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308  決戦の地

 俺達が軍議を開いている間も東進を続けていた復興軍は、広い丘に登る。


 ここは宰相軍に陣取ってもらう予定の場所で、周囲の様子がよく見える。


 戦場を広く見渡せる、本陣を置くのに最高の場所だ。ここを戦場にするなら、まさしく最重要拠点といえる。



 ――だけど、復興軍はそのまま丘を降りて前進し。少し進んだ平地に陣を張るように命じる。


 俺は一番高い地点に立って周囲を観察するが、やはりとても見晴らしがいい。


 キサが言っていた通り天気は雨なのでピクニック気分にはなれないけど、平和な時代だったらのどかでいい所だと思う。


 ……とはいえ、明日にもここが戦場になるのだ。


 俺は視線鋭く周囲を確認し、南の湖、その周囲の森、東の小さな丘などの地形を確認する。


 復興軍が布陣予定の場所は丸見えで、東の丘もここからだとほぼ全体が丸見えだけど、さすがに後ろには死角になる部分がある。

 多少の兵を隠せそうだ。


 あとは、視界の届く範囲ギリギリくらいを狙って遊牧民の部隊に出現してもらうために、その場所を決めて伝令を送る。



 その作業が済んだら主だった指揮官と部隊長を集め、配置を指示する。


 戦場の南。湖と森沿いで敵の攻撃を最初に受けてもらうのは、リーズとララク達。


 ここはあえて守備を薄くして敵の攻撃を誘う、いわばおとり部隊だ。


 地形を利用して少ない兵力で敵の攻撃を受け止め。徐々に後退しつつ敵主力を引きつけるという難しい任務なので、防衛戦の経験豊富なリーズと、精兵であるララク達の隊を当てる。


 総数は3000人と少ないけど、シーラの隊を除けば復興軍でも最精鋭部隊だ。



 中央には復興軍の主力を。これは広い丘から敵主力が出払ったタイミングで、逆襲攻撃をかけて奪い取る部隊。数は2万8000。


 その内1万3000は宰相軍に背を向ける形で、東を向いて布陣させる。

 遊牧民の攻撃に備えていると見せかけるためだ。



 そしてその北の小さな丘には、カーミラ率いる1万の部隊を置く。


 と言っても小さい丘に1万人も登れる広さはないので、大半の兵士は周囲を固める。


 小さい丘自体はより高い広い丘から丸見えだけど、平地の戦場を見渡せる程度の高さはあるので、指揮を執るにはいい場所だ。


 そしてシーラ率いる騎兵部隊を小さい丘の陰に隠して、軍の配置は完了だ。


 各指揮官や部隊長には、明るい内に担当地域の地形をよく確認しておくようにと命じて、全員を送り出す。


 特にシーラは、状況次第で南か北への救援。あるいは正面の突撃への参加と、全ての戦場に参加する可能性があるので、馬を駆って忙しくあちこちを見て回る事になる。


 俺もそれに同乗させてもらって地形を確認し、同時に各部隊の兵士達を激励して回った。


 兵士達はみんな士気が高く。上官との信頼関係も良好で、いい部隊に育ったな……と、今までを振り返って改めてぐっと来るものがある。


 特にララク達は、孤児だったのを冒険者見習い名目で引き取ってから、もう6年も経った計算だ。


 あの頃はみんな幼い少年少女だったけど、今は立派な武人に育ってくれている。

 頼もしいし、親代わりになった身としては嬉しくもある。


 今日まで一人も欠ける事なく戦い抜いてくれたけど、願わくば最後まで、全員生き残ってくれるといいね……。



 そんな事を考えながら地形の偵察を終え。

 俺は全軍のほぼ中央。平地の真ん中に陣取る。


 兵の数的には一番分厚いけど、遮る物がなにもなくて、守備には不向きな場所だ。


 もし敵が初手から全力で中央突破を選んで丘を駆け下りてきたら、多分支えきれない。


 教国軍じゃあるまいし、さすがにそんな無謀極まる事はしないだろうけど、戦場に絶対はないらしいので、ちょっと怖くはある。



 ――俺達が布陣を終えた頃。広い丘の上に残していた見張りが、『敵接近! 数およそ5万!』と知らせてくる。


 こちらは4万2000ほどなので、ちょっと不利。

 遊牧民を味方に加えて同数近くといった所だろうか。


 サラクス辺境伯の軍も来てくれているはずだけど、こちらの味方のような態度をとると敵が警戒して攻撃をためらうかもしれないので、北の少し離れた場所で様子見の姿勢をとってもらうように伝令を送る。


 戦況を見て、有利そうな方に付こうとしている気配を見せれば、宰相軍も攻撃を張り切るだろう。



 そんな段取りをして、広い丘から見張りを下げ。

 代わりに宰相軍が展開して行くのを、じっと見上げる。


 復興軍から半日と少し遅れての到着で、辺りはそろそろ暗くなり始める頃だ。


 とはいえまだ視界は利くので、丘に登った敵からは俺達が遊牧民との間に挟まれて、窮地きゅちに陥っているように見えるだろう。


 今後の展開としては、今夜いきなり夜襲をかけてくる可能性もゼロではないけど、普通に考えれば行軍で疲れている兵士を休めて、攻撃は明日。

 その間に反対側の遊牧民に使者を送って、挟み撃ちの相談をするとかだろう。


 夜襲だと、せっかく高地を取って見晴らしがいい状況を活かせないし。俺達を一網打尽にしようと望むなら、明るい時間の戦闘が望ましいからね。


 ……一応警戒はしつつ、兵士達にはよく休むようにと伝達し。俺も毛布に包まる。


 まだシトシトと雨が降り続いているけど、長い屋外生活を経験しているので、雨の野営も馴れたものだ。


 キサの天気予報によると明日の朝には晴れるだろうとの事なので、ちょうどいい雨だったとも言える。


 辺りは草原で、若草が生えてきている季節とはいえ、枯れ草も多い。火計とかされたら対処に困った所だ。

 これだけ濡れていたら容易には燃えないだろう。



 天気まで味方についてくれているような気がして心強く。俺はもう一度見張りの配置を確認してから、決戦前夜の眠りへと落ちていくのだった……。




帝国暦170年 3月26日


現時点での帝国に対する影響度……73.489%


資産

・1億3145万ダルナ


・元宝石がいっぱい付いていた犬のぬいぐるみ(今はおでこに一つだけ)

・エルフの傷薬×10


配下

シーラ(部下・帝国復興軍精鋭部隊長・C級冒険者 月給50万)

メルツ(部下・ジェルファ王国軍務大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

メーア(部下・ジェルファ王国軍務副大臣・E級冒険者 月15万を上級傷薬代として返済中)

エリス(協力者・ジェルファ王国国王・将来の息子の嫁候補 月30万を宿借り上げ代として支払い)

ティアナ(エリスの協力者 月給なし)

クレア(部下・ジェルファ王国宰相)

オークとゴブリンの巣穴から救出された女の人達24人(雇用中・北の拠点生産担当と中州の拠点運営担当 月給12万)

元孤児の兵士達103人(部下・帝国復興軍部隊長97人 北の拠点の船舶担当5人 医療班1人)

セファル(部下・アルパの街の物資管理担当・C級冒険者 月給30万)(弟も同職 月給10万)

ガラス職人(協力者 月給15万・衣食住保証)

船大工二人(協力者 月給15万・衣食住保証)

怪我を負った孤児の子達43人(北の拠点で雇用 月給7.2万)

キサ(部下・専属護衛・遊牧民 月給48万)

セラードとその妹リーズ(部下・元帝国西方新領州都防衛隊長 元子爵家子息 帝国復興軍後方部隊長と前線部隊長)

ミリザ(協力者・ジェルファ王国内務大臣・王都を仕切る裏稼業三代目)

カーミラ(部下 蜂起軍選抜部隊長 元男爵家長女)

サラクス(臣下 帝国東部で最大勢力の辺境伯)

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