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第96話 ださださい

 ――ダメでした・・・今の私には描き切れません・・・


 マリーは描いた絵の前でガックリとうなだれる。


 ――仕方ないわ。私でございますから!


 「十分じょうずだよね?」


 『実物より描かれた方のが均整がとれています』


 ――お名前を伺ってよいか?


 ひと段落したのを感じ槍星が一人の冒険者へ話しかける。


 ――ん?カイリリです


 ――素晴らしいな。期待している


 エルオンスはカイリリの肩に手をおき、熱い視線を送る。


 そして、ヴィクトリア姫の方へと戻っていく。


 ――カイリリ。今のは何だったんだ?


 ダフネがいぶかしげにたずねる。


 ――はー。あねごはお子ちゃまですねー。かたや憧れの星からのペアへの誘い、かたや憧れの星とのペアへの望みが消滅ぇ・・・


 ――・・・・カー・・イー・リーリイィィィ!!!


 カイリリは危険を察知し言い終わる前に消えるように逃げ、瞬間沸騰したダフネは凍えるほど冷たい魔力を口からはきカイリリを追って消える。


 ――止めなくて良いのですか?


 レッリーがリンリリ隊長に意見をする。


 ――どっちもどっちだ。カイリリにはもう少し妖精のささやきに踊らされず無色でいて欲しいし、あねごも得たスキルを制御できずに踊らされていたら、そのうち誰か殺してしまう


 ――殺してしまう?リンリリ隊長、大袈裟ですよ


 ――大袈裟なものか。ブラッディデストロイ・・・いや、本人からそのころの話を聞くとわかる


 ――はぁ?


 「今日も始まったね!ダフネとカイリリの鬼ごっこ!タマタマアイで追跡するよ!」


 そう言って腰に手を当てお尻を突き出しブイサインを目元に持ってくると、マスター空間に30個の玉があらわれる。その玉は1000体以上散らばるドラゴンクラッシャー辺境領や柴丸から落としたもの、拾われて持ち去られたたまコロ虫の目だ。その中からカイリリとダフネのそばにいる30体をピックアップし表示している。


 ドーン!


 木が吹き飛ぶ音がダンジョンまで届く。


 ――ピョリー副隊長、トゥリー。あねごが散らかした材料を回収してきてくれ


 ――はっ!


 『補足しました。南西に向かって進んでいます』


 「タマコロドライブだよ!」


 そう言って両手にブイサインをつくり目元に持ってきてお尻を左右に突き出すと、マスター空間にレーシングシートとハンドルがあらわれる。このハンドルはたまコロ虫を直接運転できるハンドルだ。


 『この感覚・・・は何でしょう』


 「レディーゴーだよ!」


 ぴゅーぴゅーっと回復ポーションを吐き出し転がる。その速度はかなり遅いが縮尺の違いにより、体感はかなりの速度だ。


 コロコロ、ポコンとウニの形をした蟲がぶつかってくる。


 「よそ見運転だよ!気を付けな!」


 『たま様。だいぶ離されました。乗り換えしますか?』


 「乗り換えだよ!」


 一番近くでカイリリの進行方向にいるたまコロ虫に乗り換える。


 ドーン!


 ――ひー?!ほ、本当に殺される?!


 ――くんくん!こっちかあっ!!


 そして、カイリリに追い越される。


 「ターボだよ!」


 たまコロ虫から排出される液体が水色の回復ポーションから黄色の万能薬へと切り替わる。


 速度は変わらない。


 気分が違うのだ。たまのテンションが一段上がるターボだった。

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