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ケンチとマーちゃん──転生して25年、やっとアイテムボックスが使えるようになったんだが、中に『変なトカゲ』が住んでいて俺に色々と頼んでくる  作者: お前の水夫
第3章 トカゲさんと山

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第37話 兵器コンテナ

※本日は3話投稿します。これは2話目です。

「何つーか、良いのか悪《わり》いのか分からねえ結果だよな。マーちゃんとしちゃあ悪かねえたぁ思うけどよ」


「これって地震観測と関係無いわよね。帝国が残ってたら良い記事になったかしら? これって月報に書いたら不味い内容?」


「まさか観測所に偽装《ぎそう》した兵器集積所だったとはな。警備が厳しいはずだ。もしもの時に、予想外の方向から相手を制圧するための待機《たいき》施設だったのだろう」


 遺跡の内部に入った俺達が発見したのは、大量の兵器コンテナとそれを運用するためのハーケンケイムの素体だった。誰にも売れない上に、秘密にしておかないと俺が狙われるようなネタだ。スーちゃんにも釘を刺しておかないといけない。


 マーちゃんはいつものように俺の頭上に陣《じん》取《ど》って、コンテナ類と14体もある素体の方を熱心に調べているらしい。


 俺はと言えば、マーちゃんの用意してくれた防弾軽量スハダスーツをまだ脱いでいなかった。これがあっても不安だ。


「先ほども思ったが、こちらの世界にもミサイルらしき物があるのは意外だった。これは爆発するタイプに見えるが、ケンチは何か知らないか?」


 マーちゃんからは、これも疑問に思うのは当然だろうという質問が飛んできた。


「マーちゃん、こいつは多分だが生き物を参考に作られた武器だ。ミサイルみてえな物《もん》を飛ばしてくる奴が居んだよ。大森林の奥の方に火矢草《ひやくさ》ってのがいてな」


 クリシカネイヨン大森林も奥に行けば危険度は増していく。

 あそこには爆発するミサイルの様な物を飛ばしてくる、火矢草《ひやくさ》と呼ばれる植物タイプの化け物がいるのだ。3メートルほどの盛り上がった草だが、自力で移動する上に厄介な飛び道具を全身に実《みの》らせているのである。


「ありがとう、ケンチ。そのうちあそこの奥地にも行ってみたい。自然に学んだという訳か。一部は生体から直接採取して転用しているかもしれん。入り口で撃たれる前に倒せたのは良かった」


 ハーケンケイムはこちらの予想以上に物騒な相手だったらしい。


 うちのトカゲ姉さんのアルトボイスは、それを知っても新しい興味を持ったように響いた。次のお願いも出てしまった。


「私は前に撃たれたことがあったわね。避《よ》けようとしたんだけど追いかけて来たの。大きい音がしたけど、怪我《けが》しなくて良かったわ」


 安定のスーちゃんからは、何気《なにげ》に危険な内容と一緒に呑気《のんき》な念話が届いた。このドラゴンライターさんは突撃取材に適した御人《おひと》であるようだ。戦場にいって双方が全滅しても、様子を伝える記事だけは発行されそうな勢いだった。


「スーちゃん、貴重な経験談だ。ホーミング機能まで付いているのか。赤外線か何かであろうか? 今日は良い成果が手に入った。この山脈には他の拠点は無いのだろうか。あればもらって行きたいところだ」


 普段なら焦るのだが、今回ばかりはマーちゃんに任せる他は無いように思えた。

 物騒な兵器の保管場所として、あのフロアぐらい理想的なところも他に無いのだ。あそこには、たった150ミリリットルで人間を破滅させるような危険なブツが普通に転がっているのである。


「他にも探したんだけど、私は見つけられなかったわね。ここに来た頃に大きい地震があったのだけれど、その時に埋まってしまった場所もあるかもしれないわ。何かが爆発する音もしたし……」


 当時を知るライターさんの情報では、えらい災害が以前にこの周辺を襲ったとのことだった。下界の林に住んでいるシンデル・メイ先生の、隠居用住宅の水道管を破壊した地震と同じものではないだろうか。スーちゃんがここに来たのは、帝国が崩壊して100年程度が経過した頃で、800年よりも少し前だと聞いたから間違いないだろうと思う。


「そうか。ケンチ、ここではゆっくりしていっても良いかな? 3ヶ月を越える可能性もあるが、地震と爆発でどうにかなった施設も回収して行けると良いのだ」


「願ってもねえぜ、マーちゃん。俺ぁしばらく街に帰りたかねえからよ。捜索隊が探しに来ることも無《ね》えしな。口座も空《から》にしてきて良かったぜ。信仰に生きるのに決まった道なんざ無《ね》え」


 うちの発掘探検隊姉さんからは、魅惑《みわく》の提案があったので即座に賛成しておいた。


 俺は日課のトレーニングをしながら、スーちゃんに街のことや探索者の生活、アパートで起きたアホな事件の数々を話してあげれば良いだろう。3ヶ月なんて、あっという間に過ぎ去っていくに違いない。


「私はエっちゃんに久しぶりに会って、ブラバさんを紹介してほしいわね。木になった男って気になるわ。今の名前をもらうまでは、プルトニアラジエって名乗ってたのよ。好きな名前じゃなかったみたい」


 スーちゃんも特に急ぎたい訳でもないようで安心した。


 それにしても、エっちゃんが100年前までそんな名前だったのは意外な気がした。臨界状態になりそうなのは今の方なのだ。うちのうっかり宝石姉さんが渡したのは、何かの力を常時放出している緑柱石《エメラルド》なのである。エっちゃんの件については、ここに居る間にもう一回様子を見た方がいいだろう。


 しかし、過去に滅んだモットモーディカイ帝国が、ここにいくらかの戦力を置いたのは何故だろうか。

 今の北部人や南部人が、帝国に反意《はんい》を抱《いだ》いていたという話は残念ながら聞いたことがない。

 ひょっとすると、かつてはここに戦力を置いてでも監視したい対象が居たのかもしれなかった。今でもソレはここに居るのかもしれないが、出来れば世知辛《せちがら》い悩みを抱《かか》えていないでほしいと俺は願った。








※お読みいただきましてありがとうございます。

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