘルメットを被ったままジェットパック付きアーマースーツを着て実央と二人で下に降り、乗降扉を開けて飛び出す準備にかかった。
あ、そういえば実央の装備の紹介がまだだったな?
実は彼女のリクエストで俺が上下浅い緑色と濃い緑になっている巫女装束と半長靴を用意したのだ。出撃前の服一式を手渡した際、サイズはどうやって測ったのかと聞かれると、俺はもちろん感知能力で体の隅々まで調べたと言うと、実央は照れ隠しに俺の頬をつねってきていた。やっぱ可愛いかった。
さて、では真打ち登場と行きますか。
「フォース行っきまーす!」
「実央行っきまーす!」
俺は落下中、後に続いた実央が俺の真似をしてきもんだから、ヘルメットの中でぶほっと噴いてしまった。
まあともあれ、俺は気を取り直してジェットパックを起動させて体勢を整え、実央も霊気を操って軌道を安定させて二人とも飛行モードに入った。
そして、アシュボーンの町をざっと見渡してみると、建物や市場などのあちこちから土煙の柱が立ち昇っていた。爆発も中心あたりで活発化してみんなが先に集結しつつあった。東エリアから向かおうとしていた俺たちは途中、トラが率いるチームを追うゲリラ一隊を確認し、俺がミサイル攻撃をかまそうとしたが、
「待って。せっかくだから私にやらせて」
と、実央が自らの奇襲を買って出てきた。
「もしかしてあれか?霊気レイってやつ?」
「まあ見てて」
そういって実央は両腕をゲリラたちに向けて伸ばした。予想通りかと思いきや、彼女は手をパーではなくグーにしていた。まさか・・・・あれって。
すると、実央の顔と両腕上下にあるものが出現した。マニアほどではなかったが、俺でも一応それが何なのかがすぐにわかった。
7.7mm機銃と20mm機銃を小型化したものだった。これらはあの有名な戦闘機:零戦に搭載されていた機銃だ。そして零戦のイメージした片目式ディスプレ・・・・・スカウターっぽいものを顔の右横に付けて、
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
それぞれの銃口から青白い弾丸が飛び出し、ゲリラたちは肉片に、はならなかった。代わりに全員が戦闘不能になっていた。霊気で魂に直接攻撃できるとするならば、機銃から出た弾丸は霊気弾で、彼女は相手を傷付けずに倒したんだ。
おそらくこれは来る途中に彼女が言っていた“時に鎮魂する代わりにその魂を体現する力を得られる”で手に入れた力だろう。神社に行った時にいた特攻のお兄ちゃんの霊があの後消えていったのが証拠だきっと。
「艦娘かストライクウィッチかウォーマシンかどれかにしろよ!!」
盛大なツッコミも追加した。
『ギラ、こっちは集結完了。どっか寄り道でもしてるー?実央ちゃんとイチャついてるとかー』と、エリからの無線通信。
「ハァ、もしそうだと言ったらどうするんだ?」
何気ない返事で返したつもりだったが、
『『『『オマエノテイソウヲ、ゼンリョクデウバッテヤル。アッハッハー』』』』
あらやだ、とんでもなく重い反応が返ってきた。
女子たちの笑ってるのに笑ってない顔をしているのが無線越しでも骨の髄まで感じちゃった。これはアマゾネス集団が誕生しかねない。どないしよ・・・・。
『それはともかく、戦闘車6両が3方向から2両ずつこっちに接近中』
と状況を把握済みのペティがカチャカチャとスピードローダーでショットガンの弾込めをしながら無線報告をしてくれた。
そういえば、あの戦闘車たち、最初の“死の飛行”から真っ先に逃げ出してたっけ・・・・。今までどこに隠れてたんだ?あの図体で・・・。
「了解!俺と実央で東方向の2両をやる!」
『あ、じゃあ北方向は私と奈々に任せて!出来立てホヤホヤの新技を試してみたいから!』
「大丈夫かそれ?まあいいけど・・・」
『ギラ、西の1台は僕が斬ります』
「ズバッと言うねぇヤングヨーダ!それじゃあ最後の1台はリーク!スーツの着直しにはちょうど良い頃合いだろ?」
『・・・・・・そうだな!フォース!!』と笑顔で承諾したリーク。
話し合いを終了させて、ご指名の4人が前にそれぞれの方向の前に出てM2ブラッドレー歩兵戦闘車が来るのを確認して身構えた。
「実央、リークを特に見てみな。ビックリするぞ?」
「?」
全員ほぼ同時に戦闘車を潰すが、一人一人がどう動いたのかを説明しておこう。
まずは俺。車両の目の前に着地してアーマーから普通の戦闘服に変え、左目を閉じて狙いを定めて、腰に差した雷龍を抜刀し、抜いた瞬間軍刀に白く輝く電気を纏わせることで熱を発生させ、焼き斬ることで戦闘車を真っ二つにした。
次に実央。彼女は両手をパーにして霊気レイで車両を破壊した。
奈々は仮面を右目部分だけ出現させて、パワーを上げて車両を殴った。後方に吹っ飛んだ車両はひしゃげ、爆発した。
唯は目に能力を集中させて、炎のビームを目から発射して戦闘車を破壊した。それ、ヒーローの本場、アメリカから誰か怒って飛んでこないか!?っと俺は噴き出しかけていた。
菊也は刀身を見せることなく居合い斬りで車両を真っ二つにした。
そして、特に目立ったのがリークだ。
戦闘車が近づく前に体を変化させ、髪は猛々しい鬣に変わり、伸び縮みするズボンだけ残し、それ以外の服装は巨大化した過程でブチブチと破り、そして剣と盾はなくなり。獣人化したリークが車両をパンチ一つで何kmも先にぶっ飛ばした。それを見た奈々が内心対抗心を燃やしたのは言うまでもない。
そう、彼は装備の能力者でもあり、剣を爪・牙に、盾を肉体に変える半獅子超人の変身の能力者でもあるのだ。ちなみに俺が知る限りでの最強の変身能力者で、彼こそが真の獅子男だと考えているのだ。
リークが派手にかましたおかげでまだまだそこら中にたくさんいるゲリラ連合たちが一斉に中心地に注目した。ゲリラたちの視線がちくちくするなか、俺を含めた6人ともみんなのところに集まり、リークは獅子の顔で敵に吠え返し、千恵は持っていた旗をたなびかせていた。
そーらみなさん!BULLETSの集結だ!!
「それで?どうするんだギラ?」
トラが先立って聞いてきた。
「良いかみんな。こっからは全員でのチームワークが勝ちに繋がる。ペティ、高台に行って上から見張るんだ、敵の位置をみんなに知らせろ。唯、実央、スターリン、クレア、千恵、濃さんの飛行部隊は町の外側だ。マーケットプレイスから出てくるゲリラたちは全員戦闘不能にしてやれ!」
「誰か運んでくれる?」とペティ。
「それなら私に任せて、イエローアイ」とクレアがバルフォアを背中にしまって、ペティを抱き上げて飛んでいった。指示を受けた唯たちも続いて飛び出した。
「シオリ、聞こえるか?」
『聞こえてるよ、お兄ちゃん』
「広子たちと一緒に、大艇で空からの援護を頼む!」
『Yes sir!!』
「ヒナと好華は建物の屋上を走ったり建物の間をぶらぶらして敵の撹乱工作を頼むぞ」
「任せて!」
「あいよ!」
二人とも忍者飛びをして行った。
「アイラは引き続き蘭丸と連携してゲリラをここから逃がさないように。残りのみんなは力の限り戦うこと。あ、でも奈々!リーク!」
呼ばれた二人はぐるっとすごい勢いで俺の方へ顔をむけてきた。
「お前らは、SMASH(暴れろ)!!」
ニヤリと笑った二人は別々の方向に向かってすっ飛んでいった。奈々は天狗下駄を脱いで裸足になってマジモードになってい
た。
もう、あいつら完全に大物さん枠だな・・・・。
ダダダダダダッ!
迫ってきたゲリラたちがAK-47アサルトライフルを撃ち始めてきた。俺は飛んできた銃弾を雷龍で弾き飛ばす。
「懐かしの土煙だらけの戦場、ただいま!!」
そう叫びながら俺はコンバットマグナムを左手にゲリラたちに突っ込んでいった。
途中撃たれるも軍刀ではじき、マグナムで敵を撃つ。
敵集団も来るが、剛がヘビータックルで蹴散らしていく。
背後を取られるも、エーブが銃剣で突き刺して防ぐ。
その脇を巴とブラッキーがすり抜け、両手両撃ちを背中を合わせてやってのけている。
二人の弾幕をすり抜けてくるゲリラもいるが、それをエリのベレッタが許さない。
そのエリの後を追うゲリラを俺が、俺の後を追うゲリラをエリが、軍刀で、レイピアで、斬った。
まだまだ俺とエリに迫るゲリラに左手に持ったトラのH&KモデルUMP45が火を噴いた。
トラは横に一回転して右手に持った刀で敵を斬り払うも、さらに囲んで迫ってくる。
エンが一旦刀をしまって、ブレンダとジリアンの二人の腕をしっかり掴み、両手に花状態で力強く回ってハンマーと鎌による死のハリケーンであたりを吹き飛ばしていく。
飛んでいったゲリラの中には、ジェットパックで飛んでいたゲリラ分隊にぶつかってストライクが決まってたりしていた。
そのジェットパックで武装したゲリラたちが飛行しながら俺たちに一斉射撃をかますが、俺はアーマーを着てDCー15ブラスターライフルを回し、菊也は刀で、デニーは盾で、ブレンダとジリアンはハンマーと鎌を回して、剛は身一つで、銃撃を全て防ぐ。
防げないメンバーはできるやつの影に隠れた。
弾切れやジャムを起こしたゲリラを見つけ、俺はブラスターで撃ち落とし、デニーは盾を投げて当てて落とした。
その直後に飛行してたゲリラたちが、ちょうど戻ってきた好華が伸ばした弦に絡め取られ、遠心力で一気にまとめてぶん投げられて、ペティが陣取っていた高台に叩き付けられた。
高台にいるショットガン女子を倒そうとしてよじ登ってくるゲリラたちに対してドンッシャコッドンッシャコッと応戦しているペティは、飛んできた銃弾を避け、「クレア、そっちに敵が向かった!気をつけて!」と無線で警告しながら自分を狙い20m以上先に飛び去ろうとしていた飛行中ゲリラを右目を閉じ、左目で狙いを定めてショットガンの特殊弾で追撃した。
撃たれたゲリラはコントロールを失い、同じく飛んでいたゲリラを巻き込んで、町の上を旋回して低く飛ぶ移動砦の役割を果たしていた二式大艇にぶつかった。
ぶつかったゲリラたちを気にせず、そのまま援護射撃飛行を続けるシオリたちの二式大艇の上では、飛び乗っていたゲリラたちをアイラが能力で痺れさせたり、鉄を纏った腕で殴って落としたりしている。
何かに気づいたアイラは鉄の纏を解いて、自身を電気に変えてバリバリッとすごい速さで移動して、ペティが無線で警告したゲリラを迎撃していたクレアを助太刀した。
アイラの助太刀に「ありがとう!」とお礼を言い残してクレアは最後のゲリラを倒すと、光の翼を発現して飛び、ゲリラたちが群がっているキングストリートあたりで背中を預け合って戦っている唯と実央と合流を果たした。
ファイヤーレイと霊気弾で四方に弾幕を張り続ける二人にクレアともう2人、ドゥリンで来たスターリンとジェットパックで飛んできてアーマーを解いた俺が竜巻のように雷龍と両刃斧を振るって助けに入った。
そこへ空気を読まない飛行ゲリラたちが出現して撃ってくるが、そいつらに網をかけて文字通り一網打尽にしたヒナが、そのまま建物の屋根からそいつらを引っ張りゲリラの群集にうりゃっと放り投げ、混乱したゲリラたちの頭上を飛び大量クナイ投げをお見舞いした。
しゅたっと着地したヒナにゲリラたちが迫る・・・・・いや、後ろからガオオオォッ!!と追って捕まえてポイしたりドカドカと吹き飛ばしてくるリークから逃げていた。
その銃弾が効かない状態のリークを後ろの遠くからダダダダッと撃っていた弱腰ゲリラたちを、奈々がジャンプして地面に拳を一発叩き込み、クレーターを作って吹っ飛ばした。
その間に、菊也が空中に飛んでいるゲリラたちの武器や服を一瞬の内で斬った。
ライフルもばっさり。
マスクもはらり。
ベルトも切れてパンツもはらり・・・・おっとっと、ここモザイクな。
衝撃で空中に飛んだ一台の車を手骨棒で掴んだ濃さんは、そのままバックストン・ロード沿いやってくるゲリラたちに向けてボウリングボールを投げる容量で車を力いっぱいに転がした。
転がりながら次々にゲリラたちを潰していく車は郵便局前で戦っていた千恵が、天使ジャンプをして“B旗”をズボッと車に力強く突き刺すことで止めた。
そして、この“B旗”にはこんな意味を込めて俺がデザインしたんだ。
“此ノ一戦ガ我ラ弾丸ノ終着点カ否カ、各員ソノ魂ヲ奮イ立タセヨ”。
今の時代、災害や戦場、紛争地域などの危険な場所でのテレビ中継は全てドローンによる撮影で行われている。アシュボーンもまた、土煙の柱が立っているのを遠目で目撃した通報者が切っ掛けで、グレートブリテン中の色んな局が飛ばした撮影用ドローンにより、ギラたちの行動もバッチリ世界中に発信されちゃった。
もちろん、ギラはそのことも想定済みで手は打ってあった。
イギリスでの早朝テレビニュース。
『昨日午後未明、数週間前から封鎖されていたことが判明してアシュボーンにて、ゲリラ連合を名乗っていた“バラド”などの複数のゲリラ組織の約3000名が地下都市エスペランサブリテンを乗っ取ろうと画策。政府は先日の異種族公表に当たってこうなることを予想して、地下に通ずる巨門周辺の町を秘密裏に封鎖し、ゲリラ連合が動きを見せた瞬間、すぐに連合と通じていたゲリラやテロ組織を世界中に警戒するよう呼びかけていました。ゲリラ連合はアシュボーンを侵略の足掛かりとして攻め入りましたが、すでに市民は避難しており、超人戦士集団“BULLETS”の出現により連合は壊滅し」投降しました。彼らの行動はドローン中継で我が国だけでなく世界各国に流されましたが、何故か兜を被った者以外全員の顔にモザイクがかかるというウイルスが入って人物の特定ができずじまいとなりました。それでも彼らの活躍に人々は安堵し、世界中で話題になりお祭り騒ぎとなっています』
世界中の有名な都市から田舎町の路上で、話題のブレッツのコスプレをしたり“B”の一文字を入れた巨大な旗をもつ人々の映像をバックにニュースキャスターが説明する。
アシュボーンの避難民のインタビュー。
『ゲリラたちが持っていた武器類が、あのオーク戦争の残り物なんですよね・・・・戦争は酷いものです。こうなることを予想して避難させてくれた政府と戦ってくれたBULLETSに感謝しています』
ドローン中継の視聴者Cさんのインタビュー。
『もう完全にヒーロー映画でしたよ。さすがは進化の世紀ですね。あの都市伝説“戦う背がとても小さい甲冑戦士”に“空飛ぶ甲冑騎士”、“フォース・トルーパー”もいましたけど、いろんな超人が現れてましたもんね~』
世界の人々Gさんのインタビュー。
『あれ絶対政府と連携してたんだと思うよ、きっと。ってことは政府関係者の中に戦っていたメンバーがいるかも』
世界の人々Sさんのインタビュー。
『アシュボーンに超人戦士だって?冗談だろ?(笑)』
日本の杉田宅にて。
エン、ブレンダ、ジリアンはロンドンに残った為いないが、それ以外のメンバー全員が俺んちのガレージで寝ちゃってる・・・・・。
「俺のガレージなのに・・・・全く・・・」
あの戦いの終盤あたりで、ゲリラたちが人数的強さを覆す俺たちの戦闘力をようやく理解し、残り約280名になったところで降伏し、おとなしく投降し始めた。町の至るところで破壊された場所はイギリス政府が責任を持って修復するとのお達しだ。
俺たちのチーム名は今や社会現象となった。正直言って、今後の生活のためとはいえあのモザイクを使ったのはまずかったと思うよ。一歩間違えたらチーム名“モザイカーズ”になってたかもしんない。旗手を務めてくれた千恵に感謝しないとな☆。
俺はというと、和室の縁側に寝そべって、ヒューイ・ルイス・アンド・ザ・ニュースの『BACK IN TIME』をかけながらみんなが起きるまで日本を異種族公表の前に買っておいたジャンプを読みながら日向ぼっこ中。
【日向ぼっこは終わりだよー、お兄ちゃん。みんな起き始めたよ~】とアイラが能力を使って伝えてきた。
・・・・ちぇー、『シュバソル』まだ読んでないのに・・・・。
「正直・・・ここ1ヶ月ちょっとでこんな人生になるなんて思っても見なかったなー。360度も変わるなんて・・・」
「剛ー、それじゃ変わってないから。正しくは180度」
と、馬鹿なツッコミ役にツッコミを一発かまして、用意したソファに座るみんなの笑いを誘った。ウケたのは良いのだが・・・。
「ところでー、あいつどうした?」
唯だけが無反応だったのだ。体育座りをしていて目なんかもうイっちゃってた。闇墜ち?
「あれが原因なんですよ」
そう言いながら濃さんは、俺がホログラム映像で映しておいたテレビのリアルタイムニュースを差した。
『彼らの情報の一つとして、変えられた音声ですが、空中を飛び回っている少女の掛け声が今話題となっております』
次のカットで、
『I'll bake you guys! !(あんたたちを焼いてやる!!)』
と叫びながらファイヤーレイをぶっ放し空中を飛んでいるモザイクを被った少女の映像がリピート再生を始めた。
「お前・・・・撮られてたこと気づいてなかったのか?」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"言わないで言わないで言わないで言わないで言わないでぇっ!!」
指摘された唯は顔を隠してソファから落ち、ああああああっと叫びながら床でゴロゴロと悶え始めた。全く可愛いぜちくしょう!
「5回も言った・・・」と呟く実央。
『この掛け声がネット上で話題となり、人々は映像に出た少女のセリフを元に、少女を“キャプテン・ベイカー”と呼び始めました』
お。
「キャプテン・ベイカー・・・・・。良い響きじゃねえか。良かったな、唯」
「・・・・・・そう?」
おっとチョロインさんなう。
「にしてもネット民ってすごいよな〜。俺のことをヘビーロコモ、略して"ヘビー"だって言い当ててるしよ」
と、ネット上で自分にも名前がついて、ご機嫌な剛。
「たぶんネタ元はこのつぶやきだろうな」
俺は携帯で開いたつぶやき一覧の中にある一言コメントを指差した。
「"まさに重機関車!!"かー。まんまだな!誰だ?つぶやいたの」
「俺だ」と俺。
「「「「犯人はおまえかいイィィィィィィッ!!」」」」
全員でツッコんできた。
うるさいうるさい。ここ響くんだから。
「奈々もすごいよ〜、"裸足の番長"だって〜」と五十嵐。
「あたしのは元々あった名前に裸足がついただけだからなー」と言いつつまんざらでもない様子な奈々。
「さて、みんな疲れも取れたことだし、カラオケ行こっか!!!」
「またかよ!!さすがに何度も・・・・」と止めにくる剛だが、
「今回は俺からプレゼントもあるぞー!これで参加しなきゃ、損♪損♪」
ニヒッと笑いながら餌をチラつかせた。
「「「「了解!!」」」」
剛以外、全員が即答だった。
「・・・・・やれやれ」
呆れる剛。
カラオケに行った俺達は、前回以上に激しく歌いまくった。激しくな!
今回は久しぶりにエリたちも参加しているから英語歌詞の曲でデュエットしまくった。
『Supercalifragilisticexpialidocious』『Come and Get Your Love』『Back in Black』『Shoot to Thrill』『BACK IN TIME』『September』、まあとにかく前回をも超える大盛り上がりだ。
「何で杉田君は“フォース・トルーパー”って呼ばれてるの?」
パーティー中、ふと思い出した五十嵐が質問を出してきた。
「言われてみれば・・・・、確かに!」
「何でなんだ?ギラ」
続いて唯たちも聞きたがり始めた。
「・・・・・それなんだがな~、世界のほどんどの場所では力=フォースってことで意味が定着してるんだ。だが実のところは、俺の名乗り方が原因でそうなったんだ。意味も違うし」
「違うって何が?」
奈々の質問に俺は答えた。
「名乗り始めたのは4年半前、俺は“4444”って番号で表記して、それを略して“fours”って名乗ってたんだ。だから正しくは“fours・trooper”なんだ」
「何で“4444”なんだ?」と剛は聞くが、
「・・・・・それは絶対に言わないZ!!」
と、俺はとある勇敢なトルーパーを思い浮かべながら涙目で敬礼した。
「どこに敬礼してんだ?」といらないツッコミ剛。
「まあ良~んじゃな~い?どっちにしても格好いいんだからぁ~?」
突然、背後からけしからん豊満な胸を押しつけて絡んできた広子。何だか顔も赤いし、少し呂律が回ってなさそうだ。まさか・・・・。
「あれぇ?なんか頭がポワーッとしてきたような~・・・」と唯。
「・・・・・あ~、なんか、あたしも~・・・?」と奈々。
なぬっ!?今度はこっちもか?
よく見ると実央と巴もちょっとクラクラしている。テーブルを見渡すと一杯の透明な液体が入ったコップがあった。何故だろう・・・・・目がおかしくなった?なんか無害そうなこのコップから禍々しいオーラを感じとるのだが・・・。いや、絶対無害じゃないな。
試しに指につけて舐めてみた。嫌な味だ。
「誰だぁ!!日本酒を頼んだ野郎はぁ!!?」
どうやらあいつら、日本酒と水を間違えて飲んでしまったらしい。
「あ、悪ぃ悪ぃギラ。楽しすぎてつい頼んじまったーあはははーっ」と完全に酔っ払っていた犯人:スターリンだった。
「あはははじゃねぇこのドワーフがぁ!!」
俺のスーパーツッコミキックを浴びて、同年代ドワーフは意識的に強制退場になった。
「ギラぁ~。私たちも酔っちゃったぁ~。介抱してくれな~い?」
色っぽく誘惑してくるのはエリ、ペティ、ヒナ、好華の4人だった。彼女たち一人一人の手には酒が入ったコップが一杯ずつ。
「お前ら確信犯じゃねえかぁっ!!」
シャウトする俺。未成年の飲酒はダメ絶対!!
「良いじゃないギラ。久々に一緒に歌いまくったんだからっ☆」
いつもはクールなペティも色気出してきやがった。
「あー!古株たちが抜け駆けし始めたー!」
と、一旦距離が遠のいていた唯たちも気づき始め、巴と実央も交えて群がってきた。
「はっはっはっはっ!いいぞ~ギラぁ!!さすがはハーレム王の名にふさわしい男だな~」
と、酒を飲んでからかい始めた馬鹿な観客た。
「おいリーク!!おやっさんを呼んでるからってお前もまだ未成年なんだから酒は控えろって!!」
「お前は飲まねえのか?119歳のじいちゃん」
からかい気味に聞いてくる剣。
「俺は酒が嫌いなんで無理」と女子たちの群集にもまれながらも冷静に答えウッホホーいっ!!
「じゃあこれ、収拾どうつけるんだ?」と剛。
「確かに俺は酒を飲まない。だがそれは同時に呑まれることもないことに等しい!!というわけで俺が仕切るぞ!!やい野郎共ぉ!!男女全員参加の野球拳おっ始めるぞおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」
酒が入ってしまったみんなの熱気はもはやライブイベント並みだった。
「「・・・・・もう、知らね」」
剣どころか剛までツッコミを放棄するレベルだった。
「「「「アウトぉ!セーフぅ!よよいのぉ!!」」」」
カラオケパーティー開始から3時間後。
カラオケボックスの中でも、イッチバン広いのを選んでおいて良かった~。正直あんな展開に狭い部屋は無理だ。
今はというと、半裸・・・いや、全裸になりかけで酔いつぶれて床に寝ているみんなの上でゴロンチョしてるところだ。下にはリークが良い具合に寝転んでいて俺のベッド代わりになっていた。気持ち良く寝ちゃってる。
さて、さっきの野球拳の結果だが、
俺の一人勝ち。
とはいっても、全員が完全なる全裸になる前に寝ちゃったけど・・・。
「お前・・・、シラフでもあんなノリにもついていけるんだな・・・」
「俺たち、正直合わせるのに精一杯だったわ・・・」
酒を飲まず付き合いの良い剛と剣は、負け続けはしたものの絶対領域だけは守り抜いた。
前世の大学サークルで培った経験。こういうときには役立つんだよなぁ~。
「なあギラ、・・・・・お前将来どうする気なんだ?」
と、剣が、
「俺も聞きたいな。お前こんなことし続けてどうするんだ?日本を拠点にして民間チームを編成するのか?」
と、剛が、
聞いてくる。
・・・・・・・・・・・・・。
「俺は正義の味方になりたいんだ」
「「おい、その先は地獄だぞ」」
二人とも俺の冗談を見抜いたようで睨んできた。
「悪ぃ悪ぃ、これ一度言ってみたくってねぇ~」
「こっちはマジメに聞いてんだ、答えてくれよ!」
では、言おうか。
「エスペランサのために異世界へ遠征しに行く」
目的の内容に、二人は絶句した。
そして、タイミング良く目を覚まし、その話を聞いていた者たちも――。
翌日、GWも終わり、普通の学校生活が再開する。
いつも通りに登校する俺だが、周りはもう俺たちBULLETSの話題で騒ぎまくっていた。
教室に着くと、中はクラス内の各一派ごとの話し声の音量が高すぎて騒音状態になっていた。
おとといの中継見た?俺見たぜ!! ありゃ本物のヒーローチームだよなぁ! やっと時代が映画に追いついてきたな!! ブレッツの本拠地ってどこなんだろう? 俺、フォース・トルーパーのヘルメット買ってみたぜ! 同じだけど軍刀振り回していた人、カッコ良かった~ 私、ヘビーさんの筋肉触ってみた~い! 俺、キャプテン・ベイカーに焼かれたい!
色んな意見が耳に入ってきた。そこのお嬢ちゃん、今なら筋肉サービスしてあげるよ♪。あと最後のやつ、死ぬ気かお前?
う~ん、これが正体を隠しつつヒーローをやる者の心のもどかしさってやつか・・・・。
同じくメンバーである五十嵐と唯はというと、昨日間違えて飲んでしまったお酒の影響でまだ体調は完全ではないようで、ぐで弾になっていた。でも時々首にかけているチェーンで繋いだ弾丸のペンダントを見てニコニコしていた。
あれは昨日のカラオケの最後にギラがメンバーの為に作ってプレゼントしてくれたものなのだ。各弾丸には、チーム内での個人個人の認識番号が刻まれている。俺の場合は“2”だが。ちなみに唯は“1”、五十嵐は“7”だ。
にしても、このクラスのわちゃわちゃ感、どうしたものか・・・・。
すると、教室の前扉が開いた。お、担任が来た。
「ぎゃーぎゃーうるせーんだよ、お前ら。朝からうるせーぞ。俺推しヒーローご自慢大会のノリですか、コノヤロー」
じゃなかった。白衣の偽教師:杉田義四の登場だった。
「「「「そのまんまじゃねーか!今のコメント!!」」」」
もはや俺だけじゃなくクラス全員がツッコんだ。
「良いツッコミをありがと、みんな。あまりにもうるさいからボケを一発をとな」
と言いながら、白衣と眼鏡をとっていつもの学ランに戻るギラ。
「はいはいクラスをまとめてくれてどうもありがとな。真打ち登場、全員席につけよ~」
久々の登場な宮田先生が、パンパンと手を叩きながら教卓についた。それに呼応してクラスメイトも全員席についた。
「それじゃあみんな。GW明け早々急ではあるが、このクラスに転校生が入ることになった」
せっかく静かになったのに、担任のこの一言でまたクラスが騒ぎ始めた。
ただ、ギラはもう気づいてるのかやれやれな目になっている。
担任の「入れ」に応えて、前扉からその“転校生”が入ってきて電子黒板に名前を書き、教卓の前に立った。
「服部ヒナです」
「黒崎好華です」
「エリ・ブーリンです」
「クレア・ガトレアです」
「みんな、仲良くするように」
・・・・・。
「転校生何人いんだァァァァァァ!!」
とツッコミを一発。
つーか全員知ってるやつだし!
良いじゃねぇか鈴村。美少女だぜ美少女! 美男子はナシか~! 俺、早くお近づきになりて~。
俺とギラ、唯、五十嵐以外のクラスメイト全員が浮き足立つなか、先生なんか目がイっちゃってるし・・・いや、でも少し笑ってるか?締観の笑みかよ!何で?
そして転校生4人はさらに爆弾を投下してきた。
「「「「先に断っておきますけど私たち、杉田義羅君の自称嫁候補なので、そこのところ夜露死苦〜」」」」
全員がぶーっと噴いた。
「「「「ぶーーーーーー!!」」」」
そして次にはクラス全員の顔がギラに集中した。ちなみに男子からは殺意の視線が集中。
顔の両側面に手を当てながら叫ぶギラ。
「What a fu(マジかよ、くs)」
はいここまで~。
時を遡ること約35時間、戦いを終えて二式大艇で日本に帰る前、遠回りだが少し立ち寄ったのだ。
「タイムマシン、もしくは時間操る能力者がいるとしたら、信じるか?」
「・・・・・信じない・・・・。でも信じなきゃこれに納得ができない・・・」
俺は実央に見せるものがあってヨーロッパのとある町に連れて来たのだ。そしてそこの一本の木の下にある一つのお墓の前で、俺たちは立ち尽くしていた。
「5年半前、この近くの路上で会ったんだ。“未来から来た実央”にな」
昔を思い出しながら俺は語り始めた。
「当時俺は、重要な戦いに直面していたんだ。言ってみれば天下分け目の戦。その直前に彼女が瀕死の状態で警告してくれたんだ。どうやって来たかまではわからないが。お前、メイド喫茶の時に言ってたよな、妙な夢を見たって。未来を変える大きな出来事が起こるとそこが時間の分岐点になる。彼女がしたことがそうだ。多分その“未来から来た実央”の時間軸上がちょうど4月で、俺と会ったことでその時の様子を垣間見るようになったんだろう」
「・・・・その時に聞いたの?私が大好きな花のことを・・・」
「・・・・・ああ、だから彼女が息を引き取ったあと、バラともう一つこの花を贈ったんだ」
墓石にはニゲラとバラの絵が刻まれている。この二つの花言葉を掛け合わせれば、
「未来に、幸あれ・・・・・」
「だが結局俺は、彼女の期待を裏切ってるのかもしれないな。保護する努力を怠ったせいで泉を失うことに――ぅおっ!?」
突然、実央は俺の胸に飛び込み、顔を埋めてきた。
「・・・・それ以上はやめて。自分を卑下するのはやめて。もう一人の私が何でエリや泉姉さんでもなく、ギラ君に警告を伝えたのかわかるんだから。断片的だったけど感じたのは景色だけじゃない、感情もだった。最期にあの人に会えて良かったって。今生きてる私が持ってる感情と全く同じだって」
そう言うと実央は、涙を目に浮かべながら顔を上げて俺を見て、叫んだ。
「あなたが好きなんだって!!」
返す言葉が見つからない。こういうのは不慣れだ。
彼女は泣き出して再び俺の胸に顔を埋めてきた。しばらくの間はずっとそのままだった。
彼女が泣き止む頃合いを見計らって、俺は一旦彼女を引き離す。
「実央、ちょっとの間だけ目を閉じていてくれないか?」
「・・・・・何で?」
「頼むから」
俺の頼みを聞いてくれた実央は、言われた通りに目を閉じた。俺はあるものを彼女の首にかけた。
「もういいぞ」
「・・・・・・?これって?」
「メンバー全員に配る予定のネックレスだ。日本についてから配るつもりだったんだが、番号的にも実央が最初だから今のうちに渡そうと思ってな」
彼女は弾丸の部分に刻まれた“0”の数字をまじまじと見つめている。
「“0”。泉が使っていたコード名だ。もうお前のナンバーだ」
そう。俺に人生で初めての恋を教えてくれた女性に贈る番号だ。
彼女は弾丸を握りしめて顔を上げた。
「・・・・・ありがとう、ギラ君。そろそろ戻ろっか、みんな待たせてるし!行こ!!」
いつも以上の笑顔になった実央に、俺は内心ドキドキしながらも、大艇の着陸地点に向かう彼女のあとを追いかけた。
未来の筋書きは決まっているなんてことはありえない。
いつもそうだ。何もかも考えた通りにことが運ぶとは思えない。
俺はその事をあの戦争で思い知らされた。
だからこそ抗い続けるんだ、俺たち生物は。
絶望の未来を覆すために。
アシュボーンの戦いを経て、世界は知った。
この地球には、抑止力の存在があることを。
俺は弾丸《BULLET》だ。
本当に必要な時は、俺たちはまた戻ってくる。
助けるために。
例えその必要を求める者が、あの地下都市に封じられた巨門の向こうにいたとしても。
俺はいずれ行く・・・・いや、俺達が行くことになるかもしれない。
どうも、みなさん!こんにちは!!
今回の次話投稿はBULLETS史上一部分で文字数最多の投稿になっちゃいました!!(大げさですがw)
スンゴイのを書こうと執筆し続けた結果、2万を超える文字数になっちゃいました!
そして、この作品のテーマも段々見えてきました!(やっとかw)
読者の方々も想像力を豊かにして読んでいただけると幸いです!!
では!自分もコロナに負けず、まだまだ執筆を続けます!弾丸の如く!!




