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遭遇

物音で目が醒めた。周りを見回したが人は誰もいない。ネズミか何かだろうか。或いは何かが落ちたのか。まだ日は昇っておらず、ビルの中には暗い影が立ち込めている。しかし早く寝たからだろうか、もう一度眠ろうと言う気にはならなかったから俺はもう出発することにした。近所迷惑にもなるまいし、なったとしても大剣を背負って大型バイクを乗り回す輩に注意をしようとは思わないだろう。進む道は…昨日と同じ方向を目標にすれば良い。

道を進む道中、昨日の旧世代機の遺骸がまだ落ちていた。片付けようだなんて思う奴がいるはずもないから当然と言えば当然だし、俺だって片付けようとする気は無い。

そのまま暫く愛車を走らせると俺はやがて山道にまで辿り着いた。この先に進むべきか否か。しかし進まないとなれば引き返さなくてはなるまい。それに確か俺の記憶が正しければここを越えれば県境であった気がする。

「うし、進むか。」

進むと言ったものも、流石に山道をバイクで登るのは躊躇われた。なのでバイクを手で押しながら登っている。幸い俺は体格にもかなり恵まれている方なので、そこまで時間を掛けずに中腹辺りまで登ることができていた。

「んじゃあここらで少し休憩を…」

座るのに手頃なサイズの岩を見つけそう呟いた時、そう遠く無いところから短い悲鳴のような声が聞こえた気がした。そうなってしまうともう居ても立っても居られなくなってしまう。知らないところで人が死ぬのは構わないが自分に分かる範囲で死に絶えるのはまっぴらだ。

バイクはその場に置いていく。山道なら走った方が早いだろう。

悲鳴の原因はなんだろうか。また不完全に覚醒した機巧(天使)だろうか。或いは野生動物か。そっちの方がありがたい。どちらがいた場合どう対処すべきか、考えつつ悲鳴が聞こえた方向に走り続けていくと剣と金属質な物体のぶつかり合う音が聞こえた。音からして機巧(天使)なのは間違い無いだろうが誰かが戦っている。だからと言って安心はできない。さっきの悲鳴は子供のものに聞こえた。それも13、4歳の。よっぽど超人的じゃなければそんな年齢でアイツらと真っ向から戦えはしない。寧ろ打ち合えているだけでも良い方だ。

目の前に崖が現れた。回り道するのも惜しい、俺は崖を利用して遠くまで到達しようと跳躍する。対空し始めて数秒、木々の合間に白く金属質な接腕らしきパーツがちらりと見えた。剣がぶつかり合う音もそこからする。そこに狙いをつけて落ちねばならない。無理に体を捻って落下地点を調整しつつそのまま貫けるように剣を構える。

落下まであと数秒となったタイミングで鞘のロックを外しつつ誰かも分からぬ人間に叫ぶ。


「落ちるぞ!避けろ!」


そのまま熱を発し始めた剣を構え俺は機巧(天使)に突っ込んだ。木の枝や幹が体を掠め衣服を破くがそんなことは大事では無い。先程見えた接腕の形状からしてヒト型類似モデルの運搬用機だろう。なら人の心臓とおおよそ変わらない位置にコアエンジンは存在する。そこを狙って落ちたかったが、結果的に俺が突っ込んだのは人で言う左脚の部位だった。片脚を奪われた人間は立っていることはできない。それはいくら機巧(天使)であってもモデルが人である以上変わらない。重心を失い後ろに海老反りのような姿勢で傾いていく。俺はできる限りの速度で剣を引き抜き、倒れつつある機巧(天使)に向かって下から上へ振り切った。腰部から心臓部を目指して。金属を裂いた感触は確かにあった。だがこれでコアエンジンまで剣先が到達したかどうかは確信が持てない。俺が顔を上げると対峙していたその機巧(天使)のボディには確かに腰部から心臓部へ溶かし斬った跡が残っている。

「はあ…やったか。」

一呼吸して思い出す。

「無事か!?」

そう言って後ろを振り返った。推測が正しければ子供がそこにいる筈だ。



そして振り返った先に居たのは…白髪の少女と、それを守るように剣を構える少年だった。

こんにちは!。前の話からずいぶん時間が空きましたね。おそらく次もそうなりそうな気配が…。誤字脱字とかあれば教えていただけると幸いです

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