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ケンチとマーちゃん──転生して25年、やっとアイテムボックスが使えるようになったんだが、中に『変なトカゲ』が住んでいて俺に色々と頼んでくる  作者: お前の水夫
第3章 トカゲさんと山

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第20話 遺跡の情報

※本日は2話投稿します。

「俺たちが兵士に志願したのはこんなことをやる為じゃない! 久しぶりに砦にこもってようやく気が付いたよ。俺は故郷の人たちを守りたかったんだ。大切な人々を守りたかったんだ……」


 俺が思うに、サイケデリクは人を自由にしてしまうのではないだろうか。


 設置された場所に関連するその人物の感情を拡大し、抑圧よくあつされた願望に向けて背中に蹴りを入れてしまうのだろう。背中を押すなんて生易なまやさしいものではなかった。


 敷地が200メートル四方の要塞内で、20名の兵士達は適当に食事や酒を楽しんでいた。その状態で、今の仕事が間違っていることと、これからどんなことをやって生きるかを熱心に話し込んでいた。


「マーちゃん、こいつらは多分、仕事に不満が有ったんだ。根っから悪いやつってわけじゃねえんだろうな……俺たちのことを気にしねえのはどうかと思うけどよ」


「なるほど、こういう効果が出ているのか。これは予想外だった。リラックスすることを狙ったのだが、気持ちが軽くなりすぎの様だな。しかし元から悪感情があれば、挑発から攻撃まで躊躇ためらい無しで来そうだ」


 うちの闇アイテム姉さんの言い様は実に怪しかったが、地球の産物がベースになっているという話だし、こちらの人間に対する効果をはかり間違えたのかもしれない。


 そして、ここの連中と面識がなかったのは偶然にもプラスに働いたようだった。


「とにかくだ、さっきあちらさんに挨拶はしたけどよ、本格的に話を聞かにゃあならねえよな。ちょっと行ってくるぜ」


 先ほどは兵士に探索者証を見せて、要塞内にすんなり入ることは出来た。


 俺を通した兵士は今は、食事をしながら他の連中と仲良く語り合っているという訳だ。

 そんな状態であるから、ここ以外には見張りも何もいないようだった。ここの天井が高いのをいいことに、黒クモさん達が要塞内を探索中なのである。


 俺の方は黒いマスクをしたままで、使命に目覚めた兵士さん達に話を聞いてこなければならない。頭の上にはもしもの時のシールド姉さんが乗っかっている。


「あー、お話中のところ申し訳ござんせん。旦那だんな方はここで何をしてなさるんで? 俺ぁ通りすがりのもんです」


「おおっ、さっき門の所で会った君か。探索者だったな。我々はここで留守番だよ。上司が外聞の悪い仕事に出かけてる間のね。それに山の方に遺跡があるらしいんだ。君、酒は飲むかい?」


 自信はあまり無かったが、俺の質問に相手はすらすらと答えてくれた。マスクを怪しまれることも無かった。

 それにしても、相手の方はふた手に別れて行動しているらしい。外聞の悪い仕事の方はエランダラだろう。もう一方は驚きの情報だった。


「そいつぁ景気の良い話でござんすね。俺ぁこの界隈のもんですが、東方ヴォーカル山脈に遺跡があるなんて聞いたこともありゃあせんぜ」


「それがな、何でも最近になって分かったらしい。それでうちのブラバスタ様が単独で確認に行ってしまったのだ。あの方は方向音痴だからなぁ……ついていくと言ったら断られた。年端もいかぬ子供を殺すよりましだと思ったのだ」


 連中の目的がロッコーニ姉弟の暗殺と、最近になって知った遺跡の探索であることはわかった。


 そして、ブラバスタ・ゲシュジェイム・ダレランデスがこちらに来ていることもだ。第2グループがこっち方面の専任なのだろう。


旦那だんなさんたちゃぁ大勢いらっしゃるでしょう? 他に出かけてらっしゃる方に会ったら、俺もご挨拶あいさつぐれえはしときてえと思いやして」


 一応、連絡に出ていて、ここにいない兵士のことも聞いておかねばならない。


「出かけているのは今言った連中だけだ。不当な目的に情けない理由が付いててな。今日は皆んなで国に訴え出ようという話になっているん……ぐぅ……」


 どうやら、ここにいる皆さんは相当ヒートアップしていたようだ。他にキテルモントリサールの兵士はいないということで安心した。


 そして連中は、黒クモさんのいた睡眠ガスを吸って夢の世界へ旅立ってくれた。






 

 良い具合に眠ってしまった連中を回収した翌日のこと、マーちゃんたちは早々(はやばや)と要塞の解体作業に入った。

 今日でマーちゃんと出会って13日目だ。


「しっかしよ、人間何があるかわかんねえよな。ここに軍資金まで置いてあるとか思わねえぜ普通。まさか連中、国境をここまで戻すつもりじゃねえだろうな」


 ここには金貨100枚、銀貨1000枚ほどの現金が置いてあったのだ。もちろん全部いただいた。マーちゃんの文化財購入資金としては申し分ないだろう。


「規格品の武器がかなりあったな。100本ぐらい集まった。こちらでは鍬弓くわゆみとか呼んでるクロスボウまであったぞ。教科書に誤射で死んだ女の子の話が出てくるのだ。牢屋の会話だったな」


 国には題材の基準について、そろそろ本格的に検討してほしい話も出たが、うちのトカゲ姉さんも武器と防具類をたんまり懐に入れられたようで大満足の様子だった。


 俺たちは現在、要塞の目の前に屋根だけのパイプテントを建てて、その下で茶を飲みながら、その石造りの歴史的建築物が解体されていくのを見ているところなのだ。


 山ダミノルと化したダミノルさんは猛烈に働いていた。相変わらず『(;TДT)』な顔をしているが仕事に手を抜く気は無いらしい。

 振動を発しないチェーンソーの様な道具で、7メートルの壁をバターみたいに切り取ってはフロア側に転送していた。


「マーちゃん、ここにゃあ最低でも2日間は居ようぜ。あせるこたぁねえんだ。山にゃあ遺跡もあるっていうしよ。ごっそりいただいてくりゃあ美術品だって買えるぜ」


 金も他の物も手に入ったし、俺はこの地域で徹底的に時間をつぶすことに決めた。

 俺はツアーガイドなのだ。戦闘では全く役に立っていないが、前口上まえこうじょう担当としての仕事はこなしている自信がある。


「そうだな。捕まえた者たちから情報を抜く時間も必要だ。ひょっとするとブラバスタ氏が作業中に戻って来るかもしれん。ところで彼らは生き返ったがどうしたら良いかな?」


 うちの永眠の術姉さんの話では、連中は全員が蘇生したらしい。


「マーちゃん、そこは自白剤とかで良いんじゃねえか。あいつらは学術的な興味なんざ持ってねえだろ。宗教的な方だってえかもしれねえ」


 情報の取得方法についてはそう返しておいた。

 サイケデリクの原液の様な物がもしあるのなら、それを脳に直接注入しても文句は言われないのではないだろうか。










※お読みいただきましてありがとうございます。

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