表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/107

第92話 揃いすぎる波形

 接続から五日。


 揺らぎ発生件数は、依然ゼロ。


 管制室には、どこか緩んだ空気が流れていた。


「またゼロか」


「記録更新、何日目?」


「五日連続」


 軽い会話。


 以前なら考えられない。


 だが今は、それが普通になっている。


 エルドはモニターを見ている。


 波形は変わらない。


 滑らかで、均一。


 どの地域も。


 同じように。


(……同じすぎる)


 その感覚が、少しだけ強くなる。


「エルド?」


 ミアが声をかける。


「何か気になる?」


 エルドは画面を指す。


「この波形」


「うん?」


「全部、似てないか」


 ミアは覗き込む。


「そりゃ同期してるし」


 当然のように言う。


「同期率も上がってるしね」


 モニターに表示。


『同期率:95.8%』


 昨日より上がっている。


「問題ある?」


「……いや」


 エルドは首を振る。


 理屈では問題ない。


 むしろ良い状態だ。


 ばらつきが減るほど、安定する。


 それは事実。


 だが。


「以前は、地域ごとに癖があった」


 エルドは言う。


「癖?」


「揺らぎ方の傾向」


 ミアは少し考える。


「ああ、あったね」


「今は?」


 ミアはモニターを見る。


 少しだけ黙る。


「……確かに、似てる」


 ほんの少しだけ、トーンが落ちる。


 その時。


『微小揺らぎ検知』


 アラート。


 久しぶりの音。


 全員が反応する。


 だが緊張はない。


 小規模。


 問題ないレベル。


 モニターに表示される。


 複数地点。


 同時に。


「同時?」


 誰かが言う。


 珍しい。


 だがあり得ないことではない。


 次の瞬間。


 補正が入る。


 自動。


 即時。


 収束。


 完全に。


「ほら」


 ミアが言う。


「問題ない」


 その通りだった。


 数秒で終了。


 被害ゼロ。


 遅延ゼロ。


 完璧な対応。


 だがエルドは画面を見ている。


 記録ログ。


 波形データ。


 その揺らぎ。


 そして補正。


(……同じだ)


 全地点。


 同じ波形。


 同じタイミング。


 同じ収束。


 まるでコピーのように。


「どうしたの?」


 ミアが聞く。


 エルドは答えない。


 画面を見続ける。


「……珍しいな」


 小さく呟く。


「何が?」


「揺らぎの出方が」


 ミアは肩をすくめる。


「同期してるからでしょ」


 正しい説明。


 それで終わる話。


 そのはずだ。


 カルディアが近づいてくる。


「ログを確認しました」


 エルドを見る。


「問題はありません」


 断言。


 いつも通り。


「同期率の上昇に伴う現象です」


「現象?」


「波形が揃うことで、

 揺らぎのパターンも近似します」


 理屈は通っている。


「むしろ安定の証です」


 カルディアは迷わない。


 その判断は合理的だ。


 エルドは頷く。


「……そうですね」


 反論できない。


 事実として、


 問題は起きていない。


 収束も速い。


 被害もない。


 すべてがうまくいっている。


 だが。


 ログの波形が、頭に残る。


 同じ形。


 同じ揺らぎ。


 同じ収束。


 夜。


 屋上。


 風は弱い。


 ノアが言う。


「動いたか」


「……微小です」


「そうか」


 エルドは少し迷ってから言う。


「全部、同じでした」


 ノアは何も言わない。


「揺らぎも、補正も」


 少しだけ間。


 そして一言。


「揃ってきたな」


 エルドは空を見る。


 静かだ。


 だがその静けさの中に、


 わずかな違和感が混じり始めている。


『同期率:95.8%』


 その数字が、


 また少しだけ上がった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ