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学園で無能扱いされた俺、鑑定不能なだけで全属性最強でした ~面倒なので黙ってたら、なぜか学園と国に監視され始めた件~  作者: 黒羽レイ
第2部 選ばれない世界のその先で

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第86話 正しさの圧力

 翌日。


 報道は、一色に染まっていた。


『帝国技術、完全自動補正に成功』

『人の判断を排除した次世代モデル』

『被害ゼロ、遅延ゼロ』


 映像が繰り返し流れる。


 昨日の現場。


 エルドが一拍遅れ、

 その直後にΩ網が収束させた瞬間。


 比較される。


 切り取られる。


 強調される。


『なぜ導入しないのか?』


 その一文が、画面の下に流れ続ける。


 管制室の空気は重い。


 誰も声を出さない。


 端末には、外部コメントが流れ込んでいる。


『人に任せる方が危険』

『現場判断とか時代遅れ』

『帝国方式で統一しろ』


 ミアが画面を閉じる。


「……見ない方がいいです」


「見ておけ」


 エルドは言う。


「これが現実だ」


 その声に、少しだけ疲れが混じる。


 会議室。


 政治家の声は強い。


「導入を急ぐべきだ」

「遅れはリスクだ」


 別の声。


「昨日の件は明確だ」

「現場判断が遅れた」


 エルドに視線が集まる。


 責めているわけではない。


 だが、責任はそこにある。


「反論は?」


 問われる。


 エルドは口を開きかけて、


 閉じる。


 正しい。


 すべて、正しい。


「……ありません」


 そう答えるしかない。


 セドリックは静かに言う。


「現場の役割は変わる」


 その言葉は決定に近い。


「監視と補助に専念すべきだ」


 つまり、


 判断は不要になる。


 カルディアは何も言わない。


 ただ、その流れを受け入れている。


 それが当然だというように。


 午後。


 街中。


 大型スクリーンに、帝国技術の解説が流れる。


「人の判断は誤差です」


 キャスターが笑顔で言う。


「最新の演算技術により、

 完全な安全が実現します」


 人々が頷く。


 安心。


 それが広がる。


 エルドはその前を通り過ぎる。


 誰も彼に気づかない。


 ただの一人として。


 夜。


 屋上。


 風が強い。


 都市は静かだ。


 揺らぎも、ほとんど観測されない。


 安定。


 それが現実だ。


(間違っていない)


 帝国も。


 中央も。


 世論も。


 すべてが、正しい方向を向いている。


 だからこそ、


(止められない)


 背後に気配。


 ノアだった。


「楽だろう」


「……何がです」


「任せるのは」


 短い言葉。


 エルドは答えない。


「正しいものに従うのは、楽だ」


 風が吹く。


 街の灯りが揺れる。


「間違えるのは、自分になる」


 その言葉が重い。


 エルドはゆっくり目を閉じる。


 判断を手放せば、


 責任も手放せる。


 だから、


 誰も疑わない。


 端末が震える。


『国際接続検討、世論支持率87%』


 圧倒的。


 エルドは目を開ける。


 空は静かだ。


 静かすぎるほどに。


 そして世界は、


 正しさに押されて進んでいる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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