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317 俺が同行する理由と突入計画

 夜襲で宰相の首を取りに行くというイチかバチかの作戦に、俺も同行すると言ったら、みんなの視線が俺に集中する。


 ……うん、分かるよ。『戦闘力がないおまえが行っても役に立たないだろ』ですよね?


 それは全くその通りなんだけど、俺としては同行しなければいけない事情がある。


 なにしろシーラを宰相の元に送り出すのだ。シーラは絶対、『刺し違えてでも宰相を殺す』と思っているに違いない。


 俺と出会う前。後宮ハーレムの一きさき候補だった頃から、その一念だけを胸に秘めて雌伏しふくしていたのだ。


 俺と組んで反宰相軍を立ち上げてからも、シーラの感情が揺らぐのを感じた事は一度もなかった。

 ずっとただ一つの目的だけを見据えて、それに全てを捧げてきたのだ。


 そんなシーラが、今ついに宰相を討ちに行く機会を得られて、気がはやらないはずがない。


 だから俺はシーラに付いて行って、それを制御しないといけないのだ。


 どうしても無理っぽい時には、なにがなんでも一旦引かせ。シーラの命を守る。

 それができるのは、多分俺しかいない。


 リーズやアフマン将軍が止めたって聞かないだろうし、キサやララクでも多分無理だ。


 俺でも正直微妙だと思うけど。一応長年戦いを共にしてきた仲で、俺の『出直そう、命があればまた来れるよ』には、多少の説得力を感じてもらえる程度の実績は積み上げてきたと思う。

 それに、最大級の忠誠を誓う証だという、自らの血で描かれた印章を貰った事もある。


 その印章が描かれた布は、後宮ハーレムにいた時に作ってもらった、全身に宝石が縫い付けられた犬のぬいぐるみ。

 帝都からの脱出行で活躍してくれ。宝石はおでこの1つだけになってしまったけど、今もお守り代わりに持っているあの子の首に、スカーフのように巻いて大切に保管してある。


 シーラが俺の仲間になり。共に宰相を倒すと誓いを立てた時の大切な品だ。


 ……自惚うぬぼれる訳ではないけど、可能性だけでも宰相を前にしたシーラを止められそうなのは、俺だけだと思う。


 だから俺は、万一に備えてシーラに付いて行かないといけない。


 戦闘の役に立たない足手まといではあるけど、そこはなんとか理由をでっち上げてだ。



 ――さすがにみんな、皇帝相手に『おまえ来ても役に立たないだろ』と言うのは気が引けるのだろう。

 微妙な表情をして黙っているので、俺の方から話を振『おそれながら、アルサル様は戦いの最前線に来るには向かないので、後方で本陣を守っていてもらうのが良いと思います』……振ろうと思ったが、シーラに先を越されてしまった。


 さすがシーラ、皇帝相手でも言いにくい事を果敢に口にするね。


 そんな所が好きだし、俺の事を気遣っての言葉だと思うと、嬉しくもある。


 でも、ここは譲れない一線だ。


「もちろん戦いに参加しようとは思ってないけど、宰相の事だからどんな汚い手を使ってくるかも知れない。

 そんな時に即座に対応できるように、俺が現場にいたほうがいいと思うんだ。


 それに、もし宰相の首を取るのに成功した場合。それをすぐに全体に知らせて戦いを止めるためにも、俺が近くにいたほうがいいと思う。

 人質がいる状況だと余計に。


 邪魔にならないように気をつけるし、戦闘要員は戦いだけに集中してもらって構わないから。


 ――キサ、悪いけど俺の護衛を頼める? 危ない所に飛び込む事になるから負担大きいけど、なんとかお願いできないかな?」


「はい、お任せください。全力を尽くしてお守りします!」


 ありがたい事に、即答でとてもいい返事をしてくれる。


 キサならこう答えてくれるのは分かっていたのでずるい質問ではあったが、キサの実力をよく知っているシーラには効果抜群だろう。


 シーラはじっと考え込んだ後、視線を横に振る。


「ララク、キサと一緒にアルサル様の護衛につきなさい。2人で前後を固めて、必ずお守りするように」


「はい!」


 ララクはなぜか嬉しそうに、元気よく返事をする。


 尊敬するシーラ教官に認められて、重要な任務を任されたのが嬉しいとかだろうか?


 ともかく、どうやらこれでシーラの許可は下りたようだ。


 俺も同行する事が決まり、夜までの間にできるだけの準備を進める。



 ――その結論が出た頃、矢文作戦も進行しているようで。書き写された皇帝の言葉が、街の全周囲から次々に射ち込まれはじめた。


 兵士と住民に裏切りと宰相打倒を呼びかける文面だが、果たしてどれだけの効果があるか。


 これで宰相打倒まで行けば話が簡単でいいのにな……。


 そんな事を考えながらしばらく様子を見守り。

 進捗が順調なのを確認して、こっちはこっちでやるべき事をやろうと、視線を戻す。



「アフマン将軍、東の川で領都に戻ろうとする宰相と護衛の騎兵を攻撃した時、捕虜を取ったと報告にありましたね。

 急いで尋問して、可能な限りの情報を引き出してください。特に、街と城の構造と、宰相の護衛周りについて」


「承知――と言いたい所ですが、すでにやってありますぞ。捕虜を取ったら尋問するのは基本ですし、宰相の警護隊ともなれば尚更です」


 おお、さすが歴戦の老将。仕事キッチリだ。

 いい部下に恵まれてると、こういう時に活きてくるね。


 捕虜の中には宰相の直属護衛もいたそうで、領都内の街の構造。城の構造。宰相の行動パターン。護衛の構成まで、襲撃をかけるなら値千金の情報がゴロゴロ出てくる。


 なんか一気に襲撃の成功率が増した気がする。ありがたいね。



 優秀な部下に心から感謝しながら、情報の共有と徹底。作戦の詳細を急いで詰めていく。


 襲撃予定は今日の深夜だ。時間はあまりない……。




帝国暦170年 4月14日


現時点での帝国に対する影響度……80.789%


資産

・3145万ダルナ


・元宝石がいっぱい付いていた犬のぬいぐるみ(今はおでこに一つだけ)

・エルフの傷薬×10


配下

シーラ(部下・帝国復興軍精鋭部隊長・C級冒険者 月給50万)

メルツ(部下・ジェルファ王国軍務大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

メーア(部下・ジェルファ王国軍務副大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

エリス(協力者・ジェルファ王国国王・将来の息子の嫁候補 月30万を宿借り上げ代として支払い)

ティアナ(エリスの協力者 月給なし)

クレア(部下・ジェルファ王国宰相)

オークとゴブリンの巣穴から救出された女の人達24人(雇用中・北の拠点生産担当と中州の拠点運営担当 月給12万)

元孤児の兵士達101人(部下・帝国復興軍部隊長95人 北の拠点の船舶担当5人 医療班1人)※2人戦死

セファル(部下・アルパの街の物資管理担当・C級冒険者 月給30万)(弟も同職 月給10万)

ガラス職人(協力者 月給15万・衣食住保証)

船大工二人(協力者 月給15万・衣食住保証)

怪我を負った孤児の子達43人(北の拠点で雇用 月給7.2万)

キサ(部下・専属護衛・遊牧民 月給48万)

セラードとその妹リーズ(部下・元帝国西方新領州都防衛隊長 元子爵家子息 帝国復興軍後方部隊長と前線部隊長)

ミリザ(協力者・ジェルファ王国内務大臣・王都を仕切る裏稼業三代目)

カーミラ(部下 蜂起軍選抜部隊長 元男爵家長女)

サラクス(臣下 帝国東部で最大勢力の辺境伯)

※シーラから最大級の忠誠を誓う血で描かれた印章を貰った話は、6話をご参照ください。

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