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BULLETS(ブレッツ)  作者: 砂川 武
11/63

9発目 行動を起こすのに過程はいらない、必要なのは度胸である。でも変態行動はしないように。

 前回までのあらすじ。

 ギラには原賀以外にも、言い寄られている女子がいることが判明。いや、同年代なのか年下なのかはたまた年上なのかも分からないが、とにかくもう2人いるらしい。おそらくそのライバル達に会う日はそう遠くはないだろう。

「というわけなんだ!だから」

「こっちからギラに色仕掛けをして既成事実を作ろうって!その発想自体が犯罪じゃん!!」

 原賀と北野はギラを攻略するための情報共有のために校舎の屋上で話し合っていた。

「そうも言ってられないだろ。こういう小説って、どうせあとから出てくる新キャラクターの方が人気が出て、読者達の間で“来た正妻!”だなんてつぶやかれて、そしていずれは主人公と結ばれる!なんて展開があるかもしれないんだからな!」

「・・・北野でも読むんだね、ラノベ」

「でもって何だよ、あたしが読んじゃいけないのか?」

 男勝りな女子が読んでいるのが意外だからだよ・・・。

「まあとにかく、今日の放課後のことは賛成だけど、入ってからのことは抑えてよ?」

「いや、あたしは行動に出る!後には退かない、前進あるのみ!」

「ちょっと!だから既成事実なんて・・・私は絶対止めるからね!」

「それでいい。あたしはヤり通すからな!」

「やだこの子危険!!」

 

 その頃、教室では。

「はあ~、あいつら・・・」

 頭を抱え込む俺と、それに気付く鈴村。

「どうしたギラ?」

「原賀と北野が放課後に怪しい計画を企ててる」

「は?今何て?」



「「お帰りなさいませ、ご主人様!!」」

「俺がいつお前らの主人になったんだ?」

 家に帰ると、玄関で原賀と北野がメイド服を着て俺の帰りを出迎えていた。

 話を少し戻すと、放課後になると原賀と北野が俺を警戒しながらコソコソと先に学校を出て、それから俺が教えた自分の家に2人そろって向かい、訪ねたのだ。この時間、親父はもちろん妹二人もいない、母さん1人だけだ。おそらく母さんが2人が俺とどういう関係かをすぐに察知してわざわざ家に入れ、恥ずかしいメイド服を着させて変な主従プレイをさせている。

 そして今、この状況である。

「で?母さんはどうしたんだ?」

「あ、急用で出かけてくるからあとのことはよろしくって。ギラにこの手紙も渡しといてだって」

「やっぱりな・・・わかりやすい」

 二つ折りに畳まれた手紙を開けると、中身はこう書かれていた。


『原賀唯さんと北野奈々さんのこと、お願いね。食べちゃったら、責任取ってね☆』


 お節介な母親め、愛してるよ・・・。

「そ、それではご主人様、最初は何になさいますか?」

「ご飯にします?お風呂にします?そ・れ・と・も」

「古いからそれはやめてくれぇ~」

「え?、これはいつの時代でも使えるでしょ!?」

 物は言いようだな…

「とにかく!」

「「私達にします?」」

「男としてはそれを選びたいが、それでもヤらないからな。風呂の用意を」

「ちぇ~おっと、かしこまりました、ご主人様」

「それと、命令に従うんだったら、その面倒くさい敬語はやめてくれ」


 うちの風呂場は結構広い。浴槽を抜いても二畳半くらいある。まあそもそも家自体がそれなりに豪邸だからだ。基本的には洋式だが、和装の部屋もありそこには縁側もある。夕方その縁側で腰掛けて夕日に呆けるのが俺のたまの日課なのだ。まあ今は浴槽に入ってるが。

「ギラ~。ギラの着替えってどこ?」

 どうやら2人は着替えを用意しようと脱衣所に入ってきたらしい。

「必要ない!俺はいつも自分で“作ってる”から!」

「能力を使ってか?便利だな~」

「お~い、会話で注意を逸らしてるつもりかもしれないが、二人して服を脱いでるのは分かってるからな~」

「げっ、バレた!?」

「何で分かったの?」

「とにかく、裸で風呂場に突入~!だなんて絶対にするなよ」

 あ、いかん。これはフラ

「今のはフリってことだからする!」

「と、突入ー!!」

 ガチャッとドアが開き、まず両手足全体が艶めかしく体全てが整っている北野と、一般的な女子高校生の体ではあるものの恥ずかしげな仕草がプラスな原賀が続いて入ってきた。何より釘付けになったのは言うまでも無く、2人のそれぞれ最も主張が激しい二つの果実と“あそこ”。

「はいサービスカットありがとうございます!!」

 一瞬で十分見て、俺はすぐさま目を閉じた。

「なあ原賀。北野はともかくお前ならそんな行動は反対すると思ってたんだが」

「さ、最初はためらったんだけど、でも私もギラが好きな気持ちは一緒だし…」

 ちょっと間があいたが、原賀は恥ずかしながらも決意を固めたかのように一歩前に出て仁王立ちになり、

「この想いは、誰にも負けたくない!!」

・・・裸じゃなければ格好いいんだがなぁ〜。

「さあ!あたし達は見せるものは見せた!次はギラが見せる番だ!」

「OK。いいだろう」

「「え!?」」

 ザパァーッと、俺は迷い無く浴槽から出て、2人の女子を前に全てをさらけ出した。

「ちょ、ま、待ってくれギラ。普通この場合そっちがドギマギするんじゃないか?」

「な、何でそんなに平気なの?うわぁスゴい…」

 北野も原賀も俺がこんな返しするとは考えてなかったらしく、顔を手で隠しつつも、やはり異性の体に興味を持つ思春期の女の子、指の隙間から俺の“逸物”をチラッと見ている。だが俺はチャラヘッチャラだ。この状況でドギマギする反応は100年前に捨ててきた。

「こ、これは何かの試練か?ギラの裸を直視して全てを受け入れろってことか!?」

「なにをすれば良いのかな?このまま抱かれれば良いのかな?」

 なんか頭の悪い考えをしだしたぞ。多分テンパって思考がおかしくなってるなコイツら。このままイけば間違いなくこの小説が18禁エロ小説にチェンジすることになってしまう。それだけは避けなくてはならない。

 2人は取り乱したまま俺にこう叫びながら突っ込んできた。

「「その聖剣エクスカリバーよこせー!!」」

 このネタ、腹ぺこ騎士王か鬼畜の〇ズマが飛び出してきそうだな。でも2人が俺の聖剣を掴むよりも前に、

ドドンッ!!

 2丁のコンバットマグナムM19を能力で出現させて2人を両手撃ちにした。


「「はっ!!」」

 北野と原賀が目を覚ました。

「あれ?私たちさっき、撃たれて…」

「弾丸は電磁弾丸エレクトリックバレットを使った。命中した生物には電流を流して気絶させる」

 そして2人が倒れたあと、服を着させてリビングのソファーへ運んで寝かせてた。そして今は。

「ギラ。今もしかしてご飯作ってるの?」

「そうだ。今夜はビーフシチューだぞ」

「あたし達ギラのメイドだろ!!存在意義を奪わないでくれよ!!」

「あ、それもそうか・・・でもお前ら料理できんのか?こういうイベントだと大体ダークマターセットが出てきそうな気がするんだが」

 どっかの腹黒ゴリラ女キャラを思い浮かべながら俺はそう言って作業を進める。

「大丈夫!肉じゃがはもうマスターしてる!」

「あたしだって昨日カレーを練習してきたし!」

「せめてお互い事前に打ち合わせしろよ…悪いがほとんど料理はできてるんだ、今更遅い。料理はまた今度。2人を眠らせたのは俺だからお詫びに作るってことで。どうだ?」

「わかった。じゃあそれまでにもっとできる料理メニュー増やしとくから、その時は絶対食べてよ!」

「あたしも!そういえばギラって日頃から料理してるのか?」

「ああ、朝食は毎日、昼食・夕食は気が向いたらってことになってる。まあうちの家族はみんな料理ができるからな」

「すごいな・・・うちは普通に母さんだけしか作れねえな」

「私のとこも」

まあそれが普通の家庭のはずだからな。

「俺のとこはちょっと特殊だからな。さあできたぞ。座った座った」

「あれ?人数2人分多くない?」

「今ちょうど、妹達が帰ってきたからな」

「「え!?」」

次の瞬間、玄関のドアが開く音がしたと思ったらドドドドっと廊下を走ってリビングに入ってきた。妹達だ。


「お兄ちゃんまた"新しい"女の人連れてきたの!?」

「この前話してた"新しい"女の人だね」




 妹2人がとんでもない爆弾発言をして、その場の空気が凍った。

「よーし2人共、言い回しがヒドいのでそこに正座しなさい!」

 オカン口調で即座にその場を仕切る俺。






「改めまして、杉田義羅の妹・杉田愛羅すぎたあいらです。兄がお世話になっております」

「同じく妹の杉田枝折すぎたしおりです。どうぞよろしくお願いします」

 2人を正座させながら原賀と北野に自己紹介させた。

「もしかしなくても、2人って双子?」

「一応な。ちなみに言っておくが、2人とも能力者だ」

「え?兄弟そろって!?」

「まるで能力者のバーゲンセールだな」

「V字額野郎のマネはよせ北野。それに今は分からないだろうが、世界はまだまだ広いからな。北野は5年前に、原賀は数日前により大きな世界の一員になったに過ぎないからな」

「知ってるさあたしだって。あんな戦争見りゃ分かるよ」

「言っとくがあの海戦でも世界の一部だぞ」

「ちょっと待って。私前から一度詳しく聞きたかったんだけど、そのー、5年前の海戦について」

「お兄ちゃん。もしかして昔のことまだ話してないの?」

「あ~待て待て。まず原賀の質問に答える。その通り、俺と北野が出会った海戦のことだ。でも生憎まだ昔のことはまだ話さないつもりだ」

「それはいつ話す気なの?空気を読んで昔のことに触れずに話すのって結構疲れるよ」

「ああ分かってるシオリ。けど“例のアレ”が終わらない限りは絶対話さないつもりだ。分かるだろ?」

「あ~そっか…」

「なら仕方ないね」

(情報漏れは良くないからな…)

「ねえ、“例のアレ”って何?」

「いずれ分かる。さあこの話は終わりだ。アイラ、シオリ、もう正座はいい、着替えてこい、飯の続きだ」

「「は~い」」

 妹たちは2階にある自分達の部屋に向かった。妹たちの夕食を出した後、俺は“いつもの”用意をした。しかし残った二人はまだ何か言いたげみたいだ。

「ねえギラ。私たちまださっきの“新しい女”って言われた真意を聞いてないんだけど?」

「あたし達もう知ってるんだぞ。ギラには他にも好意を持たれている女がいるって」

 …情報源はおそらく泰じいだろう。

「じじい余計なことを」

「で?いつ話すの?」

「後だ後!オーディオ起動!Earth, Wind & Fireの『September』を!」

 杉田宅全体に配備してある音声認識機能を使って音楽をかけた。ちなみに今の時代、音声認識機能は普通の家庭で使ってるのは珍しくはないが、家中の至る所に配備してる俺のような家はそうそういないだろう。でもいくら時代が進んでもこれだけは変わらないことだと断言できる。


音楽最高!!


「今は夕食を、楽しもう!!」



 夕食の後、少しの事ならと杉田妹二人に話を聞くことになった。

「私たちの家族は色々と特殊なの。お母さん以外は能力を持ってるし、“変わった人”達と関係を築いてるからたくさんの騒動に巻き込まれたりもしたの」

「お兄ちゃん自身も特殊だし…」

「アイラー。“あの事”はまだだ」

 ギラはキッチンで夕食の後片付けの皿洗いをしているが、かなり離れてるはずのリビングにいる私たちの話がちゃんと聞こえているらしく時々このように口を挟むことがある。

「ギラっていつもああいうふうに曲を聴きながら夕食を食べてるのか?」

「いつもそう。今日は普通の曲だったけど、大体は映画に使われてるBGMを流してるの」

「例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ジュラシック・パーク』『ロードオブ・ザ・リング』『ホビット』『スター・ウォーズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ターミネーター』『アベンジャーズ』」

「あとジブリの『紅の豚』『天空の城ラピュタ』『風邪の谷のナウシカ』『もののけ姫』まだまだあるよ続ける?」

 …気が遠くなりそう。前にギラがオーディオプレイヤーで何を聴いてるかを話してきたことがあったけど、その時に聴いた数の倍ありそうだ。

「ううん、全部言わなくていいよ。本当にギラって映画が好きだね。しかも結構渋いものばっかり・・・」

「しかも100年以上前の作品ばっかりだな。確かに名作だけど何であんなに趣向が渋いんだ?」

「理由は単純、それらの作品がお兄ちゃんの琴線に触れただけのことだから」

 アイラちゃんとシオリちゃんはしっかりした子たちだ。聞くところによると2人ともお母さんの仕込みで基本的な家事全般ができて、いつもの夜ではお母さんと一緒に夕食を作っているそうだ。

「じゃあ、ギラが“とんでもないモノを盗んだ”回数は?」

「え?ああ、“ルパン窃盗”ってやつ?」

「既に2回更新されて、目の前にその被害者」

 いやあの、別に悪いことじゃないと思うけど。

「はっきりは言えないけど、少なくとも3回以上はその“ルパン窃盗”をやらかしてるよ」

 ギロッとギラの方に怒りの視線を向ける私と北野。

「俺は一度たりとも故意ではやってないぞー」

 そしてその反応に対して、皿洗いしながら冷静に対処するギラ。そこで以前から気になってたことを私は妹さんに聞いてみた。

「ねえアイラちゃん、ギラって人の気持ちを理解しやすいタイプなの?」

「そう。だからお兄ちゃん本人も自分に好意を持ってくれている人が誰なのかも分かってる」

「そしてその人たち全員のアプローチをフり続けてきた・・・今はああだけど、昔は別の理由でね」

 妹2人はどこか寂しそうな表情を出しながら語った。

「昔の理由って何だ?」

 北野が聞いてみると、シオリちゃんが答えた。

「お兄ちゃんには昔好きな人がいたのは聞いてるよね。その人に振り向いてもらおうとお兄ちゃんがアプローチをしてたの。その女の子もギラとは仲良かったんだけど好きな人は他にいて、しかも両思いだったの。だから最後の告白で断られてついに失恋、今日までまだその人以上に誰かを好きになったことはないんだって」

 ギラは心にキズを負っている。そしてそのキズは未だに癒えていない。つまりは昔は一つの恋に真剣に向き合おうとしていたため他の女の人の告白を断っていたが、現在は中々昔の想い人を忘れられず、新しい恋を見つけることができていないから断っているということだ。それって要は

「要は恋愛に関しては“腰抜け”ってことだ、今の俺は」

 片付けを終えて普段着に着替えてきたギラが話に入ってきた。

「原賀、北野。2人も俺を好きになってくれているのは素直に嬉しい。でも今の話を聞いてこんな腰抜け男のことどう思う?」

 数日前に北野と私はギラに告白をし、そしてフラれた。普通ならそこで失恋をするはずだ。でも諦めることはできなかった。理由はギラの断り方がとても丁寧かつ紳士的だったこと、告白の後も友達として楽しく接してくれたことだ。

「ギラの何を知っても何も変わんないよ、あたし達は」と、笑顔で答える北野。そして私も同じく笑顔で答える。

「それに聞いた限りじゃギラは惚れた相手に何度か断られてもめげずにアプローチしたんでしょ?それが成就できなかったのは仕方のないことで、そこから新しい恋を怖がるのは当然だと思うし、それにすごいと思う」

「何が?」

「ギラにそこまでアプローチをさせたその人が。正直、羨ましいよ・・・」

「そいつも自分の恋に真っ直ぐに向き合ってたんだなって。ギラそっくりだよ。だったらあたし達もそうしたい」

「私たちも自分の想いを貫いて、これからもギラを好きでいたい」


 この言葉はどこまでも透き通る水のように濁りは無い。


「お兄ちゃんを好きになる人はみんな一途だね~」

「いつまでも保留にできると思う?」と妹二人はニヤつき始めた。

「ホント・・・参ったな」

 さすがのギラも唸りを上げている。

「ところでさっきから気になってたけど、ギラの普段着っていつもそれなのか?」

 突然、北野が私も気になってたギラの服装に対して質問をした。なんとギラは和服に身を包んでいるのだ。何というか渋い。ここまでくるととても同年代の男子とは思えなくなってきた。

「家ではいつもお兄ちゃんは和服なの。この方が落ち着くからって」

「ねえ、本当にギラって何者?」

「さあて、何者なのかっていう質問自体が理解不能なんだが。どういう意味だ?」

「とぼけるなって。あたしはもちろん、原賀も鈴村だって感づいてるはず。ギラは同級生であり同じく変わった能力を持った人間だけど何かが違う。きっとこれまでの5年間いや・・・もしかしたら5年以上も前からなのか。あの時の戦いだけじゃないんだろ?ギラが関わった何か大きな“出来事”ってのは」

 ギラはだんまりを決め込んでしまった。あまり話したくないこととは何なのかこっちもますます気になる。

「まあ・・・お兄ちゃんだけの話じゃないから、昔のことは」

「大まかにすると私たち家族全体のことにもなるから、あまりほじくり返さないでほしいかな」

「さて、難しい話はもうこのくらいにしよう。みんな風呂に入ってこいよ。俺はもう部屋に行く」

 話を切ってギラは立ち上がった。

「あれ?お兄ちゃん、お父さんとお母さんは?」

「さっき連絡があって、今夜はじっちゃんのとこで寝泊まりするってよ」

 そう言ってギラはリビングから出て行った。

「ねえ、じっちゃんって誰のこと?」

「あ~親戚のおじいさんダヨ・・・」

 なぜか目を逸らしながら答えるアイラちゃんと、同じく目を逸らすシオリちゃん。

なんか怪しい。




 突然だが、俺の部屋は特殊だ。

 広さは6畳分、学習机、パイプ椅子、テレビ、本棚、寝床のベッドなどが各一つずつというのが一般的な高校生の部屋と、100年経った今でもそう言われている。しかし、俺はその普通の高校生の部屋というのを持ったことが無いのだ。まず前世では、部屋は持ちつつも6畳の部屋を兄と共同で使うという体であった。学習机、パイプ椅子、本棚はあるもののテレビはリビングに1台だけで、寝床も寝間を家族で共有していたからベッドも無し。そのため1度目の人生の前半を実家で暮らしていた期間は自分の部屋を部屋として使わず、ただの私物の物置にしていただけであった。

 だが2度目の人生ではそれが180度変わった。憧れだったフローリング部屋を独り占め。ベッドもテレビもあるどころか、部屋全体にホログラム・プロジェクターを設置して空中にディスプレイを展開、そしてハンドジェスチャーで操作できるようになっている。まあ俺が“あのスーツを着て戦う社長”と同じ事ができるようにしたいと考え、勝手に部屋を改築したからなのだが。

『それで?原賀さんと北野さんとは上手くイったの?』

「母さん、余計なお節介はやめてくれよ・・・親父まで賛同しちゃって~」

『別にいいだろ?俺たちはお前の人柄があるからこそ、そのお相手が必ず良い娘であるのは間違いないと信じるんだからな。舞台を用意してやらないと、お前は先に行けないだろうからな』

「そりゃどうも・・・」

 今俺は、キャスター付き椅子に座りながら“じっちゃん”の家に泊まっているお節介な俺の現両親とホログラム映像を介して会話中である。

『まあ、ブリテンのあの娘のことも考えてるのなら焦ることも無いだろうけど』

『いつまでも保留はいけないぞギラ。女の子の好意を放置ってのは男として失格だ』

「分かってる。でもそれは“ケジメ”をつけてからだ。そこからならきっと俺は前に進められると思う」

『じゃあそうして。でも今夜どうなるかは知らないわよ?』

「は?それってどういう」

『それじゃあ、良い夜を』

「おい、ちょっと!」

 一方的に通信を切られ、ホログラム映像の親父達の姿が消えた。少しの間、背中あてにもたれながら親父達が言った言葉の意図を考えてみた。

(まさか・・・)


 その夜、


 ベッドで就寝についたギラの部屋に、ドアをそっと開け侵入する影が二つ。その影達は抜き足差し足忍び足と、ベッドに近づき左右の側面からそれぞれ添い寝をした。

「夜這いとは、随分過激な行動に出やすいよなお前ら」

「「!?」」

 俺が完全に寝ているものと思っていた二つの影こと原賀・北野が、突然の俺からの声かけに驚いた。

「普通これは男の所業じゃねえか?」

「お、女の子だってしなきゃいけない時だってあるよ」

「2人同時にやって良かったのか?」

「お互いに抜け駆けはしないって約束してるの」

 これはアカン。さすがに理性を抑えられるかどうか分からないな。左右にいる女の子の格好は寝間着じゃなく勝負下着のみだった。ほぼ裸に等しい。北野の下着はデザイン柄がバラで体育会系女子の体のはずなのに豊満である胸をなんとか押さえているという感じだ。エロい。続いて原賀の下着、というか下着ではなくアニメや漫画でよく見る“あのエロい水着”だった。何か間違ってるようだがこれはこれで嫌いじゃないし好きだ。胸は北野のと比べたら1ランク下ではあるが十分な大きさではある。原賀もエロい。そんな凶暴な武器を装備している2人が、左右から俺の腕に押しつけて同時攻撃を行っているでありますーんふふふふ。

「お前ら、ここで俺が理性を壊したら人生台無しになるし、この連載小説も終わるぞ」

「ギラとなら私たちの人生は台無しにならないし、経験した後でも話があるなら連載は続くでしょ」

 チッ、メタ発言も効果なしか。

「じゃあそろそろ、始めるか!」

「始めるって・・・うにょおお!!」

(こいつら、さっきの続きを!!)

 2人は男の逸物に触れてその気にさせようと俺の股間をまさぐり始めた。恐ろしい娘たち。

 そうはいくまいと俺は、一瞬2人の拘束が緩んだのを見逃さず、タイミング良く腕を振り払い布団をガバッと上げた。

「よーし、そっちがその気ならこっちにも考えがあるぞ」

「考えって、きゃっ♥」

 俺はやられるだけじゃ気が済まない。やるならこっちから攻める。俺は2人を引き寄せて同時に思いっきり抱きしめた。

「お、おお、意外と積極的だなギラ」

「意外だったか?俺が童貞だからって、こっちに関してはチェリーボーイ並にどぎまぎするとでも?」

「そ、そんなことは、あんっ♥」

 突然原賀は喘ぎ声を出した。原因は俺の右手が彼女の背中をゆっくりとなでたからだ。

「お、原賀は敏感だな。北野とは違って普通の日常を送ってるとこんないやらしい体になるのかな?ぐへへへ」

「もう言ってることが官能小説のそれだぞギラ」

「そういう北野はここが弱点か・な!」

「お、おおっ♥」

 試しに北野には左手で尻を揉んでみた。思った通りさすがは部活は入ってないけど体育会系女子の体。かなりこっているな。これはとてもほぐしがいがありそうだ。

「お~これはこれは凝ってますな~。いつも体を動かしすぎではありませんか?お嬢さん」

「う、うっさい!それはギラに勝つために決まってるから、んんっ♥」

 俺は全力で原賀の体をなで回し、北野の尻を揉みまくった。

「ちょ、ギラ!もう許してよ!」

「これ以上は・・・ヤバいって!」

「そうか。じゃあこの辺にするか」

ガチャッ。

「「え!?」」

 俺は能力で作った二つの手錠で2人を拘束した。そのまま2人を俵担ぎで運んで1階の客用の部屋に放り込んだ。

「もう十分相手しただろ?エロ展開はここまでだ」

「「そんな~」」

 がっかりする2人。こいつら変態の素質でもあんのか?

「なあ、別にあのまま続けても良かったんじゃないか?」

「それは未来か薄い本にでも期待してろ」

「今でしょ!」

「古いネタ使ってもダメ!じゃあな、お休み」

「あ、待って本当に待ってくれ!」

「はあ、なんだよ?北野」



「もしかしてギラって“プロセッサー”か?」


・・・・・・・・・・。



「・・・どうしてそう思う?」

「いや、5年前あの戦争に参加してたぐらいだし、あの事件との接点は聞いたこと無かったけど実は関わっているんじゃないかなーって」

「・・・ご想像にお任せするよ・・・」

 ・・・あまり聞かれたくないな。

「あ、じゃあ最後にもう一つだけ、私たちのわがままを聞いて」

 突然、2人とも真剣な顔になってこう言った。

「いつになったらギラは私たちを名前で呼ぶの?」

「もう名字で呼ぶ必要ないだろ?」

 言われてみればそうだ。だが

「呼んで良いのか?」

「ギラが友達になりたいって言ったのに」

「友達でも名前で呼び合うもんだろ?」

「・・・分かった」

 俺はすぐさまその場で正座をしたあと、左目を閉じて笑顔で告げた。

「改めてこれからよろしくな。唯、奈々」




 自分の部屋に戻ろうと2階まで上がったところに、アイラとシオリが部屋の前で待っていた。

「お前ら、気付いてたんなら止めてくれよ」

「お兄ちゃんが獣に豹変してくれればって思ったから」

「そうなってくれたら私たちも中に入ろうかなって」

「なってたまるか」

 この通り俺の妹たちは、普段頭はできているが隙あらば近親相姦を狙っているバカ。要するに自他共に認めるブラコンなのである。

「俺は家族をそんな目で見ないぞ」

「でも心は他人でしょ?」

「だとしてもだ。お前らも早く寝ろよ~」



 翌朝、俺は早起きして朝食の用意を済ませている。あとはまだ寝ている家族を起こすことだ。今回は客人も起こさなければいけないが。

 まずは原賀と北野が寝ている客人用の部屋からだ。妹たちの部屋はそれからだ。2人が寝てるはずの部屋の前まで来たところで俺は何かに気付き、そこで一旦立ち止まった。

(あいつら・・・)

 俺はその場でその部屋の襖に向かって蹴りをぶち込んだ。

「オラァ!!」

バァン!!と二枚の襖が外れて部屋の中へと吹き飛んだ。

「「うわっ!!」」

 それと同時に唯と奈々も吹き飛ばされて、部屋の中心に倒れ込んだ。

「お前ら、朝起きて早々なんて格好してんだよ…」

 2人はなんとあられも無い姿、つまり全裸だった。おそらく昨夜の勝負下着では効果は無い、ならば次の段階へ挑戦すべきと考えた結果なのだろう。この2人もしかしてバカなのだろうか。

「なんで・・・バレたの?」

「それは俺には“相手が何をしているのかが分かるための能力”を持ってるからだ。唯」

「はい、唯です」

 名前呼びが嬉しいのか、唯は犬みたいに改まって座り込んだ。

「・・・2人共行動が段々過激になりがちだぞ。変態ヒロインに確定しつつあるぞ、奈々」

「はい、奈々です」

 奈々もまた、嬉しがって犬みたいに座り込んだ。

「そして、とても極端だ。まるで拳銃から発砲された弾丸だよお前ら」

「でも、ギラは止めちゃうよね。あたしたちそのものの弾丸を」

「俺はマジで止められるからな。さあ朝食だ。早く服着ろよ」

「は~い。ん?今なんて言った?」


ピンポーン!


「え?こんな朝早くにお客?」

「・・・Shit.」

俺は玄関に行って、来るはずのなかった友人を出迎えた。

「おはよう、ギラ。新しい女たちとの夜は楽しめた?」

「・・・言っておくが俺はまだDTだ」

「それは残念。もし卒業してたのなら入れてもらおうと思ったのに。仲間に」

早朝なのに冷やかすように訪ねてきたのは細川巴だった。

「アイラたちだな、バラしたのは」

「ご名答。でも責めないであげてよね」

「分かってる、分かってる」

「あれー?細川さんじゃない」

やっぱりこうなるよな。お決まりの修羅場展開。

唯と奈々、そして妹たちも続いて玄関に来た。

「あ、細川ももしかしてギラを狙って!」

「その通り。ギラを暗殺しに来たのだ〜(棒)」

「こら!わざとらしく言ったって暗殺だなんて言葉、軽々しく言うなっての!」

「はいはい」

この子はクールそうに見えて最近茶目っ気も持ち合わせるようになったのだ。

「別の意味で狙って来たのなら遅かったな。何せあたしたちは昨日ギラにエロいことされたんだから。な〜唯」

「ねぇ〜」

それはそんな自慢するほどだったっけ?

「へぇー、どんな」

あ、アカン。

「おい細川、余計なこ」

「体中なで回された!」

「あたしは尻を揉まれた!」


また世界が静止した。近くにザ・ワールドのスタンド使いでもいそうだ。

「あらあら〜。最近の若い子ったら」

「ヤ〜ね〜、最近見ないと思ったらあの子あんなことを」

そして近所のあらあらおばさんたち乙。


ジト目で見てくる細川。

「・・・ねえギラ、何されたの?」

彼女にはお見通しだった。俺が何かされない限り、二人にそんな行為をするはずがないことを。

「あいつらは俺のアナログスティックをまさぐってきた」

「あ〜それじゃあ仕方ないじゃすーません!」

ですよね〜。いや待て、このままだと次の発言て。

「なら私も今夜ここに泊まる!」

「「ちょ!!」」と、シャウトする唯と奈々。

「Oh no!!」と俺も。

Round2 Fight!!

とは行かないがな!





 2105年、それは世界中の国々が保有していた原子爆弾、別名核兵器が消失した年である。公には発表されてはいないが、ネット上の噂ではとある集団が各国に潜り込み、それぞれの倉庫に潜り込んでは核兵器を消していったと言われている。

 彼らがどこの所属の者かは誰にも分からないが、人々は彼らのことを、

 “処理者プロセッサー”と呼んだ。






どうも、みなさん!更新です!

9発目にしてヒロインたちがちょっと過激な行動に出てきましたが、主人公が結構ワケありなのでやるならこれくらいしないとっていうことで今回、エロ小説寸前までいかせてみました!

なんとか表現良くしようとしましたが正直自分でもまだまだうまくできていないと痛感しています。こういった表現も戦闘の場面と同じように頑張ってうまくなりたいと強く望んでいます。

 では次回更新の時にまた!

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