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第91話 新たな日常

 ――なんでだい?!


 ダフネが吠える。


 ――あねご。気づいてるはずです。


 ハーフエルフのリンリリ隊長が突っぱねる。


 ――S級のあたいと模擬戦闘できるってのに、やらないのかい!


 ダフネの体が清獣化メタモルし、赤さが増していく。


 ――手加減できずにオーバーキルで魔物を粉砕する。妖精のささやきにちょっと試されたぐらいで姿が変わる


 ――ぅ


 ――隊長として部下の命を危険にさらせない


 ――ま、待て、すぐに解除するからっ!


 ダフネが力を入れたらいいのか、抜いたらいいのか、わからずに元の姿に戻ろうとプルプルとおもらししそうな姿をさらす。


 ――自在にできるようになったら声をかけてください。陣形の訓練するぞ!


 ――おー!!


 ――ま、待て、せめてカイリリを貸してくれ!


 ――へらっ?!やですよ!私だって陣形の訓練が必要です!むしろ陣形の訓練が必要であります!


 ビシッと姿勢を正すカイリリを見ながらリンリリは悩む。ダフネはしつこい。このまま拒否し続けても訓練の邪魔で質が下がってしまう。


 ――壊さないから!


 ――怖いこと言ってるよ?!普段のダフネより赤いダフネは3倍怖いんですから!!やですよ!


 ――わかった。ただし、カイリリが酷いダメージを受けた場合は2度と貸さない


 ――おねーちゃん?!


 ――よしっ!!


 ガッツポーズとともに、赤さが波打つ。


 ――いやだーっ!!


 ――あの高い木をあたいが折ったら追いかけるからな!


 そう言って指差し、ダン!と地面を蹴って森へ消える。


 ――あねごのせいで、逃げるだけ(大)なんですけどー!!


 カイリリはダンジョンに走り込み、クリーン、クリーン、クリーンと自身に三回唱えて、ダンジョンから飛び出し崖肌を蹴って上へと向かう。


 ズガン!・・・メキッ、ベキベキベキ・・・・ドシーンと木が倒れる。


 ――レッリー。お前の訓練は別だ。グレービーさん、お願いします


 第7部隊の後衛で魔法を使っているシマウマ獣人のグレービーに火属性魔法のはえた部下の育成をお願いする。


 ――ええ。せっかく魔法ができるようになったんですもの。基礎の妖精のささやきを無色にする訓練から始めるわよ


 ――は、はい!ありがとうございます!


 ――それでは指から火を出し続けて。小さな火でいいわ


 森から飛び出したダフネがドーンとダンジョンに突っ込み、壁を1度蹴り、カベンポリンを使って方向を変え、ダンジョンから飛び出るときに天井をひっかいて上向きの力へ変えて崖上へと飛び上がる。


 「あー?!店の天井を壊さないで!」


 『あれ。上級魔物を超えてますよね?』


 ――ほら、無色にする!指から火を出したまま


 レッリーはダフネの凄まじい動きに心を揺さぶられ火が消えそうになる。


 ――は、はい!


 ダンジョンコアの周りでは、第2部隊の結晶族クリスタルが起きているのか寝ているのかわからない表情で護衛している。


 「パティコとリカリカなんて、ほとんど壁のほうを向いてるよ?」


 『種族防御のクリスタルリンクです。同調して全員の意識を共有するので同じ方向をむくより効率が高くなります』


 「昨日からずーっと交代なしだよ?」


 『クリスタルリンク中は立つのも寝るのも問題ありません。10年間動かずに立っていたと記録にもあります』


 「か、かかしかっ!・・・マネキンかっ!」


 たまは切れの悪いグダグダな突っ込みをするのであった。

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