↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/125

第91話 完璧な日常

 国際中央網接続から、三日。境界域の発生は、ほぼゼロだった。


『本日、揺らぎ発生件数:0』


 管制室の表示が更新される。誰も驚かない。それが“普通”になり始めている。


「……すごいな」


 若い観測員が呟く。


「もう三日連続だぞ」


 ミアが笑う。


「これが統合ってことね」


 声は明るい。空気も軽い。以前の緊張感はない。監視は続いている。


 だが、危機ではない。確認作業に近い。エルドはモニターを見る。


 波形は滑らかだ。揺らぎの兆候すら、ほとんどない。


 予測値も低い。異常なし。完璧な状態。


(……問題はない)


 そう結論できる。誰が見ても。カルディアが入室する。


「状況は」


「安定しています」


 ミアが答える。


「発生ゼロ、継続中です」


「そう」


 カルディアは短く頷く。端末を開く。数値を確認する。その動きに迷いはない。


「同期率は?」


「現在、94%です」


 別の観測員が答える。カルディアの目がわずかに動く。


「順調ですね」


 満足ではない。確認。その程度の反応。エルドはその言葉を聞く。


「同期率?」


 口に出る。ミアが振り返る。


「あれ、知らなかった?」


「聞いてない」


「国際接続で追加された指標」


 モニターに新しい数値が表示される。


『同期率:94.2%』


「各地域の波形がどれくらい揃ってるか、って指標」


 ミアが説明する。


「高いほど安定してるってこと」


 エルドは画面を見る。確かに、波形は似ている。いや、


(似すぎている)


 その感覚が一瞬だけ浮かぶ。


「問題あります?」


 ミアが聞く。エルドは首を振る。


「……いや」


 問題はない。数値も正常。異常もない。むしろ理想的だ。


 カルディアが言う。


「同期率は重要です」


 視線はモニターのまま。


「ばらつきが減るほど、演算は安定します」


 正しい。完全に。


「目標は?」


 誰かが聞く。


「100%に近づけることです」


 カルディアは迷わず答える。エルドの視線が止まる。100%。完全同期。


 それは、


(完全な均一)


 そのイメージが浮かぶ。だがすぐに消える。問題はない。今のところ。


 午後。街を歩く。人々は安心している。ニュースは明るい。


『揺らぎゼロ、記録更新』

『世界は安定へ』


 笑顔。日常。恐れはない。それは、確かに正しい未来だ。


 屋上。風は穏やかだ。ノアが先にいた。


「どうだ」


 エルドは少し考える。


「……何も起きてません」


「そうだな」


 ノアは頷く。


「完璧だ」


 その言葉に皮肉はない。ただの事実。エルドは空を見る。静かだ。あまりにも。


 ノアが言う。


「静かすぎるな」


 短い一言。エルドは何も返さない。ただ、頭の片隅に残る。モニターの数値。


『同期率:94.2%』


 その数字が、なぜか少しだけ、引っかかっていた。

揺らぎゼロの三日間は、誰の目にも「完璧」でした。

それでも一つだけ、主人公の頭から離れない数字があったようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。