13発目 この世にラッキースケベがあれば良いなと考えている人は挙手!
とある町のとある5階立てビルの中。
「や、やめてくれ…」
まさに死屍累々となっている部屋でへたり込み、恐怖に怯え、助けを乞う男は先日、『TEISHOKU』にSPモドキ100人を襲わせた地上げ屋の白ジャケット男である。
「全くあなた方は、再三の催促にも関わらずガキ共が経営してる店を1年かけても奪えないなんて。今回なんか折角、私の構成員100人をご一緒させたのに、それがたったの4人のガキに全滅させられるとはどういうことですか?」
「し、仕方なかったんだ!そのガキ共のほとんどが能力者な上、とんでもなく強かったんだ、手の打ちようがなかったんだよ!大体、あんたんとこの能力者を貸し出してさえくれれば万事解決だったんだよ!」
「言い訳は結構。そもそもわたしの所有物はそんなガキ共相手に使う物ではありません!やっちゃいなさい、イサナ!!」
次の瞬間、黒い影が白ジャケット男の前に立ち、腕の一払いで男の首から深紅の液体を派手にぶちまき、男の白ジャケットを赤く染めた。
そして翌日、菫楼高校の下駄箱フロアにて。
「杉田義羅!覚悟ォォォォォォ!!」
ドガァァァン!
「おととい来やがれ」
最近俺の学校では、能力者で強い奴ならモテるのではないかというワケの分からん風潮が広まっており、杉田義羅を倒せばモテるのだとメチャクチャな推測で俺に挑んでくる能力持ちの生徒が現れ始めていた。しかもほとんどが獣人化できる者ばかり。そして俺は剛、唯、奈々の3人と一緒に登校すると、ここのところ毎日そいつらを今のように軽くあしらってばかりなのだ。
「この学校、意外と能力者がいっぱいいたんだな…」
「世界はまだまだ広いんだぞ~。剛、お前はより大きな世界の1員になったに過ぎないんだ」
「はいはい、そのセリフは聞き飽きたから。で、誰か歯ごたえのありそうな奴はいたか?」
「俺は決してこの状況を楽しんでるワケじゃないが、まるで話にならねえよ。少なくとも今は剛の能力が一番危険に思えるさ」
「それはどうも。今日はモデル:熊ってところか?」
俺があしらった勢いで壁にめり込んだままの獣人化生徒を見ながら剛が能力のモデルを言い当てた。
「あれ多分、ヒグマだね」
「今までにチーター、トラ、サイ、パンダ。あ、けど昨日のカンガルーは結構面白かったよな~。ラッシュの速さ比べが特に」
「俺てっきりギラはあの木刀だけで相手すんのかと思ってた」
確かに俺はこの3人の前では基本、木刀で戦闘をしていることが多い。しかし、別に刀を使うだけが自分の戦闘スタイルではない。
「俺はな、相手の戦闘スタイルとか状況を考えた上で自分の戦闘を変えるタイプなんだ。例えば、最近みたいに獣相手なら拳」
「「「銃は?」」」
「それはさすがに人目がつくからな~」
「木刀だって十分ダメだろ!」と、ツッコミ剛。
そんなこんなで自分たちの教室に行き着いた俺たちだが、着いて早々クラスメイトの五十嵐克也に声を掛けられた。
「あの~杉田君、また君に用があるって人が来てるんだけど…」
「ゴメンな~五十嵐、毎度毎度呼んでくれて」
このクラスメイトの五十嵐は俺が教室に不在の間に誰かが訪ねてくる際に、席が入口に近いこともあってすぐ『杉田義羅はどこだ?』と声を掛けられて、自然に橋渡し役となることが多いのだ。ホントすいません。
「それで?今度はどんな奴なんだ?」
「あそこにいる人なんだけど…」
五十嵐が指を差したその先には、教室の入口前で壁に寄りかかり、木製の薙刀を持ったの男子生徒がいた。
「あいつ、“はぐれ部員”か」
「知ってるのか?奈々、あいつが何なのか」
「ああ、この前の体験入部期間の時に興味本位で聞いたんだけどな、新入生が入学する直前にいくつかの部活のメンバーが全員退学届を出していなくなったっていうことがあったんだ」
「「え!?」」
「なんじゃそれ」
それはまたとんでもないことが起きたもんだな。
「ってことは、それらの部活に入ろうとしてた新入生は?」
剛が聞くと、奈々は気の毒そうな顔をしながら答えた。
「残念ながら入った理由をなくして普通に学校生活を送るしか無いだろうね。何人かは不良になったって聞いたけど。そんな人たちをみんな“はぐれ部員”だなんて呼んでる。薙刀部も無くなった部活の一つだ」
「じゃああの人がそうなんだね。なんでまたギラに用があるんだろ」
「どうせやることないから、俺に薙刀の相手をしてくれって言いに来たんだろ」
とりあえず会ってみることにした。
「杉田義羅、噂でお前の強さはよく耳にした。木刀を使って戦うんだってな。一つ、俺の薙刀で勝負してくれねえか!!」
考え通りのことを頼んできたのは良いが、俺の予想を超えたものがあった。なんとその男子生徒は俺に、土下座で頼み込んできたのだ。これは少し驚いた。
「あの~、何も頭下げてまで頼まなくても…そんなにギラと勝負したいの?」
「部活が無くなって薙刀の相手が誰一人いないんだ。でも最近一年で強いって評判のお前ならやってくれると思って」
「だが断る」
「そんなぁ!」
「俺は好きで強いアピールをしてるワケじゃねぇよ。大体、噂の方も勝手に一人歩きしやがって」
「ギラ、別に良いんじゃない?土下座までやった人を無下になんか…」
「俺は意味の無い喧嘩は好きじゃない」
正直、最近挑まれてばっかで落ち着きが無くて嫌だ。できるなら面倒事は避けたい。
「お前、商店街前での騒動に笑って参戦して、ぶほっ!」
「Shut up!!」
俺は余計なこと言う剛にきつめの平手打ちを叩き込み、そのまま吹っ飛ばした。
「おいギラ!ひでーなオイ!!」と剛。
「それにお前さん、頼み込むんだったらまず名乗れよ」
少しキレる剛をよそに俺は挑戦者に名乗るよう促した。
「聞けや!」
「あ、そうだった!俺は1年1組の柳田剣だ!中学まで薙刀部に所属していた!勝負は試合形式でも構わねえ、一度だけでも手合わせを頼む!!」
剣?名前が剣なのに薙刀部所属だったのかよ!
律儀に名乗り出す柳田という生徒に対し、剛たちがツッコミをするなか、俺は彼の名前を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
「え」
ただそれだけ。それだけの一言しかなかった。
「どうしたのギラ?」
「ちょっとこっちへ来てくれないか、柳田君」
「?お、おう」
てなわけで、
「わかった。受けようお前の勝負」
「ほ、本当か?ありがとな!!」
「良いの?ギラさっきまで嫌がってたのに」
「気が変わった。だけどな柳田、勝負は試合形式ってことで相手に一度でも面を当てれたら勝利。それ以上の攻撃は無しって事で良いな?」
「そっちがそれでいいなら、俺は良い!」
「時間と場所は例によって、放課後の運動場だ。ほら、さっさと教室戻らないとホームルーム遅れるぞ~」
「おう!受けてくれて、ありがとな!」
感謝しながら柳田は上機嫌に走り去っていった。直後に「廊下走るな!」と教師に注意されてたが。
「どういう風の吹き回しだ、ギラ。あいつの名前聞いた途端、驚いたと思ったら即OKだなんてよ」
「また、過去に関係アリなの?」
「まあな。さ、授業だ授業」
放課後の果たし合いを待ちながら授業を受ける俺の脳裏には、6年前のある出来事を思い出していた。
(何の因果だよ、じいさん…)
そして、放課後の運動場。
「どう思う?剛君」
「さあ、多分ギラは木刀でやると思うけど薙刀相手に木刀じゃ分が悪いと思うな」
「だけどギラは戦争に参加してたから、そういう敵と戦ったんだと思う。だから勝てるんじゃないか?」
久々に俺と原賀と北野の三人で、各自の武器を振り回してアップをしているギラと柳田の決闘を予想していた。
「それだけがギラの強さじゃない」
「って、うおッ!!細川、いつの間に…」
細川は俺の脇にひっそりと立っていた。正直俺は無口で何を考えているのか分からない細川が苦手だ。
「これが杉田君の決闘?ショーでもないのになんで見物人がこんなに…」
「あ、厳格和風女子」
「誰が厳格よ!!」
細川に連れ添うように来たのは、剣道部の道着姿で来た渡辺実央だ。
「お前部活は?」
「その部活の休憩中に細川さんに誘われてきたの」
『これからギラが決闘するって』
『あの~、それと私に何の関係が?』
『実央も見た方がイイ』
『いや、そうじゃなくて…ちょ、ちょっと!!』
「ほぼ無理やりだな」
「それな」
どういうつもりで誘ったのだろう。俺の見立て通りなら間違いなく細川も十中八九ギラに好意を持っているはず、その細川がわざわざそこまでするメリットはないはずだ。
「ところで細川。さっきそれだけじゃないって言ってたよな。ギラって槍術でも会得してるのか?」
「それに近い戦闘スタイルを持ってるの」
「“それに近い”?」
「どういうことだそりゃ?」
「ほら、始まる」
改めて対峙している二人に目を向けると、柳田が自身よりも長い薙刀を巧くみに操りながらギラに斬り掛かっていた。
「でやあァァァァァァ!!」
右から振った柳田の攻撃をギラは当然の如く飛んで避け、柳田の上を一回転しながら着地し、すぐさま木刀で斬り掛かった。
「てやあァァァァァァ!!」
それに負けじと柳田もギラの攻撃を薙刀で受け止めつつ、また自身も攻撃を繰り出す。
しばらくはこの調子でお互いに攻撃&防御の繰り返しが続いた。薙刀の長さを生かして範囲攻撃をする柳田。速さと機動力を生かして一気に間合いを詰めて攻撃するギラ。二人の戦いは剣道と薙刀で試合と違って防具がないから、お互いに攻撃を受けては危険なのも承知で斬り合っているのに、息つく間もない程激しい様子だ。
見ていると、数週間前の北野と原賀の対決、この前ギラにススメられた『スターウォーズ:ファントム・メナス』のオビワンとモールの対決、そして俺お気に入りのアニメFateのアーチャーとランサーの対決を思い出すくらいだ。要するに、とても速い。
「噂以上だな、杉田ァ!やっぱ強い!!」
斬り合いしていく内に、なんだか気分がHighになったらしい柳田が、互いの武器同士で受け止め合うと口を開いた。強いと言ってくれるのは素直に嬉しい。だけど俺はそれでも“世界の一部”だ。
「言っとくが柳田、世界はまだまだ広い。俺なんかより想像を超えるモンはこれからもある!!」
「ん!?“これから”ってどういうことだ?」
「いずれ…分かるさ!!」
そう言いながら俺は、少し力を入れて木刀で薙刀を振り払い柳田の体勢を崩した。そろそろ決着をつけよう。柳田だって弱くない、十分強い。薙刀の扱い、それに合わせた身のこなし、鍛え上げた体。俺が思うにこいつはまだ強くなれる余地がある。今はまだだ。だからこそ、俺が“その今”に全力で答えるのだ。
(お前はまだ強くなれると…!)
「めえェェェェン!!」
柳田の体勢が崩れた隙を突くことで、俺は止めの面を当てた。
「なあ杉田、お前」
「ギラでいい」
「・・・じゃあギラ、何で急に決闘を受けてくれたんだ?」
勝敗が決した後、柳田が横になってるのを俺は教室で約束した勝利者の権限“何でもしてもらう”を使って二人だけで話をするということにした。もちろん“ん?”な反応をすべきだろうが、そんなことよりも大事なことがあったので俺はしなかった。そう、大事なことが。
「お前の祖父、名前は柳田昴だろ」
「え・・・。何で、ギラが俺のじいちゃんの名前を知ってるんだ?まさか…じいちゃんがどこにいるか知ってるのか!?」
柳田は血相を変えて起き上がって、俺に尋ねた。
「・・・」
「おい、なんとか言えよ!」
柳田はすごく動揺した様子で俺の胸ぐらを掴んで問いただしてきた。よっぽど慕っていたんだろう。
「お前のじいちゃんは、6年前俺が殺した」
俺の返答でその場が空気が凍り付いた。柳田はとんでもない事実を突きつけられたような顔をして膝をついた。
「…何で、殺した?」
「俺は1年半前まで続いていた“あの戦争”に参加していた。柳田のじいちゃんとは何度か対峙してたんだ」
「ていうことは、やっぱりじいちゃんは“戦争を起こす側”にいたのか?」
「そうだ。そして俺はその逆だ」
“あの戦争”とは国同士で起こされたもののことではない、ある勢力が起こしたことが切っ掛けで世界中で起きた戦いのことを総じて“戦争”と呼んでいるのだ。世間の一部では第三次大戦だなんて大袈裟に呼ぶ者も。
「…じいちゃんがヤバい連中のせいで危ない世界に踏み入れてたのは知ってた。そうしないと俺と両親が危険になるからって」
「家族は考えなかったのか?なんでお前のじいちゃんがスカウトされたのか」
「理由は分かってた。じいちゃんが言ってたんだ、自分は生まれ変わりの人間だって・・・」
「“加藤清正の”な」
そうだ。柳田昴は槍の使い手だった。俺は彼と対峙した時に見抜いた。自分が相手にしているのはあの“七本槍”の一人なのではないかと。戦っていく中で言葉も交わすようにもなりその中で彼の口から聞いたのだ。自分は加藤清正の生まれ変わりだと。
「じゃあお前はじいちゃんと対決して生き残ったのか?」
「そうだ、ちなみにお前のじいちゃんの素性を知っているのは他にも大勢いる。俺の知り合いがほとんどだから、これから会うと思うからとりあえず言っておく」
「・・・わかった」
ボゴォッ!!
殴られた。柳田に思いっきり殴り飛ばされた。
「一応、これはやっておく」
そう言って柳田は校舎へと戻っていった。
6年前、とある洋式の城にて、
城の周りには黒煙の柱が何本も立ちこめり、無数の発砲音が鳴り響いている。城の内部では、窓ガラスは割れ、カーテンは焼け落ちまだ火がチラホラと床で燃えている廊下では、折れた槍を持った老人とその老人の胸に軍刀を突き刺した黒装束の黒髪の少年が対峙していた。
折れた槍を落とし、今にもこと切れそうな老人は血を吐きながらこう呟いた。
『失ったと分かった時の“怖さ”を、お前には分かるか…』
殴ってくれて良かった。そうでもしてくれなきゃ未だに重い胸が少しもスッとしなかっただろう。
「大丈夫?ギラ…」
柳田に一発入れられた俺はそのまま運動場のど真ん中で倒れて、少し赤くなりかけた空を見ているところに唯たちがのぞき込んだきた。
「柳田と何話してたんだお前。また昔の話か?」と剛。
「お前は俺が関わると何でも昔の話だって思ってんのか?間違ってねえけど」
「昔女を取り合った仲だとかそういうのか?」と奈々。
「女は関係ねえぞ」
「「じゃこの話はここまでだな」」
「そろそろ部活戻らないと…」
俺の昔の話より女関係の話にしか興味がなかったらしき奈々、唯と剣道部員である渡辺はさっさと運動場から退散していった。
「それで、誰だったの?あの男」とその昔からの知り合いである細川は興味ありげに聞いてきた。だが。
「細川は分からねえぞ。あの“ブリテンの害虫”関係だからな」
「あぁ、あれか・・・」と納得する細川。
「?それって…」と剛は何かを問いかけるが俺は軽くあしらう。
「さあて帰るとす・・・」と俺は言いかけたが、あることを思い出した。
(ちょっと待てよ。たしか柳田のクラスってたしか、1組だったっけ・・・)
「どうしたの?ギラ」と話してくる細川をよそに少し考え込むと、俺はとんでもないことに気付いてしまった。
「やべぇ!!今あいつが戻ったら!!」と俺はそう言いながら血相を変えて全速力で1組の教室に向かった。
「あ、おい!どうしたんだ?」「何がヤバいの?」と剛と細川も後に続いた。
少し前、柳田は運動場を出た後、自分の荷物を取りに教室に向かっていた。
おじいちゃんはもう死んでいる。薄々気付いてはいたが、改めてそう言われると落ち込む。しかも一つ昔の海外での戦争で自分と同い年の…いやもっと幼いときの奴に負けて死んだなんて。
(これは、父ちゃんたちには言う必要はないか…)
言ったって信じるかどうか分からないし、じいちゃんはもう死んでいるときっぱり諦めていた。諦めが悪かったのは自分だった。いつか帰ってくるんじゃないかと…。
だがそれも今日の決闘のおかげですっきりした。部活が突然なくなったことももうどうでも良い。これで心置きなく高校生活を送れる。
(さて、さっさと家に帰って、予習復習…)
自分の教室に辿り着き、ドアを開けると、中に誰かがいた。
「え!?嘘!あ・・・」
夕日を背に一人の可愛い女子が立っていた。だが妙だった。明らかにクラスメイトじゃない女子だった。さらにおかしいことにその女子はセーラー服じゃなく学ランを着ていたのだ。そして前を開けていてシャツ越しだがうっすらと水色の下着が見えた。これは重要だ。もう一度言う、これは重要だ!
「あ~、大丈夫見なかったことにするから」とフォローしかけた時、俺は気付いた。目の前にいる女子の顔を自分は見たことがあることに。
「あれ?君って・・・」と、聞きかけた俺は、
「ほあちゃぁぁぁぁ!!」と、そこへ突然やってきたギラに思いっきり跳び蹴りを決められた。あばほっと声をもらしながら俺は廊下に倒れる。
「ちょ、さっきの仕返しか?あの流れでやり返すかフツー・・・ぐほっ!」
「忘れろ!記憶消せ!今見たこと全部忘れろぉ!」とものすごい形相で俺の頭を必死にストンピングしてくるギラ。
「やり返すにも程があるだろ!あとお前ら2人、悪ノリして一緒に俺を踏んでんじゃねえ!」
3人のストンピングをやめさせ、一旦教室に入って学ラン女子と話をまとめることにした。
「君って確か、ギラと同じクラスメイト・・・だったよな?」
「はい・・・そうです」
今朝、俺がギラに決闘を申し込みに行った際に呼び込んでもらった生徒がいたのだ。それがこの子、五十嵐克也、いやもう絶対偽名だなこれ。
「何で、男のフリをしてたんだ?」
「僕・・・私ね、多分だけどヤクザの子らしいの…」
五十嵐はうつむき、とつとつと話し出した。・・・5年前まで母親一手で普通に女として育てられたものの、突如聞かされた父親の死、同時に母親が名前を変えて男のフリをして生活するようにと言い出し、困惑するも言われた通りにするが、その2年後に母親が病死、それ以降父親の元腹心らしき男が生活費を送りに家を訪ねてくる・・・つまりは父親がヤクザでヤバい連中との抗争で死んでしまって、自分の家族が巻き込まれないように生活をするようにと言い残し、彼女はそのために男のフリをしていた、ということらしかった。
「つまりは、危険が及ばないように正体を隠すため、男のフリをしていたと」
「うん」
人にはそれぞれの事情がある。これもまたその一つだ。しかしそれだと疑問が残ってしまう。
「何でギラはこの子の正体を知っていたのかな。誰にもバレてなかった秘密なのに」
同じことを考えてたらしい細川という女子が質問した。背中に背負っているボストンバックから出したマシンガンらしきものをジャギゴッとギラに向けて。
「着替えシーンを覗いたとか?」と静かに怒っている細川。
「待て待て待て、話せば分かる」と冷静に制するギラ。
「でもそれ以外この子が女の子だって気付く過程は無いと思うけど?罪だよね、これ?何ならここで裁判を行おっか。そこの3人はどう考えますか?杉田義羅は有罪か否か」と勝手に取り仕切り始める細川。
「いや、でもまだ覗いたってワケじゃ・・・」と五十嵐。
「いやいや、覗いたな絶対。だから『うらやまけしからん罪』だ」と容赦がない鈴村という男子。
「うん、たしかに『うらやまけしからん罪』だな」と俺も容赦ない。
「詮議の程を言い渡す、この場にいる男子は全員死刑でファイナルアンサー!」と細川はもう一つのマシンガンを俺と鈴村にも向けてきた。
やっべ、火に油を注いじまった。
「お前、本当にボキャブラリー増えたよな。昔はそんなんじゃなかったのに・・・。あと真顔で言うのは怖いからやめて。そして俺は覗きはしてない。なんというか・・・そう、"感じた"から知ってたんだ!・・・ヤらしくなっちゃった・・・」とワケの分からないことを言うギラ。
「あの〜僕、私はただこの事を黙ってさえいてくれればそれで良いんだけど」と言う五十嵐。
「もちろんそのつもりだ。他の人にバラすなんてことしても、なんのメリットも無いしな」と落ち着かせる俺。
「よし、柳田。せっかくだから五十嵐の面倒見てやって」といきなりとんでもないことを言い出した細川。
「え?いやいやいやいや!何で俺!?」
「忘れないで。偶然とは言えあなたは女の子の貴重なリラックスタイムを壊しちゃったんだから、責任を持って面倒見なさい」
「んなムチャクチャな・・・」と俺の苦情もむなしく、
「YesかNoかどっち?」と細川はマシンガンの銃口を俺のおでこに当ててくる。
「・・・Yes」
俺にはもう選択の余地はなかった。
どうも皆さん、お久しぶりでーす!
スランプ状態に陥り、なかなか執筆が進まず、少なからず読んで下さっている読者の方々、申し訳ありませんでした。
しかし!それでも満足していただけるエピソードを作ろうと今もなお!素晴らしいストーリーを執筆中であります!
ちなみに、今回の投稿エピソードは読めばわかるんですが、次回に続き最低でも投稿3回分の長編にするつもりです!
ですので読んで下さっている方々!納得のいくストーリーをぜひ!楽しみにして待っていて下さい!
それではみなさん!まだまだ進み続けます、弾丸の如く!!




