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第97話 氷山

 ――ふぅ・・・ふぅ・・・ミュリーさん。第4部隊の方が砂漠よかった・・・では・・・ふぅ・・・ふぅ・・・


 砂が谷と山を作り出している灼熱の砂漠の中、熊獣人のエプリンが問う。


 ――関係ないでしょ。私も・・・ふぅ・・・ふぅ・・・キツイもの。マーリャ隊長。方向は大丈夫?


 ――ふぅ・・・ふぅ・・・大丈夫、真っ直ぐです


 先頭の兎獣人のマーリャが耳をピコピコ動かして状況を確認しながら進んでいく。


 ――遺跡どころか、岩の1つすらないわ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・


 鹿獣人のメイがあきらめに近い言葉をもらす。


 ――ヘキシアさん。氷バーンと出して・・・ふぅ・・・ふぅ・・・


 牛獣人のジューヌが頼む。


 ――無理よぉ。瞬間的に涼しいだけじゃない。しかも、私はその後どうなると思ってるのよぉ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・


 ――魔物いるです!


 砂の中からドラム缶と同じくらい太いチューブが伸び、先には巨大な針がついている。


 ドスン!ドスン!ドスン!と次々に飛び出し、マーリャを襲う。


 『シクサッションセブンスコーピオンです』


 「7本尾のスコーピオンね!」


 ――ふん!


 ガイィィン!


 巨大なハサミがジューヌの斧を受け止める。


 カッカーン!ドスン!


 双子の猫獣人のセプテーとオクテーの連携攻撃がジューヌを狙って振り落とされた毒針の軌道を変える。


 ――エプリン副隊長!ジューヌは後退!速度でかく乱するです!


 マーリャ、ダルメシアン獣人のジラ、ダックスフント獣人のオーテリアが3方向から攻撃していると、砂の中からもう一体姿をあらわし猛進してくる。


 ――STR大上昇、DEX大上昇、異常耐性大、物理耐性大!!INT特上昇!!


 ミュリーがかく乱させているマーリャたちとヘキシアへ支援をかける。


 ――グランドスパイク!!


 ガイィィン!


 砂面から7メートルの槍衾やりぶすまが伸びるが魔物の装甲を貫けず、ひっくり返しただけだ。それでも、槍衾やりぶすまが枷になりゴリゴリともがいている。


 ――こっちいく!ぐわぁ!


 熊獣人のエプリンがひっくり返っているシクサッションセブンスコーピオンの腹へ斧を振り下ろす。


 ドンッ!!


 ――続く!!ふん!


 ドンッ!!


 ひっくり返っているシクサッションセブンスコーピオンに次々と斧が振り下ろされ、魔物の動きが止まる。


 ――ヘキシアさん!こっちにもアイシクルスパイクを!


 ――涼みたいだけよね?!グランドスパイク!!


 ――・・・


 えーという顔があちこちに広がる。


 ――ない材料だと簡単に折れちゃうのよぉ!


 ――ウェイブウィップ!!


 バチン!バチン!バチン!バチン!


 ――ぐわぁ!

 ――ふん!


 ドンッ!!

 ドンッ!!


 ひっくり返り槍衾やりぶすまが枷になった魔物の動きが止まるまで、これでもかと追撃を繰り返す。


 ――魔石回収するです!


 装甲の隙間に次々と斧を振り下ろし、胸の辺りから魔石を回収する。


 ――これは砂属性の魔石ですわね。ハンブルク王国では滅多に出回っていません


 アララが黒の中に薄っすら黄みがかっている魔石の感想をのべる。


 ――使い道あるのかしらぁ?


 ――砂漠のキャンバラに出会えれば普通に交易できますわよ


 ――キャラバンねぇ


 ヘキシアが辺りを見回すが、どの方向も砂しか見えない。


 そして、日が真上になるまで歩き続ける。


 ――でたわね


 見上げるほど大きな宝箱にミュリーの期待が高まる。


 ――開ける


 ジューヌがバッと宝箱を開く。


 「じゃじゃーん!柴丸印の巨大かき氷よ!・・・上から餡子!抹茶!イチゴ!ブルーハワイ!練乳は全体にかかってるんだよ!」


 ――おー!!


 獣人たちが吠え、ジューヌが顔面を氷に突っ込んでむしゃむしゃと貪り、柴丸も添えて出されたかき氷をペロペロと楽しむ。


 ――ふぐぬぅ?!


 ジューヌが頭を抑えてのたうち回る。


 ――どうしたの?!


 ミュリーが心配する。


 ――ダメージを受けた!ぐっ、死ぬほではない!


 ジューヌは再度むしゃむしゃと貪っては、頭をおさえる。周りもおっかなびっくり食べ始めるがエプリン以外はダメージを受けた様子はない。


 「氷を大量に食べたらそうなるよ!」


 ――ダメージを受けてるのは、エプリンとジューヌねぇ。種族差かしらぁ?


 「大量に食べてるだけだよ!」


 ――モチモチ見つけた♪


 双子の猫獣人のセプテーとオクテーが白玉に餡子をのせてモチモチと食べる。


 ――ヘキシア。テントを出すから、氷の冷気をテントの中に移して


 ――こ、氷を溶かすのか・・・ミュリーに妖精のささやきはない


 オーテリアがブルーハワイの氷を楽しみながら絶句する。


 ――ここまでヒドイとは、手の施しようがない


 ジラがイチゴの氷を楽しみながら同意する。


 ――ちょっと?!悪者にしないで!全部は食べられないでしょ?!消滅する前に最善の選択をしてるだけよ!


 練乳たっぷりの氷を楽しみながら弁明する。


 ――そうねぇ。でも、もう少し妖精のささやきに弾んでからにしましょぉ?


 餡子と抹茶の氷を楽しみながら仲裁するのであった。

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